バーチャルVtuver豆猫さんの与太話

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【#MTG】なぜMTGのデッキは60枚もあって土地カードなんかがあるのか

いよいよD&DとMTGがコラボした新パック『フォーゴトンレルム探訪』の発売日が迫っている。

 

このパックはMTGプレイヤーをD&Dへと案内する導線になると同時に、

D&Dプレイヤーをマジックの世界へと連れてくるきっかけにもなっている。

 

さて、そんな中で非常に興味深いD&Dからやってきたプレイヤーのツイートを見た。

 

「なんでマジック:ザ・ギャザリングってデッキが60枚もあって、土地なんていうものがあるんだろうか?」

 

この疑問は非常に興味深く、地雷原の上でのタップダンスでもある。

なぜ地雷原の上のタップダンスなのかをD&Dで例えると恐らくこんな感じだ。

 

ただ、この話題の可燃性を一旦脇に置いて、ゲームデザインの観点から考えてみよう。

 

 

分散性と選択性

 

私の考えは「それがプレイヤーにとって分散性選択性の二つの面で良いものであるから」だと考えている。

 

ここで分散性/VARIANCE選択性/CHOICEについて説明しておこう。

この考え方はMTGの首席デザイナーであるMark Rosewaterが提唱しているもので、

以下の記事で紹介されている。

Variance, Part 1 | MAGIC: THE GATHERING(前半)

Variance, Part 2 | MAGIC: THE GATHERING(後半)

 

簡単にまとめるとカードゲームには分散性/VARIANCE選択性/CHOICEの2つの軸があり、それらがゲームを面白くする要素になっている。

f:id:omamesensei:20210721142641p:plain

興味深いのはどちらの指標も「高ければ高いほどいい」とか「ないほうがいい」というものではなく「高いことが好まれる場合」と「低いことが好まれる場合」の両方が存在している点だろう。

とても面白い記事なので、少しでも気になるなら僕のまとめでなくマローの記事の方にも目を通してもらったほうがいいだろう。

 

 

さて、ではデッキ枚数が60枚である(=一般的なカードゲームの中では比較的多い)ことはどのような意味があるだろう?

 

デッキの枚数が多いことはゲームの分散性/VARIANCEを高くしている。

 

マローは高分散性ゲームの利点としていくつかの特徴を挙げているがここではそのうち2つに注目しよう。

  1. 新規性/Noveltyがある
  2. 経験の浅いプレイヤーが勝てる可能性が出る

 

1つ目の新規性があるというのは言い換えれば再現性が低いということだ。

「この展開、何度もやっているな…」という状況が増えれば増えるほどプレイヤーは飽きやすくなる。長く愛されるゲームであるために、毎試合が同じような展開でなく異なった展開を見せるほうが良いこともあるのだ。

 

2つ目に経験の浅いプレイヤーが勝てるという点を見ていこう。

高い分散性はゲームに運の要素を加える。初心者の幸運か熟練者の不運によって、番狂わせが起こりやすくなる。

運の要素がゲームの中に大きく組み込まれていることにより配布デッキを握る初心者にも勝利体験を味わう機会が生まれるのはとても良いことだろう。


また「運が悪かった」ことによる敗北は短期的にはストレスだが中〜長期的な視点ではストレスを低減させてくれる。


初心者プレイヤーが土地事故を起こして敗北するゲームは短期的には非常にストレスフルであるが、

もしその試合が土地事故なしでも負ける試合であった場合「自分の実力で負けた」という結果を認識せずに敗北を不運のせいにできるのだ。


では逆に土地事故さえなければ勝てた試合であれば非常に強いストレスを感じるのだろうか?

意外なことに多くのプレイヤーは土地事故さえ起きなければ勝てていた試合に関して「非常に強いストレス」を感じることは少ない。

「ありえたはずの勝利パターン」を脳内に思い描くことによって得られる擬似的な快感が敗北のストレスを軽減してくれためだ。


敗北を自分のせいではなく何か別のもののせいとして転嫁できることで初心者ゆえの敗北の多さを全て自分のせいとして精神的な追い込みをかけられることが減る利点であるとさえ言えるだろう。

 

実は黎明期のMTGは分散性が非常に低いゲームだった。デッキ枚数は40枚で使用可能なカードプールはずっとせまく、その分デッキに同じ名前のカードを何枚でも詰め込めた。

 

それが60枚に変わっていった経緯を一番面白く書いている公式の記事はこれだろう。

 

 最初は、デッキ構築のルールは非常にシンプルなものだった。好きな枚数のカードを集め、それをデッキにする。40枚以上。これで終わりだ。これがルールだったのだ。

 このルールは、完璧に最強のデッキができてしまうということがわかってきた。実際、ウィザーズはプレイするカード枚数に制限を設けないイベントを開催したことがある。そのイベントの様子はこうだった。最初にデッキをジャッジに見せ、分類してもらう。分類先は「第1ターンで勝てるデッキ」と「このイベントで勝てないデッキ」だ。

 開発部は、このルールが問題だと気付き、2つの変更を導入した。1つめが、構築のデッキサイズを40枚ではなく60枚にする。40枚という数字はリミテッドに残された。2つめが、基本土地以外のカードは4枚までしか入れられないようにする。4という数字は、デッキ構築の安定性をある程度確保した上で、毎ゲーム同じカードを引かないようにするように選ばれた。 

引用: https://mtg-jp.com/reading/mm/0004238/

 

 

なぜ60枚なのかについては以上だ。

 

では、土地カードが存在する点はどうだろう?

 

土地カードは選択性/CHOICEにおいて2面性を持っていると私は考えている。

土地カードがあることは対戦中の選択性/CHOICEを減らし、デッキ構築の選択性/CHOICEを高めているのだ。

 

対戦中の低選択性が与える恩恵はいくつかあるがマローの語ったものなかから2つあげよう。

  1. プレイが簡単
  2. プレイヤーが先を読めるようになる

まずプレイが簡単になる。基本土地カードを手札から場に出す。プレイするときに考えるのはそれだけだ。

もちろん慣れてくるとどの順番に手札の土地を置くかとかあえて毎ターン土地を置かないとかの駆け引きの側面は出るだろう。でも一旦、ここは初心者の気持ちで考えてほしい。

 

例えばMTGと同じくウィザーズ社が開発したデュエルマスターズを例にとろう。

このゲームには土地がなく、代わりに基本的に全てのカードを土地のようにプレイすることができる。(言い換えると高い選択性がある)

 

手札の高コストなパワーカードを、プレイできない序盤に「土地」として扱うか、

あるいは「よし、今回は切り札が引けずに困ることはなさそうだ」と手札に抱えたままにするか、プレイヤーは考えることができる。

…いや、考えないといけない。

 

一方で初心者が《森》の土地カードを引いたとき、考えることは何もない。

「これを場に出してマナを出そう」というそれだけだ。

 

土地カードの存在は構築済みのデッキを扱う際の初心者のプレイングを自然にフォローしているのだ。

 

総じて「土地システムをもつ60枚構築済みデッキ」は初心者のゲームプレイ体験を良いものにする効果があるゲームデザインになっている。

 

 

土地システムの選択性は高いか低いか

 

さて、土地システムは選択性を低くして構築済みのデッキを使う初心者を支援する見えない手助けをしていることがわかった。

では土地は選択性を低くするだけのものなのだろうか?

 

実際には私は土地カードは高い選択性をゲームに加える要素でもあると考えている。

 

プレイヤーが構築済みデッキを離れて自身のオリジナルデッキを組もうとする場合、

土地を何枚入れるか・色の配分はどうするか・基本土地を使うか特殊な効果を持つタップイン土地を使うか、幾つもの選択に直面する。

 

土地システムは試合中の選択性を低くする一方で構築時の選択性を高める要素でもあるのだ。

 

では高選択性ゲームでの利点とは何か、マローが語った文を引用しよう。

Rewards skill – There is a high corollary between the number of choices in a game and skillful players doing better. 

引用:Variance, Part 1 | MAGIC: THE GATHERING

 

「技術が評価される」のだ。

選択性が高くなれば当然、技量の高いプレイヤーが有利になる!

 

さて、ここまで読んでもらえれば最初の疑問の答えが見えるはずだ。

Q.「なぜMTGのデッキは60枚もあって土地カードなんかがあるの?」

A.「初心者の参入障壁を下げ熟練者の練習が報われる十分な分散性と選択性の要素を加えるデザインにするため」

 

 

以上が、私のデッキ枚数と土地システムのあり方についての意見を簡単にまとめたものである。

(ああ、これでも簡単にまとめたつもりだ。語りたいことを全部詰めるともっと長く読みづらくなるだろう)

 

僕は現在のMTGの土地システムをとても気に入っている。

だから自信を持ってMTGの土地システムはいいものだと言えるんだ。

デッキの5割以上を土地にしたランドデッキで土地を引かずに3回引き直した時、以外はね。

 

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