私の名前は濃丸 小紋(のうまる こもん)。
好きなカードゲームはマジック:ザ・ギャザリング。
最近の悩みはお財布の薄さ。
そう、マジックという趣味はとてもお金がかかるのです。
でもそんな私の前に最低レアリティ限定構築戦「Pauper」という救いの手が!
しかし、氷雪フェアリーデッキはなんか思ったよりも高かったのです。
「ふふ。思ったより安くないけど氷雪フェアリーのデッキ揃えちゃった。買っちゃったからにはもう…ネ…」
「ふふふ、Pauper沼へようこそ。こもんさん」
「フォイルさん、騙しましたね! Pauperのデッキは安くなかったですよ」
「でもモダンよりは安いという要望には沿っていたでしょう?」
「それは…はい。安かったです」
「ささ、買ったからには楽しみなさいな。こちらにPauperプレイヤーを用意してあります」
そう言ってフォイルさんは他のプレイヤーが座っている卓に私を引っ張っていった。
「…どうも。…灰鬼 杏子(はいおに あんこ)です。Pauperの対戦希望だとか」
「あっ、はい。よろしくお願いします」
「それでは早速初めましょう」
ダイスロールは杏子さんの勝ち。
「…では行きます。山から《僧院の速槍》で速攻1点エンドです」
あれ? よく見るとエキスパンションシンボルがアンコモン色に見える…
「《移り変わるフィヨルド》をタップインで終わります」
「…もらいます。平地から《第10管区の軍団兵》で速攻。合計3点」
あれ? よく見るとエキスパンションシンボルがアンコモン色に見える…
気のせい、気のせい。
これはコモン構築戦なんだから…。
「…《道の探究者》を出して土地を置いてスペルを唱えます、果敢誘発」
「待った、待った待った! フォイルさん、話が違う! 私がやりに来たのはコモン構築戦です!!!」
つい大声を出してしまう私に対して杏子さんは動じることなく答える。
「…大丈夫です。これはPauperであっています」
「でも、3枚ともアンコモン…って言うかデッキの動きがパイオニアのボロスアグロですよ!」
私の待ったにフォイルさんは深くうなずく。
「ええ、そうなんです。《稲妻》などが使える分、パイオニアのボロスアグロより強いかもしれませんね」
いやいやいや。
それってありなの?
コモン限定構築戦ってもっと牧歌的な遊びだと思ってたんだけど…。
「ってゆうかコモン限定構築戦なのにアンコモンを使ってる件はどうなんですか?」
「失礼しました。ご存じなかったんですね」
スマホの画像を示しながら杏子さんが教えてくれる。
「Pauperでは一度でもコモンとして再録されていれば初出がアンコモンのカードでも使用可能なんです」
確かに使われたアンコモンはどれもコモンとして再録されているようだった。
結局、アンコモンの群れに蹂躙されて私は1ゲーム目を落とした。
うーん。苦しい。
Pauper早くもやめたくなってきた。
どうしようかな?
とりあえずサイドボードから赤対策カードをじゃんじゃん詰め込んでしまおう…
「1ターン目に速そ「《青霊破》で」
気持ちいい!!
濃丸こもん。早くもPauper、癖になりそうです。
Next↓
同じ作者のTYPE/Zeroシリーズはこちらから↓
濃丸こもんシリーズは立ち絵にジュエルセイバーFREE様の素材を使用させていただいています。