ようこそ、W&Wの世界へ。
この記事では無料で遊べるフリーのTRPGルールW&Wについて紹介します。
このゲームではあなたたちはファンタジー世界の種族としてキャラクターを作ります。
例えばバンブーエルフや芋煮ドワーフ、合法ハーブリングなどの…なんだって?
ええ。あなた方のうち、何人かはこれらの奇妙な種族に既になじみあるかもしれません。しかし、多くの人たちにとってはこれらの種族は非常におかしな存在に思えるでしょう。
バンブーエルフとはご存じの通り、竹林に棲息しパンダに騎乗する戦闘民族です。弓はエルフにかかせないアイテムで、しなる竹は弓の素材に都合がいい。つまりエルフが竹林に棲んでいることに何もおかしなところはありません。
脱法ハーブリングはいわゆるホビット系の小型種族で、いつでも気持ちよくなれるハーブをキメているため、陽気でお調子者。短絡的で考えなしですが隠れたり隠したりするのが得意なようです。
芋煮ドワーフはドワーフらしい金属鋳造技術の賜物である巨大な鉄鍋で芋煮会を開く種族です。芋の取り扱いへのスタンスの違いからポテサラエルフとは非常に仲が悪く…なんだって?
(ポテサラエルフっていうのは万物をマッシュするポテサラ魔法を使うエルフだよ。何?そんな変な種族なんて知らないって? 口答えする異種族はポテサラの中のハムにすゆ)
そう「なんだって?」こそがW&Wの本質なんだ!
このTRPGでは君たちが良く知る既存のファンタジー種族(エルフやドワーフ、ホビット系小型種族やライカンスロープなど)に何か他の概念を掛け合わせるなどして変な種族を生み出し、それらを持ち寄ってプレイすることで化学反応を起こそうというものだ。
君たちは奇妙な種族を生み出すべきだが、完全な無から小学生の落書きのようなオリジナル種族を作るよりは既存の概念に何かを付け加える(あるいは差し引く)ことで他のプレイヤーや進行役であるゲームマスターに理解してもらいやすいだろう。
そう。あくまでこのゲームは「ぼくのかんがえたさいきょうの種族」を競うものでなく、奇妙な種族が集まってパーティを組むことで生まれるセッションを楽しむための遊びなんだ。
それではこのゲームの趣旨を理解してもらえただろうか?
それでは以下からルールパートになる。
ルールセクション
1.用語の説明
この項では用語を定義していく。
特に定義されていない用語に遭遇した場合、なにか深い目的があるわけではなく、
単に書き落としているか定義がいらないような常識的な言葉だと思っているかのどちらかなので各自なんか適当に解釈してほしい。
GM(ゲームマスター)
このゲームを遊ぶためには最低1人のゲームマスターが必要。
プレイヤーはゲームマスターを兼ねることはできない。
注意! 「他のTRPGでGMとPLを一緒にやったことあるから平気さ!」というような人はこのゲームではその実績を忘れて大人しくゲームマスターに専念すべきである。
このゲームでGMをすることはあなたの脳みそに多大な負荷をかける。
PL(プレイヤー)
2人以上。人数の上限はこちら側からは設けないが4人を超え始めると多分収集がつかなくなり始めるぞ。
このゲームではGMとPL以外にもゲームに参加する方法がある。
もし人がたくさん集まったならそちら側に回した方がいいだろう。
外野(ガヤ)
外野はこのゲームにおいてプレイヤーに準ずる存在だ。
英語の略称が欲しいならGY(GaiYaの略)とかOF(OutFieldの略)とか好きに呼べばいい。
しかし直観的な理解の助けになる外野という日本語表記をここでは勧める。
プレイヤーと一緒に奇妙な種族について考えてガヤガヤするのが外野の役目である。
外野はプレイヤーに準ずる存在だ。(いわゆる見学者とは異なる)
2つを除きプレイヤーが行うあらゆることを外野も行うことができる。
2つのこととは「キャラクターシートへの記入」と「キャラクターの操作である」
外野は0または2人以上が望ましい。
つまり外野が1人であることを避けるべし。
例えば5人が集まったならGM1・PL2・外野2とするのがいいだろう。
GM1・PL3・外野1だとその外野は自分が他の参加者に比べて劣っていると感じてしまう危険がある。しかし実際には外野はこのゲームの立派な参加者の1人なのだ。
PC(プレイヤーキャラクター)
PLが生み出し、外野と共に育てる胡乱な存在。それがPCだ。
PCは参加者みんなのおもちゃとなって君たちを楽しませてくれる。
ただし、そのおもちゃの持ち主はPLに紐づいている。
PCはみんなで共有して遊ぶための道具だけれど、それをどう使うかを決め、おうちに持ち帰り、また持ってくるのはPLなのだ。
例えばボールを想像してほしい。
そのボールでどう遊ぶかを決めるのは君たち全員だ。
そしてサッカーをするかドッチボールをするか決めてみんなで遊ぶ。
この時、ボールはみんなのものだ。蹴ったり投げたりして楽しんでほしい。
だが、悪意を持ってそのボールが破裂するような使い方をしてはいけない。
そのボールには持ち主の子がいるんだからね。
セッション
1回のゲームプレイをセッションと呼ぶ。
プレイヤーたちが集まって1つのセッションを行う。
セッションは4つのフェイズに分かれる。
詳しくはこれから説明しよう。
2.セッションの進行
この項目では実際にセッションがどのような手順で進められるかを説明する。
セッションは大きく4段階に分けられる。
①世界創造フェイズ
PLは自分のPCを1人持ち込み、その胡乱な種族の名前を明かし、混乱する他の参加者にそれがどんな種族なのかを説明する。
それを聞いたGMや外野、他のPLは思ったことを率直に述べる。
例えば「顔がよさそう」とか「コワイ!」とか「(背景に宇宙の写真がある猫の画像を張る)とかだ。
次第に話は膨らみ、その種族全体に及ぶだろう。
そう、PCは単なる1個体に過ぎず、これから生み出す世界にはそのやべえ種族がたくさん住み着いているのだ。当然、それらの奇妙な種族の生態も話すうちに実体化し、複数の種族につながりの線が見えてくるはずだ。
外野はいわゆる見学とは違う。参加者である自覚をもってここで与太話にどんどん加わろう。
ただし、最終的にそれらの世界形成がどの程度までPCに反映されるかは、そのPCを持ち込んだPLにあるということを忘れてはならない。
②課題提示フェイズ
GMは今回のセッションでどのような困難に挑戦するのかを提示する。
(レッドドラゴンの巣穴から宝物を盗ってくるとか、ゴブリン退治とかそういうのだ)
既に参加者の脳みそは変なドラッグでもキメたかのようにぐるぐるしているので、
できるだけシンプルな課題を提示するべきだ。
GMは事前に敵となる存在などを決めておく必要があるが、世界創造フェイズで話が膨らむうちに「倒すべき真の敵」が見つかることもあるだろう。
そういう時、GMは悪ノリして課題をそちらに変更することを推奨する。
そうした臨機応変の対応をするために、このゲームにはエネミーデータがないのだから。
プレイの例:
GMはゴブリンの巣穴にもぐって中にいるゴブリンを全滅させる課題を考えていた。
しかし、PLたちがバンブーエルフと合法ハーブリングという胡乱な種族を持ち込んできた。
話に花が咲き、
「ハーブリングの吸っている薬草が合法なのは小人族の法であって人間の生活圏で所持していると普通に罰せられる」
「それ脱法じゃなくて違法じゃん」
「バンブーエルフは毒耐性が強いのでほどほどにキマるからバンブーエルフの間ではハーブは合法」
という流れが生まれた。
GMは「いや、こんな種族は滅ぼされるべきだろ」と思ったので
『近くの人間国家の討伐隊がバンブーエルフと違法ハーブリングの共生する村を焼きに来る』という内容を課題にすることに変更し、ここで参加者にその旨を伝えた。
③課題挑戦フェイズ
GMの課題に対してどのように対処するかをPLや外野で楽しく話す。
この時に実際にPCがどう動くかの最終決定権はPLにあることだけ忘れず外野も積極的にアイデアを出していくこと。
GMはそれらのアイデアが有効かどうかを判断しながら返答する。
ただし、GMが即答できないような問題もあるだろう。
GMも「いや、これもうわかんねえな」となった場合に『判定』を行う。
判定システムについては後述する。
課題の達成もしくは、達成の不可能っぽさが明らかになったところで最後のフェイズへ進む。
④キャラクターシート記入フェイズ
驚いただろ。
そうだ。このゲームは最後にキャラクターシートの記入を行う。
『判定』を5回以上行っていない各PLはキャラクターシートの能力欄が空欄になっているはずなので、セッション中の与太話に思いを馳せながら能力名を記入していく。
その後、それらの各能力値について、判定を行い能力値を埋めていく。
5つの能力と能力値をグラフ化したら既に埋まっている項目も適宜修整していく。
プレイの例:
脱法ハーブリングのプレイヤーはセッション中にハーブリングのハーブが人間の生活圏では禁止薬物に指定されていることを受けて種族名欄の「脱法ハーブリング」という記述を修正し、「違法ハーブリング」にした。
セッション終了後は各自がTwitterなどで出来上がった胡乱な種族のキャラクターシートをTLに放流して概念侵略を行おう。
3.判定ルール
このゲームにおける「判定」とはキャラクターの能力値をその場で設定し、課題を達成しうるかを判断する過程を指す。
プレイヤーが課題に対して何らかのアクションを起こすことを宣言した(あるいはアクションを提案した外野の意見を採用した)場合に、GMは判定を行わずに、それらのアクションが可能かどうか成功するかどうかを決めることができる。
しかし、時にGMが判断できないこともあるだろう。
その場合、判定によって成否を決めることができる。
GMは自分で判断できない状況になれば判定を行うことを宣言しよう。
判定を行う場合、まずGMは「どのうような能力があれば、その判定に成功しうるか?」を提示する。
それに対してPLや外野は代案があれば提示する。
GMが認めればその代案を採用し能力欄に名前を書き込む。
プレイの例:
PL1「じゃあ僕のダイナマイトゴーレムは兵士を見張りの兵士を色仕掛けで誘惑して切り抜けることにするよ」
GM「ダイナマイトゴーレムの色仕掛け?(Space Cat)」
GM「ちょっと私には判断できないわね。ここは『判定』で決めることにしましょう」
外野s「Year!」
GM「私は『魅力』とか『顔の良さ』とかを用いるのが適切だと思うけど…」
PL2「ゴーレムだから形は製作者が決めれるわけだしそれにむいた形になっているはずだよね?」
外野1「こういうのはどうだろう?ボディチェックをされるとダイナマイトゴーレムは気づかれてしまうから、ボディチェックを避けられるような形で作られるんじゃないかな?」
PL1「それはそうだろうな。じゃあ僕のゴーレムは潜入に向いた姿なんだろう」
外野1「ボディチェックを避けられる身分…すなわち貴族令嬢…!」
GM「爆薬令嬢じゃん!!」
外野2「繋がったな…」
PL1「わたくしのダイナマイトゴーレムはボディチェックを避けるために高貴な身分の女性を模して造られていますわ!GM、能力値は『高貴さ』を使ってもよろしくて?」
GM「『高貴さ』なら仕方ありませんわね…それで判定を行うのを許可しますわ」
さて、では判定はどのように行われるのか実際に見ていこう。
使う能力値の名前を決めたらキャラクターシートの能力欄の空欄に書き込む。
その後、GM、PL、外野の全員でその種族のその能力値が「高い」のか「低い」のかを投票する。「どちらでもない」「普通」という判断もあるだろう。
参加者が3人以上であるならその中で最も高いと判断した票1つと最も低いと判断した票1つを取り除く。(3人以下の場合この処理は行わない)
残った票について「高い=5点」「普通・どちらでもない=3点」「低い=1点」として平均を計算し、最も近い整数がその能力値の値となる。(0.5の時は上に寄せる)
プレイの例:
GM「それじゃあダイナマイトゴーレムの『高貴さ』を判定するよ。各自『高い』『低い』『普通』で投票して…」
GM「集計結果は…『高い』が4票と『普通』が2票、『低い』が0票だね」
GM「最高値である『高い』と最低値である『普通』から1票ずつ取り除くから…」
GM「『高い』が3票と『普通』が1票になるね。
高い(5点)×3票=15
普通(3点)×1票=3
15+3=18…これを投票者6人から2人除いた4人で割るから…
18÷4=4.5か。
整数に直すから四捨五入して5点。
『ダイナマイトゴーレムの高貴さ』は5になるよ。」
PL1「それじゃあ僕のキャラクターシートに高貴さ5と書いておくよ」
判定のクリティカルとファンブル
もし上端と下端を取り除く前に『高い』で全員一致した場合クリティカル
同じく『低い』で全員一致した場合はファンブルとなる。
その場合、能力値はクリティカルなら6、ファンブルなら0となる。
GMはこの能力値の決定を見てから「この値なら成功するor失敗するだろう」というジャッジをくだす。
重要なのは投票よりも前に目標値を定めるわけではなく、単に投票の結果を見てから決めるということだ。
数字の大きさはある種の指標であり大きいほど素晴らしいが「明確な基準」としての数字データは存在しない。この判定は能力値が4以上なら成功…などとGMが言うことは自由だが、GMは後出しでその場のノリを見てから判断してもいいのだ。
キャラクターシート記入フェイズでもこれらの処理は同様である。
ただし、投票なしでGMが「できる」と即答したり「できない」と即答した場面を元にPCは判定を省略して直接、能力値に数値を記入してもよい。
ただし、最低1つは判定を行って能力値を埋めること。
PL人数が多いと課題挑戦フェイズやキャラクターシート記入フェイズでの判定の回数も一気に多くなってしまう。
PLが多い場合にはGMは以下の選択ルールの使用を検討すること。
選択ルール「判定省略時の能力決定」
課題挑戦フェイズでのPCのアクションについてGMが成否を即答したケースでは判定を省略するのが基本のルールだ。
この時に判定は省略しつつも判定を行ったかのようにキャラクターシートを埋めることで判定処理の時間を大幅に減らすことができる。
GMはここのアクションについて「できる」「できない」だけではなく、能力名と数値をPLに提案してもよい。PLは望むならそのPCのキャラクターシートに言われたように能力値を記入できる。
プレイの例:
GM「確かにバンブーエルフの『噛合力』は非常に高いから、青竹を食いちぎって威嚇すればツキノワグマも逃げ出すだろうね。OK。『青竹をかじり威嚇してツキノワグマを追い払う』のは成功だ。キャラクターシートに『噛合力:5』と記入してもいいよ」
ここで示すルールは以上です。
ローカルルールとしてやりやすいように適宜ルールを捻じ曲げながら遊んでください。
なおこの記事はバンブーエルフの話題が約1ヶ月つづいた記念に作成されました。
バンブーエルフ生誕1ヶ月記念に遊んだりしたらいいんじゃないでしょうか。
キャラクターシートはエクセルとかで使いやすいように作ればいいと思いますが、
何もないと困ると思うのでサンプルを置いておきます。
誰か代わりにもっといいの作ってくれると嬉しいな。
キャラクターシートのサンプル
W&Wキャラクターシート - Google スプレッドシート
一応サンプルシートの記入項目について…
種族名
胡乱な種族の名前です。
性別
オスのドワーフとメスのドワーフで外見が異なるとかそういう設定がつくときにPCがどちらか判断できると便利ですね。
種族の外見
胡乱樹はファンアートが描かれると一気に伸びるので、アートを描きやすいように外見の情報があるといいんじゃないかな。
種族の特徴
行動や社会性など外見以外の特徴を書き込んで幻覚の解像度を高めよう。
キャラクター自身の名前欄がないことについて
このゲームW&Wではあくまで種族について考えることを軸にすすめるため、
PC個体についての解像度をあまり高める必要はありません。
あなたのキャラクターは「バンブーエルフのガブリエル」とかでなく「バンブーエルフA」です。
最古のTRPGであるD&Dではキャラクターはすぐ死ぬので名前を付けずに遊んで、しばらく生き残ってから設定を固めたという都市伝説的なうわさもあります。
W&Wではキャラクターに名前は振らず、PC間の呼びかけも種族名を使うようにするとよいでしょう。
世界観レベルではこれらの種族名呼びは「胡乱種族爆発」によって多様な種族が生まれた世界において、複数種族からなる冒険者パーティでは慣例的に種族呼びするのが定番となっているとか、実際には名前を呼んでいるけどメタ視点では進行の都合上ほんやくしているとか、適当に縛ってください。
キャラクターシートを作成してくださる方がいましたら製作者側からの数少ない要望として「PCの名前欄はいれず、種族欄を大きく作る」ことに配慮していただけると嬉しいです。
参考文献
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