バーチャルVtuver豆猫さんの与太話

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MTGデザイナー公募試験を解いてみる。その2

GDS2(MTGのデザイナー公募試験)の過去問を解くシリーズ、第二回

前回かこちら↓

 

omamesensei2.hatenadiary.jp

 

 

今回は論述問題の問3に取り組もう。

 

3.クリエイティブともっともよく融合したデザインに仕上がっていたのはどのブロックだと思うか。
また、そのブロックをより良くするために、何をすることができたと考えられるか。

 

ここでいうクリエイティブは「クリエイティブ・チーム」のことである。
世界観、背景設定、ストーリー、アートなどがクリエイティブ・チームの担当だ。

言い換えればこの問いは「フレーバーがカードのデザインに影響を与え、カードもフレーバーから良い影響を受けたブロック」を聞かれている。

 

ブロックと言うのは今は存在しないのだけれど、昔のマジックでは2つから3つの拡張パックセットを合わせたものをブロックと呼んでいた。
同じブロックの間は基本的に同じ次元(異世界)を舞台にしていて小説の上中下巻のように物語を表していた。

 

さて、この問題への私の答えはこうだ。


豆猫さんの答え3
______________________________________

 

「タルキール・ブロック」

 
キーワード能力が多すぎて混乱を呼んだので変異の亜種であるメカニズムをこのブロックに取り入れたのは少し余計だった


ブロックの中の各セットで変異・大変異・予示が「似ているが違うメカニズム」として出てくる。
似ていることがプレイヤーの理解の助けになるとされたが、実際には覚えることが余計に増えている。
クリエイティブの「ウギンと無色の要素」をうまくカードデザインに融合させられなかった部分だと言える。


予示と大変異を取り除くか、そもそも裏向きメカニズムを使わないでおくべきだった。

それからテイガムを伝説のクリーチャーとしてデザインしなかったこと。
最終ブロックにテイガムを入れることで元カンのサイクルを各氏族の伝説のクリーチャー・サイクルとしても受け取れるようにし、歴史改変でテイガムが伝説のクリーチャーに「出世」する変化を描けたはずだ。

______________________________________

 

 

捕捉

 

問題には理由を説明せよ、でなく「よりよくする方法」だったのでこう答えたが
問題文の用語やタルキールを知らないものにはちんぷんかんぷんだろう。

 

ここでいうクリエイティブは「クリエイティブ・チーム」のことである。
世界観、背景設定、ストーリー、アートなどがクリエイティブ・チームの担当だ。

つまりこの問いは「フレーバーがカードのデザインに影響を与え、カードもフレーバーから良い影響を受けたブロック」を聞かれている。

 

さて、フレーバーとうまく合わさったセットというのはいくつもあるが
フレーバーとブロックが最もよく合わさっていた(つまり上中下の構成全てにおいてよく合っていた)となれば
僕の答えは「タルキール・ブロック」三部作だろう。

 

 

大まかな背景設定はこうだ。
タルキールは「かつてドラゴンが暮らしていたが今は絶滅した世界」だ。

タルキール|次元|マジック:ザ・ギャザリング


5つの氏族が時にぶつかり合いながら生きて覇を競い、
それぞれの氏族は「ドラゴンの特徴・部位」を1つシンボルにしている。
例えば龍の迅速さを表す翼をシンボルにするマルドゥ族や
龍の狡猾さを表す眼をシンボルとするジェスカイ道の僧侶たち。
龍の忍耐強さを表す鱗をシンボルとした砂漠の民、アブザン家。

 

ストーリーの骨格は主人公サルカンの時間旅行だ。
主役であるサルカンはドラゴンに憧れるプレインズウォーカ―だ。
彼はこの世界の現代人で、過去のタルキールにいた龍の祖、精霊龍ウギンに導かれてタイムスリップする。

プレインズウォーカーのための『運命再編』案内|読み物|マジック:ザ・ギャザリング 日本公式ウェブサイト


過去の世界は「人と龍が争う世界」であり、ある出来事をきっかけに龍が劣勢となり人は龍を滅ぼした。
その出来事にサルカンが介入したことで歴史は変わり、彼が現代に戻ると…
タルキール「龍が覇権を握る形で人と『共存』する世界」へと変化していた!

タルキール(『タルキール龍紀伝』)|次元|マジック:ザ・ギャザリング

 

 

タルキール・ブロックの物語|読み物|マジック:ザ・ギャザリング 日本公式ウェブサイト

 

なぜこれが上手く融合していたのか?

 

3セット(上中下)を「龍のいない現代」「過去、歴史改変」「龍のいる現代」の3つに割り当てたのだ!
それぞれのカードデザインもよくできていたが、それらを他の2つと比べるのは非常に興味深い。

第一セットで伝説のクリーチャーを描いたカードがあり、第三セットで同じキャラクターが『再録』される。
だがそれは歴史改変により、もはや同じカードではない別のカードになっていた!

 

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氏族の長であったズルゴはドラゴンが長である世界では臆病なおっさんに過ぎない。

 

また第二セット(過去)では滅んだはずの伝説の龍が出てくる。

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そして第三セット(改変後現代)まで生き残りエルダー・ドラゴンとなっているのだ!

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あるいは変わらない存在もある。
このイエティは人と龍の歴史が変わろうとも同じままだ。

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ああ、でもフレーバーテキストによるとどうやら強さは変わらずとも「人の脅威」から「龍の餌」に変わったようだ。

 

タルキールは非常によく「3セットで1ブロック」という構造をフレーバーに合わせている。
フレーバーをうまく表した「セット」はいくつもあるが「ブロック」規模でフレーバーと融和しているのはタルキールが一番優れていると私は思う。

 

だがフレーバーを意識する余り、やり過ぎてしまいセットレベルではカードデザインをゆがめている部分も否定できない。


例えば第一セットに出てきた「変異」というのはMTGでは珍しい「カードを裏向きで場に置く」能力の再録だ。

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そして過去の世界ではこの変異は精霊龍ウギンの使う無色魔法を基にした「予示」という形で存在し、改変後は変異が新たなものになったことを表すために「大変異」となった。

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結果的にこのブロックには「裏向きでカードを出すメカニズム」が3種類もあることになる!
はっきり言ってややこしいことこの上ない。


そしてメカニズムを歴史の中で変化させる理由もない。
3セットで常に変異であってもクリエイティブの考えるウギンと無色のつながりは描けるのだ。

 

プレイヤーに負担を与える「微妙に異なる3つのメカニズム」を出すくらいなら、

それらは同じ1つのものにすべきだった。


「時代と共に変わる」というフレーバーに注目しすぎたのだ。
変わらないものも描いたのだから変わらずに使い続けるメカニズムがあってもいいのだ。
ただブロックを通して変異を使った場合の懸念もある。
プレイヤーがこのブロックは「変異がテーマだった」と勘違いする危険だ。
変異は第一セットで扱わないか、そもそも変異はこのブロックに本当にふさわしいか検討すべきだった。

 

それから最後に、細かいが大きな点として僕はこのストーリーにおける脇役のテイガムが好きだ。


彼はジェスカイ陣営を裏切りスゥルタイ群へと鞍替えした男だ。
だが歴史改変に伴い裏切る理由が消えた。
改変前のジェスカイにあたるオジュタイ氏族の学者たちの長にまで上り詰めた。

 

テイガムの○○という呪文は改変前と改変後にそれぞれ存在し、それぞれテキスト欄に所属陣営の透かしが描かれている。

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だがテイガムのクリーチャー・カードはない。

 

その上、第三セットにはとある伝説のクリーチャー・サイクルがあるのだが、
よりにもよってテイガムの陣営が「欠け」ている。
この欠けはテイガムの師であるナーセットが伝説のクリーチャーでなく「プレインズウォーカ―」になってしまったためだ。

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テイガムのカードを創れば…


「ナーセットを含めた元カンのサイクル」「5枚の伝説のクリーチャーのサイクル」
プレイヤーはどちらとも受け取ることができたと思う。

 

というわけで大きく分けて改良可能なのは2点

・変異周りはクリエイティブとの融合がうまく行ったとは言えない。
→変異の亜種を取り除き変異のみにするか変異ごとブロックから取り除くべきだった。

 

・テイガムのクリーチャー・カードがない
テイガムというキャラクターとナーセットのクリーチャーカードを作れなくなることをもっと早く知るべきだった
→もし知ることができたならテイガムのカードをデザインする十分な時間があっただろう。


______________________________________

 

解答と補足は終わり。

ここからはカードデザインの時間だ!


というわけでテイガムをデザインしよう。
実をいうとタルキール・ブロックではない場所でウィザードとドラゴンの構築済みデッキが存在した。
この時に「改変前のテイガム改変後のテイガムを同時に作ったらクールじゃない?」ということが行われている。

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なので既にテイガムのカードは存在するが、これは私がテイガムを入れたかった枠にそのまま入れることができない。

 

というわけで、もし私がテイガムをこのセットに加えるなら…というデザインにする。

 

デザイン上の制約は以下の通り。

・それは改変後のテイガムである。
・それは青単色のクリーチャーである。

・それは氏族のメカニズムと関連している。
・このセットには《テイガムの一撃》が存在するのでそれと関連付けたものにしたい。
・急な変更なのでイラストは他のカードに割り当てられたものを動かす。

 

さて、まず最初に考えるべきは「氏族のメカニズムとの関連」だ。

サイクルの他のカードは全員氏族のメカニズムを持つが、

テイガムの所属する氏族のメカニズムは「反復」だ。

ルール上、反復を持つことができるのはインスタントかソーサリーなので

テイガムは反復を持てない。

 

考えられるのは3パターンである。

・それは「反復」のように機能するクリーチャーである。

・それは反復を支援する。

・それは反復から恩恵を受ける。

 

4パターン目として実際の「改変後テイガム」が持つ

・それは反復を与える も考えられるがこれはダメだ。

 

なぜなら《オジュタイの達人、テイガム》は反復がない場所で登場した。

一方でこれからデザインするカードは反復と同時に収録される

 

反復を持つカードに反復を追加することは可能だが「何も起こらない」

追加のもう一回ができるわけではないのだ。

つまり反復デッキを楽しむプレイヤーへのボーナスにふさわしくない。

 

そしてなにより同じセットで神話レアがやってしまっている…

エキサイティングな能力は特別だからこそエキサイティングなのだ。

同じことをするカードがあるとせっかくのナーセットの特徴が失われてしまう。

 

逆にテイガムの側としては既にこのセットにあるカードと同じだがより派手な動きをさせるべきだ。

 

さて、注目したいのはこのカード。

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これは反復とは書いていないが反復に支援されるカードだ。

 

ふむ。テイガムにこの能力を与えつつ、より攻撃的で伝説らしい派手なものにしよう。

まず修整値を大きくする。《テイガムの一撃》が+2/+0とブロックされないを与える。

素晴らしい!ではテイガム自身も+2/+0とブロックされないを与えよう。

 

それから最後にダメージを与えた時のボーナスを与えることにしよう。

青には戦闘ダメージを与えたらカードを1枚手に入れる能力や、

墓地からインスタントやソーサリーを回収できる能力があり、

反復呪文はすべてインスタントかソーサリーである。

ならばダメージを通したら反復呪文を墓地から回収しよう。

《テイガムの策謀》ともシナジーすることになる。

 

「反復呪文を唱えるたび」と「果敢」やそれに類する能力を持つカードが同時に存在すると計算が面倒であることがわかった。

誘発条件を他と揃えるために緩和し…それだと+2/+0は強すぎるので+1/+0に抑えよう。

 

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よし、それではまた次回。

 

 

 

豆猫さんとMTGデザイナー試験

オリジナルカードを作る。

 

それは多分、カードゲームを遊ぶものなら誰でも一度はやることだ。
それらは非常にパワフルでぶっこわれてたり、ジョークやネタの要素が強い。

そして少なくはないが多くないプレイヤーはもう一歩先を考える。
「もう少し現実味のある、ありえそうなカードを作りたい」と。

そう考えてオリカをデザインしたくなる。


というわけでまずはこういうチャレンジ問題から取り組んでみよう。

MTGを作っているウィザーズ社のデザイナー公募試験の問題に挑んでみよう!

グレート・デザイナー・サーチ2の論述問題だ!

https://mtg-jp.com/reading/translated/0003916/

 

 

さて、この論述問題の第二問に挑戦していこう。

 


2.能力1つをある色から他の色に移すよう指示された。
この能力は全てのセットで用いられるものである。
(手札を捨てる、直接ダメージを与える、カードを引く、など)
開発部が色を変更した能力を選んではならない。
どの能力をどの色に移すべきか、その理由も含めて答えよ。

 

 

 

豆猫さんの回答2
______________________________________


「クリーチャーをタップする能力」を持っている。
これは緑にも与えるべき能力である

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にはタップ以外に《光明の縛め》のような「戦闘を制限するオーラ」が存在する。
に2種類の「殺さない生物除去」を持たせる必要はない。

どちらか片方は他の色に移してもいいんじゃないだろうか?

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にはクリーチャー対策が少なく、のフレーバーが生物を殺すことを良しとしていない。
また、緑が持つ「格闘」や「パワーによる除去」除去カード以外に別のクリーチャーが必要になることが問題視されている。

緑にはカード1枚でクリーチャーをほどほどに除去する効果が必要なんだ。

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緑のクリーチャーに「自身が戦場に出た時に格闘を行う」を持たせる手段もあるだろう。

しかし、これは想像よりも少しばかり強くなりすぎる危険があると思う。

 


緑にはクリーチャーを死亡させない疑似的な除去が必要で、

緑はクリーチャーの色であるから新しく移す場合、それはクリーチャーが持つ能力にするべきだ。
よって「クリーチャーが他のクリーチャーをタップする」のは緑に与えるべきメカニズムだ。

 

吠える、体の模様で威嚇する、強いにおいを出す。
そういった「戦闘の意思を削ぐ」ことが自然の営みに存在する。
フレーバー的な問題もない。


のクリーチャーが持つタッパー能力の一部緑に移すべきだ。

______________________________________

 

 

 

というわけで今回のオリジナルカードは緑の新しいカラーパイを試すものだ。

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こんな感じでカードデザイナー試験の問題は非常に興味深い。
次回はグレートデザイナーサーチ2の論述問題3に挑もう。

では、それまでに君たちも自分の考えでこの問題に取り組んでみてほしい。

 

次↓

omamesensei2.hatenadiary.jp

  

ウィザーズの作らないカードを作ろう

オリカ…それはカードゲーマーなら誰もが一度はやるだろう遊び…

 

それは私もまた例外ではない。

そして時に傲慢にも人は「どうしてこんな簡単な発想のカードを公式は作らないのだろう?」と考える。

 

冷静に考えて素人である我々が思いつくような発想はきっと本職の人たちが作り、そしてボツにされているから世に出ないのだろう。

ウィザーズが「なぜか」作らないカードを作ってみて…

 

なぜ作られないのか考えてみる記事だ。

 

さて、ではまずは僕が自信を持って作ったデザインからだ。

______________________________________
 
《黒なし》 (3)(白)(青)(赤)(緑)
 
クリーチャー-エレメンタル
 
[カード名]が戦場に出た時、対戦相手1人を対象とする。
[カード名]は そのプレイヤーに2点のダメージを与え、あなたは2点のライフを得る。
 
(1)(青):クリーチャー1体を対象とする。それはターン終了時まで飛行を得る。
(4)(緑):飛行クリーチャー1体を対象とし、それを破壊する。
 
4/7
______________________________________
 
これは明らかにメカニズム先行のカードだった。
ウィザーズ公式記事で「4色のデザインは難しい」という話をしていた。
 
4色である理由が必要で5色でない理由があるわけだ。それが難しいのだと。
 
こういうことを言われると素人である我々はすぐに「そんなの簡単だ。なぜウィザーズにはできないのだろう?」と考える。
 
というわけで僕は「4色のカード」をデザインしようとした。
カニズムとしては「黒のやること」を「他の色でやろう」と考えたのだ。
後付けのフレーバーとしてはこいつは「4色で世界が完成すると考える怪物」で
「この世界に黒はいらない」と考えている。
なぜなら黒なしでも世界は完結しているのだと。
黒にできることは(少し手間はかかるが)黒なしでやれるのだ。
 
例えばこんな黒のクリーチャーは作れるだろう。
 
______________________________________
 
《黒きデーモン》 (5)(黒)(黒)(黒)
 
クリーチャー - デーモン
 
[カード名]が戦場に出た時、対戦相手1人を対象とする。
そのプレイヤーは2点のライフを失い、あなたは2点のライフを得る。
 
(4)(黒)(黒)(黒):クリーチャー1体を対象とし、それを破壊する。
 
4/7
______________________________________
 
もちろんパワーレベルとかいくつかの修整点はある。
デーモンなら飛行が必要とか起動型能力が強すぎるのでコストに「手札を1枚捨てる」を書き足すとか。
 
だが本質的な話をすれば《黒きデーモン》は真に黒単色のクリーチャーだ。
 
《黒なし》はこれと本質的には同じことをするカードだ。
だが黒じゃない。《黒なし》にとって黒がなくとも同じことができるのだから「黒はいらない」のだ。
 
 
個々の能力は4色のクリーチャーに可能なことだ。
赤のドレイン? ありえない!
ライフを吸収するのは基本的に黒だ。

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だが赤のダメージと白の回復なら?
赤白のカードとしてありえるデザインだ。

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飛行していないクリーチャーを破壊する緑のカード?
それもなしだ。
 
基本的に緑が破壊できるクリーチャーは飛行しているものだけだ。

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だが飛行なら殺せるし、青は他のクリーチャーを飛行させることができる。

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飛行を付加するのは青の能力で飛行を撃ち落とすのは緑の能力だ。
 
ならばこの能力は緑青が持てるデザインだ。
 
 
結論から言おう。
恐らく緑青はこの能力を「持てない」だろう。
なぜならそれは「黒のすること」だからだ。
 
実際「飛行を与える」と「飛行を破壊する」を1枚に詰めたデザインと言うものはない。
(プレイングとして2枚コンボをすることはできるだろう)
 
そういったカードをウィザーズがデザインしないのは、
恐らく「思いつかない」のではなく「ふさわしくない」「おもしろくない」からだ。
マジックは5色のゲームなので1色なしで成立するというのはアイデアとして面白くても
ゲームとしては楽しくないだろう。
 
何より単体のデザインならともかくセットとしてみると、大変なことになる。
このカードが仮にサイクル(一連のカードの集まり)だとして、《白なし》《赤なし》などもいるとして…
 
それらを正当化する世界観はそう言った組み合わせの能力を持つコモンを作りカラーパイはめちゃくちゃになるだろう。
 
どれかの色がなくともその色のことができるならゲームから色同士の相性が消え去り純粋なパワーカードを積んだデッキが非常に強力になるだろう。
 
色ごとにデッキを組むことが減りプレイヤーの需要は強力な《青なし》に集まったりして、価格は高騰するだろう。
札束の殴り合いが非常に顕著になり可視化される。
 
多分、《色なし》陣営のセットは最悪なものになるだろう。
 
だから、ウィザーズは恐らく「飛行を与えて飛行を除去する青緑のカード」を作らないのだ。
 
というわけでこのシリーズではそういう「ウィザーズの作らないカード」をデザインしてみて、
なぜそれが実際に刷られてこなかったか考えてみよう。
 
シリーズと言いつつ予定は未定。

 

【スタンダードPauper・アリーナ特集】しつこい請願者バベル【Tuna Babel Blue】

さて、アリーナでのPauperイベント…つまりスタンダードPauperが現在開催中だ。

というわけでこのブログでもたくさんデッキを紹介してきたわけだが…

今回はこの記事の続編だ。

 

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omamesensei2.hatenadiary.jp

 このデッキを原型とする【しつこい請願者バベル】デッキ。

これは現在のスタンダードPauperのデッキの強さを量るひとつの指標になる。

 

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最低でもこの【しつこい請願者バベル】には勝てないとスタンダードPauperで「ガチデッキ」を名乗るのは難しい。

 

そんな請願者バベルをめぐるメタゲームの動きはなかなか見ていて楽しい。

カードプールが狭く超高速でメタゲームが変わっていくのを見るのはとても楽しいものだ。

 

さて、僕が今使ってるのはバベルではない。

環境初期のバベルは非常に安定していたが、現在ではメタゲームが進み、

バベル狩りデッキも出てきている。

となるとバベルは『安定して実力を出し続けるデッキ』ではなく、

いわゆる『初見殺し』に過ぎない。

アリーナでスタンダードPauperに参入した初心者の心をへし折るだけのデッキだとも言える。

 

ならば一歩進めよう。

《しつこい請願者》だけでなく他のカードを入れてメタデッキに更に対策を…

などと考えるよりはバベルを手放して『バベルとバベルメタに勝つデッキ』を探すべきだ。

 

なに?

勝ちたいからバベルを使うのではない?

バベルを使いたいから使いたい?

 

ふん。とんだもの好きだな。

良い覚悟だ。ならば考えてみよう。

さあ、バベルデッキを改造しよう。

 

 

デッキ総枚数

 

250枚

正直ここはもう少し減らしてもいいのでは?という気がしないでもないが

相手に圧をかけ投了を促せる点も考慮して最大枚数まで詰めよう

MTGにはデッキ枚数上限がないもののアリーナでは上限250枚だ

 

なぜデッキ枚数を増やすか?

なんとなくコピーデッキを作り、ここをおろそかにはしていないだろうか?

《しつこい請願者》デッキをバベルにする理由はたったひとつ。

『ミラーマッチで強いから』だ。

そこを踏まえるともう少し減らしてミラーで有利な別のカードを入れて引ける確率を上げるためにデッキ枚数を230枚程度にするほうが強い気さえしてくるが、たぶん考えるだけ時間の無駄だ

デッキが厚すぎるので引けないか、デッキ破壊されたときに墓地に落ちて終わりだろう。

 

 

》枚数論

このデッキのレシピで最重要なアレンジ要素はここである。

デッキ内の土地比率は初手の土地比率に直結する。

とりわけアリーナでは初手の仕様が紙と異なる。

 

「手札を2セット作成し、デッキ全体の土地比率に近い初期手札を採用する」

「デッキの並び順はかなりしっかりとしたランダムなものになる」

このルールを利用して事故率を下げているのが電子バベルの強みだ。

 

よく見かける島枚数は80枚から110枚の間だ。

それぞれ自分なりの考えで調整しているのだろう。

さて、ではここで あるジレンマが発生する。

「島を初手にたくさん引けるように枚数を増やすと請願者が減る」

「島を初手に引ける構成はドローも島に偏りがちになる」

 

さて、どうするべきか?

僕は初手に3枚引けるのが理想だと考えている。

島4枚は1ターン目にすべて使うわけでなく4ターン目までに4枚になればいい。

初手に3枚引いて4ターン以内に1枚引くのは決して難しくはない。

 

そして初手に3枚の島があり残りが請願者なら請願者は4枚

効果の起動に必要な4体を最初から握っていれば例え島ばかり引いても支障なく始められる。

これが島4枚だと。安定な選択肢に見えて、実は請願者が3枚で、

島を立て続けに引いた場合島を集めた意味がなく、

また島3枚になる構築よりも島を増やすことになるので「島ばかり引く危険性」も高まってしまう。

特に除去を1回打たれると、請願者が不足し立て直しが困難になる。

島が3枚引ける初手を目指せる土地比率にするのがいい。

 

というわけで250枚デッキでの島枚数に換算すると…

107枚ということになる。思ったよりも多いな。

 

 

 

その他カード

 

デッキリストの「その他」にあたる部分だ。

正直あんまり考えなくていい。

考えて入れたけど引けないことも入れないことも、ほとんど変わらないと思うよ。

 

それでも検討するのがカードゲーマーだろう?

まず最初に入れるべきは《選択》だ。

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このデッキはほとんどのカードが2マナで構成されるため

3ターン目に1マナが余る。

 

特にギミックの無いデッキではここで1マナは「ひとつめの起動能力」に費やす。

(相手のデッキを1枚だけ墓地に送る能力だ)

 

ここで《選択》を使えれば4枚目の島を手に入れる助けになる。

 

なぜ4枚目の島にこだわるか?

島の枚数と展開できる請願者の枚数の関係は

島1枚 +0体 計0体

島2枚 +1体 計1体

島3枚 +1体 計2体

島4枚 +2体 計4体

4ターン目に島を4枚並べていることが大きなブレイクスルーとなるのだ。

 

そして場にカードが並ぶので《黄金都市の秘密》の昇殿が達成される。

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ミラーマッチでは先に請願者を4体並べた方…でなくおそらく先に8体並べたほうが勝つ。

 

引けるかわからないカードとはいえ3枚のドローを提供するこのカードは

大きくゲームを変えるだろう。

これはスタンダードPauperのアンリコなのだから。

 

妨害呪文

入れない方がマシまである。

4体目の請願者を並べることができずに止まるくらいなら…というわけだ。

どうしても入れたいなら手札の数を減らさないキャントリップがいい。

《拘引物の忠告》がお勧めだ。

《一瞬》と違い奇数コストなので1マナ早く使えるのが利点。

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1/3の壁を越えて飛行クリーチャーにオーラを張るデッキに対して使えば

1ターンの時間を稼ぐ助けやオーラをはがす役に立つだろう。

 

いくぜ、クリアマインド!はミラーで決まるととても気持ちい。

最低限ドローがついてるし1枚くらい入れても…いいかな。

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 というわけで組まれた自信作がこの

【Tuna Babel Blue】だ!!

刮目せよ!

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 そうそう、組もうとするとカチカチするのが大変だと思う。

だがこの下にあるレシピをコピーしてImportすれば簡単にデッキをコピーできる。

こだわりぬいた島のレシピを楽しんで欲しい。

アリーナのPauperイベントは明日までだ。

 

 アリーナ用デッキレシピ

_________________

135 Persistent Petitioners (RNA) 44
7 Island (RIX) 193
2 Secrets of the Golden City (RIX) 52
28 Island (XLN) 264
29 Island (DAR) 254
28 Island (M19) 265
7 Island (GRN) 261
8 Island (RNA) 261
4 Opt (DAR) 60
1 Clear the Mind (RNA) 34
1 Rescue (DAR) 63

 ___________________

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【スタンダードPauper】青単マグロブルー【島60枚】

マグロブルーを知っているか?

 

マグロブルー。

それは真のコントロールデッキ使いを目指す者のデッキ。

古のマジックに語られる伝説である。

 

いわく、「島が2枚あれば《対抗呪文》によって呪文を打ち消される時代」にそのデッキは組まれた。

デッキに60枚入れて、「ブラフ」や「表情」「態度」そして「会話」

それらを駆使し相手の攻め手をためらわせ何ターン時間を稼げるかで青使いの実力を量ったという。

 

初心者にはそもそも《島》を60枚集めるのが難しいことを考えると

構築難度及び高いプレイングスキルが要求される上級者向けのデッキだ。

 

そんな島60枚のデッキも絶賛オープンβテストが稼働中のゲーム、

MTGアリーナでなら簡単に組める。

 

君のカードプールには島が∞枚あるからだ。

印刷費用がかからないからこその運営からの太っ腹なプレゼントというわけだ。

 

というわけでlpちらがマグロブルーのデッキリストだ。

 

マグロブルー

土地 60枚

60 《島》

 

アリーナコピー用リスト

______

60 Island (RIX) 193

______

 

このデッキを使い、君もアリーナPauperの洗礼を味わってほしい…!

そして君の真のコントロール力がどの程度か知るといい!

まあ。250コインがもったいないというならそれもしかたない。

僕はこれをベースに改良したデッキでアリーナPauperに挑戦してくるさ。

なにせ今はMTGアリーナでパウパーのイベントを開催している。

スタンダードパウパーのデッキを試す絶好の機会だ!

 

 

 

 

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というわけで5連勝してきた。

 

アリーナのPauperは250コインで入場し

2回負けるor5勝する まで戦い続けられる。

つまり5連勝というのは最高成績

いわゆる5-0という奴だ。

まあ僕ほどのプレイヤーともなると島60枚入れたデッキでも余裕…

というのは冗談にしても「島を60枚入れたデッキ」は今シーズンを飾る環境最高のデッキのひとつかもしれない。

そんなマグロブルー改のリストがこれだ!

 

マグロバベル

 

土地 60枚

60 《島》

 

その他 90枚

2 《黄金都市の秘密》

88 《しつこい請願者》

 

アリーナコピー用リスト

_________________

88 Persistent Petitioners (RNA) 44
60 Island (RIX) 193
2 Secrets of the Golden City (RIX) 52

__________________

 

今環境でもっともコストパフォーマンスのいいカード

《しつこい請願者》を加えた島60枚デッキだ。

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アリーナの仕様上、同じカードは4枚までしか所有できない。

では「デッキに何枚でも入れてよい」というカードは?

 

これは最大枚数である4枚を持っていると好きな枚数だけ入れられるようになっている。

(本来マジックにはデッキの上限枚数はないがデジタルの使用上、アリーナには上限があるので注意)

 

というわけで島60枚を入れても事故らないようにこいつを大量に混入して

島の濃度を一般的なデッキのように『デッキ枚数の40%』まで薄める。

 

結果的にデッキはかなり分厚くなるが、

アリーナは電子ゲームなのでシャッフルの手間がいらず、

正確にシャッフルしてくれる。

 

さらにアリーナには嬉しい機能がある。

プレイヤーに見えないところで初手を2枚作り

そのうちでデッキの土地比率に近い土地比率の手札のほうを初手として配布する。

土地0枚のつまらないゲームを減らし、土地比率にこだわること自体は意味を失わないようにする電子ゲームだからこそできる事故軽減メカニズムだ。

 

この仕様のおかげで88枚も入れたしつこい請願者にシャッフルの偏りが生まれて濃いところを引く確率が大幅に減る。

 

このデッキは初手の土地割合が重要で手札の中身にはあまり興味がないので

この初手配布仕様によって事故が激減するわけだ。

 

紙で組むなら地味に高いこのデッキだが、アリーナならむしろ安い。

デッキ1枚あたりの値段は0.04コモンワイルド

総価格6コモンワイルド

 

安い。安すぎる。

 

レシピ解説

 

デッキ枚数について

 

Q.60枚デッキの方が《黄金都市の秘密》を引く確率上がらない?

A.そう言って60枚にした同型はこのデッキの餌食になる。

 

Q.もっと増やしたらこのデッキに強い同型になるのに何故この枚数?

A.《島》が60枚のデッキ。マグロブルー。それが言いたいだけ。

 

デッキ内容について

 

Q.なぜ黄金都市の秘密?

A.息切れ防止のお守り。

3ドローは緑系オーラデッキ相手にブロックするとき役立つ。

でもこれを2枚引いて事故るのは嫌。

誤差みたいな確率だけど。

本当に嫌なら1枚でもいいし0枚にしたら

《しつこい請願者》が90枚になるのでリストの見栄えはよくなる。

 

強さについて

 

Q.ネタデッキ乙

A.現環境の分水嶺なんだよなあ…

 

正直言ってこのデッキは強い。

上から数えたほうが早い。

ああ、デッキ上限まで入れた同型よりは弱いかもしれない。

でもどうだろう?

同型でこれよりデッキ枚数が多いバベルに当たるより緑単とかに当たる方が可能性が高いので、案外このデッキのが、枚数限度まで詰めるより勝率は高いかも?

 

とにかくまずはこのデッキだ。

このデッキに勝てて、

他のデッキとやりあえるデッキじゃないと今シーズンのスタンダードPauperを攻略したとは言えないだろう。

なかなか興味深い環境になりそうだ。

 

 ↓につづく

omamesensei2.hatenadiary.jp

 

 

【スタンダードPauper】ラヴニカの献身で追加された新火力【新カード・レヴュー】

《怒り火》はスタンダードPauperの環境を変えるか?

*こちらの記事は没記事の供養です*
*プレビュー期間中に上げようとして諸事情により上げられなくなったものです*
*この記事を読んだことであなたが被るいかなる損害にも筆者は責任を負いません*


MTGで一番好きなフォーマットはもしかしてスタンダードPauperなんじゃないか?
自分でもそう疑問に思ってしまうようなスタンダードPauper布教の使徒豆猫さんだよ。

さて、今回話題にしたいのは《怒り火》というカード。

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これはなかなか強そうなので僕は今日の発売前プレビューで興奮した。
(編注・この記事は発売前プレビューされた日に挙げようとしています)

だがその叫びをツイッターに投げたところ…

「こいつは頭がおかしいのではないか?」というご意見を多数いただき、
アンコモンやレアのカードと比較された。

…そう、あまりの興奮に「スタンダードPauperで」と書き忘れたのだ…

勘違いと混乱を生んですまない。

さて、それでは改めて《怒り火》の強さについて語ろう。
もちろんスタンダードPauperでの強さだ。


《怒り火》は何がすごいのか?

 

「無条件に対象のクリーチャーを決められる火力呪文」
「2マナ以下で3点のダメージが出る呪文」
これを両方満たす赤の呪文はなんとスタンダードPauperには存在しなかった。
(《シヴの火》はキッカーコストを払って唱えてもルール上の点数で見たマナコストは1マナとかいう屁理屈は除く)

 

スタンダードPauperの2マナ除去は基本的に
「使い勝手良くタフネス2までを除去できる」
「使用に条件や追加コストのある確定除去や3点以上のダメージ」だった。

 

つまり2マナ以下のカード1枚で、「タフネス3以上のシステムクリーチャー」を排除することは非常に難しかった。
*システムクリーチャー…戦闘ではなく能力がメインのクリーチャー

 

だが《怒り火》にはそれができる。

戦闘に参加しないので「アタック・ブロックしたクリーチャーへの除去」が効かないクリーチャー。
タップ能力があるがターン終了時に使えばいいので「ソーサリーのタップキラー」が刺さらないクリーチャー。

これらを2マナのカード1枚で対処するのは困難だ。
戦闘に参加しないので《ギデオンの叱責》が効かない。
こちらのメインフェイズにはアンタップしていて《返報》が通らない。
タフネスが3で《渇望の時》《ショック》も通用しない。

そんな相手に対して《怒り火》は答えてくれる。
それがどうした?
「メインフェイズにアンタップ状態のクリーチャーを狙って3点与えればいいだろう?」と。
ここまでコストパフォーマンスのいい単純生物火力はここ最近のスタンダードPauperにないものだ。


《怒り火》で「環境」は変わるか。

ここからはMTGアリーナのようなスタンダードPauperの環境について考える。
もし君が近所のショップやサークル・部活仲間とスタンダードPauperを遊ぶような閉じられた環境では、
環境が変わるかもしれない。

 

だがアリーナでは無理だ。
《怒り火》が環境を変えることはない。

なぜなら《怒り火》はコストパフォーマンスが悪いからだ。

さっき良いって言ったのに早くも手のひら返しかよ? と思うかもしれない。
まあ落ち着いて聞いてほしい。
《怒り火》は実はパックから出ないんだ。

このカードは初心者用構築済みデッキ限定収録の「弱いカード」として作られた。
弱いのでレアリティはコモンだが、スタンダードコモン限定戦に与える影響は大きいカードだったというわけだ。

…で?
果たしてどこの世界に「スタンダードPauperのために《怒り火》を手に入れるぜ!」という奴がいるだろうか?

いや、いるよ?
ここにいるけどさ。

それは間違いなく少数派だ。
一応、紙のマジックではこのカードのシングル販売もある。
ただし非常に「高額」であり…なんと80円もする…!!

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高いな…。だが入手難度を考えればそれも仕方ない。

アリーナではどうだろう?
このカードはコモンのワイルドカードで交換できる。
安いもんだね。

などと思うのは早計だ。
アリーナではコモンのワイルドカードの入手数は少なく、
ガチデッキ(スタンダードPauperでなくスタンダードのガチデッキ)にもコモンが使われることがある。
そうなるとどうしても「たかだかスタンダードPauper」のためにそれを消費する人は少数派だ。

だから環境が変わることはない。
《怒り火》コスパのいい強力カードだがコスパが悪く流行らないだろう。

いわば「金をかけられるやつだけが使える高級品」なのだ。


ラヴニカの献身環境と《怒り火》の標的

さて、なので《怒り火》をケアしてデッキ構築やプレイはしなくていい。
大体は不可読みのし過ぎで墓穴を掘ることになる。

だがもし君が《怒り火》を使う側(つまり80円もする高額カードの使い手)であれば、
ラヴニカの献身環境に「メインフェイズにタップせず戦闘にも参加しないタフネス3のシステムクリーチャー」がどの程度流行るかは気になるところだろう。

 

*ここから追記*


「メインフェイズにタップせず戦闘にも参加しないタフネス3のシステムクリーチャー」プレビューで公開された。

そして(あくまで予想だが)恐らく少なくないプレイヤーが「それ」を使うだろう。

《しつこい請願者》

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このカードはアリーナで特にコスパがいい1枚だ。
基本的には《ネズミの群棲》と同じだ。
アリーナでは4枚所持していれば5枚目、6枚目、7枚目…好きなだけ入れられる。
コモンのワイルド4枚でデッキ内に十数枚の枠を取れる。
コモンカードのワイルドが少なくても立派なデッキが組めそうだ。

そしてスタンダードでもカジュアル系のネタデッキとしては十分楽しめる素養があり、
もし次のパックで何かしらのコンボやアドバイザーが追加されれば強化も夢でなく将来性がある。

そのうえパックから出るので、よくパックを開けるプレイヤーなら3枚ほど持ってるからあと1枚だけ交換すればいいなんてこともあるだろう。
なんてこともあるだろう。

このカードはまさに「メインフェイズにタップせず戦闘にも参加しないタフネス3のシステムクリーチャー」である。
請願者はネズミと違い全体1点ダメージのような呪文で一掃できない。
色も青でありドローができる色なのでこいつを1体潰すのにカードを2枚使っているようでは攻略できない。

君がスタンダードPauperの赤いデッキを使うならアドバイザーを場に4枚並べられる瞬間がないように確実に潰していく必要がある。

《怒り火》はその助けになるだろう。
スタンダードPauperのガチプレイヤーを自負する赤使いであるなら…!
《怒り火》は強力なトップレア…もといトップコモンだ。
ぜひ君のデッキに加えてみよう。

 

 

*ここから発売後記述*

 

 

いかかがでしたか?
《怒り火》はとっても強力なカードみたいですね。
私もアドバイザーデッキへの対策としてこのカードを是非使ってみたいと思います!

…なあんてクソブログ構文で締めるわけにはいかない事情が出てきた。
というわけで本命のカードをレビューしよう。
《批判家刺殺》だ。

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もちろんここでも《批判家刺殺》を絢爛コスト1マナで唱えてもルール上は3マナとかそういう言い訳は言うまい…
(自分でそれは屁理屈って言ったしね)

 

《批判家刺殺》は簡単な条件で1マナの3点火力となる。
もちろん《怒り火》には絢爛が達成できず相手の請願者に阻まれて攻撃できない時に、
請願者をどかしてプレイヤーに攻撃を通す助けにはなる(=《批判家刺殺》絢爛達成できるようにする)


でも《批判家刺殺》《怒り火》と違い、相手プレイヤーに撃ち込むこともできる。
強い。強いぞ《批判家刺殺》

《怒り火》を買っている場合じゃない。

というわけで君も《批判家刺殺》を使って赤単を組もう!
スタンダードPauperは安くて楽しいフォーマット!
1コインでデッキが組めちゃうんだ!
楽しもうね!

 

 

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「全然違うじゃん!」

 

「………」

 

「スタンダードPauperは安く楽しめるフォーマット、1コインでデッキが組めるって言ったよね?」
「…なのに! この値段は何!!」


《批判家刺殺》はスタンダードPauperのみならずスタンダードの赤単やラクドスバーンでも使われ…」
「今ではスタンダードを飛び出してモダン環境でも4枚フル投入…」
「レガシーでも1,2枚の採用…そのうえ大会実績もあるカード…」
「当然の結果です…」

 

「もういい! 私スタンダードPauperやめ…」

 

「待ちな、嬢ちゃん」

 

「その孤独なシルエットは…!」

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「ヒュー、《睡蓮のコブラじゃねーか」

 

まずはこいつを見な!」

「これは絶賛稼働中の電子ゲーム版MTGの双璧、マジックオンライン!」

「MO(マジックオンライン)じゃあ、カードはTixという単位で取引される」
「1Tixが約110円だ。(2019/02/05現在)」
「そしてこいつが《批判家刺殺》のMO取引価格だ」

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「0.001Tix…? 10枚買ってやっと約1円ってこと…?」

 

マジックオンラインでは日々ドラフトなどの試合が行われ新しいパックが開けられます…」
《批判家刺殺》はレアリティが一番低いコモンカードで、赤いデッキを使わない者…5枚以上持つ者には意味のないカード」
「加えて電子ゲーム故に印刷代や輸送運賃がかからず全世界規模で取引が行われる…」
「紙のカード同様に250円ほどに上がった価格が引き下がるのも…」
「…当然の結果です」

 

「私、スタンダードPauperやめなくてよかった!」

【スタンダードPauper】《地底街の抱擁》がメタゲームを動かす【新カードレビュー】

《地底街の抱擁》がメタゲームを動かす

 

 

【ラヴニカのギルド】スタンダードPauper最強のデッキは何だったか?


最強のデッキ…というものはなくデッキには有利不利や事故率の高い低いがある。

そのため一概には言えないが当ブログの見解として青白の呪禁デッキこそが
「最強」のデッキだったと思う。

…いや、ぶっちゃけそれは僕の青白好きが欲目になっているな。
青赤は苦手なデッキが少なかったし青赤が最強だった可能性もある。
青赤と赤白でぶつかると青白が勝つんだけど…この辺は難しいね。


とはいえそれを差し引いても《急流の魂》《冷水カミツキガメを採用したデッキが強力だったことは間違いない。

 

《急流の魂》は何が強かったか?


・飛行能力によるブロックしづらさ
・環境主流の全体除去を耐えられる
・パワー3で7回殴ればゲームが終わる
・実際にはオーラでキルターンが更に縮む
・除去されないので除去に弱いメカニズムであるオーラと相性がいい

 

もはや《急流の魂》が着地してオーラをつけた上で負けることはなかった。
環境初期は赤単にプレイヤーが焼かれるペースが早くてそれでも手遅れになりがちだったが、
絆魂を与えるオーラの採用でその危険も格段に減った。

 

通常このタイプのデッキが強力である場合、「布告除去」がメタとして使われだす。
「布告除去」とは《悪魔の布告》に端を発する「相手プレイヤーはクリーチャーを1体生贄に捧げる」という効果である。

 

相手プレイヤー自身に除去を強いるので呪禁クリーチャーを除去できるのだ。
じゃあなぜ青白呪禁は強かったか?

それはもう単純な理屈である。

なかったのだ。
スタンダードPauperには布告除去がなかったのだ。

 

メタカードがないゆえに《急流の魂》デッキは強かった。
青単のロック系のフィニッシャーや青赤のコントロールでのフィニッシャー、
そして青白オーラや青緑オーラで強い存在感を発揮していた。

 

だがその天下もここで終わりだ。
紹介しよう、スタンダードPauperにおける新しい布告除去
《地底街の抱擁》だ!

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3マナでインスタントという使い勝手のいい性能に、
デッキの指針になる「パワー4以上がいればライフ回復」という能力もある。

青系の呪禁デッキへのメタとしてのこのカードの台頭や、
青系ほど強くないのでやや下に甘んじていたが布告に強いマーフォーク系青緑呪禁が強くなるかもしれない。

 

MTGアリーナのスタンダードPauperは今週末2月9日から!
一足早くデッキを作って友達とダイレクトマッチで腕を磨いてもいいかもしれない。