バーチャルVtuver豆猫さんの与太話

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クソネズミシングルトンのこと。

Twitterに書けない長文記事でFGOの話をするブログは作ったけど。
FGOのブログだとFGOにしか書けないんだよなあ…ということを
常々思っていたので。
FGOじゃない話題を書くためにこちらのブログを使っていこうと思います。
 
さて、では初回の話のタネは何かというと、「MTGアリーナ」というゲームが
とっても面白い!という話です。
MTGアリーナ、たった一つの要素を除いて「初心者向けのマジック:ザ・ギャザリング」として
よくできているゲームです。
その一つの要素…もったいぶらずに言うと「英語版しかない」ことなので
簡単な英語を理解できてMTGに興味があるか、出るかもわからない日本語版を待てる人にオススメなゲームです。
 
まず、MTGアリーナは現在まだ配信が始まっていません。
現在行われているのは「オープンβテスト」というやつで
まあ、幅広いプレイヤーに門戸を開いてテストプレイ中です。
どうやったらプレイできるかとかは他の先人たちが詳しくまとめてくださっていたりするのでそちらを参考にしてください。
 
 
配布されるデッキについて
配布される初期解禁デッキは 赤 青 緑 白 黒 それぞれの単色統一デッキです。
初心者でも扱いやすくしている一方でド派手なカードも入れてあります。
「ブランチウッドの鎧」が入ってるあたり

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長年のデザインと市場調査の結果、初心者でも簡単に使えて派手で強い!そして…強すぎない。
本当によくできたデッキになっています。
また当たり前のことですがマナカーブが整っている。
マナカーブとは「比較的弱いがコストの低いカード」から「強いがコストの重いカード」の
デッキ内での配分バランスについて話す用語なのですが
まあ詳しく知らなくても大丈夫で
配布デッキはここがちゃんと作ってある。
 
パックを剥いて手に入れたコストの重いレアカードをバンバン詰め込んで
コストの軽い一見弱く見えるカードを抜くとこの比率が崩れて
デッキ全体では弱くなることもあるので
配布デッキを編集する時は「入れたいカードとほぼ同じマナコストのカード」を抜くように調整すると
全体の強さを崩さずに組みなおせるはずです。
 
毎日もらえる2色のデッキについて
毎日、1度プレイするとログインボーナス的なノリで
2色のデッキがもらえます。
こっち!こっちについて語りたい!
こちらのデッキは「非常に強いリミテッドのデッキ」です。
リミテッドというのはMTGの遊び方のひとつなのですが
あまり説明しだすと本筋から外れるので、
ここではアリーナの定番ルール「スタンダード」に比べて
「弱い傾向のあるデッキ」だと思ってください。
つまりこのデッキは「強くて弱い」のです。
これはデッキの総合バランスはとれているが、
カード単体では弱いカードもある程度はいっていること、
そして逆に切り札となる強いカードに関しては
惜しげもなく環境最高クラスの切り札を引っ提げてきていること
これが「強くて弱い」の意味です。

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プレイヤーは「弱いカード」をより実用性のある強いカードにしてデッキをアップグレートできる一方で
切り札の強さから「ある程度の強さ」はすでに保証されているデッキを
配られるわけです。
 
また、これが電子カードゲームの利点なのですが「買占め」がないんですよ。
紙のカードで もし初心者デッキに価値の高いカードを入れ、初心者用に低価格で販売すると
「価値のわかる上級者」が買い占めて肝心の初心者にいきわたらないのです。
電子ゲームなら「買占め」が気にならないので初心者に最高レアのカードを入れたデッキを
配れるわけです。
 
で、友人とプレイしてて気づいたんですが、
この配布2色デッキ…なんと「プレイヤーごとに違うものをもらっている」んですよ!!
いやあ、これには驚いた。
MTGには2色の組み合わせは10種類あって最新パック(MTGアリーナでも使える!)では
その2色の組み合わせ10種がテーマとして扱われています。
恐らく配布デッキも10種類あって、
プレイヤーは「ランダムに持っていないデッキ1つ」を貰えるみたいなんです。
そして配布デッキをもらうとミッションが課されます。
例えば青白のデッキをもらったときのミッションは「青か白のカードを40回使う。ミッション達成でパックを1つタダでもらえる」
当然もらったデッキで戦ってパックが欲しくなりますよね?
結果的にマッチングがうまく機能していて「またこの強いデッキ使う人かよお」みたいなのが
大変少なくて色々なデッキの使い手がいるんです。
これがもし初日に15デッキ解禁とかだとそのなかで一番完成度の高いデッキばかり使われることになります。
また選べるスターターキットは嬉しいものですが
多すぎる選択肢は逆に悩みの種になります。
 
この5つの単色スターターと各プレイヤーごとに違う2色デッキの配布は
素晴らしいバランスだと思います。
 
しかしまだβテスト。もっと良くしてほしい点もあります。
英語なのでちょっと手間ですが公式にも意見を送ってみます。
・キャラクターに喋ってほしい。
ハースストーンやシャドウバース、デュエルリンクスなどと同じように
プレイヤーの顔アイコンとしてキャラクターを使ってプレイします。
そしてこのキャラクターはMTGのストーリーにおける重要人物たちなのです。
現在ハローやナイスしか送れないメッセージに
キャラごとのバリエーションを付けてほしいしボイスで喋らせてほしいんですよ。
なんならセリフのバリエーションなく音声だけでも
「はろう?」
「へろー」
「はろお!」
「はっろおおおおお!!!!」
「…(無言)」
とかだけでキャラが立つので…。
せっかく顔アイコンを既存のキャラにするならそういうのが欲しいです。
 
 
あっ、ここからぁ~

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そしてゲームバランス的な話。
「クソネズミシングルトン」の闇について。
多彩なデッキとのマッチングが2色デッキ配布の利点でしたが
ここには落とし穴もありました。
それが「クソシングルトン」なのです。
ざっくり言うと《ネズミの群棲/Rat Colony》を使ったデッキが
「多すぎる」という問題です。
シングルトンというモードでは「同名カード1枚」の制限で遊べます。
ところが初期はカードがそろっていないので
デッキ枚数を満たそうとすると弱いカードが入らざるを得ないのです。
ところが《ネズミの群棲》は違います。
このカードは「カードの効果はルールより優先される」という黄金律に支えられた
MTGにおいて、
「シングルトンでも好きなだけ使えます」
ネズミの群棲は10点満点で7点くらいのカードです。
10点のカードには遠く及びませんが
シングルトンに入れざるを得ない4点や2点のカードよりはるかに「強いカード」です。
そしてネズミの群棲は多さが強さです。
そう、ネズミ満載デッキは安定して毎試合ネズミを引けるのです。
また電子ゲームなのがこの風潮を加速させます。
ネズミの群棲は紙のMTGでも使えます。
僕もちょっと興味を持ちましたが「集めるのがだるい」ので組むのをやめました
MTGアリーナではそもそも「デッキに入れられるのは4枚なので同じカードは4枚しかコレクションできない」
仕様です。
ではネズミは?
もし3枚持っていれば3枚デッキに入れられます。
4枚持っていたら好きな数だけデッキにいれられます。
ネズミはコモンでありワイルドカードの交換機能も使えば
あっという間に4枚揃います。
さあ、あなたは個性豊かで強さのムラがあるデッキと
ネズミを投げるだけの単調だが安定したデッキ、どちらを使いますか?
多分前者が多く、後者を選んだ人はネズミデッキの動きが好きな人なので
結局みんな「好きなデッキ」を使います。
 
…問題はシングルトンというモードには「勝つとカードがもらえる」のです。
多くの「カード資産の少ないプレイヤー」がカード欲しさに《ネズミの群棲》だらけのデッキを
使い始めました。
環境の多様さは激減し「またネズミかよ」と思うほどクソネズミシングルトンと出会います。
最初は僕も感心しました。
シングルトンルールの穴を突くようなその発想。
初期に組んだり自力で発想した人たちに僕は敬意を表する。
彼らは素晴らしい!そしてその素晴らしいデッキは簡単に真似できる。
個々のプレイヤーごとに枚数やほかのカードの調整こそあれ
「大量のクソネズミ」という部分はパクるのが容易で
カード資産のないプレイヤーも真似できるのです!
当然僕も真似しました。
これは手軽に組めてインパクトもあり素晴らしいデッキで
調整の余地もありプレイスキルも上がる!いいことづくめのデッキでした。
…その感染力以外は…
そうまるで貞子の呪いのビデオのようにネズミデッキは拡散していきます。
今にして思えば僕にとっては最初のネズミデッキだった彼も「子ネズミ」や「孫ネズミ」だったのでしょう
ネズミデッキを見たプレイヤーがネズミデッキを真似し、コピーデッキと当たった人がさらにコピーデッキを…
あっという間にネズミデッキは環境での強さはともかく
遭遇率はMAXになりました。
さらに悪いことに我々、ネズミデッキのプレイヤーにとってネズミデッキは調整しがいのある素晴らしいデッキです
ネズミ配合率…土地の数…ネズミ以外の採用カード…多色化のリスクとメリット…
だがそんなのは関係ない…
眼前の敵にとってデッキは「ネズミか、それ以外か」です。
ネズミはどれも同じように見えるんです。
 
もちろんネズミデッキは万能ではありません。
何枚かのネズミデッキを完全に黙らせるカードがあります。
すごい!
そしてそのうち1つの対策カードを君はデッキに加えられる!
そう!「60枚のデッキのうちの1枚」として…!!!
 
勘のいい諸君は気づいただろう。
ネズミ対策特化カードを1枚刺しただけでは大勢は覆らない
「対策カードを引けずにネズミにひき殺される」のは日常茶飯事です。
一方ネズミは?
「毎試合必ずネズミを出せる」んです。
だってデッキには4枚を超える大量のネズミがいるんですから!!
さあそうなると君はネズミ対策にピンポイントでよく刺さるカード
(それらはいくつかのほかのデッキにもきくことでしょう)を
入れてみます。
結果的にあなたのデッキのメインコンセプトは崩れ始めます…。
今まで勝てたはずの「ネズミでないデッキ」に負け始める…
ネズミに負けるかそれ以外に負けるかのジレンマです。
これを解消する方法は簡単です。
 
「カード資産を増やしてネズミにも効くしほかのデッキ相手にも腐らない」カードを
たくさん集めればいいのです。
ところでアリーナはまだβテスト…テストプレイ運営にお金を払うのを躊躇する人が多いのは
当然のことです。
となればカード試算を集めるには「シングルトンで勝つ」しかない!
他の無課金要素でのカード入手は1日に得られる回数が決まっています。
しかしシングルトンではなんと無制限に何度でも!何度でも戦えるのです!
やった!
そして出会うクソネズミの群れ、群れ、群れ群れ群れ!
 
さて前置きが長くなりました…(うん、これ前置きというか前提知識の共有なんですよ)
このクソネズミシングルトンは週末には改善され少しだけメタゲームが回ります。
赤白デッキの登場です。
これは強い…本当に強い。
ネズミ相手には「先制攻撃」や範囲火力で圧倒的に有利で
他のデッキでは「重たいが強いレア」が配布デッキから出張してる中で
「素早く序盤のうちにゲームを決めきる」という赤白は
レアが出るより先にゲームを終わらせてきて
結果的に「戦場に出たカードの強さ」では完全にほかのデッキを圧倒します。
そしてこのデッキは赤白の配布デッキをベースに簡単に作れます。
これでネズミに勝ち、他のデッキも相手どれる赤白デッキ「ボロス教導」は完全にメタゲームの最上位に
躍り出ました。
 
よかった、よかった。
さあ、僕もボロス教導を…
組めない。
組めないのである。
 
なぜなら週末までのログインでは僕は「赤白デッキ」が配られなかったのである!!
ランダムな2色の配布デッキの内、1つだけが
ネズミ相手の圧倒的優位と他のデッキとやりあう「ダントツで強いデッキ」になってしまったのです。
 
これで前提が覆りました。
「ランダム配布による多様な環境の充実したプレイ」は
 
誰でも組めるクソネズミと
一部のラッキーな人の持つボロスと
その他の持たざるもののデッキ
 
3つになりました。
もちろんボロスとネズミは同じ弱点を抱えていて
「低コスト、基本総攻撃」なので
《煤の儀式/Ritual of soot》や《残骸の漂着/Settle the Wreckage》が両方に有効です。
数的優位を取れる《菌類感染/Fungal Infection》なんかも両方に刺さりそうです。
これを両方取り入れられる白黒のデッキなら対策もできるでしょう。
ただしこれを入れられるのは1枚ずつです。
ネズミ相手に引けるかはわかりません。
両方使いたければ白黒のデッキを組むしかないですね。
白黒のデッキはもちろん白黒のデッキをベースにしたら簡単に組めますし、
《残骸の漂着》はレアカードですが確か青白デッキでもらえます。
つまり青白と白黒のデッキを配布でもらえていれば両方を相手どることはできるのです!
さらに《菌類感染》や煤の儀式で味方が死んだ後も盤面にクリーチャーを残せる《死花のサリッド》なんかも
緑黒のデッキから容易に入手が…待って待って
 
ネズミや赤白に比べていきなり組めるプレイヤーが激減してない??
そう、カード資産の関係でメタゲームが回りきってないのです。
メタゲームの回転が資産の影響で途中で止まってしまうのは
プロというお金をかなり余裕をもってカード資産に避ける人たちばかりの
「大会」の環境では見かけないことですが
カードショップ店舗のデュエルスペース環境などでは少なくないことです。
これが「アリーナのシングルトン」という
とても広い広い「ネットのデュエルスペース」でよりはっきりと出てしまっていた気がします。
 
後知恵ですが対策は簡単で
「先制攻撃」を持つ生物の充実、などは手軽にネズミを止められたかもしれません。
ですが初期の5つのデッキでは「先制攻撃」持ちはほとんどいなかったようです。
また白黒のデッキのところで語った「対策カード」はまず
「そういうカードが効くと気づけるか」よりもさらに前に
「そういうカードが存在する」こと自体を
対応する2色デッキを引けなかったプレイヤーにはわかりづらい…という点でしょうか。
 
もちろんネズミ中心のメタゲームの攻防自体はおもしろくないこともない感じではありましたが
「商品」がそれを歪ませて「楽しくない」ものにしていたのかもしれません。
βテストでなく正式リリースの際には
「ネズミの対策カード」が1枚ずつでいいので何種類か
初期の5つのデッキに入っている。
あるいは報酬を無制限に受けれる場をシングルトンでないところにする…
なんらかの対策があって、
クソネズミシングルトンをもう見なくて済むようにしてほしいなあ…と感じたのでした。