マジックには5つの色がある。
それらの色、それぞれに存在意義があって絶妙なバランスで色ごとの均衡がとられている。
もちろん時々、この均衡を意図的に崩すこともあるが崩したままにすることはないし、常に5色のすべてが『プレイアブル』である必要があると考えている。
マジックには常に5色の色が必要だ。
そういう前提を踏まえたうえで、時折 聞かれることがある質問がある。
『もし、マジックに色が4つしかないならどうなると思いますか?』
ネット上のコミュニティではいつだってこれらのテーマは繰り返し語られる。
中でもとりわけ有名なのは「一人去るとき。」だろう。
一人去るとき。 ―Mark Rosewater「黒を葬る」特集にようこそ!
今週は、マジックが生まれて以来最大の変革についてのお話だ。
既に諸君もご存知の通り、来年の夏に発売される基本セット2013より、マジックは4つの色によるゲームになる。すなわち、白、青、赤、緑だ。
黒はカラー・ホイールから退席し、そこに列するカードたちは、未来のゲームから永久に除外されることになる。
この改革は、基本セット2012に端を発し、イニストラード・ブロックにおいて段階的に実行に移され、
まもなく詳細が発表される2012年春の”すんげえヤバい”小型セット(黒を見送る盛大なお別れパーティーになるだろう)をもって完了となる。
さて、ここで語るべきは、この決定に至るまでの過程と、多くの人々から寄せられた質問のお便り ―たとえば、
「どうしてこんなことになるの?」とか、「なぜ黒なの?」とか、「居場所の無くなったシュオルちゃんを貰い受けてもいい?」といった類の物― に対する回答だろう。
この改革に至った理由を短く言えば「必然」だ。もう少し長い理由は本文で語るが、この一連の変更は、
マジックを次のステージに押し上げるために必要なことであり、これによって未来のマジックはより強固に、よりエキサイティングになると、私は確信している。
では、お別れの物語を始めるとしよう。
https://w.atwiki.jp/aniwotawiki/pages/1447.html
これは公式コラムを真似して『黒がマジックからいなくなる』ことを揶揄した文章としてそれなりに有名なものとなっている。
しかし、マジックの色が4色な世界と言うのを想像するにはマジックは歴史を重ねすぎている。
マジックから色がなくなるなんてことはありえない。
ネタとして非常に興味深いものではあるが、マジックにはやはり5色が必要なんだ。
それでも、もし色がひとつなくなるとしたら…。
恐らく答えは「緑がカラーパイを去り、青と赤と、そして白と黒の4色になる」だろう。
5つの色の込み入った友好敵対の概念は整理されることになる。
炎の赤と水の青が対立し、光の白と闇の黒が対立する。
対立していない色とは手を組むことも、敵に回すこともできるだろう。
カラーホイールは円でなく十字…カラークロスになるだろう。
緑はマジックに必要ないのか?
さて、あくまで質問への解答や仮定に沿ったものとして「いなくなるなら緑」だと書いた。
しかし、勘違いしないでほしい。
それはマジックに緑と言う色が必要ないということを意味していない。
緑は本当にマジックに必要な色であると同時にシンプルな色でもある。
我々が「緑らしい要素」を一切使わない他の色のデッキを組めないほどに、
緑にはマジックにおける基本の要素が詰め込まれている。
まず緑の大きな特徴を2つ挙げよう。
緑はクリーチャーの色でありマナの色だ。
しかし、逆にほとんどのマジックのデッキでクリーチャーを使うのも事実だ。
(もちろんノンクリーチャーのコントロールも存在するし、それこそがマジックの多様性だと私も思うよ)
そしてたとえクリーチャーが1枚も入らないコントロールデッキだとしても、
まさかマナソースとなるカードが入っていないということはありえないだろう。
つまり緑と言う色が「得意」だと言っている特徴は他の色だって扱う分野なのだ。
特に色マナに関して緑が特徴的なのは「緑は他の色のマナを出すことが得意」だという点だ。
これは緑の緑らしい特徴であるが、一方でそれは緑がインフラとなっていることを表している。
緑じゃないとできないことは『土地を伸ばし他の色のマナが出るのを助ける』ことなのだとすれば…それはもう『緑の特徴』としてはいささか的を外れているかもしれない。
他に緑が得意としていることはなんだろうか?
緑にはありとあらゆるマジックの基本的な要素が詰め込まれている。
ドロー? あるとも。
除去? もちろん。
飛行クリーチャー? ガチョウでどうかな?
何? 殴れるパワーがちゃんとある奴がいい?
ドラゴンくらいデカければ満足かな?
火力はどうかって? 余り多くはないね。でもあるよ。
打消し? ないこともないね。
リアニメイト?
ああ、確かに緑は墓地からカードを戻すときは手札に戻し、
黒でのみ戦場に直接戻せるという線引きをしていた時代もあったね。
忘れてくれ、今は緑単色でも墓地から蘇生ができるカードがある!
緑のカードを使わずにマジックをすることも可能だが、
『緑にやれること』をまったくしないでマジックを遊ぶことは不可能だろう。
そこで試みの1つとして緑と言う色をマジックから取り除くためにテストをしてみることにした。
ああ、いや。
なくすというのは適切な表現じゃあないな。
最初に書いた通り、マジックは5色で完璧なバランスを保っている。
色を減らすなんてことはありえない。
ただ「緑を使う」という考えの方をなくすことはできると思ったんだ。
例えば君はデッキを組んだ時に「これは土地を使うデッキだ」と言うことがあるかな?
たぶん、8割…いや9割の人はそんなことわざわざ言わないだろう。
「これは土地を使わないデッキだ」なら自慢げにいう事はあるかもしれない。
いったいどんなエキサイティングなコンボデッキ何だろう?
そう言った独創性あるデッキが生まれることはマジックを楽しいものにしているのは間違いないね。
土地の色である緑を、これと同じレベルにする調整を施している最中だと言ったら君は信じるかな?
「これは緑を使うデッキだよ」ということは「わざわざ言う事ではない」
そんな将来が訪れる未来も遠くないかもしれないね。
なにかが「なくなる」という事は必ずしも「減る」ということではないんだ。
十分に緑のカードがインフラとして行きわたったときにこそ、マジックから「緑を使う」という概念が消えるかもしれない。
最新セット『エルドレインの王権』ではまず緑のインフラ化のテストとして緑のカード強化が行われた。
直近のミシックチャンピオンシップ予選では上位102人のプレイヤーのうち、デッキに森を入れていたリストは93にものぼる。
https://www.reddit.com/r/MagicArena/comments/dnvu7q/mcq_weekend_day_2_stats_and_fun_facts/
スタンダードから「緑を使う」という概念が消える日の足音は思っていたよりも近くまで来ているみたいだ。
そうこれは、マジックが生まれて以来最大の変革についてのお話だ。
既に諸君もご存知の通り、マジックは事実上4つの色によるゲームになる。
すなわち、白、青、赤、黒だ。
緑は円環の理のごとくカラー・ホイールそのものとなり、そこに列するカードたちは、土地と同じく誰もが使うことになる。
この改革は、『エルドレインの王権』に端を発し、『テーロス還魂記』において段階的に実行に移され、
まもなく詳細が発表される2020年冬の”すんげえヤバい”銀枠構築済デッキ(緑のリスたちの復活祭に相応しいイースターエッグになるだろう)をもって完了となる。
ほら聞こえるだろう? 大きな怪獣の足音が!
緑のファッティたちが愛する怪獣の楽園はすぐそこまで来ているぞ!
そして次の基本セットでは明確に緑はすべてのプレイヤーが使うものとして再定義され、
「土地」をテーマにしたゼンディカー 次元を3度目に訪れる時、
まさしく緑はマジックの魂になるだろう!
これからもMtG(Magic:the Green)を楽しんでほしい!
本記事は筆者が所属するディスコード・コミュニティにおける閉鎖的なジョークを基にしたものであり、
実際のWoCのデザイン&デベロップの方針とは無関係です。