君はもう見ただろうか?
実写版がっこうぐらし!を。
映画の好みという奴は押し付けられるべきものではない。
だから君が見ていないとしても私は責めないよ。
*201911/3追記
https://twitter.com/isseyshibata/status/1190788538217844737?s=21
アマプラに来ました!
プライム会員のみんな見よう!
さて、実写版がっこうぐらし!を見る前に本作を楽しむための方法について。
がっこうぐらし!は元々きらら系のキャラデザとゾンビホラーをミックスした独特の世界観が大きなウリだった。
で、実写版はどんな感じかというと
「女子高生の青春物語」の「スポーツ大会とかのハードル」を「ゾンビ」に置き換えたた作品だ。
「JKがゾンビから逃げる・隠れる・戦う!」
そんな雰囲気の映画である。
だからこの映画は「もしかしてゾンビ映画として見たら結構面白いのでは?」と僕は思って見に行った。
結論から言おう。
「ゾンビ映画としての実写がっこうぐらし!」はそこまで面白くなかった。
だが「がっこうぐらし!の実写映画化(映像化ではない)」としては素晴らしい作品だった。
なので僕なりの「がっこうぐらし!」を面白く見るために必要な心構えは
「漫画がっこうぐらし!やアニメがっこうぐらし!の原作小説のようなものがあると仮定し、それぞれのメディアに合わせた展開をするうちの、実写映画版」だと思うことだ。
それぞれの既存のがっこうぐらし!そのものではないが、
「同じもの」を表現するアプローチの違いだ。
原作改変が何か所もあるが、それは「2時間の実写映画」としてまとめることを考えると納得できる良改変の数々だった。
例えば映画版ではくるみの身長がメインキャラ4人の中で一番高い。
これは「小柄だが学園生活部で一番のパワーファイター」である漫画版くるみのイメージからすると、
「キャラデザの改変」のように映る。
だが、そんなドワーフみたいな存在は二次元キャラ特有の説得力だ。
実写として人が演じると「小柄なキャラの攻撃力が一番高い」というのは
ちょっと画としての説得力が薄い。
それよりも「学園生活部で一番のパワーファイター」という役割を描くためには
あえて原作と反対の「背の高い女の子」に演じさせる方が、説得力がでてくる。
そういった「意味のある改変」が作品を実写映画としてうまくまとめていると感じた。
そうした改変というか調整の中で少し気になるポイントが。
「流血表現が極端に少ない」ところは気になる。
ゾンビ映画=スプラッタというわけではないが、
そうはいっても妙に少ない。
(妙でもなんでもなくゾンビ映画が苦手だけど出演者のファンや原作ファンみたいな層への配慮だろう…)
血は派手に出ないのに荒れた教室に血痕が残っていることへの違和感などはある。
言ってみれば残念なサメ映画でよくある
「(環境映像や他の映画からの抜粋で)サメは映るけど、サメの捕食シーンはない」
みたいな空気を感じることになる。
なのでゾンビ映画だと思ってがっこうぐらし!を見るとどうしても「惜しい作品」だと感じて点数付けは下がる。
なのでこの映画は「ゾンビ映画みたいな青春映画」として見るのがいいかもしれない。
いかにもな「まるでゾンビ映画みたいだぁ…」という演出の数々は、
「ゾンビ映画じゃないフィールドでゾンビ映画をしようとしている」と捉えるとそれらの描写の「ゾンビ映画としての甘さ・弱さ」のような部分に寛容になれる。
だから僕がお勧めする心構えは、
「女子高生の衝突や成長を描く青春映画だよね?」
「あっ、ゾンビが出るのはもちろん知ってるよ」
くらいの気持ちで見に行って、ゾンビシーンの数々は
「うわあ…! まるでゾンビ映画みたいだぁ!」と喜んで(?)見るころで
ゾンビ映画として純粋に評価すると評価の下がるポイントを打ち消して、
「他のジャンルの映画を見に行ったらめっちゃゾンビ映画リスペクトを感じた」
と思うとかなり楽しめるんじゃなだろうか?
(個人の感想です)
タイトルロゴが映るときの演出はまさに「ゾンビ映画みたい」であり、
突然画面いっぱいにゾンビが映る奇襲も「ゾンビ映画みたい」であり、
ゾンビの手が次々に伸びるシーンや、
ゾンビが教室から出てくる廊下を疾走するシーンも、
扉の前に椅子をおくことで侵入を防ぐのも、
よく知った人の顔のゾンビとの対面も、「ゾンビ映画みたい」なのだ。
そういったゾンビ映画あるあるを含んだ青春映画を楽しみながら
「これはなんてすごいゾンビ映画なんだ!」と僕が感心したのがチャッカマンである。
これに関してはぜひ劇場で見てほしいのでこの記事では多くは語らない。
気になる&ネタバレOKな人はこちら↓
とにかく、ゾンビ映画として見ると諸般の事情で振り切れず
「ゾンビ映画として撮れてれば点数上がったかもしれないのに…」という部分は
仮にそうだったとしてたぶんそのゾンビ映画を見に行こうとは思えなかったので、
それらの「余分な女子高生要素・アイドル要素」は必要なパートであり、むしろメイン。
この映画の骨格は
「多彩なゾンビ映画リスペクトの入る女子高生青春映画」なのだ。
ぜひ映画館で「女子高生青春映画」を見ながら
「ゾンビ映画みたいだぁ…!」と思ってほしい。