ようこそ、2倍EDHの世界へ!
ここではクレイジーなハウスルール「2倍EDH」のプレイレポート(その2)だ。
(2倍EDHの記事は記事の本数も当然2倍になるのでこのシリーズの2本目は約束されていた。)
前回の記事はこちら↓
さて、 2倍EDHの概略はこんな感じだ。
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①あらゆるカードの文章欄に書かれている数、数詞を2倍にした状態でゲームを行う。
②文章欄とはルール文章、注釈文、フレーバーテキストである。パワータフネスやマナコストは文章欄ではないため2倍にはしない。
③注釈文( ( )で囲まれた文。これのこと。)に書いてある数字が2倍になっても、それは注釈であるのでゲーム処理には影響しない。
④その時使用しているカードの文章を参照し、それに記載されている数または数詞を2倍にする。特定の他言語では数字で表記されていても、そのカードでは数字が書いていないならば2倍にすることができない。
⑤ルール上、厳密には起こらない事象にも寛容な対応を取ろう。
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前回はマナやカウンターの大きさ・数を2倍にして楽しんだね!
今回の記事ではそれ以外のものもどんどん2倍になっていくぞ!
まず、ゲーム開始時から威光を放っているプレイヤーがいる。
ちょっとその《始祖ドラゴン》を見せてくれないかい?
威光 ― 始祖ドラゴンが統率領域か戦場にあるかぎり、あなたが他のドラゴン呪文を唱えるためのコストは(2)少なくなる。
飛行
あなたがコントロールするドラゴンが2体以上攻撃するたび、その数に等しい枚数のカードを引く。その後、あなたはあなたの手札からパーマネント・カード2枚を戦場に出してもよい。
「 2マナ軽減したり2枚踏み倒すのはズルだろ!」
そうは言ってもそういうルールなんだから仕方ない。
さあ、少しでも楽しいゲームになるよう努力しようじゃないか!
まあ、流石に2マナも安くなるなら始祖ドラゴンの勝ちだろうけどね!
そう投げやりになるものではないとすぐに証明されることとなる。
そこには無残にも轢き殺されかける瀕死の始祖ドラゴン・プレイヤーの姿があった。
「始祖どらごーん!!」
一体、何が起こったのか。
轢き殺しにかかっているプレイヤーの統率者を見てみよう。
そこには《不和のトロスターニ》の姿が!
あなたがコントロールしている他のクリーチャーは+2/+2の修整を受ける。
不和のトロスターニが戦場に出たとき、絆魂を持つ白の2/2の兵士クリーチャー・トークンを4体生成する。
あなたの終了ステップの開始時に、各プレイヤーは自分がオーナーであるすべてのクリーチャーのコントロールを得る。
トークンのパワー2倍/タフネス2倍!
トークンの数も2倍!
全体強化も2倍!
流石にカード1枚から色々なものが2倍になりすぎである。
そしてトロスターニのプレイヤーが《大軍の功績》を唱えたことでドラゴンは死にかけていたのだった。
ターン終了時まで、あなたがコントロールするクリーチャーは+2/+2の修整を受けるとともにトランプルと感染を得る。
(感染を持つクリーチャーは、クリーチャーに-1/-1カウンターの形でダメージを与え、プレイヤーに毒カウンターの形でダメージを与える。)
さて、ここで「毒カウンター」のルールを確認しよう。
総合ルール104.3d
プレイヤーが10個以上の「毒カウンター」を得た場合、次に優先権が発生するときにそのプレイヤーは負けとなる。
これは「ルール」であるため、2倍EDHでも2倍になることはない。
よって毒は10個与えられれば死ぬのは変わらない。
トークンの群れが感染付きで襲い掛かり始祖ドラゴンの骸がさらされることになった。
そう、このルール。
トークンを出す行為が強いのである。
それじゃあ筆者も便乗して統率者ギレッドを出そう。
議事会の流刑者、ギレッドが戦場に出たとき、トランプルを持つ緑の8/8のサイ(クリーチャー・トークンを2体生成する。
そんな中で苦虫をかみつぶしたような反応を見せるプレイヤーが1人。
《冒涜されたもの、ヤロク》のプレイヤーである。
接死、絆魂
パーマネント2つが戦場に出たことによりあなたがコントロールしているパーマネントの誘発型能力が誘発するなら、その能力は追加でもう2回誘発する。
「最初は3回誘発すると思ったのに、2つ同時に出さなきゃ誘発しないの条件が厳しすぎますよ!」
「バニラじゃん」
「接死も絆もあるからバニラじゃないです」
とはいえ、統率者を出すだけがEDHではない。
ヤロク・プレイヤーがトークンだらけの盤面に待ったをかける。
唱えた呪文は《最終》。
あなたはあなたがコントロールしているクリーチャー2体の上に+2/+2カウンターを4個置いてもよい。その後、ターン終了時まで、すべてのクリーチャーは-8/-8の修整を受ける。
流石に-8/-8を受けて生き残るクリーチャーはいない。
これで盤面は更地に…いや、待った!
+2/+2カウンターが4個置かれたクリーチャーはマイナス8点の修整を生き残ることができる!?
こうしてヤロク・プレイヤーが息を吹き返す。
応じてトロスターニ・プレイヤーは統率者を再び唱えなおしてトークンを展開し、
筆者はのんきに《桜族の長老》で土地を伸ばしながらバウンスランドで土地を2枚手札に戻して上限枚数を超えた手札を捨てていた。
2倍EDHでバウンスランドを積むな高校。
ヤロク・プレイヤーはプレインズウォーカー《戦慄衆の将軍、リリアナ》を繰り出してトークン合戦に参戦する。
[+2]:黒の4/4のゾンビ・クリーチャー・トークンを2体生成する。
「プレインズウォーカーのプラス数値も2倍になるの!?」
応じるようにトロスターニは《集団的祝福》のエンチャントを置いて全体強化路線での軍拡を図る。
あなたがコントロールするクリーチャーは+6/+6の修整を受ける。
ひたすらマナを伸ばす筆者を横に2人の強者がぶつかり合おうとしていた。
戦局が大きく動いたのはトロスターニが《新たな芽吹き》を唱えて、再び感染付与呪文を回収して仕掛けようとする。
あなたの墓地からカード2枚を対象とし、それをあなたの手札に戻す。
これに対応してヤロクが唱えたのが《自然への回帰》
以下から2つを選ぶ。
・アーティファクト2つを対象とし、それを破壊する。
・エンチャント2つを対象とし、それを破壊する。
・墓地からカード2枚を対象とし、それを追放する。
魔除け系のモードを持つ呪文は3つから2つを選ぶド派手なカードと化していた。
全体強化エンチャントを含むエンチャント2つを破壊しながら、
手札に回収しようとしていた墓地のカードを追放して大きくリード。
一方、筆者はマナを伸ばし…伸ばし終えた!
ついにこのクリーチャーを叩きつける時!
《荒廃の双子》いや、三つ子だ!
あなたがこの呪文を唱えたとき、無色の20/20のエルドラージ・クリーチャー・トークンを2体生成する。
10/10
大怪獣の登場である。
流石にこれを超えるクリーチャーはそうそうあるもんじゃあない。
しかし、ヤロク・プレイヤーが張った《発見の道》が玉突き事故を起こし始める。
クリーチャーが2体あなたのコントロール下で戦場に出るたび、それは探検を行う。
ヤロク同様に腐りかけて「リリアナのトークンでしか誘発しないじゃん」と呼ばれていたこのエンチャントが《野茂み歩き》とシナジーを形成していく。
あなたがコントロールしているクリーチャーが2体探検を行うたび、野茂み歩きの上に+2/+2カウンターを2個置き、あなたは6点のライフを得る。
*野茂み歩きのテキストを2倍にした場合、「探検を行う」を2回行っても本来なら誘発しないと見るのが正しいわけだが、「⑤ルール上、厳密には起こらない事象にも寛容な対応を取ろう。」によって、探検をほぼ同時に2回行ったら野茂み歩きが誘発するというローカルルールが用いられることになった。
そしてヤロク・プレイヤーの《戦慄衆の指揮》によって事態は爆発する。
この呪文によってトロスターニ・プレイヤーの墓地に眠っていた《ゼンディカーの報復者》が奪われる。
ゼンディカーの報復者が戦場に出たとき、あなたがコントロールする土地2つにつき緑の0/2の植物クリーチャー・トークンを2体生成する。
上陸 ― 土地が2つあなたのコントロール下で戦場に出るたび、あなたはあなたがコントロールする各植物クリーチャーの上に+2/+2カウンターを1個置いてもよい。
このクリーチャーが大量の植物トークンを生み出す。
とはいえ「上陸」能力はこのルールでは使うのが難しい。
土地を2枚同時に出さなければ誘発しない。
2倍EDHは誘発条件に厳しいのだ。
「《戦慄衆の指揮》でそちらの墓地からは《桜族の長老》を奪います」
「あれ…?」
桜族の長老を生け贄に捧げる:あなたのライブラリーから基本土地カードを2枚探し、それをタップ状態で戦場に出す。その後あなたのライブラリーを切り直す。
上陸達成!
さらに大量に出た植物トークンが探検し、半分の数だけ野茂み歩きが成長していく。
そしてゲームを完全に決定づけたのは《次元を挙げた祝賀》だろう。
以下から8つを選ぶ。同じモードを4回以上選んでもよい。
・すべての色である4/4の市民クリーチャー・トークンを2体生成する。
・あなたの墓地からパーマネント・カード2枚を対象とし、それをあなたの手札に戻す。
・増殖を行う。
・あなたは8点のライフを得る。
8つ選ぶってなんだよ!!!
4回以上は選べるけど同じの3回だけは選べないんだね!
などの大笑いポイントを加算しながら、トークンを2体出すモードが8回選ばれ、探検し、野茂み歩いていく。
野茂み歩きはついにパワー30にせまるぐらいの化け物に成長していた。
エルドラージ・トークンよりも大きくなって…
ヤロクの超軍団が進撃してきてトロスターニと筆者のライフを大きく削る。
とはいえ、EDHはライフ40点のゲーム。
まだライフは半分くらいは残って…
「市民トークンなどを生贄に《ボーラスの城塞》を起動」
(T),土地でないパーマネント20個を生け贄に捧げる:各対戦相手はそれぞれ20点のライフを失う。
40点の半分、20点を少し割ったライフは予想外の方向から一撃でもぎ取られていった。
長い戦いを制したのは一見して最も不利に見えたヤロクだった。
おめでとう!次元を挙げて勝利を祝賀しよう!
おまけ
「それ弱いソルリング? 強いソルリング?」
2倍EDH界における事故。
ソルリングは無色マナ(◇)を2点加えるカードだ。
しかし、このカードには大きく分けて2つのバージョンが存在する。
古いバージョンのテキストは「(2)を加える」というテキストなので「(4)を加える」という ぶっ壊れマナ加速である。
一方で新テキストのソルリングは「◇◇を加える」と書いてある。
この場合、2倍EDHでは数字が書いていないため2倍になることがない。
みんなも2倍EDHを遊ぶ前にデッキのソルリングが強いソルリンか弱いソルリンか確認しておこう! 私との約束だよ!
それではまた次回。
虚無フォーマットの深淵で出会おう!
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