久しぶりの(コロナのせいで本当に久しぶりの)映画記事です。
今回、布教したい映画は「TENET テネット」です。
さて、この「TENET テネット」という映画は一般的には時間モノのSF作品として紹介されています。
そしてその難解さを指摘する声も多くあります。
業界人のコメントでは「凄い!」と褒める感想の皮を被った「正直、よくわからん」と言いたげな感想が散見されますし、
SNSでは「考察」や「解説」と銘打たれた文章がいくつも見受けられるなど「TENET テネット」は難解な作品であるという風潮があるのは事実です。
ええ、それ自体は否定できません。
「TENET テネット」は正確な理解をしようとすると深い深い考察沼へとハマることになる厄介な映画です。
しかし、「TENET テネット」を見るためのハードルを自分の中で上げすぎないでほしいとも思うのです。
「頭のいい○○さん達が考察してる映画だけど自分には難しそう…」と尻込みしてほしくはない! そう私は思うのです。
「TENET テネット」は難しい映画だけど「TENET テネット」を楽しむのは難しくない! 私が言いたいのはそういう話です。
「TENET テネット」のジャンル
SFに難しいイメージを持っている人もいるかもしれません。
「TENET テネット」が時間や未来をテーマとしている点から「TENET テネット」をSF映画だと思って敬遠する人もいることもまた想像に難くありません。
しかし、私自身は「TENET テネット」を見てSF映画とはまた少し違うジャンルの映画だと感じました。
いや、もちろん「TENET テネット」がSFであること自体は否定しません。
「TENET テネット」にはSFの要素は多分に含まれています。
しかし、「ジャンル」が何かと問われれば私は「TENET テネット」を別の映画ジャンルとして紹介したく思うのです。
「TENET テネット」はスパイ映画
「ミッション:インポッシブル」や「007」などのスパイアクション映画。
「TENET テネット」はそれらによく似た構成をしています。
頼りになる仲間と達成困難な任務に挑み、正体不明ながらも「重要なアイテム」を求めて世界各地を回り、任務の途中で美女が出てきて彼女を危険に晒す悪役とバトル!…みたいな。
「TENET テネット」の感想で「2回見ないとわからない」といったフレーズをよく見かけます。
(3回見てもわからない…などよりオーバーな表現もたくさん)
しかし、これらの感想は半分正解で半分間違っていると僕は思います。
そもそも2回見ないと面白くない映画って「未完成品」だと思うんですよね。
もちろん1回目に見たラストで「どんでん返し」のある映画を見た時につい「2回見ることで初めて楽しめる」という感想を口にしたくなるものです。私もそういうときがあります。
でも、本当にしっかりした「どんでん返し」のある映画は1度見るだけで「ああ! あの時のアレはそういうことだったのか!」と唸らせてくるものです。
「TENET テネット」はどうでしょう?
スパイ映画としての「TENET テネット」
つまり「時間兵器」に関わるギミックをある種のマクガフィンとして見た場合の「TENET テネット」は2回見なければ分からないほど難解ではなく、1回だけでも「それっぽさ」を飲み込むことができます。
「TENET テネット」は難解、2回見ろ!という意見は「TENET テネット」をSFとして完全に読み解こうとすると立ちはだかる壁を乗り込めるためには2回以上見ろという話であってスパイアクション映画としての「TENET テネット」は1度見るだけでも十分に楽しむことができると私は感じました。
「TENET テネット」は難解です。
全貌を理解するためのハードルはとても高く…
しかし「TENET テネット」を楽しむためのハードルはそれほど高くありません。
「TENET テネット」はスパイアクション映画のマクガフィンを「ダイヤモンド」や「機密書類」でなく「時間兵器の構成パーツ」にしたことで副次的に、「すごいスパイツール」や「敵の使う非合法なヤバい攻撃手段」なども時間テーマのものに変わっています。
(命中したという結果の方が先に起こり時を逆さに進む『逆行弾』など)
しかし、それらは「今まで見たことない奇妙なアクション」を見せるための舞台装置に過ぎません。
難しくそれらのアイテムの作用について悩むこともできますが「今まで見たことない奇妙な映像」でのアクションシーンを見て「すっげ~!」と感じるだけで十分に楽しむことができるのです。
繰り返します。
「TENET テネット」は難解です。
全貌を理解するためのハードルはとても高く…
しかし「TENET テネット」を楽しむためのハードルはそれほど高くありません。
「TENET テネット」はバディアクション・スパイ映画として見るだけでも楽しむことができるのですから!
「TENET テネット」の監督の発言を引いてきましょう。
ノーラン監督は、「この物語のコンセプトは時間そのものであり、私たちが時間をどう体験するかを描いています。それを、サイエンスフィクションとスパイジャンルの要素を交えて紡ぎ上げているのです」と語っています。
引用:映画『TENET テネット』オフィシャルサイト *リンク先ネタバレ注意*
人々はサイエンスフィクション部分について難しい難しいと繰り返します。
しかしスパイジャンル部分を強く意識して見れば独特の映像体験を味わえ、バディの友情に心揺さぶられるアクションムービーとしてシンプルに楽しめます。
難しい映画だからと敬遠せずに、ぜひ「TENET テネット」を楽しんでみてほしい。
そしてもしどうしてもサイエンスフィクションの部分への好奇心がお財布を緩めたなら複数回の視聴をすればいいのです。
最初から2回見る覚悟無しでも、ほぼCG無しで撮られているとは到底思えない「TENET テネット」のド迫力で奇妙な映画を味わえるのです。
そしてこの奇妙な映像はSNSの感想でなく劇場に足を運ばないことには得られません。
仮に「TENET テネット」が小説だとしてこれほど面白かったでしょうか?
私にはそうは思えません。
「TENET テネット」がアメリカンコミックだったなら?
これもそうとは思えません。
「TENET テネット」がアニメーション映画だったなら?
前の2つよりは面白いでしょうね。
動きがあることは「TENET テネット」にとってとても重要です。
でも、それは奇妙なアニメ映画と言うだけでしょう。
実写映画として「TENET テネット」が撮られたことで「今まで見たことない奇妙なアクション」を十全に楽しめるのです!
ここから先は言葉を連ねても無粋でしょう。
言葉では伝えづらいものなのですから。
正直なところ、私はこの映画のSF側面について若干懐疑的です。
「いや、それ理屈として何かおかしくないか?」と感じる部分もありました。
(これは私の側の不見識によるものなのかもしれませんが)
しかし、そういったおかしな現象もすべて納得できる「理由」があります。
監督は「今まで見たことない奇妙なアクション」を撮りたかったのです。
かっこいいシーンが優先で理屈は後から付ければいいんです!
監督の難解な脚本を読んで困った主役。
彼に監督が言ったという「そんなに脚本を分析しなくてもいいよ」「シーンを信頼して」などの発言はまさしく、「TENET テネット」の「今まで見たことない奇妙なスパイ映画」としての側面を象徴していると私は感じました。
(この発言のソースは劇場パンフレット。非常に価値あるSF映画としての考証にも富んだ一冊なので、アクション映像美だけでなくSF映画として「TENET テネット」を堪能したいならぜひ購入をオススメします。)
言葉で言っても伝わらないものを伝えるために色々と工夫してみたけれど、
実際にPVを見てもらう方が早いでしょう。
ところどころ「奇妙な動き」「違和感」のあるスパイムービーの世界がそこにあります。
PVの最後、飛行機をぶつける作戦について楽し気に語る二人。
金髪の若者をバディとした黒人のスパースパイが主役の…
バディものスパイ映画
ンョシクアFS行逆間時
今回のオススメ映画、「TENET テネット」をよろしくお願いします!
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