《怒り火》はスタンダードPauperの環境を変えるか?
*こちらの記事は没記事の供養です*
*プレビュー期間中に上げようとして諸事情により上げられなくなったものです*
*この記事を読んだことであなたが被るいかなる損害にも筆者は責任を負いません*
MTGで一番好きなフォーマットはもしかしてスタンダードPauperなんじゃないか?
自分でもそう疑問に思ってしまうようなスタンダードPauper布教の使徒、豆猫さんだよ。
さて、今回話題にしたいのは《怒り火》というカード。
これはなかなか強そうなので僕は今日の発売前プレビューで興奮した。
(編注・この記事は発売前プレビューされた日に挙げようとしています)
だがその叫びをツイッターに投げたところ…
「こいつは頭がおかしいのではないか?」というご意見を多数いただき、
アンコモンやレアのカードと比較された。
…そう、あまりの興奮に「スタンダードPauperで」と書き忘れたのだ…
勘違いと混乱を生んですまない。
さて、それでは改めて《怒り火》の強さについて語ろう。
もちろんスタンダードPauperでの強さだ。
《怒り火》は何がすごいのか?
「無条件に対象のクリーチャーを決められる火力呪文」
「2マナ以下で3点のダメージが出る呪文」
これを両方満たす赤の呪文はなんとスタンダードPauperには存在しなかった。
(《シヴの火》はキッカーコストを払って唱えてもルール上の点数で見たマナコストは1マナとかいう屁理屈は除く)
スタンダードPauperの2マナ除去は基本的に
「使い勝手良くタフネス2までを除去できる」
「使用に条件や追加コストのある確定除去や3点以上のダメージ」だった。
つまり2マナ以下のカード1枚で、「タフネス3以上のシステムクリーチャー」を排除することは非常に難しかった。
*システムクリーチャー…戦闘ではなく能力がメインのクリーチャー
だが《怒り火》にはそれができる。
戦闘に参加しないので「アタック・ブロックしたクリーチャーへの除去」が効かないクリーチャー。
タップ能力があるがターン終了時に使えばいいので「ソーサリーのタップキラー」が刺さらないクリーチャー。
これらを2マナのカード1枚で対処するのは困難だ。
戦闘に参加しないので《ギデオンの叱責》が効かない。
こちらのメインフェイズにはアンタップしていて《返報》が通らない。
タフネスが3で《渇望の時》も《ショック》も通用しない。
そんな相手に対して《怒り火》は答えてくれる。
それがどうした?
「メインフェイズにアンタップ状態のクリーチャーを狙って3点与えればいいだろう?」と。
ここまでコストパフォーマンスのいい単純生物火力はここ最近のスタンダードPauperにないものだ。
《怒り火》で「環境」は変わるか。
ここからはMTGアリーナのようなスタンダードPauperの環境について考える。
もし君が近所のショップやサークル・部活仲間とスタンダードPauperを遊ぶような閉じられた環境では、
環境が変わるかもしれない。
だがアリーナでは無理だ。
《怒り火》が環境を変えることはない。
なぜなら《怒り火》はコストパフォーマンスが悪いからだ。
さっき良いって言ったのに早くも手のひら返しかよ? と思うかもしれない。
まあ落ち着いて聞いてほしい。
《怒り火》は実はパックから出ないんだ。
このカードは初心者用構築済みデッキ限定収録の「弱いカード」として作られた。
弱いのでレアリティはコモンだが、スタンダードコモン限定戦に与える影響は大きいカードだったというわけだ。
…で?
果たしてどこの世界に「スタンダードPauperのために《怒り火》を手に入れるぜ!」という奴がいるだろうか?
いや、いるよ?
ここにいるけどさ。
それは間違いなく少数派だ。
一応、紙のマジックではこのカードのシングル販売もある。
ただし非常に「高額」であり…なんと80円もする…!!
高いな…。だが入手難度を考えればそれも仕方ない。
アリーナではどうだろう?
このカードはコモンのワイルドカードで交換できる。
安いもんだね。
などと思うのは早計だ。
アリーナではコモンのワイルドカードの入手数は少なく、
ガチデッキ(スタンダードPauperでなくスタンダードのガチデッキ)にもコモンが使われることがある。
そうなるとどうしても「たかだかスタンダードPauper」のためにそれを消費する人は少数派だ。
だから環境が変わることはない。
《怒り火》はコスパのいい強力カードだがコスパが悪く流行らないだろう。
いわば「金をかけられるやつだけが使える高級品」なのだ。
ラヴニカの献身環境と《怒り火》の標的
さて、なので《怒り火》をケアしてデッキ構築やプレイはしなくていい。
大体は不可読みのし過ぎで墓穴を掘ることになる。
だがもし君が《怒り火》を使う側(つまり80円もする高額カードの使い手)であれば、
ラヴニカの献身環境に「メインフェイズにタップせず戦闘にも参加しないタフネス3のシステムクリーチャー」がどの程度流行るかは気になるところだろう。
*ここから追記*
「メインフェイズにタップせず戦闘にも参加しないタフネス3のシステムクリーチャー」がプレビューで公開された。
そして(あくまで予想だが)恐らく少なくないプレイヤーが「それ」を使うだろう。
《しつこい請願者》
このカードはアリーナで特にコスパがいい1枚だ。
基本的には《ネズミの群棲》と同じだ。
アリーナでは4枚所持していれば5枚目、6枚目、7枚目…好きなだけ入れられる。
コモンのワイルド4枚でデッキ内に十数枚の枠を取れる。
コモンカードのワイルドが少なくても立派なデッキが組めそうだ。
そしてスタンダードでもカジュアル系のネタデッキとしては十分楽しめる素養があり、
もし次のパックで何かしらのコンボやアドバイザーが追加されれば強化も夢でなく将来性がある。
そのうえパックから出るので、よくパックを開けるプレイヤーなら3枚ほど持ってるからあと1枚だけ交換すればいいなんてこともあるだろう。
なんてこともあるだろう。
このカードはまさに「メインフェイズにタップせず戦闘にも参加しないタフネス3のシステムクリーチャー」である。
請願者はネズミと違い全体1点ダメージのような呪文で一掃できない。
色も青でありドローができる色なのでこいつを1体潰すのにカードを2枚使っているようでは攻略できない。
君がスタンダードPauperの赤いデッキを使うならアドバイザーを場に4枚並べられる瞬間がないように確実に潰していく必要がある。
《怒り火》はその助けになるだろう。
スタンダードPauperのガチプレイヤーを自負する赤使いであるなら…!
《怒り火》は強力なトップレア…もといトップコモンだ。
ぜひ君のデッキに加えてみよう。
*ここから発売後記述*
いかかがでしたか?
《怒り火》はとっても強力なカードみたいですね。
私もアドバイザーデッキへの対策としてこのカードを是非使ってみたいと思います!
…なあんてクソブログ構文で締めるわけにはいかない事情が出てきた。
というわけで本命のカードをレビューしよう。
《批判家刺殺》だ。
もちろんここでも《批判家刺殺》を絢爛コスト1マナで唱えてもルール上は3マナとかそういう言い訳は言うまい…
(自分でそれは屁理屈って言ったしね)
《批判家刺殺》は簡単な条件で1マナの3点火力となる。
もちろん《怒り火》には絢爛が達成できず相手の請願者に阻まれて攻撃できない時に、
請願者をどかしてプレイヤーに攻撃を通す助けにはなる(=《批判家刺殺》が絢爛達成できるようにする)
でも《批判家刺殺》は《怒り火》と違い、相手プレイヤーに撃ち込むこともできる。
強い。強いぞ《批判家刺殺》
《怒り火》を買っている場合じゃない。
というわけで君も《批判家刺殺》を使って赤単を組もう!
スタンダードPauperは安くて楽しいフォーマット!
1コインでデッキが組めちゃうんだ!
楽しもうね!
「全然違うじゃん!」
「………」
「スタンダードPauperは安く楽しめるフォーマット、1コインでデッキが組めるって言ったよね?」
「…なのに! この値段は何!!」
「《批判家刺殺》はスタンダードPauperのみならずスタンダードの赤単やラクドスバーンでも使われ…」
「今ではスタンダードを飛び出してモダン環境でも4枚フル投入…」
「レガシーでも1,2枚の採用…そのうえ大会実績もあるカード…」
「当然の結果です…」
「もういい! 私スタンダードPauperやめ…」
「待ちな、嬢ちゃん」
「その孤独なシルエットは…!」
「ヒュー、《睡蓮のコブラ》じゃねーか」
「まずはこいつを見な!」
「これは絶賛稼働中の電子ゲーム版MTGの双璧、マジックオンライン!」
「MO(マジックオンライン)じゃあ、カードはTixという単位で取引される」
「1Tixが約110円だ。(2019/02/05現在)」
「そしてこいつが《批判家刺殺》のMO取引価格だ」
「0.001Tix…? 10枚買ってやっと約1円ってこと…?」
「マジックオンラインでは日々ドラフトなどの試合が行われ新しいパックが開けられます…」
「《批判家刺殺》はレアリティが一番低いコモンカードで、赤いデッキを使わない者…5枚以上持つ者には意味のないカード」
「加えて電子ゲーム故に印刷代や輸送運賃がかからず全世界規模で取引が行われる…」
「紙のカード同様に250円ほどに上がった価格が引き下がるのも…」
「…当然の結果です」
「私、スタンダードPauperやめなくてよかった!」