やあ、泡沫カードゲームレビュアーの豆猫さんだよ!
たまに「豆猫さんはどうやって胡乱なカードゲームを見つけてくるんですか?」と聞かれることがあるんだけど、実際のところ私は胡乱なカードゲームを探すために何の努力もしていない。
いや、本当だよ?
私くらいになると胡乱なカードゲームとの出会いは向こうからやってくる。
私が胡乱なDiscord鯖で誕生日を過ごしているとスポンサーからのメンションが飛んできた。
「このカードゲーム知ってる?」
「知らない」
私は泡沫カードゲーム博士ではないので知らないゲームなど世の中にいくらでもあるんだよなあ。
誕生日に突然、ぜんぜん有名どころじゃないカードゲームについて聞かれても分からないことくらいある。
とはいえ、私は文明の利器スマートホンを扱える人類なので即座にネットで検索した。
…怪しい。
怪しすぎる。
このゲーム…なぜか、Amazonで中国語版だけが取り扱われている。
その名も『断片凶雨』!
流石にいかに私が泡沫カードゲームレビュアーとはいえ、中国語版しかないカードゲームに手を出す気は…あっ、これ日本語版あるんだ。
…日本語版があるのに中国語版しかAmazonで扱ってないの、余計に怪しくない?
はい。はい。この話はこれでお終い。
怪しいゲームには手を出さない!
さよなら断片凶雨 ノシ
…となるようなら私は泡沫カードゲームレビュアーだの胡乱カードゲームブロガーだの呼ばれていない。
SNSを通して運営さんと少しお話ししたり情報収集した結果、思ったより怪しくないことがわかったので購入に踏み切ることにしました。
…というわけで手に入れたのがこちらになります。
断片凶雨、日本語名『フラグメントディグレイン』の構築済みデッキ(2個入りセット)、『ブレイジングアサルト』です。
スポンサーの方と実際に購入してオンライン対戦をしてみたのでこのゲームの特徴的なポイントに触れながらレビューしていきましょう。
個性的なポイント
「ヘクスマップ(六角形ボード)」
今まで色々なカードゲームに触れてきましたが、フィールドに六角形のボードを使用するカードゲームは初めてだったのでここが一番の特徴だと思います。
いわゆるヘクスマップですね。
初めてなのに「いわゆる」っていう表現を使うのも変ですが、
こう言った六角形ボードを使うゲーム自体はTRPGやボードゲームでは割とある感じです。
なので、通称として「ヘクスマップ」という用語も定着しているのですが、
カードゲーム+ヘクスマップという形式はかなり珍しいと思います。
六角形ボードを組み合わせてヘクスマップのフィールドを作り、初期位置にリーダーカードを置いたらゲーム開始!
リーダーカード的なものがあるカードゲームは、最近では割とよく見かけますね。
似たようなデッキアーキタイプでもリーダー次第でデッキの方向性に変化をつけられたり、お気に入りの相棒を見つけたりと、基本的には良いデザインに繋がることが多いので割と好きです。
(ただ、大会環境を見据えると強いリーダーばかり見かけることになって飽きが早いというリスクもあるとは思います。この点に対して断片凶雨:フラグメントディグレインは黙認してるわけではないのも好印象です。)
プレイヤーは自分のターンにカードを2枚まで『使う』ことができます。
カードの使い方は大きく分けて2種類。
「表側で六角形ボードに置くか」
「裏向きで六角形ボードに伏せるか」です。
この六角形ボード、フラグメントディグレインのルールではゲートという名前がついているんですが専門用語ばかり使うとファルシのルシがコクーンでパージになるので、敢えて六角形ボードと呼ばせてもらいます。
六角形ボードに表側で置いたカードを使い相手リーダーのHPを0にすることを目指します。
戦闘ユニットのカードは同じく戦闘ユニットのカードで攻撃し戦わせることができるので、
自軍リーダーを攻撃してきそうなユニットを撃破しつつ、隙あらば相手リーダーへ攻撃していくというのが、断片凶雨:フラグメントディグレインの基本的な遊び方になります。
遊戯王やMTG、デュエマなどのカードゲームと大きく違うところは六角形ボードの存在により「攻撃範囲」や「移動」の概念が存在することです。
テキストボックスの右にヘクスマップが書いてあります。▲マークの位置にこのカードがある時、攻撃できるマスが黒く塗りつぶされています。
このカードの場合は周囲1マスのどこかを攻撃できると言うわけです。
すべてのカードは自分のターンに「1マス移動」させることができるので、
じわじわと相手リーダーに迫りながら攻撃していくゲームというわけですね。
うーん、この感じだとかなりまったりしたゲーム進行になりそう。
…そんな風に思っていた時期が私にもありました。
サクサク逆転orじっくり思考
このゲームの一般的な遊び方は、
アサルトルールとイグニッションルールの2種類があります。
このうち「まったりしたゲーム進行」になるのは後者のイグニッションルールの方だけ。
アサルトルールではゲームはスピーディにサクサク進むので10分ほどで1ゲームが終わります。
2つのルールの違いのひとつは六角形ボードの配置。
アサルトルールでは六角形ボードの枚数が少なく戦場は狭くなっています。
そのため、相手リーダーとの距離感が近くなり激しい攻防が繰り広げられます。
またゲーム版が狭いため「隣接する周囲1マスのカードをすべて破壊する」と言ったカードは非常に影響力が大きくなりますし、
「裏向きで伏せられたこのカードのあるマスに相手カードが移動してきた時に発動し、大ダメージを与え破壊する」という地雷カードを踏む確率も非常に高いものになっています。
さて、このゲームではカードのコストの払い方は「フラグメント」か「手札」のカードをロスト(ゲームから追放し除外)することで支払います。
フラグメントと言うのはいわゆる墓地です。
例えばコスト2のユニットを場に出すなら、「手札を2枚追放する」か「手札1枚と墓地1枚を追放する」あるいは「墓地のカード2枚を追放する」ことで支払えます。
攻める側は手札を削ってカードを使っていくのでリソースが枯渇しやすく、
攻められている側は破壊されたカードをリソースとして返しの切札を出しやすくなるシステムと言えるでしょう。
そのためアサルトルールにおいてはゲームは2パターン。
攻撃側にまわったプレイヤーが速攻でゲームを終わらせるか、
終わらせきれずに返しの切札で捲られてゲーム中盤で終わるか。
長期戦になることは稀です。
30分〜1時間ほどで3〜5戦する遊び方に向いています。
もちろん大味なだけのゲームでなく、
じっくり遊びたい場合にはしっかりと時間をとってイグニッションルールで遊ぶこともできます。
こちらはアサルトルールに比べて六角形ボードの枚数が多く開けた地形での戦いになるため、速攻戦術は相対的に仕掛けづらくなっています。
またフィールドが広い分、両翼から攻められている状態では前述の「周囲1マスのカードをすべて破壊する」効果は影響を与えづらく、地雷カードも単純に侵攻ルートが増えている分、ひっかり辛くなっています。
じゃあ地雷カードの存在感が薄いのかと言うとそんなことはありません。
広いマップを進み相手側に侵入しようとするユニット…その眼前に相手が裏向きでカードを伏せてきたら…
うん、まあ地雷でしょうね。
迂回して先に進んでいきましょう。
…そう考えた時点で相手の罠にかかっているかもしれません。
次のターン、相手は裏向きのカードを表にします。
それは、まさかの戦闘ユニット…!
断片凶雨:フラグメントディグレインはいわゆる「召喚酔いのあるゲーム」なので、場に出したばかりのカードはそのターン移動や攻撃ができません。
しかし裏向きで戦闘ユニットを伏せておけば、次のターン表にした時には召喚酔いは解けているので一気に1マス移動+2マス奥への攻撃で3マス先の自陣まで切り込んできます。
慌てて先程迂回させた戦闘ユニットを呼び戻して、この槍兵を討ち取ろうにも、迂回した分すぐには追いつけません。
…と、このように使いづらい地雷カードを使わずとも存在すること自体が駆け引きの材料になりますし、
それを見越して敢えて地雷をいれるのもアリです。
(地雷カードの火力は非常に高いため高コストユニットでも踏めば耐えられないことが多いのです)
地雷を使うか使わないのか?
使わなくともあるフリをして揺さぶるか、あるいはそれを読んで戦うのか…
アサルトルールとは一転して奥深い戦いがそこにはあります。
じっくりと考えを巡らし長期戦に挑みましょう。
どちらのルールも遊んでいて面白くなかなか癖になるプレイ感がありました。
Amazonにて日本語版がリリースされましたら是非遊んでみて欲しいと思います。