MTGには数々のフォーマット(遊び方)が存在する。
新しいカードで常に新鮮なゲームを楽しめるスタンダード。
比較的最近のカードのみを扱うパイオニア。
古いカードから最新の特殊セットのカードまで、幅広く使えるレガシー。
極一部のカードを除いて「一切の禁止カードがない」ヴィンテージ。
だがMTGの構築フォーマットは奥が深く、他にもいろいろな構築制限がある。
レアリティの低いカードだけが使用可能なパウパー
約1円以下のカードだけしか使えないペニードレッドフル。
味のある絵柄のカードが主役の旧枠モダン。
電子ゲームに戦場を移したヒストリック。
そんなMTGの多様な構築制限の中でも異色な『なんでもあり』のフォーマット。
「タイプ0」
これはその魔境に身を置く真の決闘者たちの戦いを描いた物語である…。
超次元MTG対戦 TYPE/Zero
注・タイプ0は公式サポートが存在しないフォーマットのため「何をタイプ0とするか」の厳密な定義がありません。
一般的に「どんなカードでも使用可能な無差別級試合」であるとされています。
この物語では、TYPE0/Zeroを「あらゆる定型のマジックのカードを使用可能で、同名カードの枚数制限のないルール」として定義しています。
超次元MTG対戦 TYPE/Zero
第一話「なめくじの歩行速度よりも速く!」
「私の名前はレイ!」
「至って普通のMTGプレイヤー。今日も行きつけのカードショップでルールを守って楽しくマジック!」
「大変! レイちゃん!」
「どうしたの? 私の親友のアオイちゃん?」
「お店に悪質なMTGプレイヤーが来てるの!」
「悪質なMTGプレイヤー? そんなの絶対許せないよ!」
いきつけのカードショップ
「へへっ。また勝っちまった!」
「この斜九寺(なめくじ)様に勝てるやつはいないようだな!」
「次にやるのは、お前か?」
「わ、私…あなたと同じフォーマットのデッキがなくて…」
「へへっ。安心しな。俺がやるフォーマットはTYPE/Zero」
「デッキ構築に煩わしい制限のない理想のフォーマットさ」
「 TYPE/Zeroじゃあ どんなデッキでも『アリ』だ」
「じゃあ私のこのデッキも?」
「どんなデッキかは知らねーが、TYPE/Zeroはそれを受け入れるぜ」
(かかった!)
(このデッキは禁止改定で使えなくなったアタシのとっておき!)
(これならアイツに負けた他の子たちの仇をとれる!)
決闘!!
「先攻、後攻はじゃんけんでいいか?」
「それでいいよ」
じゃんけん、ポン!
「アタシの先行!」
「土地カード、《霊気拠点》から緑マナを払って《霊気との調和》!」
「あれは禁止カード《霊気との調和》!!」
「大会使用禁止の禁断のデッキ!」
「ずるいぞ、ミドリちゃん!」
「へんっ。なんでもありなんだろ?」
「これもTYPE/Zeroとやらじゃあ当然アリ、違うか?」
「その通りだぜ。だがなあ…遅い! 遅すぎるぜ!」
「えっ!?」
「俺のターン! 行けっ! 7枚の《ロケット噴射ターボナメクジ》!!」
シュパ―――――ン!!!
Life/Zero
斜九寺 Win!
「一体、今のは…」
「まさか…あれはまさか伝説の…」
「【60枚の《ロケット噴射ターボナメクジ》デッキ】 アルか…」
「知っているのか…ミンメイ!」
《ロケット噴射ターボナメクジ》
超速攻(あなたはこれをプレイする1ターン前に、これで攻撃してもよい。
(あなたは自分の攻撃クリーチャー指定ステップに、手札からこのカードを、タップ状態で攻撃している状態で戦場に出してもよい。そうした場合、あなたの次のターン終了時に、あなたがこのカードのマナ・コストをそのターン中に支払っていないかぎり、あなたはゲームに敗北する))
「《ロケット噴射ターボなめくじ》は速攻を超える超速攻のカード」
「場に出したターンに直ぐ攻撃可能な速攻能力を上回る『コストを払って場に出すよりも1ターン早く攻撃できる』というジョークカード ネ…」
「いつかこんな日が来るんじゃないかと思っていた!」
「俺のデッキに貴様が勝てたならもう二度とこの店でType/Zeroはやらねーと誓うぜ!」

次回予告
60枚のナメクジを倒したレイのもとに新たなる資格が現れる。
また現れる60枚同じカードを入れたデッキを使うゴスロリに果たしてレイは勝つことができるのか…!
次回、超次元MTG対戦 TYPE/Zero
第二話『脅威の0ターンキル! 黒単の恐怖!』
次回もMTGの闇を覗いてもらおう。
2話はこちら↓