ポケモンとBUMP OF CHICKENのコラボMVが公開されて多くのポケモンファンが湧いた9/29の夜。
PVの冒頭が「線路の上を行く4人の男の子」から始まることに、
赤・緑世代のプレイヤーの一部が盛り上がっていた。
私もまたその一人だ。
赤・緑では冒険の始まりとなる自宅のテレビに映画が映っている。
内容は…
あるいは赤緑世代でなくサンムーン世代のプレイヤーも見たことがあるかもしれない。
これらの[ おとこのこが 4にん せんろのうえを あるいてる…… ▼ ] のがMV冒頭のシーンだ。
このシーンは映画の「スタンド・バイ・ミー」が元になっている、という逸話がある。
定説でありTwitterには一時期スタンド・バイ・ミーがトレンド入りすることになった。
しかし、その「元ネタがスタンド・バイ・ミー」ということのソースが呟かれているのは見かけなかった。
まあソースなんかなくてもMVの4人がスタンド・バイ・ミーの4人だと分かるほどにそっくりだと言われればそれまでなんだけど…
(著作権とかの問題があったのか服とか結構違うのに「あの子だ!」とわかるデザインセンスがいいですね。)
ゲームフリークの田尻智が以下のインタビューで語っているのがソースかもしれない。
『ポケットモンスター』で最初に1階へ降りると母親がテレビで映画の『スタンドバイミー』を観ているように、少年がなにかこう知的な刺激を得たり、新しい道具を手に入れたりしたときに、自分の見ている世界観が変わるようなことと同じで、それは世界中のどこへ行っても10代くらいの少年の気持ちのなかには共通してあるものなんです。
引用:https://www.nintendo.co.jp/nom/0007/taidan1/page04.html
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(個人的オススメは吹き替え)
個人的な思い出語りになってしまうのだけど、
スタンド・バイ・ミーは母親が大変好きな映画で、子どもの頃に何度もそのタイトルを聞いた。
「きっと今はつまらなく思うかもしれないけれど、この映画は大人になったときにまた見なさい。多分ずっと変わって見ることができると思うから」
そう母がたびたび言っていたのを今でも覚えている。
ポケモンが来年25周年を迎えようとしている。
あの頃、ポケットモンスター緑を遊び、スタンド・バイ・ミーだと知らずにゲーム内テキストを読んでいた私も、もう十分に大人だと言える年にはなったと思う。
(中身も伴っているかはあまり自信はないけれど…)
よく分からない映画だったスタンド・バイ・ミーを改めて観るべき良い機会だと思った。
アマプラ無料と言うこともあって手を伸ばしやすかったのもある。
大人になった私の目に、スタンド・バイ・ミーはどう映るだろうか?
泣いた。
静かに涙を流した。
短い言葉で感想を述べるとしたらスタンド・バイ・ミーは「エネココアのマズさを知る話」だった。
ポケモンを今まで遊んできた経験が頭をよぎる映画だった。
当たり前のことだが Pikachu のぬいぐるみが出てきたりはしない。
だけど、この映画を見るとポケモンの記憶をくすぐられるのだ。
緑の「線路の上を行く男の子たち」
銀で聴いた「ラジオ音楽」
サファイアで作った「秘密基地」
そう言った記憶のかけらを刺激する要素が散らばっていてポケモンと言うシリーズの発想の根元はこの映画にあったんだと感じる。
キャッスルロックのエネココアはまずい
スタンド・バイ・ミーの作中で主人公が語る「パイ食い大会」の話。
あれが『ラストが気に入らねえ』と言われるのは、きっと聞き手側がバカなのとは別の理由がある。
『パイ食い大会』はエネココアのまずさから逃れられない終わりだったから面白くないのだ。
しかし、ひと夏の冒険を終えた彼らにとって自分たちの町キャッスルロックは小さく見え、少年たちはエネココアのまずさを知る。
親友はエネココアのマズい町を飛び出して弁護士になる。
エネココアが不味いままで終わらないスタンド・バイ・ミーの物語全体が『パイ食い大会』よりも遥かに面白く感じると、ほぼ同時に「冒頭で大人になった主人公が読んでいた新聞記事」に書かれた弁護士死亡事件が繋がるラスト。
私の目からは涙の粒が零れ落ちた。
現代のインターネット社会は多分、昔よりも自分の町のエネココアのまずさに気づきやすい。
それでもマズいエネココアを飲み続けるのか?
あるいはエネココアのマズい島にいながらも世界とつながることができる現代の通信インフラを通して「島の外に出る」のか。
これからもポケモン・コンテンツが島の外の広い世界を知る後押しになる作品であればいいなあ…と大人になってもポケモンのMVで湧く私は思うのだ。