私の名前は濃丸 小紋(のうまる こもん)。
好きなカードゲームはマジック:ザ・ギャザリング。
最近の悩みはお財布の薄さ。
そう、マジックという趣味はとてもお金がかかるのです。
でも、そんな私の前に最低レアリティ限定構築戦「Pauper」という救いの手が!
相棒の《呪文づまりのスプライト》と共に氷雪フェアリーで楽しみます!
「徹夜での1人回しで自分のデッキへの理解度が上がった気がする」
そうなれば後は実戦あるのみ。
今日も今日とてカードショップへ足を運びます。
「ふふふ、今日も来ましたね。こもんさん」
「フォイルさん、こんばんは! ええ、今日もPauperをしに」
「それでは今日はまた別のパウパー勢を紹介しましょう」
「はい、お願いします!」
「どうも、古角 鷹子(ふるずみ たかこ)です。よろしくお願いします」
「濃丸こもんです! よろしくお願いします」
鷹子さんは一体どんなデッキを使うんだろう?
「鷹子さんのデッキはとてもPauperらしいデッキですので色々と参考になるところが多いと思いますよ」
フォイルさんがそう言うならそうなのだろう。
精一杯、勉強させてもらおう。
「《古の居住地》をセットランド。白1マナで《スレイベンの検査官》」
「あっ、調査おばさんだ」
「そうです。ETBで調査します。ターンエンド」
*ETB…Enter the Battlefield=戦場に出た時の能力を指す略語
「こちらは《移り変わるフィヨルド》を置いて終了です」
「では、ターンをもらって。《大焼炉》をセットランド。2マナで《胆液の水源》を置き1ドローします」
胆液の水源、またETB能力か。
「ターン貰います。メインでブレスト。3枚引いて…2枚をデッキトップに。《冠雪の島》を置いて《フェアリーの予見者》を出して占術2。デッキトップ2枚をデッキボトムに送ってエンドです」
1人回しで身に着けたこのデッキの基本の動きはできている。
問題は相手のデッキがどう来るか分からないからカウンターを構えるタイミングが難しいことか…。
「ではこちらのターン。…ちょっと考えます。……《実験統合機》を置きます」
あれはNEO神河のシールド戦で見たな。
出た時と離れた時に衝動的ドローをする置物だ。
「トップを追放、《きらめく鷹》でしたのでそのまま出します。」
デメリットと引き換えに1マナ2/2飛行のクリーチャー…
いや、この場合の「デメリット」は…!
「《実験統合機》を手札に戻し、統合機が戦場を離れたことで再び誘発」
やっぱり、このデッキは《きらめく鷹》で《実験統合機》などの置物を出し入れすることでアドバンテージを得るデッキなんだ!
「デッキトップをもう1枚追放し…《感電破》ですね」
「このターン、まだ土地を置いてないので山を置いて《感電破》を打ちます。戦場にはアーティファクト・土地が2枚と手がかり・トークンがあるので金属術を達成。プレイヤー対象で4点与えます」
場のカードをを戻さないといけないデメリットを持つ代わりにサイズがフェアリーよりも大きい《きらめく鷹》を中心とした飛行生物で盤面を取られ、打消しによる1対1交換は出し入れされるアーティファクトのETB能力が稼ぐ小さなアドバンテージの繰り返しでこちらが損をする…。
……。
…………。
………………・
またストレートで負けてしまった。
負けた私に横で見ていたフォイルさんが声をかける。
「どうでした、こもんさん? あれが鷹子さんの【プリズムホーク】です」
「小さなアドバンテージを積み重ねてどんどん差を付けられて辛かったです。いいデッキですね…鷹子さん」
「はい。コモンカードはレアカードのような大きく戦況を変えるカードが無いので私の使う【プリズムホーク】のように『小さなアドバンテージ』を意識するのがPauperの定石なんです」
「小さなアドバンテージの積み重ね…」
「それにあなたのデッキでも似たようなメカニズムが秘められています。まだ使いこなせてはいないようですが…」
「もしかして忍術…ですか?」
「その通りです。《きらめく鷹》でETBアーティファクトを戻すように…あなたのETBフェアリーを忍術で使いまわすことを意識して回せばそのデッキはもっと強くなれますよ」
なるほど。私はまだこのデッキの力を引き出しきれていないのだ。
ごめんね、フェアリーと忍者。
でも私、勉強してもっと強くなれるように頑張るよ…!
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濃丸こもんシリーズは立ち絵にジュエルセイバーFREE様の素材を使用させていただいています。
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