超次元MTG対戦
TYPE/Zeroほらいぞん
最終話「女は黒に染まれ」
「それじゃあ、見せてもらうよ。長田さんが用意した回答を」
「ええ、挑ませてもらいますわ。現TYPE/Zeroチャンピオンのあなた達のデッキに!」
「先攻後攻を決めようか。権力行使を公開! あなたは?」
「権力行使はありませんわ。代わりに《好都合な宣言》11枚を含む策略をセット…」
「効果によりデッキの最小サイズを55減少させて初期ライブラリーを8枚にします」
「そっか。後攻を取るということは…」
「黒単しか使わない長田さんが後攻を取るデッキ…あれはきっと初手7枚が《ドロスの大長》の0ターンキルデッキ…」
(でもいつもよりデッキが薄い…いったい何を企んでいるの?)
「通常の60枚ナメクジデッキでは0ターンキルに勝つことはできない…!」
「でもそれは2人だけが戦う場合…私たちは…1人じゃない!」
「仲間の絆でナメクジは大長に勝つことができるんだ!」
「ゲーム開始時! さあ《ドロスの大長》を公開してみなよ」
「何を勘違いしていやがりますの?」
「ゲーム開始時の手札公開なんてしませんわ」
「え…?」
「権力行使も、力戦も、大長もない…?」
「そんなことで一体どうやって勝つの…?」
「さあ、あなたが先攻ですのよ」
「早くプレイしなさいな」
「いいの? それじゃあ私が勝っちゃうけど…?」
「《不動の力戦》がないなら手札から7体のロケット噴射ターボなめくじを出して攻撃」
「…! 戦闘ステップ開始時!」
「私は手札から《欄干のスパイ》を追放して…《絶望の力》を撃ちますの…!」
「あれは…私たちが弱いと使えないと切り捨てた新ピッチスペルの1枚…!」
「底知れぬ絶望の淵へ沈め! すべてのなめくじを破壊する…!」
「私のなめくじ軍団が…!」
「さあ、私のターン…、アンタップ・アップキープ・ドロー!」
「まずは沼をプレイ!」
「沼!?」
「このフォーマットで!?」
「さらに秘策を公開…《一石二鳥》を2枚!」
「指定は《暗黒の儀式》ですの!」
「古典的な黒単を支える動き…!」
「沼から暗黒の儀式を唱えて9マナ…」
「私が唱えるのは《精神の掻き寄せ》…!」
「ハンデス呪文…黒単らしいけれど…レイちゃんの手札はもうないよ?」
「ええ、ですから対象は私自身」
「手札からカードを2枚墓地に捨てます…」
「続けて残りの6マナで…《末永く》を…!」
「黒お得意のゾンビ化、蘇生呪文!」
「このカードは墓地にあるクリーチャー・カード2枚を戦場に出すことができますの」
「私が戻すのは…この2枚…」
「何あれ…?」
「あれは…!?」
「まさか… 史上最強最凶最驚最恐生物アルか!?」
「知っているの、ミンメイ!?」
「あまりに大きすぎるためにカード1枚に収まらないクリーチャー…というジョークカード!」
「2枚セットじゃない限り場に出すことができないクリーチャーアル…」
「そうか! 《末永く》は墓地の『クリーチャー・カード2枚』を場に出す…『クリーチャー2体』とは指定されていない…!」
「だからBFMを墓地から吊り出せるんだ!!」
「蘇れ…! かつてマジック最大だった怪物よ!」
「パワー…99!!」
「秘策公開! 《即応行動》…!」
「カード名を指定し、速攻を与える秘策!」
「《B.F.M. (Big Furry Monster)》に速攻を付与し、パワー99で攻撃…!」
「パワーが大きすぎる…!」
「攻撃が届く前にハイタッチを終えられない…!」
「これが私の新しいTYPE/Zeroデッキですわ」
WINEER 長田クロミ
「沼、暗黒の儀式、手札破壊、それに蘇生呪文にクリーチャー破壊呪文…」
「長田さんらしい黒デッキだったね」
「ええ。黒単っぽい黒単、それがこのデッキのテーマですの」
「でも、それ黒ピッチ使う必要あるのかな?」
「《不動の力線》や《神聖の力戦》の方がよくないかな?」
「いいえ、それらにはダメな理由がありますの」
「ダメな理由?」
「その2つのカードは黒くないのですわ」
「それだけ?」
「ええ。それで理由は十分ですのよ」
「勝つことにこだわり続けては本質を見失いますわ」
「勝ちたいから強いデッキを使うのも結構」
「ですがそれは『このデッキで勝ちたい』というこだわりを否定する理由にはなりませんの」
「『環境デッキに弱い』とか『もっといい選択肢がある』なんていうのも関係ありません」
「私は黒単らしいデッキが組みたかったんですもの」
「だから黒くないカードはそれだけで採用圏外で、例え何かに劣るとしても、黒ければそれだけで検討の余地がある」
「カードの価値は人それぞれ…自分が使わないカードはあくまでも『 Not for me. 』なだけで、誰かにとっては価値あるカードなんだね」
「ああ、そうか。これがTYPE/Zeroと じゃんけんとの違いなんだ!」
「どんなデッキを使うかは好みの問題が絡むから、じゃんけんよりもずっと感情移入や楽しさを産むんだね!」
「TYPE/Zeroチャンピオンの称号は長田さんに譲らないとね」
「いいえ、その必要はありませんわ。あくまでこれはプロキシで正式な戦いじゃありませんもの」
「それにまだモダンホライゾンのプレビューは終わっていません」
「もしかしたらまた別のデッキが生まれるかもしれない」
「たとえ環境そのものが動かなくても、プレイする誰かにとっては大きな変化があるかもしれない」
「これから公開されるカードも楽しみだね…!」
モダンホライゾン…それはMTGの新たなる地平を切り開くパック…
果たしてあなたのデッキに加える新戦力はあるだろうか?
モダンホライゾンの公式カードリストはこちら
古く新しいカードを君自身の目で確かめてくれ!
シリーズ1作目
シリーズ2作目
シリーズ番外編