バーチャルVtuver豆猫さんの与太話

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スタンダードでデザインされるべきではなかったカード

さて、MTG開発チーム・インターン試験の過去問を解く記事第三弾だ。 

GDS2 論述問題5に挑戦してみよう!

 

5.現在スタンダードに存在するカードのうちで、デザインの観点から言って印刷すべきでなかったカードは何で、その理由は何か。

 

「現在スタンダードに存在するカード」については出題時のことではなく、解答時の2019/2/15のスタンダードについて考えよう。


あまりにもタイムリーなタイミングで禁止カードが出たね。

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MTGアリーナの1本勝負限定で《運命のきずな》が使用不可能になったよ!

というわけでこの設問に《運命のきずな》と答える人は少なくないだろう。

 

だが私はそうは思わない。

ああ、《運命のきずな》が禁止されるべきかどうかとはまた別の話なんだ。

 

まず前提としてこの過去問が出たころの「デザインの観点」という用語について。
「クリエイティブ・チーム」「デザイン・チーム」「デベロップ・チーム」
この3つが当時存在した。(1年くらい前に名前や組織構造が変わったので今は異なる)


「世界観構築」「カードのアイデア「バランスやルールの調整」
それぞれこんな感じの仕事をしている。
というわけで《運命のきずな》がスタンダードで暴れた件はデベロップの観点から見る問題だ。

 

デザインの観点では(たとえそれが禁止カードでも)良いデザインと言う物は存在するのだ。
ではデザイン上悪いものは何か?

 

その最たるものは「カラーパイの範囲を超えている」ものだろう。

MTGには「カラーパイ」「色の役割」といったどの色に何ができて何ができないかの決まりがある。

 

カラーパイを脅かし、他の色が行うことをしているカードがあれば…
それはデベロップでもクリエイティブでもなく…デザインの観点で間違っている

 

ああ、それから「染み出し」といってカードの役割がほんの少し違うことをすることが許容される場合もたしかにある。
ただしそれはやはり「染み出し」でなくてはならないのだ。
もし完全に越境しているならそれはよくないものだ。

 

《覆滅+複製》

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これが私が考える「デザインの観点で印刷すべきでなかったカード」である。
このカードは色々な使い方ができる呪文なので見落としがちだが、
実質的にこのようなカードとして使うことができる。

《自然の覆滅》

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さて、では《自然の覆滅》はデザインしても良いカードだろうか?

 

色の役割

 

呪文の打消しはのものであり、稀に他の色が持つ。


では起動型能力の打消しは?
一時期それはが持っていた。
これは「錆びる」ことを表すカードとして《Rust》が作られて、
アーティファクトの起動型能力を打ち消せる」ということにしたからだ。


だから《自然の覆滅》アーティファクトの起動型能力を打ち消せるのは…。
うん、十分に緑のやることだ。
ここから多少「染み出す」ことは認められるだろう。

 

さて、では《自然の覆滅》はそこから染み出したカードか?


アーティファクトの起動型能力を打ち消せる」ところから染み出している。

アーティファクトに限らずどんな起動型能力でも打ち消せる」
「起動型能力だけでなくアーティファクトの誘発型能力にも使える」

…まあこの辺りがぎりぎり「染み出し」として認められるだろう。

 

ああ、だが待ってくれ!
アーティファクトに限らずどんなものが使った誘発型能力でも止められるのは?

これは流石に染み出してるとは言わないんじゃないか?

 

言ってみればこれは「緑の単純な万能クリーチャー追放除去」くらい はみ出している。
(緑は飛行クリーチャーを破壊することができる。破壊の代わりに追放するのは染み出しだ。だがそれを飛行以外のクリーチャーにも使えるなら?)

そんなカードはデザインしていけないし、

それと同様に覆滅は刷られていいカードではない。

 

 

 

というわけで《覆滅》の代わりとなる半分を考えてみた。

 

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さきほど飛行以外の単純なクリーチャー破壊は緑にはできないと書いた。

あれはつまり単純でない複雑なものは許されることがある。

破壊した後に使い手にトークンをプレゼントする。

これが緑に許された複雑な地上クリーチャー破壊だ。

 

おっと。そういえばウィザーズは特別な場合を除いて同じ色とサイズで異なる名前のトークは同一セットに入れないんだった。
でもこのブロックには3/3のケンタウルストークがいるんだよな。

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うーん。でもシミックの変な生物に改造したら戻せなくなった(覆水盆に返らず)というフレーバーを大切にしたいし、
ケンタウルスにする呪文ではシミックっぽくない。

…ここまで考えて何か変なものを見つけてしまった。

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あれ? 本当にこのセットにいるじゃん! 3/3のカエル・トカゲ・トーク
え? マジで?


というわけで見つけてしまった。

《孵化+不和》

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そうきたかー。
ほぼ同じものが既に存在しているじゃないか…。
だが決定的な違いがある。
「本物」は多色カードで「オリカ」は混成カードだ。

ううむ。
なによりセット内に代替品を用意する目的としてはそもそも似たようなものが別のレアリティにあるのはマズい。

うーん。
これさあ、逆にしたほうがしっくりこない?

というわけで分割カード2つをまとめて代替品にしよう。
これで色の問題は解決だ!

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ここまでくるともはやオリカとかそういう話ではない。
なぜそうなっていないんだろう?

 

 

なぜウィザーズはそうしなかったか?

 

1.サイクルとして不適(デザイン
このサイクルは必ず左の方にコストの低いカードが入る。
色の揃っていない序盤でも扱いやすいように低コストの混成
終盤に土地が伸びたら重たい多色呪文として使えるようにするためだ。
左側のコストが重いのは問題があるように思える。

 

2.レアリティにふさわしくない。(デザイン
レア度に応じたパワーレベルがある。
これらの組み合わせはどちらかが必ずレアリティ不相応になってしまいそうだ。
両方ともアンコモンとレアそれぞれの5枚組サイクルの1枚なのでレアリティを変えることはできない。

 

3.セット全体のパワーバランス(デベロップ
ハイドロイド混成体対策。

だが色がハイドロイドと同じシミックでは結局誰もがシミックを使うようになる。

そこでハイドロイド対策として多色(シミック専用)でなく混成(緑か青さえ噛めばどちらでも)に誘発打消しを必要としていた?

あんがいそれが理由かもしれない。

 

というわけでウィザーズとしては《覆滅》が誘発型能力を消せるのはぎりぎりセーフなラインだったのだろう。
一応擁護のための理由も挙げておこう(理屈と軟膏はどこにでもつく)

 

「このセットで最もよく見かける誘発型能力は死後だ」
「死後は飛行クリーチャーを生成する能力であり緑にそれを打ち消せる手段があるのは染み出しの範囲だ」
「もしこれが他のセットのカードならカラーパイを侵していたのは間違いない」
「だがここはラヴニカであり、オルゾフは死後を持つ。シミックにはこれが必要だったのだ」


さて、ではまた次回!
それまでに君もスタンダードで刷るべきではなかったカードと
代わりにどんなものを作るべきだったか?
デザインの観点から考えてみてほしい。