さて、今回はラノベの布教記事だよ。
紹介するラノベは…『シュレディンガーの猫探し』
皆はTwitterやってる?
TLには「信頼できるオタク」はいるかな?
私のTLには何人か居る。
その中でも『「ぼく」のことを「少年」と呼ぶ美人だけど変わり者の先輩』概念みたいなものの専門家が「あぃあ」さん。
あとタイマーボムの人としても有名
私はこのツイートで『シュレディンガーの猫探し』に興味をもった。
シュレディンガーの猫探し、読み終わった。『ぼく』の事を『キミ』か『少年』呼びが似合うめちゃくちゃ美人の年上女性が3人出てきた。そんな小説ある???? pic.twitter.com/QutXHiulY1
— あいあ@ (@timer_bomber) 2020年9月25日
そんなことある???
性癖の煮凝りか???
いわゆる「ハーレム系ラブコメ」が多様なヒロインを繰り出して「どれかが刺さればいい」という性癖のショットガンだとするなら、
「バカな! 正確に同じポイントへ当て続けて装甲を破壊したのか!?」みたいなスナイパーの所業である。
そんなことある???
真実を知るために私はAmazonの奥地へと向かった。
そこにはいた。
『ぼく』の事を『キミ』か『少年』呼びが似合うめちゃくちゃ美人の女性が3人いたのだ。
長いので「あぃあ」さんに倣って以降、この記事では先輩概念としてくくらせてもらう。
「ぼく」の事を「キミ」か「少年」と呼ぶ変わり者だけど美人の先輩概念
— ぁいあ@ (@timer_bomber) 2020年9月6日
→「ぼく」の事を以下略先輩概念
→以下略先輩概念
→先輩概念
みたいな浸透の仕方をしていった
ただ先輩概念は概念ラベリングなので実態とは異なるものも包括的に含む。
セカイ系の有名作品がセカイ系の特徴に当てはまらないとか、そういうのと同じだ。
一般論、ベースラインの傾向論として先輩概念は以下のようなものである。
・一人称が「ぼく」である少年の物語に出てくる。
・「ぼく」のことを「キミ」とか「少年」と呼ぶ年上女性
・顔がいい。
・話が難解で、語りが長い。
・ミステリアスでありながら時に破天荒
・なのにどこか儚げ。
まあ、ざっくりとしたまとめではこんなところか。
あくまで「これを満たしたら先輩概念」というチェックリストでなく、
雰囲気を伝えるガイドラインであることに注意してほしい。
世の中には、主人公のことを「あなた」と呼ぶ「ぼく」のことを「キミ」とか「少年」と呼ぶのが似合う年上女性みたいなキャラもいるんだよ。
トゲアリトゲナシトゲトゲか?
とにかく先輩概念っていうのは、そういった掴みどころのないミステリアスなちょっと大人びた魅力をまとった女性キャラクターを指す表現なんだ。
考えるんじゃない。感じろ。
で、本題。
そういう「細かいところまで見ていくと定義からはズレるんだけど、雰囲気はドンピシャ!」みたいな『先輩概念』を畳みかけてくるキャラクター小説。
それが『シュレディンガーの猫探し』である。
順に見ていこう。
まずこちら!
・芥川くりす
文芸部部長、芥川くりす!!!
もうね、これはもう『先輩概念』の直球ストレートでしょ。
ちなみに「僕」のことを「あなた」と呼ぶし、先輩ではなく同級生である。
そんな細かいことは『先輩概念』度の高さの前では誤差なんだよ!
この女、話の本筋や中核にガッツリは関わらないメインキャラと言うよくわからない立ち位置がもう先輩概念度合いが強いよね。
(メインヒロインでない先輩概念キャラ、要所要所で大事なたすけだけしがち)
学園切っての才女という立ち位置と、主人公との部室での語らいの様子は限りなく『先輩概念』っぽさを纏っている。
そんな彼女からの紹介で主人公が出会うことになる次の『先輩概念』がこちら!
・焔螺(ほむら)
魔女、ほむら。
魔女!!
大事なことなので2回繰り返した。
そうなんだよ、『先輩概念』テンプレートにおける「ミステリアスで破天荒」の延長線上に「先輩は人外の怪異である」っていうパターンがあるんだよ。
この場合の先輩とは「年長者」の意味であり寿命とかを超越した長命種とかんだよね。
わかりみ。深いうなずき。
ちなみに「ほむらさん」の誕生日は主人公よりもかなり後。
それを持って年下と言い換えることもできなくはないだろう。
先輩概念とは…?
我々は何の話をしているんだ…?
主人公のことは名前に「くん」をつけて呼ぶ。
いや、繰り返しになるけどね。
『先輩概念』は概念なんだよね。
雰囲気によるラベリングなんだよな。
だから定義論で決めようとするとこういう零れ落ちがあるんだよなあ!(大声)
というわけでかなり、私の正気を疑われそうなので先輩概念強度の強さにスポットを当てていくと、彼女は作中数少ない「神秘」を使う人物である。
他のキャラクターの多くが「高校生探偵」「自称ハードボイルド探偵」「探偵の助手」などミステリ畑の肩書きを引っ提げてくるなかでマジカル存在として作中の特異点になっている。
こういったミステリアスな魅力と主人公に対してぐいぐいくる感じは、『先輩概念』としてかなり強度が高い。
彼女の話は作中では浮いていて、「事件解決」を目的とする人たちに真っ向から対立する「謎は謎のままにしておきたい」という神秘側の属性を持ち。
それ故に語りは長く、難解である。(←ここ、先輩概念定義ポイント)
このラノベのメインヒロインであり、
『シュレディンガーの猫探し』のストーリーの主軸は
「事件が起きる」→「探偵が謎を解こうとする」→「先に事件を『解いた』焔螺さんが、証拠を隠滅して事件を迷宮入りにする」→「謎は神秘として残される」
こういう構造を繰り返す。
焔螺さんが事件を『解いた』もとい『迷宮入りにした』時に、
事件にまつわる新たな神秘現象(…平たく言えば魔法)を焔螺さんが習得してパワーアップしていく。この軸はある種、戦った敵が仲間になるポケモン的と言えるかもしれない。
『シュレディンガーの猫探し』はミステリーを「探偵より先に解いて証拠隠滅する話」であり、迷宮落としの魔女である焔螺さんのやり口は新鮮に映るかもしれない。
最後の『先輩概念』を紹介しよう。
・飛鳥姉さん
主人公の姉。故人。
故人!!!
そう、故人ヒロインである。
先輩概念に寄りそう「なぜか不思議と儚げ」なさまをそのまま延長して
「もう終わった話」として殺しておくの手つきがうますぎる。
ご丁寧に故人なのでラノベキャラでありながら口絵にいないからビジュアルがない。
無い顔はいくらでも良くできるんだよな…。
作者の小林一星は『先輩概念』うま男か?
原義的な『ミステリアスで破天荒』な様子を出して、周囲から畏怖と敬意の目で見られていた「サプライズ好き」の奇抜な女性…だった。
物語開始時点では既に死亡していて、主人公の記憶の中でのみ登場。
奇抜でトラブルに巻き込まれやすく、でも自身の機転でそれをすいすいと乗り越える。
本質的にかなり『先輩概念』度が高いながらも「主人公の姉」というポジショニングのため、主人公の事を少年とか呼ばない。
また彼女の生前の行いに関わる『事件』も起きるなど、この物語の…
なんだろう。ラスボスってわけではないし、なんなんだろうね?
とにもかくにもキーパーソンではあるだろう。
そんな3人の『ぼく』の事を『キミ』か『少年』呼びが似合うめちゃくちゃ美人の先輩っぽい、僕の事をキミとか少年とは呼ばないし、先輩でもない女性陣が出てくる「ミステリーとは似て非なる知恵比べ」
推理小説と言うよりも「キャラクター小説」的なものとして先輩概念キャラを咀嚼するために読んでほしい、そんなラノベである。
ところで、この小説は小学館ライトノベル大賞に作者が応募した作品を前後編に分けたものだと後書きに書かれている。
その「後編」にあたる「第二巻」が先日発売したので
前後編併せて読んで、君の眼で確かめてみてくれ!
みてくれ!と書いてはみたものの近場の書店になかなか並ばないので私はまだ2を読めてないんですよね。
(1巻はAmazonで買った後に地域書店で見つけて地域貢献チャンスを逃したのが悔しかった。なので2巻は書店に並ぶのを待ち構えている)
先輩概念3人衆が後編でどうなるかは、中身を読むまでまだわからない。
待て、続報!
いや、待つ必要はどこにもないだろ。
この布教記事で気になったらぜひ読んでほしい。
広告
omamesensei2.hatenadiary.jp
omamesensei2.hatenadiary.jp