今日は映画の話…ではなく、
「映画の話をする漫画」の話をするよ。
映画の話をする漫画のジャンルってなんて呼ぶべきなんだろうね?
シネマ漫画?
ムービー漫画?
ピンと来る表現がないので、
この記事では暫定的にそう言った「映画を話題にする漫画」のことを『映画トーク漫画』と呼ぶことにしよう。
というわけで、私が選ぶ『映画トーク漫画』を3本紹介するよ。
『キャラクター同士の関係性』がとてもいい作品ばかりなので是非読んでほしい。
「映画トーク漫画の選なら映画についての部分をポイントにしろよ! 」と怒られるかもしれないけれど、
漫画である以上は「キャラクター」と「キャラクター同士の関係性」はとても重要なものだと私は考えているんだ。
それでは紹介していこう!
一本目『邦キチ! 映子さん 』
邦画プレゼン女子高生 邦キチ! 映子さん (マーガレットコミックスDIGITAL)
「今回、私が読んだ漫画はですね〜! 『邦画プレゼン女子高生 邦キチ!映子さん』であります~」
「邦画プレゼン!? なんなんだその漫画は!?」
「作者は日本ペン習字研究会の漫画『日ペンの美子ちゃん』でお馴染み、服部昇大センセイ!」
「に、日本ペン習字研究会…!?」
「この漫画の特徴はですね~ なんと漫画の実写化映画を始めとする『マニアックな映画』が題材に取られることが多い点であります~」
(じ…実写版だと!? そ、それは俗に言うクソ映画好きというものなのでは!?)
「そう言った個性的な漫画を主役の女子高生がプレゼンするのを同じ部活の部長が聞くという漫画になっていまして…なんと、この部! 所属しているのが部長と女子高生の二人しかいないのでありまする~」
「なるほど。二人だけの甘酸っぱい部活。その2人のラブロマンスと言うわけか」
「いえ、ラブ要素は全くありません。2人は付き合っておりませんし…」
「そうか。恋愛要素はなし、俺の早とちりだったか。」
「2人はせいぜいスマホのパスワードを相手の誕生日にしているだけの間柄なので…」
「それはもう付き合っているだろ!!!」
「ええっ!? し、しかし作中にはそのような描写は全くなく…」
(付き合っているんだよ、それは! 画面に映っていないところで付き合っているんだ!! 間違いなく、そうだ)
「そ、それにこの漫画の登場人物はこの2人だけではありませぬ! 他にも女性キャラクターがいる中で、部長と女子高生が付き合っていると決めつけるのはいささか気が早いかと」
「そう言われると、そうかもしれないな。それで他のキャラクターと言うのは…?」
「チャイナドレスに身を包み、語尾にアルをつけて映画を勧めてくる隣の部室の女生徒などが出てきまして…」
「それはいかにもカンフー映画なんかを進めてきそうなキャラクターだな…」
「いえ、彼女がオススメする最初の映画はバーフバリであります」
「バーフバリ!? それは中国じゃなくてインド映画だろう!?」
二本目『おやすみシェヘラザード』
おやすみシェヘラザード(1) (ビッグコミックススペシャル)
「今日、私が話す漫画はね~女の子ふたりが夜にベットの中で映画の話をする漫画なのよ~」
「ベットで、ですか」
「そう。ベットなの~。それでね~映画好きの先輩が〜後輩ちゃんに夜な夜な話す映画の話が~」
(話し方が妙に艶っぽくてなんだか目を合わせられない…)
「映画の話が、と〜ってもつまらないのよ~~」
「つまらないんですか…??」
「そう。そうなのよ~ この先輩の話し方がね。な~んかぼんやりしていてね~。おもしろ~い映画の話をしていても、それはもう、と〜ってもつまらなそ〜うに聞こえてしまうのよ~」
「それは…映画トーク漫画としてどうなんでしょうか…」
「あっ! でもね~。漫画自体は別につまらないとかそういうわけではなくて…ただちょ〜っとだけね~。映画トーク漫画なのに、ぜんぜん映画の話が頭に入ってこないだけで~」
(それはつまらないのと どう違うんだろう…)
「それにこの漫画の見どころはね~とにかくキャラクターが不必要なほど執拗に色っぽく書かれているところで~。そんな色っぽい先輩に下心をちょ~っと持って話に付き合う後輩ちゃんと、後輩ちゃんのことを純粋な子だと思ってエッチなことには触れないようにする先輩との関係性とかもそれはいいものなのよ〜」
「それは映画トーク漫画の売りとしてどうなんですか!?」
「でも、本当に映画を勧める先輩が美しくてね~。その美の秘訣を知りたがる生徒が講演会に集まるほどなの~」
「それって、もう本筋の映画トークから完全に離れていませんか?」
「そんなことないわ~。なぜならその先輩が教える美の秘訣とはね~」
(ゴクリ…)
「バーフバリを見ることなのよ~!」
3本目『木根さんの1人でキネマ』
「それじゃあオオトリを務める映画トーク漫画の紹介と行こうじゃない。この漫画は前の2つとは決定的に違うわ。 VHSで録画したテレビ放送の映画の体験について触れたり、他の2本にはない『歴史』があるのよ!」
\マウント取りたいだけレディー!/
「それって単に前2本が学生主人公なのに対して、『ひとりでキネマ』の主人公たちが30代独身女性だからだよね。 下手すると今の高校生達、VHS知らないと思うよ」
「……ッ! そ、それはともかく! この漫画は前2本と違って『映画』そのものを話題の中心に据えない回が結構な頻度であるのが特徴ね。」
「映画そのものの話をしない回?」
「特定のタイトルを話題にするのでなく、映画ファンあるあるネタや映画ジャンルあるあるネタが中心の回があるのよ。 これはここまでに紹介された2つの作品とは決定的な違いだと言えるわね」
「ねえ、どうしてひたすら前の2作品との違いやマウントの取れそうなところばかり探すの? もしかして…ここまでバーフバリでオチがつく流れが続いてることで、周りはみんなバーフバリを見てたのに自分だけ見てなかったことを思い出しちゃったの…?」
「~~~~!!!! ええ、そうよ! どうせ私は映画好きを名乗るくせにバーフバリを見ないでいたわよ!! 悪い!!」
「ううん、悪いなんて誰も言ってないよ。 ただ、ひとりでキネマの面白さとして そういう拗らせた性格の主人公を 同居人が ほどいていく過程には何か大切なメッセージが込められているのかもしれないって言うところも宣伝しておきたいよね」
「えっ、そういう漫画なのコレ?」
「違うのかな? わからないけど。映画の見方が人それぞれだってことをこの漫画が教えてくれたように、映画トーク漫画をどう読むかも読者それぞれなんじゃないかな?」
「でも、この同居人と主人公は別に同性愛者ではないって作中でも明言されてるし、そんなに2人の関係性に重点を置いてないんじゃ…」
「そんなことないよ! 映画の見方が人それぞれ違うように、幸せの形が皆それぞれ違うように、関係性を推してる漫画のゴールが常に恋愛関係だとは限らないんだよ。ひとりでキネマは2人の独身OL女性のバットガールズツーバットな関係性を通して、これからの多様化する社会制度の中で目指すべき幸せの形を」
というわけで…
オススメの映画トーク漫画3選ということで、これらの漫画を紹介するにあたって、どう言うスタイルを取るか迷った末にこう言う記事(その漫画のキャラの映画トーク文脈に載せて漫画自体を紹介する)にしてみた。
こんな紛い物よりも本家の空気を吸ってきて欲しいので、
ぜひそれぞれの漫画を読んで『キャラクターの関係性』を味わってきて欲しい。
それではまた次回。
漫画の布教になるか映画の布教になるかわからないけど、何かの布教記事でお会いしましょう。
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