MTGのルール講座 裏向きと変身
目次
裏向きと変身
MTGのカードの中には裏向きでカードを伏せて場に出すように指示する効果がある。
また変身する両面カードというものもある。
カードの両側、どちらの面にもイラストやテキストが書いてあるカードだ。
変身する両面カードはまず片面のカードとしてプレイして…条件を満たし「変身する」ことでカードをひっくり返して反対の面にする。
さて、君がマジックを遊んでいて《残酷な機械技師、テゼレット》の奥義を使ったとしよう。
そして《破滅の龍、ニコル・ボーラス》を裏向きで場に出そうとする。
《破滅の龍、ニコル・ボーラス》は変身する両面カードだ。
反対の面には《覚醒の龍、ニコル・ボーラス》が印刷されている。
一体、何が起こるのだろう…?
1.位相
まずは位相というルールについて説明しよう。
まるで物理学や幾何学の難しい言葉に聞こえるが、これはカードゲームの話だ。
そう難しいことではない。
MTGにおける位相とは「カードをどう置くか」ということを意味する。
例えば君が場に山をプレイする。
この時、カードは当然「縦向き」に置くよね?
これが「アンタップ」の位相だ。
君が赤マナを支払うために山を「横向き」に倒す。
これが「タップ」の位相だ。
どうだい? 難しい話じゃないだろう?
MTGには4種類の位相が存在するが、スタンダードにないものについては今回は説明を省略させてもらう。
(気になった人は僕のお気に入りの統率者《上位の狐、呪之尾》について調べてみると言い。カードの「上下」を逆さにするような変わった位相を取る。)
スタンダードにある位相は3種類。
「タップ/アンタップ」の位相と「オモテ向き/裏向き」の位相。
そして例外的に置き方を定義しない「フェイズ・イン/フェイズ・アウト」の位相だ。
カードは1種類の位相についてどちらか一方の位相を取る。ONかOFFかということだ。
- 「アンタップしていてオモテ向き」
- 「タップしていてオモテ向き」
- 「アンタップしていて裏向き」
- 「タップしていて裏向き」
カードが場に出ているとき、スタンダードでは例外なく上の4パターンのうち いずれか1つに当てはまる。
では…「横向き」に置かれた「土地に変身した変身する両面カード」の位相は何だろう…?
2.カードの面
《水没遺跡、アズカンタ》( 両面カードの変身後の姿だ)をタップして青マナを出した。
この時、アズカンタはが取る位相は4つのパターンの内、どれだろう?
「タップしていて裏向き」…?
いいや、正解は「タップしていてオモテ向き」だ。
なぜ…?
それは両面カードとは「両面がオモテのカード」だからだ。
総合ルール711.1
両面カードとは、カードの一方にマジックのカードのオモテ面、
もう一方にマジックのカードの裏面があるのではなく、両方にマジックのカードのオモテ面があるカードである。
各面は、そのカードを「変身させる」、あるいは一方からもう一方の面に変える能力を持つことがある。
通常マジックのカードにはオモテ面の反対側には「マジックのカードの裏面」が印刷されている。
それに対して、両面カードは物理的な裏面に変身後の姿が描かれる。
ルールではこれを「第1面」「第2面」としている。
つまり「1つ目のオモテ面」と「2つ目のオモテ面」だ。
つまり両面カードにはウラ面がない。
だから両面カードは「裏向き」=「裏面を上に向ける置き方」はできない。
だから、ひとたび変身する両面カードが場に出たらそれは裏向きになることはないんだ。
これで一見落着。
できないことはしないのがマジックの黄金律だ。
つまり《残酷な機械技師、テゼレット》の効果で手札から変身した《覚醒の龍、ニコル・ボーラス》を出したりはできないし、
そもそも手札から《破滅の龍、ニコル・ボーラス》を裏面で出すこともできな…い?
本当だろうか?
《残酷な機械技師、テゼレット》は「手札のカードを場に出るより前に裏面にする」とリリースノートに書かれている。
ん?
「場に出た《破滅の龍、ニコル・ボーラス》は裏向きになることはない」
「場に出るより前に裏面にする」
おっと。
なんだか雲行きが怪しくなってきたぞ。
3.チェックリストカード
この問題を解決するのがチェックリストカードの存在だ。
チェックリストカードは基本土地の代わりに『基本セット2019』から出ることがあるカードだ。
これはトークンカードに似ているが、トークンの裏面には別のトークンや広告が載っているのに対し、
チェックリストカードの裏面はマジックのカードになっている。
両面カードを使う場合には対応するチェックリストカードをデッキにいれることで、
他のカードと同じ裏面を持つ状態にできるので、シャッフルする時に両面カードがあることがバレたり、
意図的に両面カードの位置を調整したりできないようになっているというわけだ。
両面カードが戦場でオモテになっていない間、
チェックリストカードがその両面カードの代わりになる。
そしてチェックリストカードには…裏面があるじゃないか…!
つまり、君の手札にある「《破滅の龍、ニコル・ボーラス》…のチェックリストカード」を、
《残酷な機械技師、テゼレット》の効果でウラ向きで場に出すことができるんだ!
この場合、チェックリストカードは裏側に「第2のオモテ面」を持たない。
そのため参照されるのは常に第1面の《破滅の龍、ニコル・ボーラス》である。
つまり裏向きの《破滅の龍、ニコル・ボーラス》は「ウラ向きの位相で第1面」になるんだ。
正直、このやっかいなルール上の処理がスタンダードのカードだけで起こるとは思わなかったよ。
【追記】
この記事は過去のスタンダードについて触れたものだが、2024年9月現在、偽装と変身する両面カードがスタンダードに同居している。
マジックにはたくさんのカードの組み合わせや相互作用がある。
そしてそれはスタンダードでも例外ではないようだ。
「そんな状況、どうやったらなるんだよ」と言わずに「変な状況」でのカードの挙動について考えるのも
マジックのひとつの楽しみ方だ。
挑戦問題
では最後にひとつ挑戦問題を。
《残酷な機械技師、テゼレット》の奥義で《破滅の龍、ニコル・ボーラス》を裏向きで場に出した。
この裏向きの5/5アーティファクトに、《崇高な工匠、サヒーリ》の能力を使い、
裏向きの《破滅の龍、ニコル・ボーラス》を戦場の《魔学コンパス》のコピーにした。
終了ステップの開始時に、あなたの場に土地が8枚ある場合…いったい何が起こるだろう?
裏向きの《破滅の龍、ニコル・ボーラス》がオモテになる?
そして相変わらず5/5のアーティファクト・クリーチャーになる?
それとも「第1面」が「変身する」んだから、第2面の《覚醒の龍、ニコル・ボーラス》になる…?
でもそれは「裏向き」であることは変わらないから「裏向きの第二面」で相変わらず5/5のアーティファクトなだけ?
総合ルールはちゃんと答えをくれる。
https://whisper.wisdom-guild.net/cr/r/708.10/
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