さて、今回は前回の無限ダンジョンに続いて、『フォーゴトンレルム探訪』のカードを使うカジュアルEDHのコンボの話をしよう。
今回注目したいコンボはこちら!
《無情の碑出告(ひでつぐ)》と相棒指定した《獲物貫き、オボシュ》のコンボだ!
*オボシュにはエラッタが出ています。( )内の文章は(このカードがあなたの選んだ相棒であるなら、ソーサリーとして(3)を支払うことでゲームの外部からそれをあなたの手札に加えてもよい。)と読み替えてください。
例えば対戦相手のライフが40点の場合、《無情の碑出告》はその半分の20点のダメージを与える。そして《獲物貫き、オボシュ》が戦場にいれば「20点のダメージの2倍のダメージ」を与える。
つまり40点のダメージを与えることになる。
これは相手のライフが5千兆点あっても変わらない。
「5千兆点の半分の2倍」のダメージが発生する。
とはいえ、このダメージは自分も受けることに注意だ。
自分が死んでしまっては元も子もない。そこで《無情の碑出告》のテキストに注目する。
ライフの半分のダメージは「切り捨て」である。
例えばライフ41点の場合、切り捨てた半分は20点でその2倍は40点だから…
なんと1点のライフが残る!
「自分のライフが奇数で対戦相手のライフが偶数の時」に碑出告オボシュのコンボを成功させれば君の一人勝ちだ!
さあ、君も碑出告を統率者に、オボシュを相棒にしてデッキを組もう!
…あれ?
フォーゴトンレルム探訪のカードは?
そう、ここまでフォーゴトンレルム探訪の話題が出ていない。
では先ほどの統率者と相棒のコンボの致命的な欠陥を指摘しよう。
統率者戦ではデッキに入れられるカードは統率者の固有色に含まれる色に制限される。
《無情の碑出告》の固有色は赤だ。
一方で《獲物貫き、オボシュ》の固有色は赤と黒で2色だ。
オボシュの方が色が多いため、碑出告EDHではオボシュをデッキに入れることはできない。
だが、待てよ。相棒はそういえばデッキに入れるカードではなかったな。
統率者で相棒カードを使う場合、それは100枚のデッキに含まれない101枚目のゲーム外のカードとして扱われるんだった。
じゃあ、赤黒のオボシュを赤い碑出告の相棒にすることができる?
ああ、相棒にすることはできるとも!
統率者戦でも、あなたは相棒を1枚持つことができる。統率者も含めたあなたのデッキは、相棒の条件を満たしていなければならない。あなたの相棒は、あなたのデッキのカード100枚のうちの1枚ではない。 相棒があなたの統率者の固有色と合致していないなら、あなたは相棒を手札に加えることができない
ほらね、MTGwikiにも書いてある。
君はオボシュを相棒にしても良いのだ!
ただし、大きな問題点がある。
あなたはオボシュを手札に加えることができないのだ。
はい、解散!解散!
そんな碑出告EDHの使い手に朗報だ。
こんなカードが『フォーゴトンレルム探訪』で登場する。
《ウィッシュ》の呪文をご覧あれ!
この《ウィッシュ》は相棒を用意した統率者戦デッキで、相棒を手札に加えることなくゲームの外部から直接唱えることを可能にする!
うおお!エラッタ前の相棒の再現だ!
3マナかかってるんだよな
しかし先ほどMTGwikiから引用したように相棒とはいえ赤黒のオボシュを赤い碑出告デッキでは手札に加えることはできない。
ん?
手札に? もしかして、手札を経由しない《Wish》ならいいのか?
おめでとう!これで碑出告オボシュのプレイヤーは報われるね!
これについてルールを当たった結果、興味深いテキストを見つけた。
まず、結論から言うと2020年4月10日の総合ルール変更によって「奇数で統一した赤単色の碑出告デッキで赤黒のオボシュを統率者にしても、それを《Wish》で唱えることはできない」と言う総合ルールでの決まりがある。
総合ルール903.11が根拠だ。
で、この根拠となる総合ルール903.11について(元)ルールマネージャーのイーライ・シフリンが在任中に興味深い公式記事を書いてくれている。
903.11.
統率者戦のゲームでは、多くのプレイグループは、ゲームの外部からカードを持ち込むことを禁止するルールを定めています。そのため、ゲームの外部からカードを持ってくるというものは何もしないだけです。そのプレイグループがそのルールを使わず、《燃え立つ願い》の類のカードでサイドボード的な何かから探すことができる場合でも、固有色のルールを破ることや、同名のカードをゲーム内に持ち込むことは認められるべきではありません。このルールはそれを単なる提案ではなく明確なルールとして確立させ、また相棒がある場合にもルールで処理できるようにしました。つまり、プレイグループの合意があればこのルールを無視することを決めても構いません。私はルール・マネージャーであって、カード警察ではありません。
引用:https://mtg-jp.com/reading/publicity/0033938/
整理しよう。
つまり総合ルールに従う限りでは、あなたは奇数コストの縛りを守りオボシュを脇に置いた碑出告EDHを統率者戦に持ち込むことはできる。
ただし、総合ルール903.11によってそれ自身の能力で手札に加えることも、それを《Wish》で唱えることもできない。
その上でイーライ・シフリンはカード警察ではないためプレイグループでの合意が得られるなら、「オボシュ自身の効果では手札に加えられないが、《Wish》を使ったターンに唱えることはできる」と言う協定を結んでコミュニティの中で遊ぶのは自由なのだ。
ただしオボシュを碑出告の相棒に指定するのはあくまで公式の総合ルールに従う場合の処理である。
統率者戦は限りなく公認に近い「カジュアルルール」であり、本家は公式ではないと言う変わった成り立ちをしていることには留意するべきだ。
If you’re playing a companion, it must adhere to color identity and singleton rules.
訳:あなたが相棒をプレイするなら、それは固有色と同名1枚ルールを遵守しなければならない。
参考:Commander Rules | Official Commander Website
と明言されている。
あなたのコミュニティがこちらの記述を優先する場合、やはりオボシュを利用できないと見るべきだろう。
そうしたコミュニティにあなたが出かける場合、メインデッキの《Wish》を抜いて、代わりに統率者の碑出告をデッキの中に加えて、相棒のオボシュを統率者にすれば、適切な公式ルールのもとで碑出告オボシュのコンボを披露できるかもしれない。
ふむ。特に統率者戦の記事を続けて書くつもりはなかったのだけど連続して統率者戦の記事が続くことになった。
もしかするとまた統率者戦の記事で会うかもしれないね。
ではまた、その日まであなたのライフが奇数であらんことを!
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