突然ですが問題です。
あなたは《副陽の接近》を既に一度唱えている。
《永遠神、ケフネト》の能力で《副陽の接近》をコピーした場合、
《副陽の接近》のコピーが無事に解決されれば、あなたはゲームに勝利することができるだろうか?
ああ、もちろん《永遠神、ケフネト》はまだ未発売のカードだ。
リリースノートに詳細が書かれない限りジャッジにも「正解」は断定できない。
(極論、リリースノート公開に伴う既存のルールの変更の可能性は0ではないのだ)
だがマジックのテキストは非常に緻密に書かれている。
ケフネトのテキストを読み解くことで発売前のこのカードの挙動を探ってみよう!
というわけでTwitterに投げてみたところ様々な回答をいただいた。
【アンケート】
— 豆にゃあ (@MAME_NYA) 2019年4月17日
永遠神ケフネトでコピーした副陽の接近で特殊勝利
今のところ「できる派」よりも「できない派」が多いようだ。
それじゃあ、なぜ「できない」のか理由を考えてみよう!
説1.コピーは唱えてないから
これは恐らくルールに少し興味を持っていプレイヤーの解答だろう。。
「呪文のコピーは唱えられない」ということを知っているあたり、ルールについて素人と言うわけではないようだ。
そう、「呪文のコピー」を「唱える」ことはルール上 不可能なはずだ。
それは正しい。
だが「《副陽の接近》のコピー」は唱えることができるのだ。
どういうことだろう?
呪文のコピーとカードのコピー
呪文のコピーとカードのコピー、それはどちらも同じことだろう…?
違うのだ…!!
この違いを知るためには「呪文」と「カード」の違いについて知る必要がある。
ざっくり言うと同じものでもスタックにあるなら呪文と呼ぶし、手札やデッキ・墓地ではカードと呼ぶ。
「唱える」という用語は非常に複雑なルール用語だが簡単に言えば「どこか別の場所からスタックに移動させること」を「唱える」と呼んでいる。
「すでにスタックにある呪文」はスタックにあるので「別の場所」から「スタック」に「呪文」を置くことはできない。
(すでにスタックにあるのでスタックに動かすこと自体が不可能)
「呪文のコピー」はこの「すでにスタックにある呪文」をスタック領域にコピーする。
「呪文のコピーは唱えることができない」というのは
「呪文のコピーは(既にスタック領域にいるので)(別の場所からスタック領域に動かすことを意味する)唱える ができない」のである。
だがケフネトは違う。
ケフネトが作るものは「カードのコピー」だ。
カードはスタック領域にない時の呼び方なので、「カードは唱えられる」
(マナコストが存在しないカードとかを除く)
ケフネトにより「《副陽の接近》のコピー」がどこかに作られてそれを唱えることができるのだ。
それでは次のポイントに移ろう。
説2.手札から唱えていないから
さて、さっきの文章を改めて見よう
『ケフネトにより「《副陽の接近》のコピー」がどこかに作られてそれを唱えることができるのだ。』
どこかってどこだよ…。
ここを特定する(最低でも手札か手札じゃないかを明らかにする)ことができないと、
ケフネト副陽問題の答えが見えてこない。
コピーはどこに作られるのか?
ルールを確認してみると「コピー元と同じ領域」に作られるらしい。
つまりケフネトで公開したカードと同じ場所と言うことだ。
はい、問題かいけ…
ケフネトの公開カードどこにあるんだ?
感覚的にはかなり手札だ。
「手札を引いたときに公開する」って言うならそれはもう手札に違いないだろう。
ケフネトは「手札を引くに際して公開する」のだ。
引くに際して…?
戦場に出るに際して
(領域の移動)に際して~という文章でもっともよく見かけるのは
「戦場に出るに際して」だろう。
戦場に出るに際して行うことは「戦場に出る直前」、つまり戦場に出ていないタイミングで行われる。
いわゆる置換効果という奴だ。
総合ルール614.1c
「[このパーマネント]は〜状態で戦場に出る/[this permanent] enters the battlefield with ...」、
「[このパーマネント]が戦場に出るに際し〜/As [this permanent] enters the battlefield ...」、
「[このパーマネント]は〜として戦場に出る/[this permanent] enters the battlefield as ...」という効果は置換効果である。
戦場に 出るに 際し などは どうやら置換効果らしい。
総合ルール614.4
置換効果はしかるべきイベントが発生するよりも前に存在しなくてはならず、「時間をさかのぼって」既に起きたことを変えることはできない。通常、これらの効果を作る呪文や能力は、そのイベントを作る何かに対応して 唱えられたり起動されたりするので、そのイベントが起こるよりも前に解決される。
数を選ぶのは戦場に出る前。
えっ?
じゃあ「手札を引くに際して公開する」の場合はカードが公開される場所は手札じゃないってこと…?
ここがマジでわっかんねー!!!ってなってあーだこーだ言ってみた。
後半の書式が「再帰誘発型能力」の記述構文になってるとか
いや、なってないwhenじゃなくてwheneverって書いてあるとか
wheneverはwhenとルール上は同じ意味で該当イベントが何回起こるかによって書き分けられてるだけだとか
色々な話が出た中で僕が得た結論、「たぶん公開されたカードが手札にある間に誘発し、コピーは手札にできる」
ほんまか?
私にもわからない。
だいたい誘発場所が争点なのにそんな答えでいいのかと言う不安もある。
ジャッジの方とかで答えのわかる人がいたら教えてください。
というわけで僕のルール解釈、
例として挙げたのが「戦場に出るに際して」だったのがまずかった気がする。
「戦場に出るに際して」というのは「○○するに際して」の中でも督励もとい特例で個別のルールを持つのだ。
先ほどの総合ルール614.1cをよく読むと
「〜に際し」というものすべてでなく、
その中でも「戦場に出るに際し」の時に置換効果として認められるわけだ。
つまり「手札を引くに際し」は置換効果でない。
さっき、督励(とくれい)と言う誤字をしたのはなにも偶然ではない。
まさに督励がそうなのだ。
「攻撃するに際して督励してもよい」のほうが「戦場に出るに際して」よりも「カードを引くに際して公開してもよい」に近いのだ。
この督励は主に
「攻撃するに際して督励してもよい」という常在型能力と
それに関連した「督励するたびに○○する」という誘発型効果からなる。
これはルール607.2gの「関連している常在型能力と誘発型能力」である。
総合ルール607.2g
あるオブジェクトの単一の段落内で、常在型能力と誘発型能力が記載されている場合、それらの誘発型能力はそれぞれ常在型能力に関連している。誘発型能力は、その常在型能力の結果行なわれた処理だけを参照する。
で、このタイプの能力は○○するに際して、 の部分で○○は既にしているのだ。
例:攻撃するに際して督励
→督励する時には攻撃している。
例2:ドラフトするに際して公開する
→公開した時にはドラフトしている。
つまりケフネトによってカードを公開するときには「カードはすでに引いている」ので手札にある。
コピー元が手札にあるので、コピーは手札に作られる。
説3.手札から唱えているので特殊勝利できる。
というのが現状の結論である。
もしこれが当たっているなら「特殊勝利できない」と思た相手が打ち消さずにうっかりスルーした時に勝てるかもしれないね。
とはいえまだ未発売のカード。
【灯争大戦】の発売はプレリリースは4月27日!
もうまもなくやってくるぞ。
プレリリースに際し、公開されるリリースノートを楽しみにしよう!
*4月20日追記
無事にリリースノートが公開されたので答え合わせといこう。
完全勝利!
ケフネトの作るコピーを唱えた場合でも、
勝利できる!!
記述のしっかりしたゲームはルールを読めば
発売前のカードの処理も予測できるのだ!