バーチャルVtuver豆猫さんの与太話

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【#MTG】《星々とあるもの》が「『再録』カード」だという話【テーロス還魂記】

今日も楽しく『テーロス還魂記』のプレビューカードを楽しもう。

今回扱うのは《Comunione con le Stelle》だ。

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読めないよね。

こちらのリンク先で公開されたカードだ。

英語でのカード名は《One with the Stars》だと記事中に紹介されている。

One with ○○というカード名は近年は「○○と共に」と訳される傾向がある。

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恐らくこのカードの名前は《星と共に》でほぼ間違いないだろう。

 

(複数形を訳出して《星々と共に》となる可能性はあるかもしれない)

 

*1/3追記*

日本語版が公開された。

 

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なんだそのカード名!?

記事を書いた時点ではカード名の日本語訳がなかったのでMTGの和訳テンプレートに沿って記事中で《星と共に》と書いた。

記事内の《星と共に》《星々とあるもの》を指している。


 *追記ここまで*

 

 

《星と共に》の効果にはクリーチャーをエンチャントに変える…といったことが書いてある。

「クリーチャーに貼ることで、そのクリーチャーからパワーやタフネスなどを取り除いて、『そのクリーチャーの効果を持ったエンチャント』にするオーラ」といったところだ。

(かみ砕いた説明なので実際の挙動とは多少異なる)

 

ギデオンを「攻撃されないが忠誠度能力は使える置物」に変えたりと変な遊びができそうなカードだが、このカードの主戦場は やはりリミテッド戦だろう。

パックを開けてその場でデッキを組んで戦うリミテッド戦に置いて、《ニクス生まれの巨人》のような大型のクリーチャーや飛行などの回避能力を持ったクリーチャーに対して使うことでパワー・タフネスを奪う事実上の「除去」として使うことになる。

 

ところで、この見慣れない効果のカードが『再録』カードだと聞いたら驚くかな?

何? そもそも再録カードなら冒頭のカード名の翻訳の下りはいらないって?

これは一本取られたな。

 

 

その通り。

《星と共に》は純粋な再録カードと言うわけではない。

これは同型再版カードだ。

 

性能が全く同じカードを名前を変えて「別のカード」として収録することを同型再版と呼ぶ。

以前のテーロスでも《稲妻の一撃》という《灼熱の槍》の同型再版が収録された。

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これはギリシャ神話モチーフの世界であるテーロスで、ゼウスの象徴である稲妻をイメージさせ、よりギリシャ神話要素を感じられるようにするための同型再版だった。

さらに後のセットで炎の槍と雷のうち世界観のイメージにあうほうを再録するための仕込みでもある。

 

実際に海賊がいる世界『イクサラン』では嵐の到来を告げる見張りの海賊が雷に撃たれる様を描いた再録がされた。

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《One with the Stars》も別のカードの同型再版だ。

テーロスではエンチャントを星や星座と強く結びつけているので、よりそれらしいカード名として《One with the Stars》にしたのだろう。

 

再版前のもともとの同型カードは《Enchantmentize》という。

日本語に訳すなら「エンチャント化」とでも言ったところだ。

やけにシンプルな名前だし、それに「訳すなら」ってことは日本語版がないってことだ…そんなに古いカードなのか?

いや、そんなことはない。

《Enchantmentize》は昭和のマジックのカードではなく、令和のマジックのカードだ。

だが、日本語版は存在しない。

まあ、実物を見てもらうのが早いだろう。

 

これが《Enchantmentize》だ。

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なんとも奇妙だね。

この「MTGのカードの上に紙を貼り付けた」ような見た目のカードはR&D Playtest card開発部プレイテストカード)という特殊なカードだ。

これはマジックのイベントで販売される特殊パック『Mystery Booster』に収録されたカードだ。

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同社のデュエルマスターズで存在した『ブラックボックスパック』に着想を得た

超・超大型セットであり、「これ1つで最高のカオス・ドラフトができるセット」というのがウリである。

 

カオス・ドラフトと言うのはMTGの特殊な遊び方だ。

その場でパックをいくつかあけてその場でデッキを作る。

しかし、ここで開けるパックは統一されていない。

(用意できるなら)マジック最初のパックの未開封を開けてもいいし、『バトルボンド』のような特殊なパックを開けるのもいいだろう。

とにかくはちゃめちゃに色んなカードが出る。

 

『Mystery Booster』はこれ1つでカオスドラフトを遊べるように、1694種類の再録カードと121枚の『新規カード』で構成されている。

この新規カードこそR&D Playtest card開発部プレイテストカード)だ!

開発途中のものを引っ張り出して来たり、入社試験の課題として提出されたオリカなどを含む121種類の「通常のプレイでは使用できない」カード。

 

開発チームがテストプレイでカードの動きを試す時に、既製品にシール紙に印刷された作成中のカードのテキストを張り付ける。

それを再現した特殊印刷のカードになっている。

(実際にはシール部分ごと印刷されているため、実物はシールの張られたカードでなく1枚のカードである)

 

ジョークカードを大量に入れた『銀枠』と呼ばれるセットも奇想天外な効果が多いが、

R&D Playtest card開発部プレイテストカード)はそれらと決定的に違う点がある。

 

それはルール上ちゃんと機能するカードがとても多いという点である!!

 

あー。少しばかり誇張した表現だった。

現行ルールでは機能しないカードも多い。

しかしそれは『テーロス還魂記』のカードだってそうだ。

実は「脱出」などの新しいキーワード能力は現行の総合ルールでは一切機能しない。

発売してから総合ルールに脱出について記述が追加され更新されることで機能する。

 

プレイテストカードの場合、実際にはルール更新はされなかったが「もしされるなら」ちゃんとルール通りに機能するカードがたくさん入っているんだ。

 

 

 

実際に《Enchantmentize》の緻密な効果テキストを見ていこう。

英語では読みづらいと思うのでMTGwikiでテンプレートに添って翻訳されたテキストを見ながら読んで欲しい。

 

Enchantmentize (3)(青)


エンチャント — オーラ(Aura)

 

エンチャント(クリーチャーかエンチャント)
エンチャントされているパーマネントはエンチャントであるとともに、他のすべてのカード・タイプを失う。(それは能力は持ち続けるが、クリーチャーではない。)


[テストカード - 構築では使用できない。]

 引用:Enchantmentize - MTG Wiki

 

エンチャント(クリーチャーかエンチャント)

エンチャント(クリーチャー)なら分かりやすい。

クリーチャーをエンチャントにするカードなんだろう。

しかし、エンチャント(エンチャント)でもあるのだから、これはエンチャントに付けられる。

するとエンチャントされたエンチャントはエンチャントになることになるわけで…

 

いかんエンチャントがゲシュタルト崩壊しそうだ。

もちろんこのテキストには意味がある。

 

 

《Enchantmentize》が最初に構想されたとき、「エンチャント(クリーチャー)」のオーラであったことは想像に難くない。

しかし、仮にそうであったならこれは使い物にならない。

「エンチャント(○○)」のオーラはつけられているものが○○でない場合、ルールでは外れることになっている。

 

つまり「クリーチャーに付けられるオーラ」に「エンチャントされているクリーチャーはエンチャントになる」などと書こうものなら、それはつける対象を自分自身で不適切な対象にしてしまい即座に外れることになる。

 

こういう時、銀枠のジョークカードなら「言いたいこと、わかるだろ?」みたいな感じで曖昧に濁すところだ。

 

しかし黒枠(通常のマジックのカード)の世界ではそうはいかない。

カードはテキストに書いてあることと総合ルールの整合性の中で機能する。

 

『エンチャント(○○)』が○○じゃないものについている場合、外れる。

これはルールだ。

ならばテキストでうまく対処するしかないだろう。

 

「エンチャント(クリーチャーとエンチャント)」

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これなら問題ない。つける前とつけた後でタイプが変わっても外れることはない。

この奇妙な「エンチャントをエンチャント化する」ように読める奇妙な表記はこういう理由で生まれたに違いない。

 

とはいえ、その結果としてこのカードはエンチャントをエンチャントにすることができるカードとして実装された。

 

滅多に使うことはないだろうけれど、覚えておくといいかもしれない。

リミテッドで神に《星と共に》をエンチャントするとかね!

(テーロスの神に付けることで信心を貯めてもクリーチャーにならなくなる)

 

 

特別なリミテッド用のパックで生まれた《Enchantmentize》が、実際のカードとして生まれた代わった《星と共に》

その主戦場がリミテッドになるというのは、ある意味で当たり前で、また同時に興味深くもある。

 

 

 

 しかし、まさかR&D Playtest card開発部プレイテストカード)からこんなに早く本実装されるカードがあるとはね。

 

首席デザイナー、マローは彼の大学講師の以下の教訓をたびたびセットデザインに用いている。

「どの1シーンよりも映画全体が重要で、どの1文よりもシーンが重要である」

 引用:20の年、20の教訓 その1|読み物|マジック:ザ・ギャザリング 日本公式ウェブサイト

 

これは新しい独創的なカードを思いついた時のための教訓だ。

そのセット全体の構造を映画に例えて、1文=カードとの関係を述べている。

興味深い新カードを思いついても、セット全体のテーマに合わない場合、すぐには実装せずに好機を待つのだ。

 

次のパック、『テーロス還魂記』はエンチャントをテーマにした次元だ。

「エンチャントしたものをエンチャントにするエンチャント」を実装するのに、これ以上よい機会はないだろう。

 

あの121枚のプレイテストカードの中にまだ、パックテーマの巡りあわせを待ち続けているカードが他にもあるかもしれない。

次に実装されるプレイテストカードがどれか、思いを馳せるのも楽しいだろう。

 

【追記】

 次に開発部プレイテストカードが実装されたのはこちら…!

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