やあ、マイナーフォーマット好きのみんな。久しぶり、元気にしていたかな?
私は今週もマイナーフォーマットを楽しんだよ。今週発売のパック『モダンホライゾン2』はデッキ総額1ドルモダンを大きく変える多種多様なカードが存在する。
MOの価格変動が落ち着けば興味深い新環境が訪れそうだ。
私たち1Tixモダンの民は《精霊龍、ウギン》の一時的な禁止解除も視野に入れている。
そんなことはまあ、どうでもいい。
今回、私が話題にしたいマイナーフォーマットはそれではない。
銀枠EDHについての話がしたいのだ。
今日の今日まで我々のプレイグループではある一枚の除去のルール上の処理を誤っていた。
それに気づいた《おしゃれな泥棒、アコーネリア》使いのプレイヤーがコミュニティに話題を持ち込んだので彼の許可をもらい記事を書くことにする。
似たような間違いをしていたプレイヤーが正しい処理を知って「ギャグカード」が非常にパワフルな除去であることを学んでほしい。
我々が処理を間違えていたのは《AWOL》というカードだ。
カード名の意味は無断欠勤。
牛乳パックの描かれたイラストが目を引くね。
- アメリカでは行方不明者を探すために、牛乳パックに写真つきで捜索願が印刷されている。そのパロディ。
さて、今まで我々がこのカードをどうプレイしていたか「誤ったルール」を説明しよう。
統率者である《ドラゴンの校正者、イキ》が攻撃してきた。
殴られた《騎士フクロウ、ケイディアン卿》のプレイヤーはブロック・クリーチャー指定ステップに《AWOL》を唱えた。もちろん対象はドラゴンだ。
さて、ここで《AWOL》のルール文章を確認しよう。
攻撃しているクリーチャー1体を対象とし、それを追放する。その後、それをゲームから取り除く。その後、最悪ゲームから徹底的に永遠に除去領域に置く。
このカードはまず追放し、その後で最悪ゲームから徹底的に永遠に除去する呪文だ。
このカードを処理するときに我々のグループではまず追放し、そしてそれを統率者領域においていた。
統率者戦(銀枠ではない方)のプレイヤーには馴染み深いであろう「統率者が追放される場合、それを統率領域への移動に変更できる」というルールの処理によるものだ。
これにより、統率者は徹底的に永遠に追放されることはなかった。
しかし、今日になって我々のプレイグループではこのルールが誤りであった…厳密には「ある時から、誤りになっていた」ということに気づいた。
そう、以前の銀枠EDHではこの挙動は誤ったものではなかったはずなのだ。
ことの変更は『基本セット2021』に伴う総合ルール更新である。
704.6d
うーん、この新しい部屋。ペンキの匂いまでしてきます。ここであまりくつろぐつもりはありませんが、次に行く前に統率者戦の新しい状況起因処理があります。あなたの統率者が墓地や追放領域に行くなら、それを統率領域に動かす機会が1回あります。過去の置換効果は死亡や追放されることには適用されなくなり、あなたの統率者は死亡するようになりました。統率者戦の章にある903.9 も、この変更に合わせて更新されています。
この時のルール変更によって「統率者を追放領域に置くのは状況起因処理」だということになった。
ふむ、そうすると何が問題になるだろう。
改めて考えてみよう。
《AWOL》によって追放された統率者は追放領域に置かれる。
これを置換して統率領域へと逃す。
それはもう追放領域にないので最悪ゲームから徹底的に永遠に除去領域という長い名前の領域に置かれることはなかった。
ところが基本セット2021以降の銀枠EDHでは異なる。
追放された統率者を統率領域へと逃すのは「状況起因処理」ということに再定義されたからだ。
状況起因処理?
それが何の問題があるのだろう。
状況起因処理は基本的に「いつでもチェックされる」かのようにおもわれている。
しかし実際には少し違う。
状況起因処理は呪文や能力を処理した直後、次の処理に入る前にチェックされる。
言い換えれば「呪文の解決中」は状況起因処理が手を出せない聖域なのである。
AWOLの例に戻ろう。
《AWOL》によって追放された統率者は追放領域に置かれる。
これを置換して統率領域へと逃す…ことはできない。今はAWOLの解決中だからだ。
それはもう追放領域にないので最悪ゲームから徹底的に永遠に除去領域という長い名前の領域に置かれる。
さて、ここまで解決が進んだ後で状況起因処理が遅れてやってくる。
そして状況起因処理くんは追放領域と墓地をチェックしてそのどちらにも統率者がいないことをチェックする。
もう少し先に最悪ゲームから徹底的に永遠に除去領域があって、そこには統率者がいるのに、状況起因処理くんは引き返して他の項目のチェックに移る。
どうして!どうして最悪ゲームから徹底的に永遠に除去領域にいる僕のドラゴンを統率領域に戻してはくれないんだ!
まあ、当たり前のことなんだけど状況起因処理くんは黒枠世界の律儀なやつなので彼のチェックリストには最悪ゲームから徹底的に永遠に除去領域なんかのことは書いてないのだ。
この事実は私たちの銀枠解禁統率者戦プレイグループの中で波紋を呼んだ。
単に統率者を統率領域に戻すだけの除去として《AWOL》を使った時に「黒枠のカードか〜????」などと煽りあっていた楽しい時間は過ぎ去ったのだ。
《AWOL》はそのデザイン通りに統率者でさえも最悪ゲームから徹底的に永遠に除去できるカードとしての扱いを受けるようになった。
(同時に僕の中で《ドラゴンの校正者、イキ》の評価が落ちた。こいつの能力は攻撃時に誘発するため常に《AWOL》の危険に晒されるからだ。)
最後に似たような例として黒枠のEDHでも参考になる例を挙げておこう。
《屍術淘汰》によって破壊された統率者は墓地に行くことを置換できずに、
それを唱えたプレイヤーの元に馳せ参じる。
それは変わらず統率者であり、生前に与えた統率者ダメージと転生先で与えた統率者ダメージは合計されることになる。
もし僕ら同様にAWOLを間違えて使っていたコミュニティがこの真実に気づきAWOLの評価を上方修正したなら嬉しいことだ。
さあ、私も自分の「軍医将軍統率者」デッキに《AWOL》を入れ直すことにしよう。
来週には銀枠解禁EDH会が待っている。モダンホライゾン2には銀枠EDHを大きく動かしそうなカードも少なくない。来週の銀枠EDH会が楽しみだよ!
ではまた次のマイナーフォーマット記事で会おう!
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