今回はTwitterで頂いた お便りにお答えします。
じゃんっ!
@豆猫さん 「魔女の復讐」で「食物」が宣言できるかどうかのコラム、おもしろそうじゃないですか? pic.twitter.com/JLP9ebalpT
— らすね (@Lacenaire_ssw) 2019年9月12日
問題を確認する
改めて問題を確認しよう。
《魔女の復讐》で「食物」を選ぶことができるか?という問いですね。
どちらも執筆時点で未発売の最新カードなので画像も張っておきます。
はい。
というわけで改めて考えていきましょう。
「食物」というタイプについて
食物は新しく登場するサブタイプです。
サブタイプと言うのは、他のゲームで言う種族とかタグとかカテゴリみたいなものだ。カードの特性を表すために付けられることがある。
「食物」はアーティファクト・タイプである。
ソース:『エルドレインの王権』のメカニズム|読み物|マジック:ザ・ギャザリング 日本公式ウェブサイト
《魔女の復讐》で選べるのはクリーチャー・タイプだけだ。
なのでアーティファクト・タイプである「食物」は選ぶことができない。
はい、おしまい。おしまい。
…とはいかないのが新カードの恐怖。
もしかしたら今までに前例がなかっただけで、
新しく「食物はクリーチャー・タイプでもあり、アーティファクト・タイプでもある」なーんてルールが追加される可能性があるからだ。
だから、正確なことは「まだわからない」
その上で、我々は「手がかり」を元に推測することはできるんだ。
(ちなみに「手がかり」はアーティファクト・タイプだ)
さて、ではそもそも《魔女の復讐》が指すクリーチャー・タイプを選ぶというテキストについて。
クリーチャー・タイプを選ぶにはどうしたらいいんだろう?
恐らく「人間」を宣言してタフネス3以下の人間を皆殺しにできるだろう。
「ゴブリン」を宣言すれば1/1のゴブリンは全滅し、
「エルフ」と言えば横並びのエルフが十分に育っていないなら一網打尽にできるだろう。
おっと。
クリーチャー・タイプは何も種族だけじゃない。
RPGのクラスみたいな職業っぽいタイプもある。
「戦士」「ウィザード」「クレリック」「ならず者」
うんうん。他には…?
そうだね「彫像」はどうだろう?
いかにもアーティファクト・タイプっぽいけれど…「彫像」はクリーチャー・タイプだ。
マジ? と思うが大マジだ。
ほら…! これが彫像・クリーチャーだ。
待って待って。
これはアーティファクトでもあるよ。
それじゃあ「彫像」はアーティファクト・タイプの可能性もあるんじゃないのか?
いいや。その可能性は一切ない。彫像はクリーチャー・タイプだ。
本当?
本当だとも。
後で説明しよう。
他にクリーチャー・タイプで挙げておきたいのは…っと。
「スリヴァー」「ホマリッド」「ラマスー」なんかもクリーチャータイプだ。
待って待って待って、何その横文字は???と混乱する人が出始めるだろう。
スリヴァ―は自身の体を変化させ群れで共有する特性を持つ生物で、
ホマリッドはロブスター甲殻類のような姿をしているがれっきとした知的種族だ。
ラマスーは謎多きタルキールの放浪者だ。マジでなんだ、こいつ。
これらはそれぞれの出るストーリーやカードを知らないと種族の名前だとはわからないだろう。
「でもアーティファクト・タイプっぽくない名前のサブタイプならクリーチャー・タイプってことでしょ、消去法でわかるよ」
などと考えるのは甘い。
キンシャラ・ノッグル・カルト―シュ・エストリッド・構築物・裂片・秘儀・反射・棲み家・ウルザの サブタイプについて、
このうちクリーチャー・タイプがどれかわかる?
そうじゃないもののサブタイプは一体何のタイプだろうか?
ああ、もうわけがわからないよ。
一体クリーチャー・タイプって何!?
アーティファクト・タイプって何!?
さて、実はその答えはルールに明記してある。
具体的には「総合ルール205.3 サブタイプ」の中に小項目としてクリーチャー・タイプに関する記述がある。
是非一度読んでみてほしい。
https://mtg-jp.com/gameplay/rules/docs/0006836/
すべてのクリーチャー・タイプがそこには列挙されている。
本当に「すべて」だ。
さっき言った彫刻なんかもここに書かれている。
マジで一回読んで、強引でかつ意義の挟みようのない この解決法に驚いてほしい。
上記の中ではノッグル・構築物・裂片・反射はルールに記載されたクリーチャー・タイプだ。
というわけで結論だ。
「総合ルール205.3m」に記載のないサブタイプはクリーチャー・タイプではない。
よって食物もクリーチャー・タイプではない。
「なるほど。じゃあ貴族は?」
へっ?
「だから貴族だよ、貴族。」
「貴族は一体何のタイプなんだい?」
クリーチャー・タイプだけど…
「でもリストには貴族は載ってないみたいだよ。」
「リストに載っていないけど貴族はクリーチャー・タイプなの?」
ああ、えっと。
昔は貴族は正式にクリーチャー・タイプだったんだ。
でも1枚しか該当するカードがなかったことから、一旦リストから消されてルールから貴族は消えたんだよ。
次のセットで貴族のタイプは復活するんだ。
だからきっと発売後のリストには貴族が書かれているよ。
「じゃあ、食物も書き込まれるんじゃないの?」
え?
「発売と同時にリストに食物が記載されて、両方に分類される特殊なサブタイプだってなるかもしれないでしょ?」
たしかに。
その通りだ。
だがその可能性は薄いと私は思っている。
「どうして? 前例がないから?」
「でもマジックの新カードは何度も前例を破ってきたよ」
ああ、そうだとも。
だから私は別の手がかりを提示しよう。
実は開発者のひとり、マーク・ローズウォーターがこちらの記事内で言っている。
https://markrosewater.tumblr.com/post/187522909678/i-think-nobles-and-warlocks-are-great-additions-to
(貴族などの新しいクリーチャー・タイプが追加されたことについて)
「待って、もう1つだけクリーチャー・タイプの追加がある。月曜日の記事のプレビューでお見せしよう」
そう。
もう1つクリーチャー・タイプの追加があるんだ。
もし、それが「食物」だったなら前提がひっくり返る。
《魔女の復讐》で「食物」を選ぶことができることになるんだから。
さあ、ではプレビュー・カードを見て追加のクリーチャー・タイプが何か知ろうじゃないか!
> ハツカネズミ <
Q.「食物」はクリーチャー・タイプでもあるの?
A.いいや、単にアーティファクト・タイプだ。
食物はクリーチャー・タイプではない!
終わり! 閉廷!
おまけ。
キンシャラ・ノッグル・カルト―シュ・エストリッド・構築物・裂片・秘儀・反射・棲み家・ウルザの サブタイプサブタイプ当てクイズの答え↓
キンシャラ
テンバーシティのある次元の名前。
次元タイプに分類される。
ノッグル
馬面に人の体のクリーチャー。
ダークな妖精の世界、シャドウムーアに棲息している。
カルトーシュ
エンチャント・タイプ。クリーチャーにつけるオーラが持つサブタイプ。
エジプト風の次元、アモンケットで神の与える試練を乗り越えた修練者の証。
エストリッド
プレインズ・ウォーカー タイプ。
仮面を操る魔法使いエストリッドさんがエストリッドさんであることを表すサブタイプ。
構築物
主にアーティファクト・クリーチャーが持つタイプだが、アーティファクト・タイプではない。
裂片
とあるエンチャント(再録禁止・日本語版なし)が生み出すトークンの専用タイプです。
秘儀
呪文タイプ。日本風次元、神河で登場。
連繋という能力で参照される。
ソーサリーやインスタントが持ちます。
反射
クリーチャー・タイプ…いったいどういう種族なのか…
さっぱりわからない。イリュージョンとも違うようだし…
謎である。不可解さや奇妙さを持った種族エルドラージの追加タイプとしてカード化。
棲み家
伝説のドラゴンの棲み家であることを表す土地タイプ。
5匹のドラゴンに対応した5種類がある。
ウルザ
プレインズウォーカータイプ。いい意味でも悪い意味でも有名な頭のおかしいプレインズウォーカー、ウルザその人であることを表すタイプ…
というのはひっかけ問題。
マジックの正式なルールにはウルザというプレインズウォーカータイプは存在しない。
よくみると問題文には「ウルザの」と書かれている。
ウルザの
前述のウルザが作った頭のおかしい土地カードが持つ土地タイプ。
キミは全部わかったかな?
検索しないで分かったら凄い!
分からなかった人もこの機会に覚えておくと…
良いことがあるのかわからないマイナーなタイプが多いな…
覚えなくてもMTGは楽しめるし、迷ったらルールブックに答えがあるよ。
安心して遊ぼう!