バーチャルVtuver豆猫さんの与太話

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【#東方LW 】東方ロストワードに感じる「にわかっぽさ」と「オタクっぽさ」【#東ロワ 】

 

 

さて、バーチャルVtuverの豆猫さんのスマホアプリゲーム紹介。

今回は「東方ロストワード」の話をしていきます。

touhoulostword.com

 

とりあえずざっくり東方project自体の説明はすっ飛ばします。

 

ラクガキ王国電車でGO!などで知られるゲーム会社、タイトーの元社員であるZUN氏が作成したシューティングゲーム及び世界設定をゲームと共有する一連の創作物(漫画・小説・CD)を指している言葉ですが、「東方とは何か?」の定義論争になると面倒なので…

(シューティング以外は東方projectじゃない派・弾幕アクションも東方projectだよ派・秘封倶楽部は東方じゃないよ派etc.etc.)

 

とにもかくにも東方Projectの「二次創作」や「改変キャラ」の類は当初誰も想像しなかったであろう規模まで広がり、今ではすっかりお馴染みのものとなりつつある。

 

 

そして近年、その二次創作展開の幅はスマホアプリゲームにまで進出するようになった…とまあ、これくらいの知識があればとりあえずこの記事を読む上では足りると思う。

 

さて、そんな東方二次創作系スマホゲームアプリの中で、今回紹介するのは

「東方ロストワード」

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東方一時創作ゲームの多くが「東方◯◯◯(漢字三文字)」のタイトルを持つのに反してカタカナネームなのは「本家とは違いますよ」という一歩引いたリスペクトの形にも思えて若干の好感が持てる。

とはいえ、東方二次創作は大量にあふれていて、アプリゲーすらロストワードが唯一ではない。

 

 

では、なぜ各種東方アプリゲームの中からこのゲームに注目したかといえば…

 

えっと、その。

オブラートに包まずに言えば「痛々しい」とさえ感じるプロモーションツイートだった。

 

 えーりん!( ゚∀゚)o彡°

この顔文字と掛け声は本家のシューティング東方永夜抄のファイナルステージ(裏面)でのBGM「竹取飛翔 ~ Lunatic Princess」を元に、

ニコニコ動画のコメント文化と合わさってめちゃくちゃ流行った二次創作楽曲「Help me, ERINNNNNN!!」のフレーズで…なんて説明するのも馬鹿らしいくらいにはかつて流行ったミームである。

 

とはいえ、流石にもう令和やぞ。

 

ちょっと流石に、選曲が古いというか…

むしろそのあたりでハマっていた人向けにプロモーションを仕掛けたくてわざとやっているのか?

分からない。ちょっと判断に困る広告ツイートだ。

 

しかもプロモツイートについてるBGMは「えーりん!( ゚∀゚)o彡°」ではない。

…ってゆうかコレ、もしかして「天空のグリニッジ」のアレンジ楽曲じゃないの!?

 

と「痛々しい広告」に釣られて開いた動画に見事にひっかかってしまった。

 

なんだこれ。

えーりん!( ゚∀゚)o彡°」を押してくるプロモツイートの「んー、なんかズレてない?」みたいな感覚と、

天空のグリニッジ」を使うことに対する「おっ、このオタクやるな」みたいなアンバランスさというか。

 

私が説明しようとすると、長々とオタク特有の早口で

『この「天空のグリニッジ」は東方の生みの親であるところのZUNさんの制作した楽曲の中でも僕の中でトップクラスに好きな一曲なんだけど、これそもそも「東方projectのゲーム本編」には一切出てこない曲なんですよね。俗に「秘封倶楽部」と呼ばれる東方作品と世界観の一部に繋がりを持った別作品の~

と語ってしまいそうになる楽曲というだけで伝わるものはあるだろう。

 

つまりプロモーションの「う~ん」感とゲームBGMの「ほほぅ」感の乖離が興味深かったのだ。

 

実際にゲームを作っているのは「わかっているオタク」でプロモーションは「オタクだったおっさん」がやってるのか…?

みたいなズレに興味をもって、結局「東方ロストワード」に手を伸ばすことになった。

 

 

さて、遊びはじめてますます分からなくなった。

東方ロストワード「東方にわかの作ったゲームか?」みたいな感想と「こ、これは東方オタクの中でもかなり濃いオタクの作ったゲームですぜ!」みたいな感想とが入り乱れる凄まじいゲームだった。

 

まずは公式ホームページのキャラクター一覧を見てほしい。

概ね、序章のメインキャラやガチャの当たり枠や配布枠となるキャラクターたちである。

キャラクター | 東方LostWord【東方ロストワード】東ロワ|東方Project二次創作

 

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非常にアレな言い方になるけど「にわかのキャラ選」感が否めないというか…

このガチャキャラを選んだ人のイメージする「東方Project」がどんな感じなのかがうっすらと伝わってくる。

 

具体的なツッコミとして出力しようとすると

「最初の三作までしか知らないだろ!!」

みたいな感じである。

 

ここで安易に「最初」と言うと「旧作はどうなんですか?」とか「萃夢想永夜抄よりナンバリングが小さいんですが?」などのツッコミを入れられそうなので発言を訂正しよう。

 

紅魔郷妖々夢永夜抄のキャラしか知らないだろ!」

 

このぐらいの言い方の方がいいだろうか?

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なんにせよ、最新作のナンバリングが17まである作品群の中から、初期の方のたった3作からの要素が非常に強く出ていて、小説や漫画のみに登場するキャラクターの痕跡が感じられないキャラクター紹介ページからはどうしても「にわかっぽい」感じが漂う。

 

一方でログインボーナスをくれるキャラクターは本居 小鈴(もとおり こすず)、こちらは逆に漫画版にしか登場しないキャラである。

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こっちは若干オタクっぽい。

いや…でも鈴奈庵は比較的最近の漫画で完結済みの名作だし、むしろ東方ライト層の方が知ってそうか…?

 

BGMには前述の「天空のグリニッジ」同様に秘風倶楽部の楽曲からアレンジを新規書下ろししたものが多く使用するなど、東方にわかではなさそうな雰囲気も出ている。

www.youtube.com

 

燕石博物誌のオリジナル楽曲、シュレディンガーの化猫をアレンジ元として持ってくるの素直にセンス良くて悔しいよ。

…そうは言っても大空魔術燕石博物誌知らない人の方が多いでしょ。

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(私? 私は両方ちゃんと持ってるけど?)

 

 

東方ロストワードにはにわかっぽさ濃いオタク要素が絡まって混沌としている

 

第一回イベントの告知ページ

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イベント「半人半霊の一日メイド」開催! | 東方LostWord【東方ロストワード】東ロワ|東方Project二次創作

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令和のゲームとは思えないくらい「昔のニコニコ動画での東方」みたいな雰囲気がする。

 

序章をプレイした感覚だと、かなり「にわかっぽさ」がある。

一方で、アプリゲームの基本要素とも言える「ガチャ」や「石」の概念を東方作品らしい文脈で説明しつつ、それらも「東方原作っぽさ」と「二次創作っぽさ」の混ざりあった加減で出してくるところは割とガチな二次創作のオタクが作るゲームのようにも思える。

 

ますますよくわからない。

 

しかしこれらの「わからなさ」は序章をクリアして1章に入ると氷解する。

 

間違いなくシナリオライター濃いオタクであるというある種の「信頼」が発生するのだ。

 

まず1章へと進める際にシナリオパートに挟まれる「この作品は二次創作ですよ」という注意書き。

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いやまあ、確かに注意書きはどこかしらに必要だろう。

あくまで公式のコンテンツではない。それはそう。

しかし、それをなぜストーリー部分に仕込むんだろう?

 

そう思うや否や、画面いっぱいに映る『海』

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そう、である。

 

僕はこの時点で笑ってしまった。

東方Projectでメインの舞台となる「幻想郷」という地には基本的にが登場しないのだ。

もちろん完全に存在しないわけでなくわずかな例外があるわけだけど…と例外についてつい話そうとしてしまうのはオタク特有のムーブだろう。

一旦、そのことはわきにおいてほしい。

 

そう、「幻想郷に海はない」のに海を出してくる。

 

この瞬間に僕の中の「にわかっぽさメーター」が凄い勢いで「にわか」の側に触れた。

ストーリーの先を読むよりも早くスクショしてツイートしてしまったほどだ。

 

このRTの伸び具合からもわかるかもしれないけど、普通なら結構致命的なミスっぽいものである。

 

ただし、ロストワードにおけるこののシーンを読み進めると、

にわかっぽさではなくオタクっぽさが色濃く表れ始める。

 

まず、海を見た霊夢魔理沙の反応だ。

彼女たちは「海を知らない」ムーブを取ったりはしない。

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そう、二人は海を知っているのだ。

 

さきほどの僕の書いた部分を改めて引っ張ってこよう。

東方Projectでメインの舞台となる「幻想郷」という地には基本的に海が登場しないのだ。

もちろん完全に存在しないわけでなくわずかな例外があるわけだけど…と例外についてつい話そうとしてしまうのはオタク特有のムーブだろう。

一旦、そのことはわきにおいてほしい。

 

そう。わずかな例外がある。

幻想郷から見える月。その表面に広がる荒涼とした幻の『裏』には高度に発達した月の世界がある。

この世界の月には海がある。クレーターとしての海ではなく青々と水をたたえた海が。

 

書籍版のみのエピソードや後期作品で、霊夢魔理沙のある「月の世界」を訪れているのだ。

 

先ほど僕は「例外についてつい話そうとしてしまうのはオタク特有のムーブ」だと書いたけど、ここの海のシーンで月に言及するのは、まさにそのオタクムーブの表れであり、シナリオライターの熱意…というかプライドが伝わってくる。

 

「こういう海のシーンを書くと、『原作には海がない』とかマウントを取ってくる奴らが出てくるだろうけど、シナリオ担当の私は当然その程度のことは知っていますが?」みたいな筆者の気持ちが滲み出ているように感じる。

 

その後のシーンで先ほどの海の描写は「異変により幻想郷の地上と月の世界とが折り重なって生まれた景色」であるという事実が明らかになる。

 

この辺の手つきが濃いオタクのそれであり、ロストワードのシナリオライターからは「お前ら、東方のアプリゲーのライターを舐めているだろ? 俺は一味違うぜ」みたいな真剣さを読み取ることができる。

 

というか、メインキャラを除いて1章で一番最初に出てくる名前付きのキャラクターが隠岐(おきな)なのはもう完全にオタクライターじゃなきゃ出てこない。

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そしてこれらの「ガチなオタクっぽさ」こそがロストワードに漂う「にわかっぽさ」の理由であることにも気づく。

 

さあ、シナリオライターは渾身のオタクシナリオを書いた。

するとどうだろう…?

運営スタッフ側の悲鳴が聞こえてこないかい?

 

「こんな濃いオタクの二次創作シナリオ投げられても困るんですよ!」

「もっとライト層に遊んでもらわないと運営はできないんですって!」

 

 

一章以降のシナリオでは「もちろん原作はすべて履修されていますよね?」と言わんばかりにポンポンと原作の「マイナーキャラ」(あえてこう書いたけどライト層には余り知られていないだけで原作では立派にボスを務めたりしてるキャラ)の名前をチラチラ差し込んだり、

「原作では過去にこんなことがあったよな~」みたいな会話を端々に詰め込んでくるのだ。

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わかるか!(いや、僕はオタクなので菫子が着てる服とか言われても、わかりますけど?)

 

 

 

そう。

「僕はオタクなので分かりますけど」なんだよな。

ロストワードのメインシナリオに感じるものは。

ここまでブログ記事を書きながら何度か打消し線を引きながら書いた私自身のオタク的な指摘や自慢、そういった部分と同じ匂いがロストワードからは香り立つ。

 

運営がライト層のプレイヤーを集めたくてガチャキャラなどを「にわか受けがいい」ようにしていくと、どうしてもゲーム自体も「にわかの作ったゲーム」っぽくなる。

 

それに対して、シナリオライター「そうじゃなくてこのゲームを作ってる側は濃いオタクなんだよ。ちょっと東方に便乗して儲けようとかじゃなくて、東方で、俺たちの二次創作ストーリーをゲームにしたいんだよ!」という熱いアンサーをロストワードに叩き込んでいるんだ。多分。

 

しかし、「にわか受けがいい」ということ自体は悪いことではない。

それはつまり、参入障壁の低さであって「より多くの人が楽しめるゲーム作り」を運営側が選んだ頑張りの証だ。

 

「にわかっぽいキャラ選出」の正体は、誰でも知っている人気キャラを多めに起用することで「幅広いプレイヤーに遊んでほしい」「プレイヤーの敷居を下げたい」といった

ライト層に楽しんでもらうための施作なんだ。

 

ライト層向けに頑張る運営チーム

ディープ層に難癖をつけられないように頑張るライター

その2派が同じゲームを作っている。 

 

結果的にゲーム全体の何とも言えないふわふわとした「なんだこれ?」という空気感がうまれる。

 

しかし、それこそまさに「東方二次創作」っぽさなのかもしれない。

ゆるい敷居とガチなif作品。どちらも等しく東方のファンには違いないのだから。

 

そして二次創作だからこその手つきが凄まじく入れ込んである。

このゲーム、キャラクターボイスが複数用意してあるのだ。

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原作に声がないゲームだからこそ生まれてしまう「原作と声が違う」なんてオタク特有のイチャモンに対して、キャラクターボイスを1人につき複数用意してプレイヤー自身に選ばせる。

 

その上、キャラクターごとにボイスのオフも選択できるのでどうしても「ニコニコで聴くような霊夢の声」じゃないと嫌だって人は霊夢のボイスをオフにして妖夢のセリフはボイスオンのままにできる…など細やかな気配りが二次創作だからこその凝り方である。

 

もちろん、まったくゲーム自体に不満がないわけじゃあない。

込み入った戦闘システムが最初のチュートリアル章ですべて解禁されるけれど、

それらの多くは使わずにある程度進められる。

進められるので、それらが必要になるころにはどういうシステムだったかをつい忘れてしまう。

このあたり、プレイヤーである私の過失だと言われればそれまでだけど、

それらの「戦闘オプション」とでも言える操作は最初はオミットして、それが必要なくらい敵が強くなってから解禁してもらえるとチュートリアルが正常に機能するんじゃないかなあ…とか。

 

正直この辺は「90点の作品が95点じゃないことにイチャモンをつけている」感じなのであまり致命的な欠点ではないだろう。

ゲームバランスとかは運営を続けていくうちに安定するはずだ。

 

東方ロストワード、これからも期待して追っていきたいゲームである。

シナリオライターの東方オタクに「あれ?このネタわからないっすか?」みたいな嫌味を感じ取らないためにも原作の再履修も進めておこうかな。

 

 

 

 

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