バーチャルVtuver豆猫さんの与太話

バーチャルVtuver(存在しないVtuberを装う遊びをする人) ※当ブログはファンコンテンツ・ポリシーに沿った非公式のファンコンテンツです。ウィザーズ社の認可/許諾は得ていません。題材の一部に、ウィザーズ・オブ・ザ・コースト社の財産を含んでいます。©Wizards of the Coast LLC. ウィザーズ・オブ・ザ・コーストのファンコンテンツ・ポリシー|WIZARDS OF THE COAST GAMES 連絡用Gmail:beencatsun@gmail.com

【スズメバチの黄色】ヘッズ、カムバックキャンペーン!【布教の目的がある】

スズメバチの黄色

f:id:omamesensei:20201223142240j:plain

スズメバチの黄色

 

 

さて、まずは正直に白状しよう。
僕は《ニンジャスヘッズ》、いわゆるニンジャスレイヤーの読者…だった


だがしかし、最近は連載を追いかけることができていない。
読むべきものは多く、アリュージョニストも胎界主も読み終えていない。
やるべきゲームもまた多い。FGOなどのソーシャルゲームにSwitchのゲーム。
TRPGも趣味にしていて週末には卓を囲むし、
カードゲームも遊戯王やMTGなど複数タイトルを掛け持ちしている。

現代人には…いや、オタクには時間がない。


だから僕はニンジャスレイヤーからドロップアウトした。
別にニンジャスレイヤーが嫌いになったわけじゃないし、
たまに気になるときは実況タグも追う。

 

 

でも未読のエピソードの方が もはや圧倒的に多い。

そう、僕はニンジャスレイヤーというコンテンツに「ついていけなくなった」のだ。

ニンジャスレイヤーコンテンツが何か悪くなったというわけでなく、
僕の方で追いきれない事情ができたということであり、強いて言うなら悪いのは社会だ。
働かなくていい社会よ、来たれ!


別にニンジャスレイヤーが面白くなくなったというわけではなく、
単純に僕が「読むきっかけ」を失ってしまったという話だ。
そしてその間にセルフ管理面メントしていたはずの未読エピソードが山のようにたまり続ける。


そういったドロップアウトヘッズが、またニンジャスレイヤーの世界に触れるのちょうどいい作品がある。

スズメバチの黄色》がそれだ。

f:id:omamesensei:20190705182609j:plain

 

 

スズメバチの黄色とは

 

まずは公式の紹介文を読んで欲しい。

欲しいのは銃か、ウイルスか、クロームメタルの心臓か。
ヤクザ組織にスカウトされて、クローンどもと殺し合うか。
それとも頭に電脳埋め込んで、暗黒メガコーポに無謀な戦いを挑んでみるか。
生きるか死ぬか。ニューロンを焼き切るか、焼き切られるか。
それともアサシンの放った銃弾が、お前の頭を吹き飛ばすのが早いか。
ここはネオサイタマ。欲望渦巻くケオスの都市だ。

 

ああ…懐かしのネオサイタマの情景が君の前に広がる。
その世界観は間違いない。
あのネオサイタマ…ニンジャスレイヤーの世界だ。

しかし、ほんのちょっぴりの違和感。
ニンジャが出て殺すようなそれとは、なんとなく空気が違う。

世界観はあの「トンチキ」なそれなのに、少しばかりマイルドでニューロンにやさしい。
風邪をひいたときに食べるおかゆのように…。

 

たしかに世界はあのままだ。
日本を相変わらず勘違いしてるかのような世界自体はゆらがない。
しかし、本文の読み味は大きく異なる。

 

風変わりな日本を引き立てるために使われる「翻訳」の技が抑えられている。
日常茶飯事の意味で「チャメシ・インシデント」と書かれていても、ちゃんと日常茶飯事と訳すような…もっと言えば「当たり前のことだ。」と訳すような…。

世界がトンチキでも言葉遣いが真摯だ。

 

例えば原文に「Sensei」とあればはニンジャスレイヤーでは「センセイ」と訳す。
しかし、スズメバチの黄色では「師」と訳しセンセイとルビを振る。

 

不意の目くらましを受けた人物は「思わずぎゃっと悲鳴をあげた」と書かれる。
「グワーッ! メツブシ!」とかではない。

 

「First instruction of Sensei」と書かれているであろう原文が
「センセイのファーストインストラクション」ではなく
「師に初めて教わったこと」になる。

 

そう。

世界は確かにネオサイタマだが、翻訳は基本的に日本語なのだ。

そして、これも驚くべきことに「ラオモト」などの名字に漢字がつく。
それは「老元」と書かれる。


老をラオと読むのは中国語の発音に近い。
チャイニーズヤクザがいる渾崎地区らしい中国読み漢字文化は実に味がある。
頓珍漢でなく、むしろぴたりとハマる。

 

アジアン・パンクらしさを感じるのだ 

「違和感がない」とまで言ってしまうとそれは嘘になる。
それでも「ラオモト」でなく「老元」がの方が若干飲み込みやすく、
また中国語と日本語のピジン言語のような咀嚼がされて、
現代日本としてでなく、近未来アジアン・パンクとしては「すっ」と入ってくる。

 

極め付きは「旋風脚」に振られたルビだ。
この武術の技にはいかなルビが振られるのだろう?

「シェン ファン ジャオ」だ。
そう、まるで中国武術のような…実際はそれは作中ではカラテだが。

 

ニンジャスレイヤーと同じ世界ではあるが、
アジアン・パンクな海外SF小説という面を強く出した翻訳。
それがスズメバチの黄色なのだ。

 

似たアトモスフィアを帯びた作品を挙げるとするなら…
「トワイライトガンスモークの空気がかなり近い。

f:id:omamesensei:20190705182719j:plain

トワイライトガンスモーク (ログインテーブルトークRPGシリーズ)

 


順序としてはニンジャスレイヤーから影響を受けたのがトワイライトガンスモークではある。
トワイライトガンスモークはニンジャスレイヤーTRPGではないので、
他のサイバーパンク作品とかからも要素を入れている。

その分、ニンジャスレイヤーっぽさはそこまで濃くはない。(薄いとは言ってない)
結果的にマイルドなニンジャスレイヤーであるトワイライトガンスモークスズメバチの黄色とはかなり似た味わいの作品になっている。

 もし、トワイライトガンスモークのファンがいればぜひ、スズメバチの黄色を読んで欲しい。

 

忍殺の連載についていけなくなったけど忍殺を楽しんだ人の「リハビリ」としてスズメバチの黄色は素晴らしい。

 

あるいは「ヘッズに戻る」必要もないかもしれない。
ニンジャスレイヤーを読むことでよりスズメバチの黄色を楽しめるかもしれないが、
スズメバチの黄色はそれ単体で十分に「ひとつの作品」としてできあがっている。

 

2つの作品は大きく毛色が違うのでスズメバチの黄色を読んだからと言ってニンジャスレイヤーを読むことを強制したりもしない。

 

だが、だからこそ…スズメバチの黄色ニンジャスレイヤーについていけなくなった僕のようなドロップアウトヘッズに読んで欲しいんだ。


書籍は既に発売済み。
電子版もある。

 

 

公式の同時読書実況イベントも何度か行われている。
備えよう。

 

ヘッズとして「備えよう」を口にするのが久しぶりで懐かしさすら覚える…。

一緒に「同窓会」のような気持ちでスズメバチの黄色を読んで欲しい。