バーチャルVtuver豆猫さんの与太話

バーチャルVtuver(存在しないVtuberを装う遊びをする人) ※当ブログはファンコンテンツ・ポリシーに沿った非公式のファンコンテンツです。ウィザーズ社の認可/許諾は得ていません。題材の一部に、ウィザーズ・オブ・ザ・コースト社の財産を含んでいます。©Wizards of the Coast LLC. ウィザーズ・オブ・ザ・コーストのファンコンテンツ・ポリシー|WIZARDS OF THE COAST GAMES 連絡用Gmail:beencatsun@gmail.com

【ラノベ・Webノベル布教記事】登場人物みんなが和マンチのPC、そんな群像劇を読みたくはないか?【#異修羅】

今回はラノベ布教記事の回です。

 

最初にまずこの質問からしましょう。

「あなたはTRPGを知っていますか?」

 

知らない方、TRPGとは何か?

色々な解釈があり僕にとっては「協力して物語を生み出す遊び」なのですが、

そう言ってもピンと来ないと思います。

 

TRPGとは「ルールのあるごっこ遊び」です。

ごっこ遊び」をするのは流石に恥ずかしい年になってしまった僕たちが、

全力でごっこ遊びをする「建前」みたいなもんです。

 

TRPGはルールのある、ゲームである。」

(ゆえにやりたい放題の子供のごっこ遊びとは違うんだぜ~)

みたいな免罪符を掲げて大人げなく児童のように「ごっこ遊び」をできる素敵なゲームなのです。

詳しく知りたければTRPGについてはまあこの記事とは別のところで覚えてください。

 

omamesensei2.hatenadiary.jp

 

 

で、そんなTRPGには「ルールがあります」

 

ルールのあるごっこ遊びですからね、そりゃあルールはあります。

 

で、多分ゲームで遊ぶ人は「ああー」ってなると思うんですが

ルールのあるゲームって必ず「抜け道を探す人」や「最強を目指す人」が生まれるんですよね。

そんな中でマンチキンという概念があります。

 

これもまた詳しく知りたければこの記事じゃないところで…

omamesensei2.hatenadiary.jp

 

 

マンチキン

その中でも「和マンチ」とされるタイプのプレイヤーはある種の迷惑さと同時に一部のプレイヤーからの尊敬を集めています。

 

ルールの範疇、ルールの解釈の中で「最強」を目指す遊び方をする人たちです。

児童から子供になって(そして大人になって)なお、「ごっこ遊び」をする僕らはやっぱり「最強」というものに憧れます。

そして同時に「薄っぺらい最強」というものをちょっと斜に構えた目で見てしまいます。

(トラックに轢かれて異世界に行ったらチートスキルで最強とかそういうの)

 

で、拗らせたうえで「ちゃんとしてるように見える最強」みたいなのに焦がれるんですよ。

 

これは「チート最強」と「ちゃんとした最強」の間に優劣があるという話ではなく、

前者を好まない層の中にも最強に憧れる層はいて、その人たちは後者を高く評価する…程度の話です。

 

和製マンチキンとはそういった「ちゃんとしてるように見える最強」のある種の極致です。

 

「だってルールは守ってるんだからおかしくないよな?」を盾にやりたい放題したい放題。

ハメ技とかコンボとかの開発に心血を注ぐわけです。

 

「おい、いつまでそんな話をしてるんだ。ラノベの布教はどこに行ったんだ?」

 

 

ええっと、そうでした。そうでした。

ラノベの布教をしたかったのです。

 

異修羅(いしゅら)』という小説の作者はぜったい根っこがマンチキンだと僕は思っています。

 

「弱点の○○を克服できる××キャラを作ろう」とか

「○○以外は凄い××の中で、もし○○が凄いキャラを作ったら…」みたいな。

 

そういうことを考えてキャラを作ってるに違いありません。

 

例えばニヒロという女性キャラがいます。

f:id:omamesensei:20200905071620j:plain

参照:https://twitter.com/bunko_dengeki/status/1160840051606953984?s=20

 

彼女の初登場エピソードは『異修羅(いしゅら)』書籍版1巻に収録されていますので是非読んでほしい。

f:id:omamesensei:20201223151738j:plain

異修羅I 新魔王戦争 (電撃の新文芸)

 

 

このキャラクターについて説明するので皆さんは説明を聞いた後で「マンチの作ったキャラだな」と言ってください。

 

ニヒロの戦闘スタイルは「絶対防御」です。

イラスト右側のクモっぽい奴。

あれがニヒロが乗る多脚戦車です。

 

防御力が凄くてマジで一切の隙間が無い。

こういう「凄く硬い防御」の、いわば「鎧」を着込んでいるキャラの弱点は古今東西

「衝撃を内部に通す」だとか「毒殺する」とか「絶対防御状態を維持しすぎて内部で窒息する」だとか「使用者の寿命が切れる」とかそんなのが思いつきますね。

早い話が「中の人」を戦闘不能にすればいいのです。

 

このようにして「何かすごく強い武装」だけを突き詰めたりすると、

大抵揚げ足を取られて負けます。ゲームマスターも対策仕様としてきますからね。

 

そういう「揚げ足を取られるであろう文脈」の一歩先を行くキャラの造形が多いのが『異修羅』です。

 

このニヒロという女性は…ゾンビです。

「衝撃を内部に通す」だとか「毒殺する」とか「絶対防御状態を維持しすぎて内部で窒息する」だとか「使用者の寿命が切れる」とか。

そういう「中の人」を戦闘不能にする手段の多くを却下してきます。

だってゾンビだもん。

ゾンビが寿命で死にますか?

ゾンビが窒息して死にますか?

ゾンビが毒殺されますか?

 

いいえ、ゾンビはもう死んでいます。

 

ええ、そうです。

「マンチの作ったキャラだな」

 

 

こういうのがたくさん出てくるラノベ、それが『異修羅』です。

 

カッコイイ主人公とか無能扱いされる主人公が持つ「能力無効化」みたいなキャラもいます。

まあ情にほだされたり、近接格闘で負けたりするやつですね。

策士に騙されて利用されるというのもある種の敗北でしょうか。

 

作者はマンチキンなのでこの能力無効化を「言葉が通じないデカいオーガ」に与えました。

コミュニケーションに難があるからいいように利用することもできないムキムキマッチョの無効化キャラ。

 

「マンチの作ったキャラだな」

 

こういったキャラを集めてトーナメント戦をやるのが『異修羅』です。

 

マンチキンの最強決定戦群像劇なんだよな。

 

そもそもなんで彼らは戦うのでしょう。

勝てば何でも願いが叶えてもらえるとかそういうのでしょうか?

いいえ、違います。

 

実はこの世界、魔王とか勇者とかそういうのがいる世界です。

で、この魔王様がしばらく前に死にました。

多分、勇者が殺したんでしょう。知らんけど。

 

しかし、勇者。一向に名乗りを挙げません。

 

困った国の偉い人たちは考えました。

「せや! 最強決定戦しよう! 勝った奴が勇者。魔王を倒せるくらい強いんだからそこら辺の『ただ強い奴』に負けるとかないやろ」

 

そういう建前で最強決定戦が始まり、勇者候補の修羅たちが戦うのです。

 

例えば「四次元ポケット」的な「どうぐぶくろ」から各種ダンジョンで入手した高レアリティアイテムを使ってくる勇者候補アルスもいます。

勇者っぽ~い!

 

まあ、でもこいつは魔法みたいな技が使えるわけでなく「魔法みたいな効果を持ったアイテム」を使うタイプの「アイテムユーザー」で、

大体そういうタイプの敗因は「アイテムを使うより早く攻撃される」とか「手がふさがってる」なんですよね。

ドラえもんが、ガサゴソとポケットの中から道具を探して両手をポケットに入れているシーンが「ピンチ」として描かれるのは何度も見たことがあるだろう。

ドラえもんだいだいのパターンでは探すのが間に合う。

ただ、そこは読者もちょっとだけハラハラする(たまに目当ての道具が出てこないしね)

 

そこで作者はアルスワイバーンにしました!

f:id:omamesensei:20201223151922j:plain

あと手も一本付け足しておきました。

これで道具袋を探す間も残る1本の手で武器や防具が使えて便利ですね!

あと飛んでるしとっても速いので、道具を探すのが間に合わないこともなさそうです。

 

「マンチの作ったキャラだな」

 

もちろん手が一本多いという「障害」を患っている彼の悲しさとかオリジンストーリーとかは結構、感動してじわっと涙が浮かんだんですが、一歩引いた目で見ると完全に「腕が3本ある」はメリット能力ですからね、ゲーム的には。

 

そういうわけで、この作品の作風がなんとなくわかって来たと思います。

 

でも話はもう一段階進むんじゃ。

 

 

「強さ」とは何か?

 

トーナメント式の最強決定って、読んでる方からのイチャモンがつくことがたまにあるんですよ。

ヤムチャ最強論とか。

ドラゴンボールのトーナメント戦で一回戦負けしたヤムチャの対戦相手が本来出場するような存在ではない『神様』という規格外の存在だったため、神様のが乱入がなければヤムチャが優勝してた可能性があるというイチャモン。

 

ヤムチャ最強論を謳う人は大抵本気でヤムチャが最強だとは思っていないが「トーナメント制による最強決定」への問題指摘として引き合いに出される。

 

「たまたま『石太郎くん』は一回戦で相性の悪い『紙の助』に負けたけど、実はトーナメントの組み方が違って一回戦で『紙の助』と『ハサ美ちゃん』が当たってたら相性で『ハサ美ちゃん』が勝って、2回戦で当たった『石太郎くん』と『ハサ美ちゃん』では『石太郎くん』が勝つかもしれないじゃん」

みたいな相性論法とかもある。

 

オタク、そういうこと言いがち。

 

なので『異修羅(いしゅら)』では、そういう「トーナメントを決める政治力」とか「そういう政治力のある人間とコネクションが作れるか」とかも強さの中に含まれるし、

もっと言うと『試合開始前に油断している相手をぶち殺したら?』とかもっとひどい『***自主規制***』とかそういう盤面の外から手出しするのも強さに含まれる。

 

 

「マンチ、戦闘じゃなく言葉で物事を解決しようとする」

 

 

そういうわけで、『異修羅(いしゅら)』は多角的に「強さ」を扱いながら最強決定戦を進める。

もちろんそこには物語がある。

 

「腕が3本あるワイバーン」は一歩引いたらマンチのキャラビルドですが、

ここに「物語」がつくと「余分な腕のせいでバランスが取れず、飛ぶことすら満足にできないワイバーン」が「決してあきらめない貪欲さのある人間」と出会って変わっていくとかそういう「エモい文脈」で修飾してお出しされるわけです。

 

むき出しの骨格ではなくそこには「物語」による魔法がかけられています。

だから『異修羅(いしゅら)』は面白いんだと思います。

 

万人がおもしろいと思うことはないんだけど、「ハメ技じゃないか…」みたいなのが好きな人にはかなりウケがいいと期待してます。

 

ちなみに僕の好きなキャラは小人の、クウロです。

f:id:omamesensei:20200905083750j:plain



 

彼が活躍する短編が、コロナ関係のステイホーム応援企画のため無料で読めちゃうからそこから読むのもいいかもしれません。

電撃の新文芸『異修羅』/珪素 - KADOKAWAラノベ横断企画 スペシャルSSでおうち時間を楽しもう!(電撃文庫) - カクヨム

 

「おうち時間を楽しもう!」「ステイホーム!」みたいな企画にこういうのを投げる作者なんですよね…

 

異修羅(いしゅら)』、和マンチの書きそうな小説が読みたい人にオススメです。

www.youtube.com