第一話
前回
超次元MTG対戦TYPE/Zero あいこにっく
第4話「驚異の3ターンキル!古典的コンボの恐怖!」
前回までのあらすじ
ドラフト大会に参加したミドリ。
第二試合の対戦相手、猿渡は第一試合を3ターンキルで終わらせたという。
即席デッキで戦うドラフトにおいて、3ターンキル。
果たして本当にそんなデッキが存在するのだろうか?
「それぞれ対戦相手のところに移動したね?」
「8人対戦なので1試合目で勝った人たちはこれが準決勝になるよ」
「それじゃあ第二試合、始め!」
「じゃあ、行くぜ」
「コイントス、裏か表か?」
「表を選ぶよ」
くるくる…
「表か。先攻はそっちだ」
決闘!
「まずは《森》を置いてターン終了」
「ほう、そっちも森か」
「こちらも《森》を置いて1マナ」
「《ジャディの横枝》を召喚!」
(1ターン目にライフ回復付きのブロッカー?)
「3ターンキルっていうからアグレッシブなデッキだと思ったのに、ありゃ嘘だったのか?」
「まあ、毎試合3ターンキルとはいかないだろ。これでターンエンドだ」
「じゃあ、こっちの番だな」
「《沼》を出して2マナ」
「《地底街のトロール》を召喚」
「ほぅ。森の次は沼…緑黒の2色デッキか」
(この環境の緑黒デッキ…)
(定石通りなら《屍体屋の脅威》と「+1/+1カウンターを乗せるカード」を中心としたクリーチャー強化デッキ…)
(実際、奴が出したトロールの能力「高名」は戦果を上げて+1/+1カウンターを得る能力…)
(間違いない。緑黒のクリーチャーデッキだ…つまり…)
「このデッキの敵じゃあないな」
「何だって?」
「こちらは《山》を置いて…《ジャディの横枝》の能力が誘発」
「ライフを1点回復。残り21点」
「これでターン終了だ」
「こっちは《森》を追加して、トロールで攻撃」
「高名になられるわけにはいかないな」
「《横枝》でブロックだ。タフネス3で止める」
(あー。しまったな。先に手札のこれを使っておけば、横枝を倒して攻撃が成功…)
(トロールの高名も達成できたか)
(うーん。慣れないデッキだと回し方が分からない…)
(即席のデッキだと、回す練習が積めないのが難点だな)
「ミスった…、私はこれでターンエンドだ」
「それじゃあ俺の…ファイナルターンだ」
「!?」
「そうか…、これで3ターン目…!」
「まさか本当にこの状況からワンキルを…!?」
「まずは《森》を出して上陸で1点回復…」
「これでライフが22点」
「森2枚から…《チャネル》」
「この呪文により、俺はこのターンの間、ライフ1点を無色マナ1点の代わりに支払うことができる」
「命を賭した大呪文だ!」
「お前のライフを焼き尽くす、《火の玉》!」
「こいつは複数の対象にXダメージを割り振るカード…」
「だが今は対象は1人でいい」
「お前を対象にX=20で唱える!」
「そしてマナの支払いは山から出した赤マナと、ライフ20点で支払う!」
「これで終わりだ!! チャネル・ファイアーボール!」
「これが3ターンキルのからくりだったのか…!」
「悪いな、これで試合終了だよ」
「まさか、さっきのプレミが…」
「プレミ? 残念だったな、だが言い訳はなしだぜ」
「いや、言い訳じゃないよ」
「プレミしたから…勝てるんだよ」
「さっき使い損ねた呪文を、ここで唱える!」
「《忌呪の発動》!」
「除去呪文…!だが、一手遅かったな…コンボはすでに完成している!」
「今更、回復役の《ジャディの横枝》を潰してもコンボは止まらない!」
「だが、この呪文には追加の回復効果がある!」
「…ッ! 確かに《忌呪の発動》はドラゴン・カードと組み合わせることでライフ回復ができる」
「だが、ドラゴンカードが入ってなければ話にならない」
「お前のデッキは緑黒+1カウンター。 このパックでドラゴンデッキを組むなら赤黒で組むのが定石…! 緑黒のお前のデッキにドラゴンが入ってるわけがない…!」
「定石? そんなもの今日初めてドラフトした私がしるわけねーだろうが!」
「手札からカードを公開!」
「私の切り札、緑のドラゴン…《昇る星、珠眼(じゅがん)》!」
「馬鹿な…!このパック唯一の緑のドラゴンだと…!」
「《忌呪の発動》のドラゴン・ボーナスでライフが24点に上昇!」
「20点の《火の玉》の直撃を受けても4点のライフを残して耐えられる!」
「さらに、こちらのブロッカーは除去されて《チャネル》にライフを持ってかれた返しにトロールの攻撃を防げず俺の負け…。」
「ここまでだな。投了だ」
ミドリ WIN !
「まさか、パックを開けて即興で作ったデッキでも、3ターンキルコンボが作れるとはな…」
「防がれるとは思わなかったから驚いたよ」
「ちょっとデッキ見せてもらっていいか?」
「いいよ、ほら」
「…!」
「確かにドラゴンのデッキとしてそこそこ形になっている…」
「しかし、どうして緑黒でドラゴンを組もうと思った?」
「この環境でドラゴンデッキを組むなら赤と黒になるはずだ」
「環境とかはよくわかんねーけど。」
「最初のパックで《昇る星、珠眼》が入ってたんだ」
「私は緑が好きだから飛びついて、そのあと《忌呪の発動》と黒いドラゴンを見かけたからドラゴンデッキにできるな…って」
「なるほどな…」
「定石に縛られずに自由な発想でデッキを作る…」
「そういうの、苦手そうだと思ってたんだがな」
「確かに苦手なんだよ。普段はコピーデッキ使うのが性に合ってるし」
「それでも もし上手くできてたんだとしたら…それはあいつの…レイのおかげなんじゃないかな」
「さあ、次で最終戦か。相手は誰だ?」
「まあ、当然レイだよな?」
「ごめん、ミドリちゃん…普通に負けた」
「レイ…!」
「え!? じゃあ勝ったのは?」
「アオイちゃんだよ…」
「今回は見事にやられちゃった…」
次回、アイコニック・マスターズ編 最終回
TYPE/Zero あいこにっく 第5話
「ドラフト初心者は全勝の夢を見るか?」
アイコニックマスターズ・ドラフト編1話
第1シリーズ1話