クソマンチビームとは何か
Twitterで話題の「クソマンチビーム」
あまりにもしっくりくるネーミングなので使っていたんだけど、名前のついた概念は広まりやすい。
知ってるアカウントが呟きまくってる小規模な言葉だったのが、今ではかなり広範的に使われる俗称になりつつある。
だがこの「しっくりくる名前」は前提としてクソマンチというものについて知っていないとわからない。
「クソマンチビーム」でTwitterを検索すると、
「クソマンチビーム」ってなに? という声は少ない。
どうやらそれが「スマブラの新作映像に出てきた敵のビーム」ということは割と伝わっているようだ。
一方で、クソマンチビームの「クソマンチって何?」というツイートも見受けられる。
クソマンチとは何かを説明し、いかにこのビームが「クソマンチ」と呼ばれるに値するのか…それをこの記事では紹介しよう。
マンチとは何か?
クソマンチビームのクソはまあクソ強いとかのクソだ。
超とか凄いとかスーパーとかそんな感じの強調表現だ。
ただ「クソ」という言葉の選択から「卑怯だぞ!」みたいなニュアンスが組み込まれている感じも伺える。
まあ修飾部分なのでここはどうでもいい。
クソマンチビームという言葉の意味がわからない人はつまり「マンチ」とは何かがわからないということだろう。
マンチはマンチキンの略だ。
マンチキンというのは欧米のTRPG(テーブルトークRPG)界隈で生まれた言葉で
噛み砕けば「とにかく強さにこだわるわがままプレイヤー」っていう感じの言葉だ。
「munchkin.txt(マンチキン・テキスト)」 という一連の文章で、プレイヤーの性格やプレスタイルを分類するなかで生まれた概念だ。
よくある質問:「あなたがこのゲームで一番好きな武器はどれですか?」
マンチキンの答え:「一番強い武器。威力も命中も高いやつ」
よくある質問:「あなたがこのゲームで一番好きな防具はどれですか?」
マンチキンの答え:「一番強い防具。物理防御も魔法防御も堅いやつ」
よくある質問:「あなたがこのゲームで一番好きな仲間キャラは誰ですか?」
マンチキンの答え:「主人公。俺が使ってるから」
質問:「私は仲間を聞いたんですよ?」
マンチキンの答え:「あー。俺の次に強い奴。でも俺より目立つのはダメだな」
まあ、こんな感じのクソガキだ。
日本的な言葉に(ニュアンスが多少変わることを承知で)意訳するなら
「俺TSUEEE!!」の類かもしれない。
こうして海外のTRPGでマンチキンという言葉が生まれたのだが、
この言葉が日本に渡ってくるとニュアンスが変わってくる。
和マンチというもの
「とにかく自分が強くなるようにふるまう奴」の意味だったマンチは
日本に来ると紆余曲折あり意味が変わる。
まあ元が侮蔑的な表現なのでそこら辺を引っ掻き回して詳しく語るのはよろしくないからしないけど、
最終的に「ルールを読み込んで自分の有利なように主張する人」というイメージに変わる。
こちらを前述の海外のマンチキンとの区別のため和マンチと呼び、海外の方は洋マンチと呼ぶようになる。
この和マンチが言葉としては厄介。
洋マンチはあきらかに馬鹿にする言葉なんだけど
和マンチは定義ズレを起こしてて「豊富な知識やルールの理解が深い熟練プレイヤー」という意味にもとれるし、「ルールを絶対視して、ルール上できるんだ!(あるいはできないんだ!)」ということを過剰に主張する迷惑者という意味でも使われる。
まあ、RTAとかTASを見るの楽しいよね。みたいなのをTRPGプレイヤーにも夢見て褒め言葉的に使うという気持ちはわからないでもない。
しまいにはそれらを全部ひっくるめてマンチと呼び始め
「ほめてるつもりで使う人」「罵倒語として使う人」「熟練の意味で自称したり憧れたりする人」「それを見て罵倒語と勘違いして混乱する人」がいて…
ああもうめちゃくちゃだよ!
クソマンチビームは洋マンチか和マンチか
さて、話をクソマンチビームに戻そう。
クソマンチビームはどちらの意味でマンチと呼ばれているんだろう?
・当たっただけで戦闘不能
・防御系の特殊能力でガードできない
・追尾性能があり避けても追ってくる
・物量が多い
…「ぼくの かんがえた さいきょうの ビーム」かな?
間違いなくこれは洋マンチ野郎の意味で使われてやがる…!と
結論を出すのはまだ早い。
このクソマンチビームを放つキーラという敵が、
実はかなりの策士であることが映像から読み取れる。
「リンクを狙う3本目のビームは途中で軌道を変えてリンクの体勢を崩し、4本目で仕留める」
「速いマシンを操るファルコンは乗る前に仕留める」
「それだけの速さがあるにも関わらず、ピカチュウはギリギリ逃げられそうな速さで追う→本来逃げ切れる速度のソニックがピカチュウに手を差し伸べるために速度を緩めて手を伸ばしたところで急加速しソニックもピカチュウも両方仕留める」
「インクリングが潜ったインクごと地面を穿つ」
「一定時間無敵になる技を出したキャラクターは極太ビームが防御技が切れるまでずっと続くので無敵時間が終わるとやられる」
「女神パルテナの奇跡で飛行する二人の天使は一旦無視して、まずパルテナを倒し飛行できなくなったところで二人の天使を狙う」
「カービィを比較的細いビームで取り囲み取れるルートを狭めてから極太ビームで仕留めようとする」
多分探せばもっとでてくるだろう。
これらはどちらかというと和マンチがしそうな理詰めの発想だ。
「洋マンチが作ったとしか思えない俺TUEEEビーム」を
「和マンチが操作してるような徹底した作戦」で扱う。
そんな和洋折衷マンチキンとでもいうべきキーラさんのビームに
「クソマンチビーム」ほどしっくりくる名称など、そうないだろう。
かくして、クソマンチビームという名称は「マンチキン」を知る者たちの間で
しっくりくる名前として使われ、そういった人の考察ツイートなどが拡散されていく過程で「クソマンチビーム」という名前も定着していったのだろう。
実際、使っている側としてあまりにも雑語りに便利なので多分公式からビーム名が開示されても
相変わらず「クソマンチビーム」と呼ばれ続けるんじゃないかなあ…。
さて、もし君がクソマンチビームという言葉の意味を知りたくてこの記事を読んで
クソマンチビームの意味が分かったとしたらそれをとても嬉しく思う。
Twitterでこの記事を広めてくれると僕のブログの宣伝にもなってさらに嬉しいので感謝の気持ちはそうやって表現して欲しい。
以上、終わり!