バーチャルVtuver豆猫さんの与太話

バーチャルVtuver(存在しないVtuberを装う遊びをする人) ※当ブログはファンコンテンツ・ポリシーに沿った非公式のファンコンテンツです。ウィザーズ社の認可/許諾は得ていません。題材の一部に、ウィザーズ・オブ・ザ・コースト社の財産を含んでいます。©Wizards of the Coast LLC. ウィザーズ・オブ・ザ・コーストのファンコンテンツ・ポリシー|WIZARDS OF THE COAST GAMES 連絡用Gmail:beencatsun@gmail.com

【#MTG 】クリーチャー・タイプによる盤面の複雑さとリミテッドの関係

f:id:omamesensei:20210224143501p:plain

 

やあ、バーチャルVtuverの豆猫さんだよ。

書こうかなー、と思っていた題材について他の人の記事に触発されて書いてみることにする。

 

今回は「最近のセットとクリーチャー部族テーマの複雑さ」の話だ。

 

書くきっかけになったのは「もち饅頭 (@AnCoveredMochi)さん」のnote記事。

 

 

こちらのnoteでは《遍歴のカゲロウ獣》という”理解上の複雑さ”を持ったカードと、

”戦略的複雑さ”について触れられている。

非常に興味深い記事なので読んでみることをオススメする。

 

さて、このnoteを読んで背中を押される形で私も書きかけの記事に手を付けてみることにする。

 

もち饅頭さんの記事で触れられている”戦略的複雑さ”、及び《遍歴のカゲロウ獣》に伴う”理解上の複雑さ”

この2つの用語はマジックの主席デザイナー、我らがマークローズウォーターが提示した3つの複雑さのうち2つである。

 

となれば、残る1つの複雑さにも注目すべきだろう。 

(この複雑さについてもち饅頭さんが書き落としているわけではないことは明記しておこう。単に用語を使っていないだけで『実際に戦場で出会ったときの複雑さ』という表現で軽く触れている。)

 

残る1つの複雑さ。それは『盤面の複雑さ』である。

 

 

『盤面の複雑さ』とクリーチャー部族

 

盤面の複雑さの例としてマローは『モーニングタイド』の社内プレリリースを挙げたことがある。

 

私が誤りに気づいたのは、『モーニングタイド』の社内プレリリースの時だった。私の正面に座っていたマジック経験のほとんどない社員にとって、網の目のように複雑な部族の相互作用はわけがわからないものだったのだ。ゴブリン戦士ゴブリン部族戦士部族の影響を受けるが、ゴブリンウィザードゴブリン部族ウィザード部族の影響を受ける。さらに人間ウィザードまでいる。

ゴブリン部族は先の2つには影響するが、3つ目には影響を及ぼさない。かと思えばウィザード部族はあとの2つに影響を与え、1つ目には影響しないのだ。これにさらに10体のクリーチャーが増えると、ほとんどのプレイヤーは盤面を把握できなくなっていた。たった1マッチしただけでプレリリースから立ち去るプレイヤーを見たのは、あれが初めてだった。  

引用:塩が失敗を美味しくするからマジック:ザ・ギャザリング 日本公式

 

モーニングタイド』は戦士ウィザード、ならず者などの職業クリーチャー・タイプを推奨するパックだった。

f:id:omamesensei:20210224135559p:plain

 

そして、直前のパックである『ローウィン』では巨人エルフなどの種族クリーチャー・タイプを推奨していた。さらにすべてのクリーチャー・タイプを持つキーワード能力多相が初登場したのもこのパックである。

f:id:omamesensei:20210224140034p:plain



 

さて、勘のいい読者はもう気づいているかもしれない。

戦士ウィザード、ならず者などの職業クリーチャー・タイプ巨人エルフなどの種族クリーチャータイプを推奨する多相のパックが連続して発売…

そう、頭をよぎるのは『ゼンディカーの夜明け』と『カルドハイム』である。

 

冒険者のパーティーを表現するために、『ゼンディカーの夜明け』では戦士やウィザード、ならず者などの冒険者の職業を表すタイプに光が当てられていた。

f:id:omamesensei:20210224141222p:plain

 

一方で『カルドハイム』を見てみるとこちらにもクリーチャータイプを参照するテーマがあり、巨人やエルフ(またも巨人やエルフである)を扱うテーマが存在し、再録メカニズムとして多相も収録されている。

f:id:omamesensei:20210224140631p:plain



 

おいおいおい。

ウィザーズは過去の失敗から何も学んでいないのか!?

そう驚くかもしれない。

 

しかし、この記事はそう言った批判的な内容のために書いているものではないのだ。

むしろ、連続するセットでのクリーチャー・タイプの扱いがこんなにも似通ったパックが非常によく改善されていることを伝えたい記事なのである。

 

MTGの部族デザインに関わる変化を見てみよう。

 

リミテッドでの部族

 

まず初めに抑えるべきは『ブロック制の廃止』だろう。

ローウィン』と『モーニングタイド』の2つは単に連続して発売するだけでなく、

同じ舞台を描き、相互に関連し…1つのブロックして扱われ

それぞれのパックを混ぜてリミテッドが行われる。

プレリリースでは基本的にリミテッド形式の試合がおこなわれていた。

 

つまり、『ローウィン』と『モーニングタイド』ではごちゃごちゃとした2系統のクリーチャー・タイプ推しが網の目のように絡み合った状態でゲームが行われていたのだ。

 

一方で、『ゼンディカーの夜明け』と『カルドハイム』はどうだろう?

これらは基本的に2つを混ぜてリミテッドを行うことはない。

 

別種のパックを混ぜてリミテッドを行っていたのはかつてマジックに存在した『ブロック』という制度に関連する理由であり、ブロック制でのパック販売を廃止した現代マジックでは、連続したパックを混ぜてリミテッドを遊ぶことは滅多にない。

 

ゆえにマローが『モーニングタイド』の社内プレリリースで見たような不幸な混乱は『カルドハイム』のプレリリース店舗で見られることはなかった。

(この文章には欺瞞があり、そもそもコロナのせいでカルドハイムのプレリリースがショップで行われることはなかったんだよな)

 

 

単体のリミテッドではどうか?

 

では、『カルドハイム』単体でのリミテッドはどうだろう?

このパックを使ったリミテッド戦ではクリーチャー・タイプによる盤面の複雑さはどう制御されているのだろう。

 

実際にいくつかのカードを見てみよう。

f:id:omamesensei:20210224125850p:plain

 

《圧死》は巨人テーマを支える除去だ。

このカードでは「閾値1」が使われている。

あなたは巨人を場に出しているかどうか?の一点だけを尋ねるため、戦場に巨人が何体いるかを数えて頭を悩ませる必要はない。

 

巨人スイッチはオンかオフか? シンプルな問いだけをこのカードは聞いてくる。

 

エルフ部族のサポートカードも見てみよう。

f:id:omamesensei:20210224130636p:plain

 

こちらも盤面全体の数値を計算し続けるような盤面の複雑さとは無縁である。

墓地からクリーチャーを蘇らせる。

そして、それがエルフかどうか?という単発的なチェック項目だけがあり、

プレイヤーの頭を悩ませ続けないように工夫が凝らされている。

 

 

ではカルドハイムにはローウィンにあった「エルフ全体を数値的に強化するロード」などはいないのだろうか?

f:id:omamesensei:20210224132437p:plain

 

ああ、たしかにこういう恒常的なサイズ修整を行うカードはカルドハイムのドラフトブースターからは排出されにくくなっている。

 

しかし、それらを望むプレイヤーの期待にもウィザーズ社は答えてくれる!

 

f:id:omamesensei:20210224132652p:plain

 

カルドハイムに棲むエルフのロードだ!

 

実はこのカード、収録方法が少し変わっている。

 

マジックの歴史の中でブースターパックの発売方法は何度か変化している。ブロック制の廃止もそうだし、ブースターの種類を増やしたのも大きな変化だ。

 

カルドハイムのブースターパックは日本語版では3種類が発売される。

 

リミテッド戦を楽しむ人たちのためのブースター。

コレクター向けに絵柄違いカードなどを多めに収録したブースター。

そして、セットブースターと呼ばれるブースターパックだ。

 

このセットブースターにはリミテッド戦のためのブースターには入っていないカードが何種類も収録されている。

 

これらのカードはカルドハイムのカードとして扱われ、カルドハイム期のスタンダードで使用可能である一方でリミテッド戦では決して見かけることがない。

 

エルフのロードはリミテッド用のパックからいわば隔離されて、カジュアルプレイヤーがスタンダードで部族テーマデッキを楽しめるように、分けて収録されているのだ。

 

ウィザーズのカードデザインは年々、ノウハウを積み上げ、過去の失敗から学んでいる。

現代マジックのカードがローウィンでクリーチャータイプを扱った時の盤面の複雑さ

から学んだデザインをカルドハイムで行い、パックの発売方式そのものを見直したことで大きく変化し適用して見せた。

 

現代マジックで我々が感じる複雑さの数々も、やがて数年後のマジックでは改良されているだろうという期待が持てる。

 

複雑さを下げる一方で緩やかなシナジーを推している点も注目したい。

カルドハイムでは「ならず者」は単にならず者でしかない。

しかし、『センディカーの夜明け』のパーティシナジーやローグデッキと組み合わせても楽しむことができる。

 

複雑さのすべてが悪いわけでなく、排除するべきものだとは思わない。

f:id:omamesensei:20210224141835p:plain

スタンダードの赤単氷雪デッキで《不詳の安息地》がならず者シナジーに参加できるなど意外な組み合わせが輝くのは悪い事でなくむしろ良い事なのだから。

 

 

ウィザーズが興味深い相互作用を残しながらリミテッドや初心者参入時の複雑さの壁とどう戦っていくのか?

これからの発展をプレイヤーとして楽しみにしたい。

 

 

広告

 

 

その他カルドハイム記事

 

omamesensei2.hatenadiary.jp

omamesensei2.hatenadiary.jp

omamesensei2.hatenadiary.jp