ゼノンザードについてTwitterで検索してて気になる単語がある。
「魔力ケイラが強すぎる」
「魔力ケイラばっかで嫌になる」
「魔力ケイラの対策には〇〇がいい」
「魔力ケイラ対策に〇〇使ってるのに負けたからクソ」
「魔力ザード」
魔力ケイラ。
なんだかネガティブなイメージがある言葉らしい。
ケイラって聞くと僕はテーリアスに語られる収穫の神、ケイラメトラを連想する。
いやまあ、テーリアスはたぶん無関係だろう。
じゃあ一体、魔力ケイラとは何か。
「魔力喰い」「ケイローン」「キマイラ」の3枚コンボのことだ。
(厳密には後1枚「3コスト以上のマジックカード」が必要な4枚コンボだけど)
ケイローンで2コスト軽減した3コスト以上のマジックを唱えても
魔力喰いは「本来のコスト」を参照する。
例えば4マナのマジックである導きの紋章をケイローンでコスト軽減して2ターン目に2マナで使い、
それに対して魔力喰いが反応して0コストになる。
このシンプルなコンボを2ターン目に安定させるのが、キマイラによる無色マナの有色化だ。
0コストまで軽減…というのが碌なことにならないのはカードゲーマーの諸君は御存じの通り。
なにせ1コストのカードは2枚使うのに2マナが必要だが、
0コストのカードは3枚使っても0マナ…あっ…(察し)
2ターン目に3体の魔力喰いが出てくることすらあるという非常に強力な動き…
このコスト軽減からのコスト軽減というのが印象的だし
ドブンを食らえば抵抗の機会なく負けていくという凶悪さで印象に残っている…
多くのプレイヤーが魔力ケイラを使うとか、対策カードとして挙げられるボム・ウィスプなどを使ったのになぜか負けるだとか…
そういった環境から「魔力ケイラ」デッキへのヘイトが高まっているのだろう。
しかし私は「魔力ケイラ」デッキへのヘイトスピーチにとてもショックを受けている。
なぜか?
それは今日までいくつもデッキ紹介記事を書き、
僕はβテストを楽しんだ。
それではここまでのデッキを振り返ろう…!
【デメテーの村娘】デッキ
村娘2人を展開できる導きの紋章。
撃つのが早ければ早い程強いカードなので、最速で撃つためにフォースにケイローンとキマイラを採用しているぞ!
さらに、魔力喰いを移動権を行使してマナへ変換することで3ターン目に7マナへと到達することすら難しくはない。
超加速したベースから9マナのヤクーツォークや10マナのアラバスターなどの超大型ミニオンにつなげよう!
【バインディングローズ】デッキ
非常にトリッキーなようで脳筋、それでいてテクニカルなマジックカード、バインディングローズ。
本来4コストのこのマジックを2ターン目に撃つことで相手のフォースを縛ることで序盤の展開を大きく妨害するなど、うまぶれる小技が詰め込まれたデッキ。
コスト軽減のためのケイローンとキマイラによる安定発動で使いたい時、かゆいところに手を届かせるのがこのデッキの肝だろう。
ただしバインディングローズを撃って相手を1回休みにする間に、自分も休んでいたのでは意味がない。
2ターン目ローズからの展開妨害をしている間に自身の盤面に繰り出せるミニオンである魔力喰いは、このデッキの陰の立役者だと言える。
【4カラットビート】デッキ
1カラットラットの強さに触れる上で、その「地味ながら強いところ」をいくつか挙げた。
それらすべての地味強ポイントを活かせるデッキとして
「キマイラによる4色デッキ」
「ベースミニオンすら攻撃に動員するアグレッシブなデッキ」を作ることにした。
せっかく多色化したので、それぞれの色の強力なカードを利用したいが3コストや4コストのカードを使うとベースを攻撃に回すという当初の目的が達成できなくなってしまう。
そこで目をつけたのがマジックカードを2コストも安くしてくれるケイローンだ。
軽減による2マナ=ベースミニオンを攻撃に回す余裕を生み出すため、
このデッキに実質的な「打撃力」を与えているフォースだと言い換えることができる。
そうそう、3コストや4コストのマジックカードが多用されるので魔力喰いを採用することで相手の壁に除去を打ち込みながら戦力を供給したり、
場に出してすぐベースに送り1マナミニオンを戦場に送り出したあと、
次のターンにベースから引き出してダイレクトアタックできるなどアグロデッキにはうってつけの組み合わせだ。
…さて。
もうぶっちゃけ分かったと思うけどはっきりと書いてしまおう。
全部「魔力ケイラ」じゃねーか!!
そう。
魔力ケイラなのである。
方向性の違うアプローチからデッキを組み立てたはずなのに魔力ケイラになってしまっているのだ。
なぜか?
答えは簡単で実際のところ「魔力ケイラ」はデッキタイプではないのだ。
魔力ケイラのパーツのうち2枚はフォースである。
そしてケイローンを使うようなデッキは3マナや4マナのマジックが積まれるので、
当然相性がいい魔力喰いが入ってくるのは自然なことだ。
つまるところ、デッキづくりの起点としてあるいは過程として…
フォースはケイローンとキマイラだ!と決めた瞬間にデッキは超高確率で「魔力ケイラ」ギミックが入るのだ。
なぜ魔力ケイラばかり見かけるのだろう?
もちろん魔力ケイラギミックは強いので使用者が多いということは当然あるだろう。
しかし「キマイラ・フェニックス」とかならどうだろうか?
例えばアオバを切り札とするカナタナデッキではフォースを「キマイラ・フェニックス」にするのはよくあることだ。
相手ターンにマジック除去を撃ちながら、自分のターンにはトークンを並べて戦うゴーレム・アグマならば、フォースが「キマイラ・フェニックス」になるのは納得できる。
他にも「キマイラ・フェニックス」をフォースに選択するデッキは数あれど、
それらを「キマックス」とか呼んだりはしないだろう?
同様にミノタウロス・キマイラはミイラとか呼ばれたりしないし、
ウロボロス・スフィンクスがボロスフィとか呼ばれたりもしない。
フォースの名前をデッキ名にすることは普通ないのだ。
それなのに「魔力ケイラ」は多くのデッキを含んでしまっている。
だから「魔力ケイラ」と当たる回数が多く感じるようになるのだ。
さらに「魔力ケイラ」に対策が効かないのも当たり前だ。
なぜ魔力ケイラは対策カードであるボム・ウィスプを食らっても普通に勝つとか言われるんだろう?
もうわかったかな?
ボム・ウィスプは魔力ケイラの対策カードなんかじゃないからだ。
魔力喰いのBPが400なのにBP300を破壊するボム・ウィスプが魔力ケイラに刺さるわけがないだろ!!!
当たり前だよなぁ…!!
ボム・ウィスプは「アグロ型のデッキへのメタ」としては優秀なので、
アグロ型の魔力ケイラには非常に突き刺さる。
だが、ランプ型の魔力ケイラにはあまり関係がない。
これが「魔力ケイラの対策カードを入れてるのに魔力ケイラに勝てない」という事象のからくりだ。
もちろん、これは大げさな例ではあるが、
基本的に「魔力ケイラ」などという括りは情報量がほとんどない虚無のアーキタイプ名なのだ。
グーやチョキやパーがそれぞれに戦うじゃんけんという環境で「指を使う手は強い」とくくるようなものである。
たしかに「指を使う手」が勝者になる確率は「グー」が勝者になる確率よりも高いが、その括りは虚無だ。
魔力ケイラは確かに強いギミックではあるが、ヘイトを過剰に受けている気がする。
それは単純にその言葉が示す範囲がやたら広いからだ。
例えば「アグロ型の魔力ケイラ」が魔力喰いを引かずに3ターンキルしたりするわけだけど、それって本当に「魔力ケイラ」が攻められるべきなのか?
不要なヘイト発言を広範囲に向けてはいないだろうか?
3色アグロが憎いなら、そ憎しみは3色アグロに…
高速ランプへの怒りは高速ランプに向けるべきなんじゃないか?
フォースが「ケイローン・キマイラ」であるデッキすべてにヘイトを向けることはやめてほしい…私は切実に願う…
「魔力ケイラ」ばかりデッキレシピを書いた私のちょっとした愚痴である…。