バーチャルVtuver豆猫さんの与太話

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「コピーデッキ」は最良のデッキじゃない。

やあ、バーチャルバーチャルYoutuber(バーチャルモデルを用意して架空のバーチャルYoutuberになりきる遊びをする人のこと)の豆猫さんだよ!

 

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さて、今回は調整の話
デッキには調整が必要だ。
例えばプロのデッキレシピがある。
それをそのまま使うのと君がゼロからデッキを組む場合。
十中八九強いのはプロのデッキだ。

なんといってもプロのデッキは「調整」が行き届いている。
使えるカードには豊富な選択肢があり対戦相手の一流のデッキに対応するために
凡人では目を付けないカードが入れてあったりする。

そういった「謎のカード」にも凄く明確に「○○に対応するために」という理由付けがある。


だが…それは完璧を意味しない。
何故ならその「謎のカード」に込められた意味を君が理解していないなら
謎のカードは謎のカードのままだからだ。
使い方のわからないカードよりも、君が使い慣れたお気に入りのカードの方が
勝利に貢献することはある。
(もちろん安易にデッキを差し替えるより「勉強する」のも大事だ。「謎のカード」の使い方を知れば問題は解決する。)

 

またプレイの癖の問題もある。
たとえば「この状況、普通はこうプレイするのが定石。でも次のドローでデッキに3枚だけ入れてるあのカードが引ければ勝ちなんだよなあ…」という局面。

ここで「引けると信じて動く」のも「定石通りに動く」のも「どちらも正解」だ。
結果がついてくるかは別としてね。

 

ここが「プレイヤーに合わせた調整」なんだけど、
もしここで「引ける」と思って引きにいく性格のプレイヤーなら3枚から4枚に増やしてみる。
そうすることでちょっとだけ、その状況で本当に勝てる率が上がる。

逆に「いや、引かない」と堅実に動くプレイヤーの場合、2枚に減らしてみる。

 

もちろん実際には常にその局面になるわけじゃないし他の状況もある。
今のはあくまで簡略化した例だ。
でもそういう「プレイの癖」を意識した調整をデッキに施すことで
プロのデッキは「そのプロプレイヤーにとって最良のデッキ」になっているんだ。

プロのコピーデッキを回していて君がうまく回せない場合、
この「調整」を誤っている場合がある。

 

「そのプロ」と「君」のプレイの癖の違いから、君にとってそのコピーデッキは「最良」じゃないんだ。
だから例え「調整済みのプロのデッキ」のコピーデッキでも
君は調整を施すべきだ。

 

勘違いしてはいけないことがいくつかある。
デッキのバランスを大きく損なうべきではない
 仮にもプロのデッキだ。主軸となる部分を差し替えるのはお勧めできない。
 少しの「調整」にとどめるべきだ。マナカーブを崩すほどの変更はデッキを弱くしかねない。
学ぶことの方が調整より有意義
 謎のカードをただ調整で抜くより、そのカードの使い方を覚える方がデッキは強くなる。

その上でデッキに調整をかけよう!

まずは「使い方が明確な対策カード」が調整の結果抜くことになる。
どういうことか?
「プロの対戦相手はまたプロである」のだ。
プロは戦う相手のデッキも当然プロレベルだ。
そしてそのプロレベルの強力な神話レアカードにメタとなるカードが入っていたとする。
だが、君の対戦相手はプロじゃない。
そもそもそのプロレベルのカードを使う相手が君のプレイグループにいないとする。
ならば「対策カード」は君のコピーデッキにはいらない。
プロのサイドボードのカードと入れ替えるてメインからサイドのカードを使うのが良いだろう。

 

環境にあった調整
プレイグループの中で特定の相手を徹底的に対策することを目的としてデッキを組むと
遊んでもらいづらくなる。
あまり友人のデッキをメインデッキからピンポイントに対策するのはよくない。
だがサイドに入れるくらいは許されるはずだ。
例えばプロの環境で緑があまり使われないスタンダードがあったとして
君の緑単好きの友人に対策するためにサイドボードにプロは使わない緑デッキ対策を入れるのはいいアイデアだ。
(メインから積まないほうがいい。メインから色対策されるのはマジで嫌な気分になる)

あるいは友人規模でなくショップ環境。
行きつけの店のフライデーナイトマジックでよく会うけど別に友達ではない…くらいのプレイヤー。
そういう人に対して「あの人は○○デッキ好きなんだよなあ…新環境でも使ってきそうだから対策カード入れとこう」
そういう風に対策を取ることも有効だ。

 

「プロはプロと戦うが、君は君のプレイグループと戦う」

例えプロの作ったデッキでも君が調整する余地はあるし、
その調整をしたとき、そのデッキはもはや「コピーデッキ」でなく「君のデッキ」になるんだ!

 

それじゃあデッキ構築を楽しんで!

 

 

レアは土地だけで十分だ

レアは土地だけで十分だ

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前回の続き。
前回は土地からデッキを組む話をした。
前回の記事へのリンクはこちら↓

 

omamesensei2.hatenadiary.jp

 


さて。
では前回の終わりに語った
「今回すること」を改めて説明しよう。
前回の組み方をした後、予算に余裕のあるプレイヤーは
強い人たちのレシピを基に強くて高いカードを買ってほしい。

問題は前回の記事では土地のレアが余りにも多かったということだ。
予算不足のプレイヤーは「ちょっと待ってよ!これ以上高額カードは買えないよ!」
思うだろう。

なので今回は「縛りプレイ」だ。
アンコモンとコモンしかデッキレシピに加えないことを宣誓しよう。

たぶんそれは「最善」のデッキではないだろう。
きっと《ヴラスカの侮辱/Vraska's Contemptが使えずに、
相手のプレインズウォーカ―にやりこめられて負けてしまうかもしれない。

それでも「それなりに」は回るデッキにしたい。
マジックオンラインでJust for fun(楽しく遊ぶだけ)部屋で戦うのが目標だし
アリーナで同ランクの相手とちゃんと戦えるくらいを目指す。

注意点がひとつ。

僕は何も「ずっとこのデッキで戦え」とは言わない。

君はやがてデッキを改造するのにレアを買うだろう。

このデッキはそのためのお小遣いが溜まるまでの間をつなぐデッキだ。

 

 

まずはここまでの復習。
青黒のコントロール寄りのデッキになるだろう。
キーカードのうち1つは《アズカンタの探索/Serch for Azcanta》

今回は主軸となるもう一つのカードを紹介しよう。
《虚報活動/Disinformation Campaign》だ。

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こいつはリミテッド(パックをむいてその場でデッキを構築する遊び)で非常に強力で

青黒アーキタイプドラフトはこれを何枚集められるかに命運がかかっている。

構築では君は最大4枚をこれをいれられる!

 

このカードはどう動くのだろう?

実際にはこれはエンチャントというよりソーサリーだとイメージしたほうがいい。

手札から唱えると自分はドローし相手は捨てる。

自分は手札が1枚減ってから戻り、相手は1枚の損だ。

そして「諜報」をすると墓地から手札に帰ってくる。

するとまた使える。今度は自分の手札は新しく消費なしでドローと手札破壊ができる。

それをソーサリーでなくエンチャントにしてあるだけなのだ。

(たぶんソーサリーでもこのカードを作れたと思うけど除去とかソーサリーを唱えた数参照に引っかからないようにエンチャントになったのだろう)

 

 

 

このカードが誘発する諜報とは、最新セット「ラヴニカのギルド」で青黒に割り当てられたキーワードだ。
具体的にはアズカンタの探索が毎ターンやるのと同じ処理を
「打消しのおまけ」「バウンスのおまけ」で使える…というメカニズムだ。

もちろんアズカンタは諜報というキーワードは持ってないので
《虚報活動/Disinformation Campaign》を手札に戻すことはできないことは忘れてはいけないよ。
ただ、アズカンタと相性が良いカードは諜報とも相性がいいので
諜報カードもデッキに加えることでアズカンタが引けない場合でもデッキ全体がうまく回る。
そして諜報を使うカードを多く入れるとレアを入れないことに「デッキ構築上の理由」ができるので
「デッキに弱いカードを入れなくてよい」のだ。

 

例えば先ほど出た高額レアカード《ヴラスカの侮辱/Vraska's Contempt
これは4マナの除去で範囲が広い。
これの代わりに例えば《名声の代価/Price of Fame》を使うとする。
こちらも4マナの除去だ。

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それぞれを「4マナのクリーチャー除去」として比較してみよう。

「ヴラスカの侮辱のメリット」
プレインズウォーカ―を除去できる。
【青白コントロール】のテフェリーのようにプレインズウォーカ―を切り札にするデッキは
少なくない。
ライフが回復する
ライフ20点をなくすことに特化した速攻デッキに強い。

「名声の代価のメリット」
・伝説のクリーチヤー相手には2ターン目から撃てる。
たとえば君が後手で先行が3ターン目に
《軍勢の切先、タージク/Tajic,Legion's Edge》を出したときに
攻撃するより早くタージクを倒せる。
諜報がついている
デッキトップを操作し、次のターンのドローの質を上げる。

それぞれに利点があり「相互互換」の関係にある。
決して《ヴラスカの侮辱/Vraska's Contempt》が上位互換ではないんだ

ならば《名声の代価/Price of Fame》の強みを生かせるデッキで
侮辱の代わりに名声の代価を使うのは、「デッキに入れるカードを妥協した」ことには
ならないんだ。

低予算デッキを作る場合、ここは大事にしたい。
「妥協でなく、このデッキではこっちを使いたいんだ!」という前向きな採用をしたいのだ。

 

コントロールデッキで必要な要素について考えよう。
・打消し
・手札破壊
・除去
・ドロー
・脅威となる切り札
・全体除去

それぞれ環境で使われるカードやその「相互互換」が存在する。
今回は《虚報活動/Disinformation Campaign》を採用するので
「諜報」を持っている呪文は「妥協でなく、このデッキではこっちを使いたいんだ!」という前向きな採用ができる。

そしてこれらはアンコモンだけでかなりの数が埋まるんだ!
見てみよう。

・打消し
《悪意ある妨害/Sinister Sabotage》
・手札破壊
《思考消去/Thought Erasue》
・除去
《名声の代価/Price of Fame》
・ドロー
《概念の雨/Notion Rain》
それから前回話した諜報やアズカンタとシナジーする《薬術師の眼識/Chamister's Insight》

脅威となる切り札をアンコモンから探すのは難しい。
アンコモンはカードパワーもアンコモン並なので
構築で「強い!」といえるほどのクリーチャーとなると
アンコモンから探すのは至難の業だ。
だが好評発売中の「ラヴニカのギルド」には
希望となるサイクル(同じコンセプトで作られた数枚のカードのこと)がある。

それがccddサイクルだ。
ギルドごとに「2色それぞれがダブルシンボル」の4マナのカードがある。
これらはなかなか強力でゴルガリ団のこの枠のカードは構築で
既に多くの実績を残している!

強烈な色拘束を持つので使うデッキを選ぶが
今回は「土地基盤をしっかり作った」のでスムーズに召喚できるだろう。
というわけで、ディミーア家が誇るccddのアンコモン
《夜帷の捕食者/Nightveil Predator》だ!

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パワーは3と心細いが、相手の単体除去を受け付けない。
飛行しているので地上戦力に止められずにダメージを稼いで行ける。
接死がなかなか侮れない。
「切り札」とは言ったもののやはり相手のレアに比べればパワー不足を感じるかもしれない。
しかし、相手のそのパワーカードと捕食者が戦闘をしたなら
ダメージを与えただけで破壊する接死能力が相手のパワーカードを道連れにする。

ぜひこいつを採用しよう。
除去にこそ強いが打消し、全体除去に弱く
コントロールデッキがフィニッシャーにする《原初の潮流、ネザール》のように
1枚だけ採用するのでなく保険として2,3枚は欲しい。

 

さて全体除去についてだ。
ここが一番難しい。
当たり前だが全体除去という盤面制圧カードはレアだ。
ここはどうしても採用したいし、全体除去の相互互換はまず相互互換にならない。
《煤の儀式/Ritual of Soot》は強力なレアだ。

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ボロス軍の並べる低コスト軍団も、セレズニアのトークン戦略も、
騎士によるシナジーを重視したウィニーデッキも…

もし君が既にこのカードを持っているなら(たしかアリーナなら無課金でも配布されているはずだ)
ぜひ採用してほしいが、レアなのでここで推すことができない。

諜報付きの全体除去はどうだろうか?
これが本当に頼りない。

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全体-1/-1修正は吸血鬼トークンデッキやゴブリンデッキ、2/1などを採用するデッキに強いように思えるが
それは気のせいである。
それらのデッキは何かしらの手段で+1/+1修正をかけるので
結局タフネスが2点になってしまい、対策カードにはならない。

せめて-2/-2を採用したい。それも3マナで。
4マナの煤の儀式よりも1ターン早く撃つことで受けるダメージを
大きく削ぐために使いたいのだ。

そこで今回採用を検討するのが《黄金の死/Golden Demize》だ。

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これなら3ターン目に撃てる点で一応は「相互互換」だ。
自分の捕食者もタフネス3なので味方を巻き込まない。
だが、やはり引くのが遅れると盤面にあまり大きな影響を与えられないのが
どうしても懸念事項になる。

とはいえ採用を決めたなら自軍のクリーチャーもそれに合わせてチューニングしていきたい。
まずは煤の儀式に流されなくなったことで3マナ以下でタフネス3のクリーチャーを検討できる。
ということで諜報とシナジーしつつタフネスが3の3マナ…そんなつごうのいい生物がいたら採用したい。

《闇刃の工作員/Darkblade Agent》

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ああ、こいつは「諜報」デッキの希望だ。
こいつは本当にクールだ。
トップレアと噂されたフィンケルを思わせる性能だ!
…諜報している限りね。

というわけで諜報でこいつをバックアップしながら殴っていくことも視野にいれる。
それともう1体。検討したいのが《思考繋ぎの幻/Thoughtbound Phantasm》だ。

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タフネスは2だが諜報を1回したなら黄金の死に巻き込まれなくなる。
似たカードで飛んでる虫もいるが悩んだ末に今回は採用を見送った
虫はタフネスが1からスタートするので黄金の死に耐えるには諜報は2回必要になってしまう。

また思考繋ぎの幻は1マナ2点の壁として使えるところもコンセプトに合っている。
1ターン目《思考繋ぎの幻/Thoughtbound Phantasm》
2ターン目《思考消去/Thought Erasue》で諜報と手札破壊
3ターン目《黄金の死/Golden Demize》で一旦盤面をリセットしつつ壁を維持

アグレッシブなデッキにはこのプランを取りたい。
《思考消去/Thought Erasue》は相手の手札を見れるので
黄金の死を温存したほうがいいのかすぐに撃つべきか
あるいは3マナでは打消しを構えるべきなのか。
それは《思考消去/Thought Erasue》が教えてくれる。

かなり諜報に寄ってきているので
1枚で何度も諜報できるカードが欲しい。

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《夜帷のスプライト/Nightveil Sprite》は繰り返し使えるが
黄金の死に流されて死んでしまう。採用枚数には気を付けたい。

【ディミーア諜報】verレア抜き

土地 27枚

4《湿った墓/Watery Grave》
4《水没した地下墓地/Drowned Catacomb》
2《ディミーアのギルド門/Dimir Gildgate》
1《水没した骨塚/Submerged Boneyard》
1《天才の記念像/Memorial to Genius》
8《島/Island》
7《沼/Swamp》

クリーチャー 13枚

4《思考繋ぎの幻/Thoughtbound Phantasm》★
3《夜帷のスプライト/Nightveil Sprite》(諜報)
3《闇刃の工作員/Darkblade Agent》★
3《夜帷の捕食者/Nightveil Predator》


呪文 26枚

2《アズカンタの探索/Serch for Azcanta》
1《アルゲールの断血/Arguel's Blood Fast》Land 27
3《虚報活動/Disinformation Campaign》★
4《悪意ある妨害/Sinister Sabotage》(諜報)
4《思考消去/Thought Erasue》(諜報)
4《名声の代価/Price of Fame》
2《概念の雨/Notion Rain》(諜報)
2《薬術師の眼識/Chamister's Insight》
4《黄金の死/Golden Demize》

この時点でデッキを6枚オーバーしている。
ドローソースが固まっているが一度回りだすと
虚報活動で手札は増えることとライフの損失が痛いことから
概念の雨と再活のドローを1枚ずつ減らす。

後から引くと弱いので《黄金の死/Golden Demize》を1枚減らす。
幻は諜報ありきなので、4枚フル投入は危険だ。
これも1枚減らす。

そもそもコントロールにするつもりだったのにクリーチャーをよくばり過ぎ。
《闇刃の工作員/Darkblade Agent》も1人解雇だ。

虚報活動はデッキの各ではあったが固めて引くと動きが鈍る。
場持ちするカードなので2枚目とかち合うことも少なくなかったので
3枚から2枚に。

これでとりあえず60枚だ。

そして更に回す。
ここからは自分の環境に合わせた調整

なので真似するときは自分がよく戦う相手に合わせること。

序盤の3ターンの動きを連続して取りたいのでタップイン土地をアンタップインへ
ギルド門は島にして1ターン目に幻を立てられるように。

殺戮の暴君が余りにもつらく、
逆に無効皮のフェロックスをあまり見ないので
思い切ってアンコモンの分割呪文を検討。
《発見+発散/Discovery+Dispersal》のことだ。

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発見は諜報つきのドローで概念の雨ほど検索範囲は広くないが
3ターン目の黄金の死を探すのに使ったり
黒マナしか出ないときにデッキから島を探しに行ける。
各種諜報を誘発させられる上に軽く撃て、自分のターンに撃つので
《闇刃の工作員/Darkblade Agent》でアドバンテージを稼ぐ助けになる。
発散は本当に強力で殺戮の暴君や同型の捕食者など
呪禁もちのカードに対処できる。
あとはテフェリーを戻せる。
これは意外だった。破壊じゃないからかやけくそで撃つと打ち消されないことが多かった。
もしかするとクリーチヤ―だけをバウンスすると勘違いされてるのかもしれないが。
戻したテフェリーはカウンターを捕食者とかで誘ってから手札破壊で打ち抜く。

スプライトが自分の黄金の死で消えていくのはつらいし諜報は十分な数があった。
スプライトを1匹逃がしてあげよう。

 

土地 27枚

4《湿った墓/Watery Grave》
4《水没した地下墓地/Drowned Catacomb》
1《ディミーアのギルド門/Dimir Gildgate》
1《水没した骨塚/Submerged Boneyard》
1《天才の記念像/Memorial to Genius》
9《島/Island》
7《沼/Swamp》

クリーチャー 11枚

3《思考繋ぎの幻/Thoughtbound Phantasm》★
2《夜帷のスプライト/Nightveil Sprite》(諜報)
2《闇刃の工作員/Darkblade Agent》★
3《夜帷の捕食者/Nightveil Predator》


呪文 22枚

2《アズカンタの探索/Serch for Azcanta》
1《アルゲールの断血/Arguel's Blood Fast》
2《虚報活動/Disinformation Campaign》★
3《悪意ある妨害/Sinister Sabotage》(諜報)
4《思考消去/Thought Erasue》(諜報)
4《名声の代価/Price of Fame》
2《発見+発散/Discovery+Dispersal》(諜報)
2《薬術師の眼識/Chamister's Insight》
3《黄金の死/Golden Demize》


というわけでこの時点でのレシピはこう。
同程度のレベルの相手とは楽しく戦えるが、格上とはやりづらい。
ここで格上にワンチャンス見出し、
「あいつは神話レアのクリーチャーやプレインズウォーカ―使っててずるい!(ずるくない)
という気持ちを慰めるとっておきのアンコモンを入れよう。

《最古再誕/Elderest Reborn》だ!

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こいつはクールなアンコモンだ。

(時間さえかければ)大きなアドバンテージを生んでくれる。
特に注目したいのが3つめ。
あなたの墓地ではなく墓地だ。
相手の墓地が狙える!!
2ターン目の手札破壊でうちぬいたテフェリーとか
発散で手札から捨てさせた殺戮の暴君とかを相手の墓地から奪える!
やったぜ!

そして最後にもう一度土地を調整する。
土地に始まり土地で終えるのだ。
『呪文のつもりで採用した土地』を除くと土地は26枚。
最終的なデッキは【青黒コントロール】というよりも
【青黒諜報】で、コントロールデッキで使うような7マナの切り札などはない。
そこで土地を1枚減らしてみよう。


最初にコントロールゆえに許容したタップインするだけの土地
《水没した骨塚/Submerged Boneyard》これを外して実質土地25枚の
「いつもの僕のデッキ」くらいの土地枚数になる。
開いた枠に何を入れるかは少し迷ったが、
これは諜報に焦点を当てたデッキだと明確にすることで
プレイの意識を変えるために虚報活動の3枚目を入れる。

これがデッキレシピだ!
僕の使う環境に合わせて調整してあるので
「○○弱いだろ…××のが使うし…」と思ったときは、
迷わず××に入れ替えよう!
君の環境ではきっと君が正しい!
このデッキにあうレアを持ってるんだよねっていう君。
ガンガン入れてほしい。
縛りプレイしてる間、
「持ってない人のために各記事だから仕方ないんだけど、
ヴラスカの侮辱も煤の儀式も持ってるんだよなあ…」って悲しくなった。
縛りプレイはしなくていい。
君のカードプールで最良のデッキに調整してほしい!

【格安虚報活動】

土地 26枚

4《湿った墓/Watery Grave》
4《水没した地下墓地/Drowned Catacomb》
1《ディミーアのギルド門/Dimir Gildgate》
1《天才の記念像/Memorial to Genius》
9《島/Island》
7《沼/Swamp》

クリーチャー 10枚

3《思考繋ぎの幻/Thoughtbound Phantasm》★
2《夜帷のスプライト/Nightveil Sprite》(諜報)
2《闇刃の工作員/Darkblade Agent》★
2《夜帷の捕食者/Nightveil Predator》


呪文 23枚

2《アズカンタの探索/Serch for Azcanta》
1《アルゲールの断血/Arguel's Blood Fast》
3《虚報活動/Disinformation Campaign》★
3《悪意ある妨害/Sinister Sabotage》(諜報)
4《思考消去/Thought Erasue》(諜報)
4《名声の代価/Price of Fame》
2《発見+発散/Discovery+Dispersal》(諜報)
1《薬術師の眼識/Chamister's Insight》
3《黄金の死/Golden Demize》
1《最古再誕/Elderest Reborn》

さて最後の方はデッキの調整が続いた。
次回はデッキの調整についての記事を書こうかな。

まず土地より始めよ!

まず土地より始めよ!

 

 


やあ、バーチャルバーチャルYoutuber(バーチャルモデルを用意して架空のバーチャルYoutuberになりきる遊びをする人のこと)の豆猫さんだよ!

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デッキリストを組む時に僕が少し気になっているところ。
多くのプレイヤーがデッキリスト土地を一番最後に決めるのが気になるのだ。


公式ホームページのコラムなどでデッキリストを見てほしい。
一番 最初に出てくるカードタイプは?


そう、土地だ!


(こういうことを言うとマナレスドレッジのリストを探してくるのがTCGプレイヤーってやつだと僕はよく知っているが、すまないこれからするのはスタンダードの話なんだ)


なぜリストを頭から埋めないんだ!

もちろんこれは極論であり、僕自身リストを土地以外から書き出すことはある。
(キーカード数枚→それを使える土地基盤作成→余った枠にその土地基盤で使えるカード)

でも、一度くらい「土地からデッキリストを組む」経験はしたほうがいい。
たぶん、かなり違う視点でデッキを組めるだろう。

君が買うべきレアカードはプロプレイヤーも使っている強力な除去呪文でなく
レアの土地なのだ。

というわけでデッキを組みながら実際に「土地からデッキを組む」ということは
どういうことか考えよう。


まず「使える土地」を確認する。
これは君が土地を買う気があるのなら「そのフォーマットで使用可能な土地」だし
君がお小遣いやバイト代あるいは給料で買うのは「土地よりも呪文にしたい」と思っているなら手持ちのカードプールの土地だ。

僕は土地カードが大好きなので、今回は「スタンダードで使える土地」から考えよう。
いやあ…少し前のスタンダードは最高だったなあ…
土地を主題にしていたゼンディカー次元への再訪…
アモンケットでは土地のサブタイプ「砂漠」に注目された!
…ああ、それから土地に関わる禁止カードが2つも出たよね…

だがアモンケットは去り、土地を大きく取り上げるメカニズムが1つ消えた。
え? 門?
今回の門は迷路の終わりの時ほど魅力的ではないね、まだ。
構築レベルの門メカニズムは《ギルド会談/Guild Summit》と《迂回路/Circuitous Route》の2つだけだろう。

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だがこれらは強力だ。他の門テーマが来れば環境に食い込みかねないとまで思っている。
あるいは大量の門を使ってでもいろいろな呪文を唱えたい場合だ。
ギルドへの献身の門カードと強力な多色呪文の登場に期待しよう。
今はちょっとだけおあづけだ。

土地から戦略の核ができないので
代わりに使える色を考えよう。
まずここでは2色デッキを考えることにする。

今の環境は3色デッキの構築も5色コントロールも全然やれる土地基盤だが
それをやるといろんな色のレアを買うことになるし、
まず土地にお金を割いてもらうというプランに合わない。

ここでは2色にしよう。
それにラヴ二カのパックは2色で作られる「ギルド」を推してる。
ストーリー上にもでる「ギルド」の名前を関することで
デッキへの愛着も沸くしね。

さて、では土地大好きプレイヤーの僕が注目する2色とは何か?
土地といえば緑のゴルガリ団か?
土地を切り詰めつつ適切な枚数を探るのが楽しいボロス軍か?
いや、違う。
今回僕が推すのは「ディミーア家」(青と黒の秘密結社風ギルド)だ!

なぜディミーアか。
それは現在のスタンダードの「歪な」土地基盤によるものだ。
このスタンダードにおける「ベスト・オブ・2色土地」の1つが
青黒の《湿った墓/Watery Grave》だからだ!

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通常マジックの2色の組み合わせは
「友好色」と「敵対色」の概念が基本だ。

色同士、「仲のいい組み合わせ」と「仲の悪い組み合わせ」がある。
基本的には友好色が推されるが敵対色推しの時もある。
でも、基本的にはどちらかを公式が推す形になる。

なので土地基盤も「友好色の2色土地5枚」あるいは「敵対色の2色土地5枚」で収録される。
だが、今のスタンダードの土地基盤は「歪んでいる」

最新セット「ラヴ二カのギルド」にある素敵な2色土地サイクルがこれだ!

…そう、友好色の5つでも敵対色の5つでもない。
これはラヴ二カ特有の事情もあるので、まあ各自気になるなら公式の記事でその理由を調べるのも面白いが
今回は脱線になってしまうので割愛。

とにかくスタンダードで使える2色土地はちょっとずれてるのだ。
その結果、「イクサラン」ブロックでの友好色2色土地との兼ね合いで
2色土地を入れられる数に偏りが生まれている!

というわけで「ラヴ二カのギルド」で推されているギルドで
かつ、友好色のものが土地基盤の上でデッキを組みやすい。

またスタンダードには「タップインの2色土地」というのも2種類ある。

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一般論としてこれらは弱いカードであるが、採用が全く検討できないほどではない。

攻めるデッキと守るデッキでは通常、守るデッキの方がこれらの土地を採用しやすい。
「デッキに入る2色土地の種類が最も多い2色のデッキ」は
スタンダードではがベストだと僕は思う。

通常のセットでは2色土地の入れすぎは注意が必要だ。
条件付きアンタップイン2色土地は強力だが、
常にゲーム中は「タップインするか」「アンタップインするか」の2つだ。
タップインしてしまえば少なくともその試合中、それは安い「ギルド門」とほとんど変わりない。

なのでアンタップ条件を満たせるように土地のバランスを気にする必要があるのだが…

ここで《湿った墓/Watery Grave》をご覧いただこう。

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条件付きではなく、アンタップインするかどうかはプレイヤーが選べるようになっている。
最高だ!《湿った墓/Watery Grave》は4枚入れよう。


こういう特殊土地の2種類目の採用は気を付けないといけない。
たとえば戦乱のゼンディカーの2色土地などで顕著だが
他の2色土地と合わせるとかみ合いづらくバランス調整の難しいものもある。

イクサランの条件付きアンタップイン友好2色はどうか?

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《水没した地下墓地/Drowned Catacomb》



ほらね、こいつは扱いに注意が必要だ。
島や沼などの基本土地が十分にないとタップインになってしまう。
1ターン目に特殊地形を入れたら、2ターン目に《水没した地下墓地/Drowned Catacomb》を場に出しても
島や沼がないからタップインとなってしまうのだ…

本当にござるかぁ?
よくテキストを読んでみよう。
「島という名前のカード」でなく「島」とだけある。
これはサブタイプというもので名前が島でなくとも
「島」という属性を持つ土地が一部の特殊地形に存在し
それらとは共存可能だということを示している、
例えば「ドライアドの東屋」という土地がある。

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これはカードの真ん中あたりに「森」と書いてあるので
森という名前ではないが森の属性を持っているカードだ。
《水没した地下墓地/Drowned Catacomb》がチェックするのは
こういった土地の属性のほうなので
もし「島」「沼」のタイプがある特殊土地なら共存できるのだ。

そんな都合のいい土地がスタンダードに…

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《湿った墓/Watery Grave》
土地-島・沼


よし。何も問題はない!
《水没した地下墓地/Drowned Catacomb》も4枚だ!

さて、これで「アンタップインが現実的な2色土地」を
8枚体制で組める青黒のデッキが作れる。

次に定めるべきは、土地の枚数だ。


このデッキは土地を何枚使うことになるだろうか?

まずベースとなる枚数は25枚だ。
24枚という人もいる(デッキの40%という区切りの良さからだろう)が僕は25枚を採用している。

ここからデッキの傾向ごとに土地の枚数をずらす
通常、攻撃的なデッキほど土地を減らし
防御的なデッキほど土地を増やす

そして色ごとに得意な戦術があるのがマジックだ。
青も黒も低速寄りのカラーと言える。

だが現在のスタンダードではには2つの選択肢が用意されている。
・攻撃的な【海賊アグロ】
・じわじわと有利をえる【ディミーアコントロール

前者はクロックパーミッションとも呼ばれる。
序盤に小型の海賊を場に出し、クロック(時計)の針が進むように
毎ターンダメージを与えて勝利に近づく。
こういうデッキは並べた後で全体除去を打たれるのに弱いが
デッキに入った少量の打消し呪文でそれらの全体除去にパーミッション(許可)を与えない。

後者は青の打消しとバウンス、黒の手札破壊と除去で相手の戦力に対処しつづけて
後半に強力な切り札を出し、それを守り切ることで勝つ。

前者なら土地は少し減らしてよい。
私ならそうだな、22枚にしてからやっぱり少し足して23枚にするんじゃないかな。

後者なら土地は増やす。
強力な切り札というのは大抵コストが重い。
そのコストを支払えるまで土地を伸ばすためには多くの土地が必要だ。
僕は以前、土地が30枚(デッキの半分!)を占めるコントロールで楽しんだが
今のスタンダードではその時ほど土地に恵まれてはいない。
26枚にしてから少し足して27枚にするだろう。

どちらを組むのも楽しいが、今回はせっかく土地について語っているのだ。
土地を増やすことにしよう。

というわけで使うデッキは【ディミーアコントロールだ。
さて、2色地形はこれで十分か?
もう少しだけ盛ろう。
なんてったって、今のスタンダードでは
《ディミーアのギルド門/Dimir Gildgate》
《水没した骨塚/Submerged Boneyard》
2枚も追加の2色土地の選択肢がある!しかもイラストも豊富だ!

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(スタン落ちしていても同名カードが再録されていれば古いカードも使えるので、昔の同名カードなんかは絵柄が違うのでそれを使えるのも嬉しいね)


しかし、この2つはそんなに強くない。
数を足しすぎても足を引っ張るので各2枚でいいだろう。
ああ、同じ土地を4枚でもいい。
僕はデッキの土地は色々な絵柄を楽しみたいから
名前の違う土地を2枚ずつ別の絵柄で使う。ここは好みだ。

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さてでは26枚の土地を埋めよう。

土地 26枚

4《湿った墓/Watery Grave》
4《水没した地下墓地/Drowned Catacomb》
2《ディミーアのギルド門/Dimir Gildgate》
2《水没した骨塚/Submerged Boneyard》
7《島/Island》
7《沼/Swamp》

島と沼は合計で14枚。
7枚7枚にするか6枚8枚にするかは
呪文を加えた後でまた整える。

さあ、土地基盤の話はおしまいだ!
デッキのカードを決めよう。


まずはコントロールデッキと言えばドローカードだ。


ドローカードのないコントロールなんて信じられない。

まずはドローできるカードをデッキに入れよう。
僕にはおススメのカードがある。
青の墓地から使えるドローカードか?
あるいは黒の3枚も手札に加わる可能性のあるソーサリー?

いいや、どちらでもない。
おススメなのはこいつだ!

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《天才の記念像/Memorial to Genius》

土地じゃないか!ふざけてるのか!と思うかもしれないが
私は真剣だ。
天才の記念像の効果を見てくれ、マナを払ってドローする。
呪文と同じじゃないか。

こういった特殊な能力を起動できる土地というのがマジックにはたまに存在する。
僕はデッキの呪文を決める段階でこれらの土地を検討する。

これを僕は『呪文のつもりで採用した土地』と呼んでいる。
呪文のつもりで採用した土地のメリットは以下の通り。
・それは土地である
土地が確保できないとまず呪文が唱えられない。
ただのドロー呪文は土地が十分になければ何もしないが
《天才の記念像/Memorial to Genius》は最低でも場に出せてマナを生むことができる。
・打ち消されにくい
ほとんどのカウンター呪文は「呪文を打ち消す」ことはできても
土地の能力を打ち消せたりはしない。
ああ、両方できる打消しもあるにはあるよ。
《不許可/Disallow》とかね。
ああ、でもそいつはこの前スタンダードを去っていった。
天才の記念像を止める実用的な手段はあまりない。

デメリットはだいたいこういう土地はタップインだってことだ。
攻撃的なデッキではタップイン土地は採用しづらい。
防御的なデッキではタップイン土地は採用しやすい。
デッキに合わせて、検討した『呪文のつもりで採用した土地』が本当に採用されるかを決めよう。

今回のデッキはコントロール
つまり防御的で、ドローカードが欲しくて、タップインを少し許容できる。
ストレス的な理由からデッキ内のタップイン比率を上げたくないので、
タップイン土地《水没した骨塚/Submerged Boneyard》を1枚、アンタップインの土地にしよう。
《天才の記念像/Memorial to Genius》が青マナなのでアンタップインの土地は沼だ。

土地 27枚

4《湿った墓/Watery Grave》
4《水没した地下墓地/Drowned Catacomb》
2《ディミーアのギルド門/Dimir Gildgate》
1《水没した骨塚/Submerged Boneyard》
1《天才の記念像/Memorial to Genius》
7《島/Island》
8《沼/Swamp》

この調整が、『26枚にしてから少し足して27枚にするだろう』の真意だ。

さて、それじゃあ次はどんな呪文を入れようか?

もしかすると君はここで記念像は5色に存在するので、黒の記念像も足すんじゃないか?と疑うかもしれない。

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だが、ここでそれはしない。
黒い記念像は墓地からクリーチャーを回収する。
デッキに入るクリーチャーが「使いまわしたい」かわからない段階で入れることはない。

さて、いよいよ『本当に』呪文を入れる時が来た。
どんなカードをデッキに足そうか?

まずこれはコントロールデッキだ。
相手の攻め手を裁きながら、安定して土地を伸ばしより強い脅威を出すのがコントロールの戦い方だ。
序盤に土地を引き続け、中盤以降に相手に合わせた対処方法を探す助けとなり、
終盤にはアドバンテージ差をつけたり、余ったマナを入れる先として良いカードが求められる。

そんな都合のいいカードがあるだろうか?
《アズカンタの探索/Serch for Azcanta》というエンチャントだ!

「へえ、すごい!」と思った君は、この素敵なプレゼンを受け入れてくれるだろうが
スタンダードのカードに詳しい人はもしかするとげんなりしたかもしれないね。
まあでも説明させてほしい。
きっとこのカードについて知らない人もこの記事を読んでるはずだから。
こいつはこのデッキに「必要」なパーツなんだ。

《アズカンタの探索/Serch for Azcanta》はどんなカードか。

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2マナの青いエンチャントだ。
非常にマナが軽いので素早く設置できる。
一度設置した後は毎ターン、ドローの前にデッキの一番上を君に見せて問いかけてくる。
「このカード、今使いたい?」
例えば設置した次のターン、手札の土地は1枚で物足りない。デッキトップには5マナのカード。
これは「今使わない」カードだ。
たとえそれが強力なレアであってもだ。
今は使わない。勇気を出して墓地に落そう。
そうすれば追加の土地が引けるかもしれない。
そうやって引けるドローに「方向性」を持たせることができる。
そしてこの「方向性」は自動ではない「デッキトップを公開し、土地でないなら捨てる」とかではないのだ。
土地が多すぎると思えばデッキトップの土地をはじけるし、
相手が大量のクリーチャーを並べるトークンデッキなら
全体除去をデッキから引く助けになる。
君が除去呪文や打消し呪文、ドロー呪文を唱え続ける。あるいはアズカンタの探索/Serch for Azcanta》でデッキから墓地へ送るなどで
墓地が6枚になったら変身の準備が整う。
自身の効果でデッキから墓地に7枚目を落としたらいよいよ変身だ。
《アズカンタの探索/Serch for Azcantaはアズカンタという幻の水没遺跡を探す旅路をカードとして表現したものだ。
情報を集めた探索行の果てに幻の土地にたどり着いた君は《水没遺跡、アズカンタ/Azcanta,the Sunken Ruin》に至るという
フレーバーたっぷりのカードだ。

では変身後の《水没遺跡、アズカンタ/Azcanta,the Sunken Ruin》はどんなカードだろう?
こんなカードだ!

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…土地じゃないか!!
うん、そうなんだ。
だましたみたいで悪いね。実はまだ土地の話が続いてたんだ。
でもこれは極めて強力な土地だ。
変身後の《水没遺跡、アズカンタ/Azcanta,the Sunken Ruin》は土地なのでマナが出る。
中盤に相手のラッシュが続き、対処法を探すために土地をデッキトップからどかして
全体除去などを探し続けてしまい
土地を伸ばせていない場合でも、序盤に置いたこのカードが土地になってくれるなら
心強い。
逆に土地が伸ばせているなら?
《水没遺跡、アズカンタ/Azcanta,the Sunken Ruin》はマナを支払う起動能力がある。
この能力を使うと、ほとんどの場合手札が1枚増える。
これでコントロールデッキの手札を確保する役目を担える。
それもある程度の選択肢から選べるとなれば、臨機応変に状況に対応できるだろう。

できる限りデッキに入れたい。だが4枚はダメだ。
《アズカンタの探索/Serch for Azcanta》は伝説のカードだ。
これはカードゲーム漫画とかで言われる「これが伝説のカード!?」みたいな話でなく
ルール上の特性だ。「伝説の~」は同じカード名の伝説カードを2つ並べられない。
つまり思考停止で4枚入れてしまっても
同時には置けないので重ねて引いてしまうと「ハズレ」札になってしまう。
2枚か3枚にしておこう。
《アズカンタの探索/Serch for Azcanta》の利点として変身すると《水没遺跡、アズカンタ/Azcanta,the Sunken Ruin》になる点は
見逃せない。
《水没遺跡、アズカンタ/Azcanta,the Sunken Ruinになると「カード名」が変わるので
水没遺跡に変身した後で、
手札から2枚目の探索を出すことができる。
探索の変身は任意なので変身させない限り
2枚目は探索としてドローの質を上げるという「最初の役割」を任せ続けられる。
序盤に固め引くとつらいが終盤に2枚目を引く分にはオッケーというわけだ。
2枚入れた場合「無駄に」なることはほとんどない。
だが3枚入れた場合は少し無駄になる危険もある。

ここでお勧めしたいのは《アズカンタの探索/Serch for Azcanta》は2枚に抑えて
3枚目のアズカンタの代わりに別のアドバンテージエンジンを採用することだ。
伝説による重ねたパターンの克服や特定のカード名を指定して対策するカードに強くなる。

そして似た役割を探すときに「本質的に似てる」ものを選ぶが
「似たカード」を選ぶべきではない。
何かの劣化であるカードを入れるより別の強みがあるカードが欲しい。
特に《アズカンタの探索/Serch for Azcanta》のようにデッキをふるいにかけるデッキでは。
デッキ内の役割として「序盤に盤面に置いてじわじわと有利を稼ぐエンチャント」を探すのが目的であり
表面的な「デッキのカードを墓地に送るエンチャント」を探さないという話だ。
例えば極論、これが門デッキなら《ギルド会談/Guild Summit》は「本質的にアズカンタと似たカード」であるが
これが青単アグロだとして《水没した秘密/Drowned Secrets》は「本質的にアズカンタと似たカード」ではないということだ。

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(もし青単のデッキ破壊デッキなら「本質的にアズカンタと似たカード」かもしれない。つまりデッキの中でそのカードがどういう位置付けなのかを重視するので、デッキが変われば似ているカードも変わるのだ。)

さて極論を挙げるのに「これが~デッキだとして」といったが
実際にはこれは【青黒コントロール】だ。
つまり何が違うかというと、3枚目のアズカンタの枠は黒いカードから探せるということだ。

というわけでここに採用できる「本質的にアズカンタと似たカード」は何か?

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《アルゲールの断血/Arguel's Blood Fast》である!

もうあんまり引き延ばしても仕方ないのでざっくり言うとこれも変身して《アクロゾズの神殿/Temple of Aclazotz》という土地になるエンチャントだ。


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色々引っ張って「本質的に似たカード」なんて言ってたのにがっつり表面的に(あるいは変身カードの裏面的に)そっくりなカードになってるのは笑いどころだけど、

「2ターン目から置けるので打消しづらく継続的に有利を積み上げる、クリーチャー除去にかからない置物」だ。
こちらは《アズカンタの探索/Serch for Azcanta》と違ってコストとしてライフを要求する代わりに悠長なことを言わずに払ったらすぐアドバンテージをくれる。


とうわけでデッキレシピは現時点でこうなる。

土地 27枚

4《湿った墓/Watery Grave》
4《水没した地下墓地/Drowned Catacomb》
2《ディミーアのギルド門/Dimir Gildgate》
1《水没した骨塚/Submerged Boneyard》
1《天才の記念像/Memorial to Genius》
8《島/Island》
7《沼/Swamp》

呪文 3枚
《アズカンタの探索/Serch for Azcanta》
《アルゲールの断血/Arguel's Blood Fast》

土地タイプを持たないカードがまだデッキに1枚も入っていないのでそろそろ本格的に呪文を探そう。
とはいえここまで作ればほとんど答えは見えている。
ラヴ二カのギルドには青黒デッキで使える3つのメカニズムがある。
青の再活、黒の宿根、青黒の諜報だ。
諜報はデッキカラーそのものなので強力なカードも使える。
そのうえどういう効果かというと

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《思考消去/Thought Erasue》

難しいことはない、毎ターン《アズカンタの探索/Serch for Azcanta》がやってるのと同じことを呪文のおまけとしつけるだけだ。
土地を伸ばすかどうかの選択との相性も良いこの能力は当然採用する。
メインギミックとして構築できるだろう。


残る2つはインスタントやソーサリーが持つ墓地発動のキーワード、再活

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《薬術師の眼識/Chamister's Insight》


あるいは墓地のクリーチャー・カードの数を参照する能力語、宿根

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《感情化粧師/Moodmark Painter
これらの採用ははっきりしている。

再活のインスタントとソーサリーは《水没遺跡、アズカンタ/Azcanta,the Sunken Ruin》で手札に加えられる

その上、序盤に土地が欲しくてトップから落とした再活呪文を終盤に土地ばかり引いた時に土地を捨てて使えるので土地が多めのこのデッキと相性抜群だ。


宿根のためにクリーチャーを増やすと不発になりやすい。

入れるなら再活呪文だろう。


もう話すことある?
後は適当に使われてるレアを片っ端から突っ込んでから
環境に対して実際はそんなに使わなかったカードを抜いて
環境に多いデッキに対して有効なカードを入れながら
コントロールしきった後に叩きつけて気持ちよくなれる切り札入れて終わり…

それだと記事を書いてる意味がないしプロみたいに誰もがゴリゴリお金をかけれるわけではない。

なので次回は縛りプレイです。

制限なくデッキ組める場合は次回は読まずにプロが使ったりオンライン対戦で連勝してる人のデッキを参考に決めてください。

この記事の続きは「よし言われたように土地からデッキ組んだら…あれ? もうお小遣い残ってないじゃん!」という方向けだ。

アンコモン以下のカードだけで固めて「それなり」に勝てるデッキになるように努力してみよう。

というわけで土地以外のデッキレシピは次回、

「レアは土地だけで十分だ」で会いましょう。

 

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それって本当にカスレア? 第一回《実験の狂乱/Experimental Frenzy》

やあ、バーチャルバーチャルYoutuber(バーチャルモデルを用意して架空のバーチャルYoutuberになりきる遊びをする人のこと)の豆猫さんだよ!

今日は「それって本当にカスレアか?」と題して

「ゴミと呼ばれるけど言われるほど弱くはないんじゃ…」ってカードを紹介するよ。

第一回は…

《実験の狂乱/Experimental Frenzy》

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プレビュー期間に新しいカードについてわいわい言うのは楽しいよね。
僕の先輩はLINEにこいつの画像を張りながら
「ゴミだよ。」
とだけコメントした。
僕は発狂しながらこのカードがいかに優れているか長文で書きこんだ。
(といってもこれからブログで書くほど長くはない)
 
さて、《実験の狂乱/Experimental Frenzy》とはどんなカードかおさらいしてみよう。
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1.デッキの一番上を見れる
2.デッキの一番上の呪文を唱えたり、土地を場にだせる。
3.手札の呪文を唱えたり、手札から土地を置けなくなる。
4.コストを払うと壊れる
 
ざっくりまとめると
「手札が使えなくなる代わりにデッキの上を使っていいよ」というカードだ。
あるいはこうも言い換えられる。
「毎ターン1枚ドローする代わりに、山札の並び方次第でたくさんドローしたように遊べる」
そういうカードだ。
 
このカードで何が起こるか想像しづらいかもしれない。
ここからは例えを使って説明するので
実際のMTGで起こる現象とは細かいところで違うということをふまえて
雰囲気で理解して、上級者の方は上げ足を取らないでもらえると助かる。
(手札から捨てるようなものだ、と言ったときにマッドネスが誘発しないだろ!とか言われても困るということ)
 
このカードを君は赤単に入れて4ターン目に場に出したとしよう。
今君の手札は使い物にならなくなった。
手札の《稲妻の一撃/Lightning Strike》を唱えて対戦相手のLPを減らすことも、
手札の山を場に出して5マナ目を出そうとすることもできない。
言ってみれば「手札をすべて捨てた」のだ。
というわけで「このカードで起こること」を書き換えてみよう。
 
1.デッキの一番上を見れる
2.デッキの一番上の呪文を唱えたり、土地を場にだせる。
3.手札をすべて捨てる。
4.自分から壊れていくのか…(困惑)
 
OK。君は相手に見えないように山札の上を確認し
山が見えた。次のターンのドローは山か。なるほど。
そしたら次のターン、相手が動いて…。
君の5ターン目だ。
開始フェイズに山を4枚アンタップして、ドローする。
 
君はドローした山を場に出そうとして…
おいおいおい、待ってくれ。
 
手札のカードをプレイできない?
つまりこのポンコツエンチャントはドローもできなくなるってことか?
勘弁してくれよ!
君は再び「このカードで起きること」を書き換えたほうがよさそうだ。
 
1.デッキの一番上を見れる
2.デッキの一番上の呪文を唱えたり、土地を場にだせる。
3.手札をすべて捨てる。
4.もうドローはできない。
5.自分から壊れていくのか…(困惑)
 
手札も(使え)ない。ドローもできない。
なんだこの状況は。
君はターンエンドあるいは投了を宣言して
このカードをゴミだと罵るかもしれない。
でもそのまえにちょっと待って。
 
1.デッキの一番上を見れる
 
さあ、デッキの一番上をおもむろに持ち上げて覗こう(相手に見られないよう、こっそりとね)
 
君のデッキの一番上には《松明の急使/Torch Courier》(1マナで1/1速攻のゴブリン)がいた!
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2.デッキの一番上の呪文を唱えたり、土地を場にだせる。
 
君は山を1つタップして《松明の急使/Torch Courier》を唱える。
なんだ。もう何もできないかと思ったけどそんなことはない。
ちゃんとドローしたのと同じ成果が得られるじゃないか。
そして君はホッと一息ついて、今度こそターンエンドをしようとするだろう。
でもちょっと待つんだ。
ああ、赤いデッキを使う君がせっかちなのはわかるよ。
でも君のそのゴブリンは速攻だしターンエンドには気が早い。
もう少し待ってくれてもいいだろう?
 
ありがとう。
それじゃあ君はもう一度やれることを思い出すんだ。
 
1.デッキの一番上を見れる
 
それはさっきやったって?
《実験の狂乱/Experimental Frenzy》(かみ砕いて書いてるやつじゃなく本物のカードの方のテキストだ)を読んでみてほしい。

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あなたは いつでも ライブラリーの一番上のカードを見てもよい。
 
いつでも!1回じゃない!いつでもさ!
君はまたライブラリーをめくる。
そこにいるのは《火小僧/Fire Urchin》(2マナのクリーチャー。速攻は無いがソーサリーとかに反応してパワーが上がる)だ。
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さあ、もうわかっただろう?
 
2.デッキの一番上の呪文を唱えたり、土地を場にだせる。
 
盤面に2体目のクリーチャーだ!
そして、君はもうちゃんと覚えたね?
 
1.デッキの一番上を見れる
 
君は3体目のクリーチャーがいるんじゃないかとワクワクしてデッキの上を見る。
そこにあるのは…山だ。
がっかりしたかい?
それとも君は賢いイゼット団員かな?
 
2.デッキの一番上の呪文を唱えたり、土地を場にだせる。
 
そう!土地も場に出せるんだ!
ただ注意してほしいことがあるんだ。
この効果は「権利を行使できる範囲を増やせる」だけで「本来できる権利」を拡張したりはしない。
あー。うん、アゾリウス評議会みたいな堅苦しい難解な言い回しは嫌いか。
ごめん。
ゴブリンでもわかるように解説しなおすよ。
君が1ターンに唱えられる呪文の数には限りがないよね?
マナと手札の続く限り、好きなだけ唱えられる。
でも土地は1ターンに1枚しか場に出せないよね。
そういうルールなんだから。
だから今、君はまだ土地を置いてないから山札の山を場に置ける。
でももしその次のカードが山なら君はそれを場に出すことはできない。
そこでストップだ。
とにかく君はデッキの一番上の山を場に置くことに…え?もう置いた?
せっかちだなあ。
じゃあ次に何をするか、もうわかったよね?
せーのっ!
 
1.デッキの一番上を見れる
 
そこには《最大速度/Maximize Veelocity》(対象に速攻と+1/+1修正を与える1マナの再活ソーサリー)
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うん。いいね。
君は召喚酔いしてる《火小僧/Fire Urchin》にこいつを唱える。
《火小僧/Fire Urchin》は自分の能力と《最大速度/Maximize Veelocity》の効果の2つでパワーアップ!
そしてまだまだ続くぞ!
 
1.デッキの一番上を見れる
 
《逃れえぬ猛火/Inescapable Blaze》だ!
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スーパークール!こいつはなんと小ずるいディミーアの使う《否認/Negate》なんかに打ち消されない上に6点ものダメージを与えられるカードだ。
ああ!切り札ともいえるスーパーインスタントとして君はこいつをデッキに入れたんだろう。
でも残念なお知らせがある。
 
「権利を行使できる範囲を増やせる」だけで「本来できる権利」を拡張したりはしない。
 
あー。つまり、なんてゆうか…その、もう君には1マナしか使えるマナがないっていうことなんだけど…
まあでもガッカリしないでくれよ。
君はもうこのターンに4枚もカードを使ったんだぜ。手札を全部捨てたのに。
(あー!あー!本当は捨ててなんかないなんて言葉はノイズがうるさくて聞こえないや)
普通は手札が0でターンエンドしたら
次のターンには1枚しかカードが使えないんだぜ?
(場合によっては普通のドローをしても1枚使えないことだってある。並べてる山が5枚しかないのに6マナの《逃れえぬ猛火/Inescapable Blaze》を引くとかだ)
どうやら「ドローができなくなる」っていうのは何か違うみたいだ。
「このカードで起きること」をこんな感じに書き直そう。
 
1.デッキの一番上を見れる。
2.手札をすべて捨てる。
3.カードは使える。運が良ければ1枚よりたくさん。
4.自分から壊れていくのか…(困惑)
 
よし。こんなもんだ。
もしドローフェイズのあと見たカードが《逃れえぬ猛火/Inescapable Blaze》だったら?
まあ1枚ドローしたとはいいがたいけれど、
そもそも4マナじゃあ前のターンに《実験の狂乱/Experimental Frenzy》を置いてなくてもどうせ6マナの呪文は使えないんだ。
運が悪いと「何も起きない」なんてのは普通のドローでも変わらない。
だったらエキサイティングなドローができるこっちの方が断然いいよ。
 
さあ、君の速攻クリーチャー2体で相手をアタックだ。
これでもう正真正銘何もできることはないね。
…本当かい?
実は君にはまだできることはある。
 
1.デッキの一番上を見れる
 
なに? それはさっきも見ただろうって?
ああ、そうさ。君はそいつを見て超興奮した顔をしたよな。
(そのあとガッカリした顔は僕の方にだけ見せて対戦相手には見せないでくれよ)
いいかい。君はデッキの上をもう一度持ち上げて確認してから
残りの1マナを出せるアンタップ状態の山を見て、自信満々に攻撃するんだ。
 
それで何が変わるかって?
いいかい、デッキの一番上のカードってのは見えないものなんだ。
ああ、もちろん今の君には見える。
でもね、対戦相手には見えてない。
 
似たような青のカードに昔、《未来予知/Future Sight》ってのがあった。f:id:omamesensei:20181010210203p:plain
この薄ノロ5マナトリプルシンボルの重たいカードはライブラリーの一番上を公開していた。
公開。そいつは相手も見えるってことだ。
例えば今、君の場に出てるのが《未来予知/Future Sight》だったとしよう。
デッキの上に使い物にならない《逃れえぬ猛火/Inescapable Blaze》がデンと居座って邪魔してるのが筒抜けだ。
だが、《実験の狂乱/Experimental Frenzy》はそうじゃない。
君だけが見ていいんだ。
よし、「このカードで起きること」を書き直すんだ。
 
1.君だけが、こっそり、そして堂々と、デッキの一番上を見れる。
2.手札をすべて捨てる。
3.カードは使える。運が良ければ1枚よりたくさん。
4.自分から壊れていくのか…(困惑)
 
 
つまり君はスーパークールなインスタントがデッキトップに見えて喜んだ顔のまま、
奴らに悲しそうなところは見せずに堂々と攻撃するんだ。
相手はビビッて1/1《松明の急使/Torch Courier》もブロックしないかもしれないぜ。
1マナのインスタントでパワーアップした《松明の急使/Torch Courier》がブロックしたクリーチャーを一方的に倒すかもしれないと思ってるんだ。
 
 
 
これでこのターンは終わり。
じゃあ次の相手のターン。
そしてまた君のターンだ。
状況を確認しよう。
相手は君の場に干渉しなかったとしよう。
 
君の場にあるのは
5枚の山
スーパークレイジーエンチャント《実験の狂乱/Experimental Frenzy》
《松明の急使/Torch Courier》
《火小僧/Fire Urchin》
 

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君の手札は?
捨てたも同然。引いたけど場に出せない山とか。
 
さあ、ドローステップ。
何を引くかは分かってるね。
《逃れえぬ猛火/Inescapable Blaze》だ。
手札には6枚目の山もあるし、本当はそれを場に置いて
《逃れえぬ猛火/Inescapable Blaze》で絶対に卑怯なカウンターなんかで消されない灼熱の6点ダメージで相手を殺してやりたいけど
今の君は手札をすべて捨ててるんだ。
さっき引いた山も、今引いた《逃れえぬ猛火/Inescapable Blaze》も使えないんだ。
「起きること」のメモを書き直そう。
 
1.君だけが、こっそり、そして堂々と、デッキの一番上を見れる。
2.手札は全て捨てる。次のターン、マナのある時のために持ち越せない。
3.カードは使える。運が良ければ1枚よりたくさん。
4.自分から壊れていくのか…(困惑)
 
じゃあ《逃れえぬ猛火/Inescapable Blaze》の下には何があったかな?
山だ。君は山札の山を場に置いた。そして「いつものように」次のカードも見る。
 
どうもー、《軍勢の戦親分/Legion Warboss》ですっ!って元気に挨拶をしてくれる親分を戦場に出そう。
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この親分は強力な戦力だし、攻撃した時の素敵な能力も持っている。
こいつに速攻があればいいんだけど…ああ、《松明の急使/Torch Courier》を生贄に捧げればいいのか。
そう、たしかに《松明の急使/Torch Courier》には隠された効果がある。

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命を犠牲に味方に速攻がつけられるんだ。
でもね、こいつだって死にたいわけじゃないし(全体の勝利のために自分を犠牲にするのはセレズニアの全体主義者どもがすることさ)
君だってアタックしてダメージを与えられる味方は多い方がいい。
何か策はないか山札の上のカードを見る。
また山だよ。残念だね。もう土地はおいてるんだ。
 
いよいよ手詰まりかな?
そんなことはない。
君は見れるのは山札の上だけじゃないぜ。
もう使えなくなった手札も見れる。ああ、見れるだけだけど。
他には? 墓地も公開情報だ。
君は墓地の一番上に目をやると…
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さっき使った再活を持つインスタント《最大速度/Maximize Veelocity》があるじゃないか!
(使ったことを忘れて画面をスクロールした諸君はその長さに《実験の狂乱/Experimental Frenzy》がしてくれたことがたくさんあったことを実感できただろう。)
 
再活呪文は墓地からもう一度使えるんだ!!
ああ。その代り手札を1枚捨てなきゃいけない。
好きなだけくれてやれよ。その手札はもうどうせ使えないんだぜ。
君は手札の山をぽいっと捨てて1マナ払って墓地から《最大速度/Maximize Veelocity》を唱える。
これで《軍勢の戦親分/Legion Warboss》には速攻がついて《松明の急使/Torch Courier》も失わない。
 
最高だね!
そうやって君が戦闘して…まあ、いろいろ起きて相手のライフが残り6点になったとしよう。
1~3ターン目に何が起きたらそうなるのかとかは考えてない。とにかくそうなったんだと思ってほしい。
そうしたら君にちょっと素敵なアイデアがあるんだ。
いいから僕の言うとおりにプレイして。
まずこのターンはターンエンドするんだ。
そして相手がターン中にいろいろ動く。
うん、ライフ回復呪文を使ったりはしなかったようだね。
いいかい。そうしたら君は相手のエンドに山を4枚タップするんだ。
手札が使えなくて墓地に再活もない。場にマナを使って何かするクリーチャーもいないのに?
一体何に使うかって?
こうするのさ!
 
《実験の狂乱/Experimental Frenzy》の自爆スイッチ、ON!

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バーン!

 
《実験の狂乱/Experimental Frenzy》は粉々になって君の墓地に行った。
おいおいおい、自分のカードを破壊するアホだと僕を非難するのはやめてくれよ。
次の君のターンになればわかるさ。
まず山をドロー。
そして手札に大事に握っていた《逃れえぬ猛火/Inescapable Blaze》を撃て!

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ゴォォォオ!!!
打ち消されない6点!
君の勝ちだ!
 
え? まさかまだ「手札は捨てたようなもので使えない」なんていうんじゃないだろうね?
手札は使えるよ。
だって使えなくしていた《実験の狂乱/Experimental Frenzy》はもうないんだから。
 
さあ、手札は捨てたものだと思ってたけど
再活のコストにしたり、必要になったら取り戻せる。
これは「起きること」を書き直した方がいいね。
文の順番とかを整えると…
 
最終的な《実験の狂乱/Experimental Frenzy》で起きることはこうだ!
1.君の手札を「倉庫」に預ける。
2.毎ターン、倉庫に物を突っ込む。
3.いつでも君は山札の上をこっそり見れる。堂々と見て思わせぶりな演技を付け加えてもいい。
4.倉庫のものは売り払って再活のコストにしたりできる。
5.君がどうしても倉庫に入れたものを「そのままの形」で取り戻したいなら、この倉庫の壁をぶち壊せる。
 
以上だ。
 
最後に小技を1つ。
君の場には《実験の狂乱/Experimental Frenzy》と山が6枚。相手のライフは6点だ。
君はデッキの一番上に《奇矯なサイクロプス/ErraticCyclos》を見たとしよう。f:id:omamesensei:20181010210601p:plain
クレイジーな仲間だ。
こいつは4マナのクリーチャーなので唱えれる。
すると、なんてこった!君の切り札、スーパーインスタント《逃れえぬ猛火/Inescapable Blaze》がある。
でも残りの2マナでは《実験の狂乱/Experimental Frenzy》を壊せない。
となると次のターン、《逃れえぬ猛火/Inescapable Blaze》は「倉庫」行きだ。
次のターンに4マナ払って、そのまた次のターンに撃ったら…なんて悠長なことをしてたら負けるかもしれない。
 
そういう時は次のターンのアップキープにちょっと動きを止めてみてくれ。
開始フェイズはアンタップ、アップキープ、ドローの3つだ。
アップキープには君の6枚の山はマナを埋めるようになり、
ドローする前なのでデッキの一番上にまだ《逃れえぬ猛火/Inescapable Blaze》がある。
「引き出しづらい倉庫」である手札に加わるドローステップより前にこれをぶちこんでやれ!
本体に打ち消されない6点!サイクロプスも6点トランプルだ!
 
もちろんアップキープに撃つためには注意することがある。
 
「権利を行使できる範囲を増やせる」だけで「本来できる権利」を拡張したりはしない。
 
ソーサリーをアップキープに撃つ権利はない。
アップキープに手札から撃てるインスタントを「山札の上からも」唱えられるようにするだけだ。
 
さあ、それじゃあ君も《実験の狂乱/Experimental Frenzy》のことをカスレア呼ばわりするのをやめて
試しに使ってみるんだ。
病みつきになっても知らないぞ。
 

 

アリュージョニストは象である。

アリュージョニストという小説は象である。

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この場合の象とは何かといえば、「目隠しした人に象を触らせる」という逸話の象である。
 
「同じものについて話していても、俯瞰して全体を見た状態に比べれば、部位だけを何かに例えるのは滑稽なものだ。視野は広く持ちたいものだなあ」という教訓だけ覚えていて、話の細部については全く覚えていない。
(それぞれが象の脚を何に例えたかとか鼻をどう表現したかとかそういうの)
 
こういう時に頼りになるのがとりあえずGoogleWikipediaで調べることだ。
で、実際に調べてみた。
 
 
なるほど。『群盲象を評す』という寓話であった。
先ほどの僕の記憶はどうやら間違っていて、(あるいは子供の時に読んだので小さい子向けに表現を変えていた)目隠しでなく目が見えない人たちであったり、暗闇の中だったりするらしい。
 
また話自体には結論が語られていないこともあって、
この話の「教訓」をどこに求めるかは時代や地域や個人によってブレがあるとも書いてある。
 
僕は寡聞にして知らなかったがどうやら日本では「凡人にに大人物や大偉業が理解されない様子」として引用されるケースがあるらしい。
 
この話の元ネタはインドの説話ということだが、インドという国とアリュージョニストについて語るのは長くなるので割愛する。
しかしアリュージョニストとインドにはそれなりに深い関係があるのでこんなところでつながるのは驚きだ。
 
 
うん。知らない知識が多かったが、そういうことを知らずに文章を書きだしても
問題なくWikipediaの力を借りて情報を補完できる。
知識のアウトソーシング、すなわちサイバーカラテだ。
 
さて、脱線しすぎた。
何の話だったかな?
そうそう。アリュージョニストは象であるという話だ。
 
 
アリュージョニストは象である
 
幻想再帰のアリュージョニストは「群盲象を評す」の象である。
 
さっきまで長い説明の必要だった概念がたった6文字に圧縮できる。
アウトソーシングした知識を自分のものにし、6文字の中に物語を詰め込むことで伝達することができるようになったわけだ。
 
アリュージョニストは象である。
 
余りにも多様な側面があり個人の感想からアリュージョニストについて完全な知見を得ることはできない。
あなたもアリュージョニストを読むべきだが、「読んだだけ」では面白い小説を読んだという体験しか得られない。
(そう、こんな講釈を読まなくてもアリュージョニストはエンタメとしておもしろいことは忘れてはいならないポイントだろう)
 
 
あなたがアリュージョニストという象について知見を深めるなら、他の盲人たる読者のアリュージョニストの感想を読んだりすることで より象の全体像について近づける。
 
中には君が思っていることと違うことを言う人がいるだろう。
そういうときに諍いを起こしてしまうのはより大きなアリュージョニストの概観
知らないからだと「群盲象を評す」の逸話は語っている。
 
ネットスラングめいた表現をするなら。
 
「うんうん、それもまたアリュージョニストだね」
 
「あなたがアリュージョニストだと思うものがアリュージョニストです。ただし他人の同意を得られるとは限りません」
 
といったところか。
 
本題に入らないまま脱線が続くな。
ネムリネズミがいないとすぐこうなる。
ネムリネズミが~というのもミーム的性質を持つ表現なので読者の中で理解できる人と理解できない人がいることだろう。わからなかったら気にせずに読み飛ばしてほしい)
 
いよいよ本題だ。
 
 
 
「ゼオーティアの歩き方」に書かれない側面
 
アリュージョニストを評する文章を集めて魔王14歳様がまとめられた「ゼオーティアの歩き方」という本がある。
 
本題と言いつつ話が急に転がったな。
この「ゼオーティアの歩き方」で当然語られていると思ったアリュージョニストの側面について、実際には書かれていなかった。
 
となればアリュージョニストを評する盲人のひとりである僕はその「語られざる側面」について書いておこうと思ったのだ。
 
盲人ひとりの話だけを鵜呑みにするのはよくないが話を聞ける盲人は多い方が全体像を知れるだろう。
なにせアリュージョニストは現在まだ未完の連載中作品だであり、
作者の最近先生以外の誰もが「アリュージョニスト盲人」なのだから。
 
 
 
アリュージョニストとオープンソースシェアワールド
 
アリュージョニストの中では既存の神話作品からの引喩が見られる。
インド神話だとか北欧神話だとかそういうのからの引喩だ。
だがそうやって引喩されるもののひとつとしてゆらぎの神話というものが取り上げられている。
ゆらぎの神話とは何だろう?
 
前述の「ゼオーティアの歩き方」の編者である魔王14歳様が、アリュージョニストという作品が生まれるよりも前に別口で立ち上げた企画だ。
 
オープンソースな『現代の神話』を作ろう」というこの試みはどうやら今でも生きているらしくネット上のゆらぎの神話に関する記述は今なお増え続けている。
 
具体的にどういった用語がゆらぎの神話から引かれているのか例をいくつか挙げてみよう。
 
第一章「フィリス」「金鎖のフラベウファ」
 
第二章「キュトスの姉妹」及びそのっ姉妹たちの名前。「星見の塔」「氷血のコルセスカ」「覇王メクセトの神滅具」「モロレク」
 
第三章「黒檀の民」「白樺の民」「モルゾワーネス」「オルガンローデ」「鯉耳人」
 
第四章「ハルバンデフ」「死人の森」「ドルネスタンルフ」「ラフディ」「ルウテト」
 
ゆらぎの神話を知らずにアリュージョニストを読んでいた君、今鳥肌がたっているんじゃないか?
 
まだアリュージョニストを読んでいない君。
これらの単語がオープンソースからの引喩だと覚えておいてほしい。
 
そう、アリュージョニストはその広大な世界設定の中にゆらぎの神話を取り込み世界観を拡張しているのだ。
 
 
 
アリュージョニストはゆらぎの神話におんぶにだっこか?
 
さて、アリュージョニストの中核をなすようなクリティカルなワードにはゆらぎの神話という「元ネタ」が散見される。
 
アリュージョニストとは「パクり」だからあれだけの設定を気軽に用意できるのか?
(そもそもオープンソースなのでパクるもなにもないが)
答えはイエスでありノーだ。
 
アリュージョニストの「手数の多さ」の一因にはなっているし、
ゆらぎの神話背景を知る者にとってそれらの背景を「連想」することによる効果もある。
まるで同じ人の頭から生み出されたとは思えない多彩な固有名詞は、本当に同じ人が生み出したわけではなかった。
それは事実だ。 認めよう。
 
だがしかし。
アリュージョニストはゆらぎの神話を引喩するが、他の神話を引喩するのと同じように引っ張ってきているに過ぎない。
(たとえばメインヒロインのトリシューラという名前をインド神話・ヒンドゥ教から引くように)
 
サイバーカラテ」杖・邪視・呪文・使い魔の呪術の4大体系などは
ゆらぎの神話からのものではないアリュージョニストのオリジナルだ。
 
アリュージョニストは『ゆらぎの神話というオープンソースの神話を作品内に利用した小説の実例』という点で非常に価値がある。
 
だがそれはアリュージョニストの全てではない。
 
アリュージョニストという「おもしろい小説」が既存の創作物から言葉を引喩する時にゆらぎの神話も利用したというだけのことである。
 
きっとゆらぎの神話要素なしでもアリュージョニストはおもしろい
 
ゆらぎの神話について知らずともアリュージョニストはおもしろい
 
だがゆらぎの神話という背景について知るとアリュージョニストはもっと面白い
これは「クトゥルフ神話を知っているとFGOのセイレムやウルトラマンティガが面白い」とかの「元ネタを知ることで面白さが増す」のとは一線を画する。
 
なぜならアリュージョニストがゆらぎの神話から大量の引喩をしているということはアリュージョニストのアリュージョニスト性の担保になるからだ。
 
自己に再帰するファンタジーそのものである「幻想再帰のアリュージョニスト」という小説がそのまま「アリュージョンを多用する再帰的な幻想」だということに気づくいてほしい!
 
アリュージョニストこそが「4大系における呪文的なな思考」である「ブリコラージュ」だと気付くから、よりアリュージョニストを楽しめるのである。
 
(ところで筆者はここまでずっとプリコラージュだと思っていたが調べた時に改めてプではなくブ。ブリコラージュだと気づいた。
さらにブリコラージュで検索するとフランスの文化人類学者の著作に行きつくし、その著作のタイトルが「野生の思考」だと気づく。
アリュージョニストにおいて「やせいのしこう」といえばそれは呪術の4大系の1つ「呪文」について語られるときにでてくる表現であり、呪文こそが人文科学に対応する呪術だということにも気づかされる。
ゆらぎの神話のオマージュじゃない部分の例として挙げた呪術大系そのものが、また別の方面の知識からの「寄せ集めの仕事」だというわけだ。
ところでこの「寄せ集めの仕事」という言葉もアリュージョニストの本文において語られるがこれもまたブリコラージュの類語であることがWikipediaから知識として与えられたので今書きながら僕は非常に興奮している)
 
 
 
アリュージョニストは象である。

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「全体」を見なければアリュージョニストとは何かをとらえることはできない。
 
その全体というのは「物語を俯瞰する神の視点である読者」ですら見えていない。
 
象の脚に触れて「これは硬い樹皮の柱のようなものだ」という盲人に過ぎないのだ。今はまだ。
 
アリュージョニストという作品の成立過程とか背景とかそういったものに目を向けて初めて…
「これは柱のようであるが、部分によってはしなる縄のようだ」と象のしっぽにも触れらるようになる。
 
だがまだまだ足りない。
我々盲人たる読者はもっとアリュージョニストの牙や鼻や大きな耳に触れるべきだ。
(ところでそういう生き物だから寓話に使われたんだろうけど象やたら特徴的ですね。キリンが首が長く背が高いとかウサギの耳が長いとかに比べて象は鼻が長く大きな耳に長い牙とかやたら属性てんこ盛りですね。どんだけ要素詰め込んでるんだよ。まるでアリュージョニストだ)
 
 
象であるアリュージョニストを知るために僕は一人でも多くの盲人の視点を利用したい。
 
もちろん僕は自分が触れる範囲のものには触っているつもりだが手の届かないところはいくらでもある。
 
例えば僕の推しキャラであるミルーニャ・アルタネイフ関係の用語にメタルバンドが大量にアリュージョンされてる事とかは他の読者が語るのを読んで初めて気づいた。
僕は黎明稲妻"トワイライトニング"は《荒廃稲妻/ブライトニング》の捻りだと思っていたのでメタルが元だとは思いもしなかったのだ。
*12/16追記
この記事を書いた時点ではまだ読んでいなかったのでけれど
アリュージョニスト地下アイドル編でミルーニャがシンフォニックメタルを歌うシーンが入ってきた。
 
アリュージョニストをより知るためにあなたという盲人がアリュージョニストをどのように表現するのか知りたい。
 
あなたはアリュージョニストは何に似ていると表現するのだろう?
 
アリュージョニストを読んでほしい。
そして貴方がアリュージョニストという象のどの部分を何に例えるのか、
それを他の人へ聞かせてほしい。
 
アリュージョニストを読んでくれ、そして感想や元ネタだと思ったものを
Twitterとかで呟いてほしい。
 
それが僕たち盲人がアリュージョニストという象を理解するためのサイバーカラテ道場になるのだから。

 

クソネズミシングルトンのこと。

Twitterに書けない長文記事でFGOの話をするブログは作ったけど。
FGOのブログだとFGOにしか書けないんだよなあ…ということを
常々思っていたので。
FGOじゃない話題を書くためにこちらのブログを使っていこうと思います。
 
さて、では初回の話のタネは何かというと、「MTGアリーナ」というゲームが
とっても面白い!という話です。
MTGアリーナ、たった一つの要素を除いて「初心者向けのマジック:ザ・ギャザリング」として
よくできているゲームです。
その一つの要素…もったいぶらずに言うと「英語版しかない」ことなので
簡単な英語を理解できてMTGに興味があるか、出るかもわからない日本語版を待てる人にオススメなゲームです。
 
まず、MTGアリーナは現在まだ配信が始まっていません。
現在行われているのは「オープンβテスト」というやつで
まあ、幅広いプレイヤーに門戸を開いてテストプレイ中です。
どうやったらプレイできるかとかは他の先人たちが詳しくまとめてくださっていたりするのでそちらを参考にしてください。
 
 
配布されるデッキについて
配布される初期解禁デッキは 赤 青 緑 白 黒 それぞれの単色統一デッキです。
初心者でも扱いやすくしている一方でド派手なカードも入れてあります。
「ブランチウッドの鎧」が入ってるあたり

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長年のデザインと市場調査の結果、初心者でも簡単に使えて派手で強い!そして…強すぎない。
本当によくできたデッキになっています。
また当たり前のことですがマナカーブが整っている。
マナカーブとは「比較的弱いがコストの低いカード」から「強いがコストの重いカード」の
デッキ内での配分バランスについて話す用語なのですが
まあ詳しく知らなくても大丈夫で
配布デッキはここがちゃんと作ってある。
 
パックを剥いて手に入れたコストの重いレアカードをバンバン詰め込んで
コストの軽い一見弱く見えるカードを抜くとこの比率が崩れて
デッキ全体では弱くなることもあるので
配布デッキを編集する時は「入れたいカードとほぼ同じマナコストのカード」を抜くように調整すると
全体の強さを崩さずに組みなおせるはずです。
 
毎日もらえる2色のデッキについて
毎日、1度プレイするとログインボーナス的なノリで
2色のデッキがもらえます。
こっち!こっちについて語りたい!
こちらのデッキは「非常に強いリミテッドのデッキ」です。
リミテッドというのはMTGの遊び方のひとつなのですが
あまり説明しだすと本筋から外れるので、
ここではアリーナの定番ルール「スタンダード」に比べて
「弱い傾向のあるデッキ」だと思ってください。
つまりこのデッキは「強くて弱い」のです。
これはデッキの総合バランスはとれているが、
カード単体では弱いカードもある程度はいっていること、
そして逆に切り札となる強いカードに関しては
惜しげもなく環境最高クラスの切り札を引っ提げてきていること
これが「強くて弱い」の意味です。

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プレイヤーは「弱いカード」をより実用性のある強いカードにしてデッキをアップグレートできる一方で
切り札の強さから「ある程度の強さ」はすでに保証されているデッキを
配られるわけです。
 
また、これが電子カードゲームの利点なのですが「買占め」がないんですよ。
紙のカードで もし初心者デッキに価値の高いカードを入れ、初心者用に低価格で販売すると
「価値のわかる上級者」が買い占めて肝心の初心者にいきわたらないのです。
電子ゲームなら「買占め」が気にならないので初心者に最高レアのカードを入れたデッキを
配れるわけです。
 
で、友人とプレイしてて気づいたんですが、
この配布2色デッキ…なんと「プレイヤーごとに違うものをもらっている」んですよ!!
いやあ、これには驚いた。
MTGには2色の組み合わせは10種類あって最新パック(MTGアリーナでも使える!)では
その2色の組み合わせ10種がテーマとして扱われています。
恐らく配布デッキも10種類あって、
プレイヤーは「ランダムに持っていないデッキ1つ」を貰えるみたいなんです。
そして配布デッキをもらうとミッションが課されます。
例えば青白のデッキをもらったときのミッションは「青か白のカードを40回使う。ミッション達成でパックを1つタダでもらえる」
当然もらったデッキで戦ってパックが欲しくなりますよね?
結果的にマッチングがうまく機能していて「またこの強いデッキ使う人かよお」みたいなのが
大変少なくて色々なデッキの使い手がいるんです。
これがもし初日に15デッキ解禁とかだとそのなかで一番完成度の高いデッキばかり使われることになります。
また選べるスターターキットは嬉しいものですが
多すぎる選択肢は逆に悩みの種になります。
 
この5つの単色スターターと各プレイヤーごとに違う2色デッキの配布は
素晴らしいバランスだと思います。
 
しかしまだβテスト。もっと良くしてほしい点もあります。
英語なのでちょっと手間ですが公式にも意見を送ってみます。
・キャラクターに喋ってほしい。
ハースストーンやシャドウバース、デュエルリンクスなどと同じように
プレイヤーの顔アイコンとしてキャラクターを使ってプレイします。
そしてこのキャラクターはMTGのストーリーにおける重要人物たちなのです。
現在ハローやナイスしか送れないメッセージに
キャラごとのバリエーションを付けてほしいしボイスで喋らせてほしいんですよ。
なんならセリフのバリエーションなく音声だけでも
「はろう?」
「へろー」
「はろお!」
「はっろおおおおお!!!!」
「…(無言)」
とかだけでキャラが立つので…。
せっかく顔アイコンを既存のキャラにするならそういうのが欲しいです。
 
 
あっ、ここからぁ~

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そしてゲームバランス的な話。
「クソネズミシングルトン」の闇について。
多彩なデッキとのマッチングが2色デッキ配布の利点でしたが
ここには落とし穴もありました。
それが「クソシングルトン」なのです。
ざっくり言うと《ネズミの群棲/Rat Colony》を使ったデッキが
「多すぎる」という問題です。
シングルトンというモードでは「同名カード1枚」の制限で遊べます。
ところが初期はカードがそろっていないので
デッキ枚数を満たそうとすると弱いカードが入らざるを得ないのです。
ところが《ネズミの群棲》は違います。
このカードは「カードの効果はルールより優先される」という黄金律に支えられた
MTGにおいて、
「シングルトンでも好きなだけ使えます」
ネズミの群棲は10点満点で7点くらいのカードです。
10点のカードには遠く及びませんが
シングルトンに入れざるを得ない4点や2点のカードよりはるかに「強いカード」です。
そしてネズミの群棲は多さが強さです。
そう、ネズミ満載デッキは安定して毎試合ネズミを引けるのです。
また電子ゲームなのがこの風潮を加速させます。
ネズミの群棲は紙のMTGでも使えます。
僕もちょっと興味を持ちましたが「集めるのがだるい」ので組むのをやめました
MTGアリーナではそもそも「デッキに入れられるのは4枚なので同じカードは4枚しかコレクションできない」
仕様です。
ではネズミは?
もし3枚持っていれば3枚デッキに入れられます。
4枚持っていたら好きな数だけデッキにいれられます。
ネズミはコモンでありワイルドカードの交換機能も使えば
あっという間に4枚揃います。
さあ、あなたは個性豊かで強さのムラがあるデッキと
ネズミを投げるだけの単調だが安定したデッキ、どちらを使いますか?
多分前者が多く、後者を選んだ人はネズミデッキの動きが好きな人なので
結局みんな「好きなデッキ」を使います。
 
…問題はシングルトンというモードには「勝つとカードがもらえる」のです。
多くの「カード資産の少ないプレイヤー」がカード欲しさに《ネズミの群棲》だらけのデッキを
使い始めました。
環境の多様さは激減し「またネズミかよ」と思うほどクソネズミシングルトンと出会います。
最初は僕も感心しました。
シングルトンルールの穴を突くようなその発想。
初期に組んだり自力で発想した人たちに僕は敬意を表する。
彼らは素晴らしい!そしてその素晴らしいデッキは簡単に真似できる。
個々のプレイヤーごとに枚数やほかのカードの調整こそあれ
「大量のクソネズミ」という部分はパクるのが容易で
カード資産のないプレイヤーも真似できるのです!
当然僕も真似しました。
これは手軽に組めてインパクトもあり素晴らしいデッキで
調整の余地もありプレイスキルも上がる!いいことづくめのデッキでした。
…その感染力以外は…
そうまるで貞子の呪いのビデオのようにネズミデッキは拡散していきます。
今にして思えば僕にとっては最初のネズミデッキだった彼も「子ネズミ」や「孫ネズミ」だったのでしょう
ネズミデッキを見たプレイヤーがネズミデッキを真似し、コピーデッキと当たった人がさらにコピーデッキを…
あっという間にネズミデッキは環境での強さはともかく
遭遇率はMAXになりました。
さらに悪いことに我々、ネズミデッキのプレイヤーにとってネズミデッキは調整しがいのある素晴らしいデッキです
ネズミ配合率…土地の数…ネズミ以外の採用カード…多色化のリスクとメリット…
だがそんなのは関係ない…
眼前の敵にとってデッキは「ネズミか、それ以外か」です。
ネズミはどれも同じように見えるんです。
 
もちろんネズミデッキは万能ではありません。
何枚かのネズミデッキを完全に黙らせるカードがあります。
すごい!
そしてそのうち1つの対策カードを君はデッキに加えられる!
そう!「60枚のデッキのうちの1枚」として…!!!
 
勘のいい諸君は気づいただろう。
ネズミ対策特化カードを1枚刺しただけでは大勢は覆らない
「対策カードを引けずにネズミにひき殺される」のは日常茶飯事です。
一方ネズミは?
「毎試合必ずネズミを出せる」んです。
だってデッキには4枚を超える大量のネズミがいるんですから!!
さあそうなると君はネズミ対策にピンポイントでよく刺さるカード
(それらはいくつかのほかのデッキにもきくことでしょう)を
入れてみます。
結果的にあなたのデッキのメインコンセプトは崩れ始めます…。
今まで勝てたはずの「ネズミでないデッキ」に負け始める…
ネズミに負けるかそれ以外に負けるかのジレンマです。
これを解消する方法は簡単です。
 
「カード資産を増やしてネズミにも効くしほかのデッキ相手にも腐らない」カードを
たくさん集めればいいのです。
ところでアリーナはまだβテスト…テストプレイ運営にお金を払うのを躊躇する人が多いのは
当然のことです。
となればカード試算を集めるには「シングルトンで勝つ」しかない!
他の無課金要素でのカード入手は1日に得られる回数が決まっています。
しかしシングルトンではなんと無制限に何度でも!何度でも戦えるのです!
やった!
そして出会うクソネズミの群れ、群れ、群れ群れ群れ!
 
さて前置きが長くなりました…(うん、これ前置きというか前提知識の共有なんですよ)
このクソネズミシングルトンは週末には改善され少しだけメタゲームが回ります。
赤白デッキの登場です。
これは強い…本当に強い。
ネズミ相手には「先制攻撃」や範囲火力で圧倒的に有利で
他のデッキでは「重たいが強いレア」が配布デッキから出張してる中で
「素早く序盤のうちにゲームを決めきる」という赤白は
レアが出るより先にゲームを終わらせてきて
結果的に「戦場に出たカードの強さ」では完全にほかのデッキを圧倒します。
そしてこのデッキは赤白の配布デッキをベースに簡単に作れます。
これでネズミに勝ち、他のデッキも相手どれる赤白デッキ「ボロス教導」は完全にメタゲームの最上位に
躍り出ました。
 
よかった、よかった。
さあ、僕もボロス教導を…
組めない。
組めないのである。
 
なぜなら週末までのログインでは僕は「赤白デッキ」が配られなかったのである!!
ランダムな2色の配布デッキの内、1つだけが
ネズミ相手の圧倒的優位と他のデッキとやりあう「ダントツで強いデッキ」になってしまったのです。
 
これで前提が覆りました。
「ランダム配布による多様な環境の充実したプレイ」は
 
誰でも組めるクソネズミと
一部のラッキーな人の持つボロスと
その他の持たざるもののデッキ
 
3つになりました。
もちろんボロスとネズミは同じ弱点を抱えていて
「低コスト、基本総攻撃」なので
《煤の儀式/Ritual of soot》や《残骸の漂着/Settle the Wreckage》が両方に有効です。
数的優位を取れる《菌類感染/Fungal Infection》なんかも両方に刺さりそうです。
これを両方取り入れられる白黒のデッキなら対策もできるでしょう。
ただしこれを入れられるのは1枚ずつです。
ネズミ相手に引けるかはわかりません。
両方使いたければ白黒のデッキを組むしかないですね。
白黒のデッキはもちろん白黒のデッキをベースにしたら簡単に組めますし、
《残骸の漂着》はレアカードですが確か青白デッキでもらえます。
つまり青白と白黒のデッキを配布でもらえていれば両方を相手どることはできるのです!
さらに《菌類感染》や煤の儀式で味方が死んだ後も盤面にクリーチャーを残せる《死花のサリッド》なんかも
緑黒のデッキから容易に入手が…待って待って
 
ネズミや赤白に比べていきなり組めるプレイヤーが激減してない??
そう、カード資産の関係でメタゲームが回りきってないのです。
メタゲームの回転が資産の影響で途中で止まってしまうのは
プロというお金をかなり余裕をもってカード資産に避ける人たちばかりの
「大会」の環境では見かけないことですが
カードショップ店舗のデュエルスペース環境などでは少なくないことです。
これが「アリーナのシングルトン」という
とても広い広い「ネットのデュエルスペース」でよりはっきりと出てしまっていた気がします。
 
後知恵ですが対策は簡単で
「先制攻撃」を持つ生物の充実、などは手軽にネズミを止められたかもしれません。
ですが初期の5つのデッキでは「先制攻撃」持ちはほとんどいなかったようです。
また白黒のデッキのところで語った「対策カード」はまず
「そういうカードが効くと気づけるか」よりもさらに前に
「そういうカードが存在する」こと自体を
対応する2色デッキを引けなかったプレイヤーにはわかりづらい…という点でしょうか。
 
もちろんネズミ中心のメタゲームの攻防自体はおもしろくないこともない感じではありましたが
「商品」がそれを歪ませて「楽しくない」ものにしていたのかもしれません。
βテストでなく正式リリースの際には
「ネズミの対策カード」が1枚ずつでいいので何種類か
初期の5つのデッキに入っている。
あるいは報酬を無制限に受けれる場をシングルトンでないところにする…
なんらかの対策があって、
クソネズミシングルトンをもう見なくて済むようにしてほしいなあ…と感じたのでした。