角川文庫・ラノベ 読み放題|1万冊以上のライトノベル・角川文庫が月額760円(税抜)から読み放題!電子書籍ならBOOK☆WALKER
角川ラノベ読み放題キャンペーンが凄まじい。
月額760円で読み放題!って言われても「ふーん。ラインナップ次第かな」って感じだけど。
2020年1月末までは月額760円が無料になる。
さすがに無料ともなればラインナップの9割が仮にひどくても1割の看板コンテンツがあれば入会し得じゃん…!
そう思って登録してみたんだけど…
いやあ、ラインナップもかなり充実している。
これらが無料で読めることよりも、「無料で読ませられる」ことのほうが強いんじゃないかな…とさえ思った。
どういうことか?
割と古いラノベとかでお勧めのやつがラインナップ入りしてるので「今なら無料!」と言って布教するのにとても便利なのだ。
というわけで(執筆時間が取れれば)これから何回かに渡って古いラノベの布教をしていきます。
第1回目である この記事で紹介するラノベはこちら…!
アンダカの怪造学(かいぞうがく)
15年前のライトノベル。
タイトルの怪造学(かいぞうがく)は この作品の造語で、
ニュアンス的には「モンスター召喚魔法」くらいの意味。
異世界「アンダカ」から怪造生物(モンスター)を召喚する技術が学問として学ばれている世界で、「モンスターは友達!」と語る主人公が…とあらすじを書き始めると、良く言えば王道の、悪く言えばありきたりな感じがする内容に思える。
しかし実際に読み始めるとそういった王道の設定を上手いことズラしているところが面白い。
例えば「モンスターの研究」が実際に行われて社会的に認知されている作品として
ポケモンなんかがイメージしやすいだろう。
アンダカもかなりそういう文脈に乗ったさくひんではあるのだけど、
そのタイプの作品ではモンスターの存在はかなりメジャーで人気なものであるのに対してアンダカの怪造学における怪造学は『専攻しても金にならない』という理由から社会的人気が低いというズラしが入る。
更に「モンスターは道具だ!」みたいな悪役的思想はむしろ学者たちのスタンダードになっていて「モンスターは友達! とか言い出す奴はビーカーやフラスコに名前を付けたりしてる気持ちの悪いオタクみたいなもの」というひねりが加えられる。
「モンスターは友達!系の熱血主人公」の鉄板王道要素を入れつつも、かなり『作者の色』がついている。王道でありながら個性的…あまりにも憧れる構成だ。
アンダカの怪造学は王道の展開をなぞりつつも、そこにワンポイント作者の色が付けられたことで「こんなの読んだことない!」という新鮮さが生まれる。
「一見意味のない雑用が実は修行だった!」という王道少年漫画テンプレートを
「そういう風に見せかけたただの嫌がらせ」にする…とかのアレンジが最高なんだ。
もう一つ最高なのは「呪文」だろう。
僕はオタクなので「つい口にしてみたくなる詠唱」とかが大好きだ。
そしてこの作品にもそれがある。
異世界アンダカのモンスターを召喚するための呪文は「異世界の風景を描写する」という独特なものになっているんだ。
「現界(カナイ)の扉を打ち開けて、虚界(アンダカ)の闇に歩を進め、」という起句から始まり、
「屍人漁りの魔窟を超えて、剣の山をかきわけつ、墨を塗りこむ小川を泳ぎ、砂利の重なる渚を走り」と異世界を描写する呪文がリズムよく続き、
最後に「見つけた!」と叫びモンスターを呼び出す。
この呪文詠唱シーンはついつい声に出して読みたくなるし、アニメ映えするだろうなあ…と常々思っている。
(15年アニメ化されなかったわけだけど、最近は古い作品にスポットが当たることもあるので期待してる)
僕が読んできたライトノベルの中で何が一番かを決めるのは難しく、何を基準に選ぶかにもよるけれど、「シリーズものの1巻の完成度」ではこの作品がぶっちぎりでトップだと15年経った今でも思っている。
王道ゆえに読みやすく、作者の個性ゆえに新鮮。
それが1巻のまとまりとスタートダッシュの面白さを生んでいるんだろう。
ひたすら王道を突き進みながらも作者の個性が溢れ出す、15年経っても褪せることのない魅力的な作品、それがアンダカの怪造学である。
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