バーチャルVtuver豆猫さんの与太話

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トライナリーと「コスティキャンのゲーム」

拡張少女系トライナリーのはストーリーの部分こそがゲームだったという話。

 

前回(第一回)の記事はこちら↓

 

omamesensei2.hatenadiary.jp

 


さて、前回の終わりで書いたことを改めて

トライナリーのストーリーはコスティキャン幸福な市民のためのTRPG、パラノイアのゲームデザイナー)が言うところのゲームの定義
「充分な情報の下に行われた意思決定をもって、プレイヤーが与えられた資源を管理しつつ自ら参加し、立ちはだかる障害物を乗り越えて目標達成を目指すもの」
に当てはまるものだと示唆した。


長いので、以降この定義に当てはまるゲームを指してコスティキャンのゲーム」と表現させてもらう。

 

前回トライナリーの戦闘システムのゲーム性についてふれたけど、
そんなのはトライナリーのアプリにオマケでスーパーの食玩売り場で売っている「おもちゃ付き菓子」の菓子みたいなものだ。

 

余談なんだけど、「おもちゃ付き菓子」ってあれはなんなんだろうね?
どう見ても「菓子つきおもちゃ」なんだけど表記上は「おまけつき菓子」なんだよな…。

 

気になったので軽く調べたところ「食品」として売ることで販売経路や置ける場所を広げるのが目的らしい。
通常、スーパーでは「玩具」は売らないが「お菓子」は売るので「おまけ付き菓子」ならスーパーでも売ることができる…という理屈らしい。

 

さて、そんな事情でもはや主従逆転した「お菓子つきおもちゃ」のように、トライナリーでは戦闘やガチャはお菓子でシナリオこそがおもちゃなのだ。

 

…はいはい、そんなのは聞き飽きたよ。
そう、あなたは思うかもしれない。
既にいくつかの有名なソシャゲは少なくない数のファンが「ストーリーがウリ」だという。


実際「ストーリーがおもしろい」というソシャゲは少なくない。

だが、トライナリーにおけるシナリオがメインというのはそういう意味ではない


トライナリーは「ストーリー部分こそがゲーム」なのだ。

 

もちろん、それも真新しい特徴ではない。
いわゆる「ギャルゲー」などの「シミュレーションゲーム」という奴は、ストーリーがゲームだということができる。


実際、トライナリーにギャルゲー的な要素を見出すことはできる。

でも本質はそうじゃないのだ。
トライナリーのストーリーはコスティキャンのゲーム」なのだ。

 

コスティキャンはエッセイ「I Have No Words & I Must Design」の中で、

感情移入(Position Identificationについて語っている。

 

彼はプレイヤーがゲームに感情移入することをゲームの重要な要素として扱っているのだ。


このエッセイの中でプレイヤーがゲームに使用するトークが少ないほど感情移入が発生しやすい」ということを挙げている。


この場合のトークというのは遊戯王カードとかで魔法カードが生み出す奴(《スケープ・ゴート》の羊トークンとか)のことではなく、ゲームにおける「駒」のことだ。


将棋なら王将だとか歩だとか、チェスならキングとかポーンとかだ。

 

そして、彼はTRPGについてトークが1つなので自然と感情移入が起こるゲーム」だと書いている。
つまり「プレイヤーの分身であるキャラクター1人がTRPGのプレイヤーにとってのトークンなのだ。


逆にいうとゲームマスターNPCや魔物といったたくさんのトークンを扱うので感情移入は薄い。

ゴブリンがプレイヤーに蹂躙されることを嘆くGMはいても、1匹のゴブリンの死に涙を浮かべるゲームマスターはまずいないだろう。

 

TRPGというものが何かわからない人は過去記事参照↓

 

omamesensei2.hatenadiary.jp

 

 

さて、拡張少女系トライナリーというゲームにおけるトークン」多く、そして少ない。


戦闘部分においてプレイヤーが扱うトークンは多く、トークンへの感情移入は少ない。
こちらのトークンはガチャから出るキャラだ。
キャラのカードを可愛いと思うことがあってもそのキャラに感情移入したりはしないだろう

 

 

一方で「ストーリーがゲームだ」という視点に置いてトークは驚くほど少ない。

 

トライナリーのシナリオに置いてあなたが操るトークン」なんてものは存在しないのだ!


トークンの存在しないゲームとしてコスティキャンはこのように書いている。
The extreme case is sports; in sports, your "position" is you.
(極端な事例がスポーツだ。スポーツにおいて、キミの『感情移入先』はキミだ)

そして実のところトライナリーも同じなのだ。


トークンとしての主人公の「不在」

 

例えば有名なスマホゲームで言えばFGOなら「ぐだ」と愛称で呼ばれる主人公キャラ、グラブルなら「グラン」や「ジータ」という主人公キャラがいる。

 

さて、ではトライナリーの主人公はどんな奴かと言うと…
僕には説明できない…いや、僕にしか説明できないとも言える。

 

僕のプレイした拡張少女系トライナリーの主人公は…僕だ


主人公はプレイヤー自身なんだ。

 

トライナリーのシナリオに置いて「劇中の人物」として主人公が現れることは決してない。
なぜならトライナリーの主人公は現実に今この文字を読んでいるあなた自身がなるものだったからだ。

 

「次元間通信アプリ」としてのトライナリー

 

主人公は自分自身と言うのはどういう意味か?
このゲームの主人公はトライナリーの少女たちがいる世界にはいない。
今、ここにいる我々の世界の我々だ。

プレイヤーが「ゲームの主人公」を操作することはない。
プレイヤーが操作するのは「目の前のアプリ」であり
「アプリのボタンを押すあなた」こそが拡張少女系トライナリーの主人公なのである。

 

拡張少女系トライナリーの基本設定はこうだ。

特殊な「災害」が多発する2016年の日本が舞台。
突然「繭のようなもの」が発生し、繭の中が異空間になる怪現象が起こるようになる。
これに対処するために繭の中へと入り元凶を解決し災害を収束させて繭を消すための特殊部隊…それが「トライナリー」だ。
プレイヤーは「こちらの世界」から特殊な方法でトライナリーの隊員である美少女たちに語り掛け、彼女たちにアドバイスをしたり相談に乗ることでメンタルの支えとして頑張るゲームだ。


どうやって語り掛けるの?
プレイヤーはWaveというチャットアプリLINEのようなものを介して彼女たちとコミュニケーションをとるのだ。

 

プレイヤーはまず、Botアカウントとして振る舞いアドバイスを与えつつ信頼関係を築いていくことになる。

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主人公キャラは作中に存在せず…物語の主人公であるあなた自身がスマホのアプリである「異世界通信システム」を通して彼女たちとコミュニケーションをとる。

 

拡張少女系トライナリー「感情移入すべき主人公」「感情移入できない主人公」いない。

 

例えば「ストーリーがおもしろい」系の布教をされるゲームであっても「主人公に感情移入できないからおもしろくない」と言われたりする。
「自分の心情にあった選択肢が表示されない」という不満点から主人公に感情移入できないというのはよくある話だ。

 

だがトライナリーの場合は少し違う。
「自分の心情にあった選択肢がない」ケースが起きないということか?

いや、そうではない。
選択肢に自分の言いたいことが含まれないことは何度もあった。


だが「感情移入」はそのときこそ凄く大きいものになった…あるいは、まるで感情移入がおこらなかった。

 

主人公画面の前の自分なのだ、
もしあなた「選択肢に自分の選びたいものがない」と感じているとしたら、
その時に主人公「自分の心情にあった選択肢がないことをもどかしく思っている」のだから、あなたは当然そこに感情移入できる。

 

というか、普通はそれを感情移入とは呼ばないだろう。
「あなたがあなたの思ったようにあなたの感情を抱く」ことは極限の感情移入であると同時に…もはや感情移入ではない。
あなたにとっての生でありリアルなのだ。

 

そして、その構図は意図的に何度もストーリーの中に含まれる。


優しい言葉をかけてあげたい相手に対して表示される選択肢がひどく冷たいものだったりする。

 

「そんなことを言いたくないのに…!」と思っても選択肢が1つしかない時もある。

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この選択システムが作中の設定に組み込まれてるのがトライナリーの独特なところであり、限られた選択肢なのに常に感情移入できるという驚異のギミックになっている。

 

たとえばもしあなたが自由に手紙を送れる」という設定のゲームで
手紙の内容が「選択肢から選ぶ」ものだったとき、もしかすると不満を覚えるかもしれない。

あなたが伝えたい思いが選択肢にないなら尚更である。


それを不満に思う人もいればゲームだから仕方ないと流す人もいる。
どちらにせよ、あなたの心はその時に少し主人公から浮いて離れてしまう。
ゲームの主人公あなたの間に隔たりが生まれ、リアルのあなたは作品世界を「作り物」だと意識してしまう。

 

トライナリーは違う。
トライナリーではそもそも「自由に書ける手紙なんて送れない」設定なのだ。


プレイヤーであり主人公であるあなたにできる意思疎通の唯一の手段が画面に映る選択肢なのだ。

 

最初は匂わせるだけだった選択肢あなたの乖離に関して、やがて重大な設定が明かされる。
その時に改めてプレイヤーであるあなた自身が何かを感じ…そうして感じた気持ちは何よりも強力な「感情移入」経験であることは疑いようがない。

 

「トライナリーは現実」という感想をつぶやくプレイヤーはゲームと現実の区別がついていないわけではない。

それらは区別の必要がないことなんだ。

 

あなたがサッカーをしていてボールをシュートしてゴールを決めるのと、
サッカーゲームをしていて操作キャラにボールをシュートさせてゴールを決めることは別だ。

現実とゲームの区別はつくだろう?
前者は現実で、後者はゲームだ。

 

であるならトライナリーゲームか?
それとも現実か?


トライナリーは現実だ。
もちろんトライナリーはたかだかスマホのアプリゲームに過ぎないという人もいる。
それもまた正しい。だってそれが現実だもの。


トライナリーをゲーム以上の何かだとは思わなかったというリアルなあなたの感情だ。
そうなってしまえばもう後は線引きの問題でしかないのだ。

 

「トライナリーはゲームに過ぎないよ」という時には恐らく、「そう言っている自分」をゲームの外部に置いている。


でも僕にしてみれば「トライナリーの主人公」あなた自身でありゲームの内外で線を引く意味がない。
トライナリ―に言及している時、あるいはトライナリ―と関係ないことをしている時でさえ、あなたは相変わらず「トライナリーの主人公」なのだ。


さて、ではここから少しトライナリーのネタバレについて…
Twitterでアンケートを取ったところ
わずかではあるけれど「サービス終了したゲームでもネタバレはしないほうがいい」という意見があった。

なのでここから先、拡張少女系トライナリーの選択肢システムの背景についてネタバレがあります。
ネタバレが気になる方、ここまで読んでいただきありがとうございました。
ここから先はバレがあるのブラウザバックを推奨します

既に「プレイできないサービス終了ゲーム」なのでネタバレを気にしない方先へお進みください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

トライナリーの選択肢システム

 

拡張少女系トライナリーの少女たちとのコミュニケーションに使われた選択肢IDALD(潜在的欲求補助型対話装置)というものによって生成されているということを知るルートがある。
(ルートがあると言っていいんだろうか?)

まあ、つまりこの情報をとある存在から聞き出すことができるのだ。

 

さて、この潜在的欲求補助型対話装置はどういうものかというと、

あなたがトライナリーの少女とWaveでチャットをする時にいくつかの選択肢ボタンから投稿内容を選べる。


このいくつかの選択肢を生成するのが潜在的欲求補助型対話装置だ。

この装置対話相手の少女たちの潜在的な無意識を読み取って選択肢として出力するのだ。

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疑似的に心を読むかのような働きを行い、次元間通信の円滑化を図っているのだ。
つまり「あなたが言いそう』だと彼女が思うこと」を基に選択肢は作られていたのだ。

この「真実」に触れたとき、今まで使っていた選択肢システムへの見方が大きく変わる。

 

あなた話し相手に向けた選択肢が相手にかけたくないようなトゲトゲした言葉で埋め尽くされていることがある。

 

「なんだかやけに選択肢が攻撃的だな…」と感じ、もどかしさを覚える。


だがそれは相手の自責の念だったり、あなたはきっと自分にいら立っているだろう…」という彼女の見当違いの推測を反映した結果生まれたものだったとわかる。

 

これにはめちゃくちゃ心を揺さぶられた。

この事実を知っていると知らないとではトライナリーの見方が大きく変わるんだけど
ネタバレなので触れづらかった。


でもサービス終了からしばらく経った今なら…
こうして語れる。
これからも何度かトライナリーについて記事を書きたいなあ、と思ってるので
サービス終了し、もはや触れられないけど多くのプレイヤーを今なお魅了し続けるアプリの魅力について知りたかったらまた来てほしい。

 

次回はコスティキャンの「リニアなストーリー」とトライナリーについて語ろう↓

 

omamesensei2.hatenadiary.jp

 

ゲームとしてのトライナリーの話

拡張少女系トライナリ―という「ゲーム」について。

さて、そろそろ書いてもいいんじゃないかな…と思う頃合いなので
拡張少女系トライナリーについて書いてみる。
拡張少女系トライナリー」というのはかつて存在したソシャゲで、現在はサービス終了している。

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こう書いただけで、一部のプレイヤーからは「にわか乙」と言われるかもしれない。

それでも僕は自分のココロを整理してトライナリーに対して3つのスタンスを持てるようになった。
ひとつ目は「トライナリーはサービス終了したソシャゲである」というスタンス。
ふたつ目は「トライナリーは『面白いから面白い物語』であった」というスタンス。
そして最後は多くのbotさんたちと同じであろう「トライナリーは現実である」というスタンス。

それぞれのスタンスを同時に持つのは一見破綻している(ひとつ目とふたつ目は破綻しないか)


それでも、ヒトのココロはたったひとつではない
葛藤をかかえる時、あなたの心に天使と悪魔がいるように…
「あなたのココロ」は決して筋が一本通っただけの単一のものではない。
複数のあなたがいて(多重人格と言う意味ではない)それらがあなたを構成するパズルのピースになっている。

 

だから僕はトライナリーについて「ゲーム」として語れる。
「物語」として語れる。「現実」として語れる。
それらは矛盾することなくひとりのボクを形作る。

 

さて、喪が明けた…というわけではないけれど、そろそろトライナリーについて語るべき時なんじゃないだろうか。
先日トライナリーの公式グッズ通販が届いたことで凄く「トライナリーは現実」という気持ちが強くなっている。

聖地巡礼もGW前に行ってきました。


そういう時だからこそ「ソシャゲ」としてのトライナリーについて改めて書き留めておこうと思ったんだ。

 

さて「ソシャゲ」としての拡張少女系トライナリーについて語る前に、
「ソシャゲ」について1つ前置きをさせてほしい。


ソシャゲとは「ソーシャルゲーム」つまり「社会・ゲーム」というわけだけど、
この言葉の定義と使われ方について…。

 

ソーシャルゲームは本来、「専用のソフト」を必要としないWebブラウザゲームだ。
現在でも「アイドルマスターシンデレラガールズ」(いわゆるモバマス)や「グランブルーファンタジー」などが代表的な「原義的ソーシャルゲーム」の生き残りとして運営されている。

 

一般的に「ソシャゲ」とひとくくりにされることが多い「デレステ」(リズムゲームのほうのシンデレラガールズ)や、
Fate/GO」なんかは、原義的には「ソーシャルゲーム」ではないらしい。
(専用のアプリを必要とするため)

 

なのでトライナリーは「ソーシャルゲーム」ではないということは前置きしつつ、
ここでは慣例に則って「ソシャゲ」と括ってしまうことにする。

 

ソシャゲとしてのトライナリーは基本的に「シナリオを読み進める→ガチャで引いたカードで戦闘」というスタイルの…まあ「一般的」なスタイルに近い感じだ。

 

ゲームとしての戦闘システム

 

www.youtube.com

 

ここは正直トライナリーの本質ではないんだけど個人的にはめちゃくちゃ興味深いポイントだったので紹介しておこうと思う。
FGOやマギレコ系の「配布された5枚のコマンド」から選んで攻撃。
「役」をつくることで攻撃に追加効果がつく。
そんなタイプのゲームだ。珍しくもないだろう?


でもちょっぴり珍しいのは「5枚のコマンド」から「3つ」を選択するのがFGOやマギレコなのだけど、トライナリーは5枚から4枚選択」というところ。

実に興味深いシステムだった。

 

これは一見複雑さが上がってるように見えて複雑さが下がっているというところが興味深いポイントだ。


5つから4つを選ぶのは3つを選ぶよりも考えることが増えている…ように見えるが実は減っている。


5つから4つを選ぶというのはつまり「選ばない1つを選ぶ」ということなので、
実質的な頭脳労働は簡単になっている…というのが興味深いところだった。

 

ちなみに「役」と「コマンド」は以下の通り。
コマンドは「威力の赤」「回復の緑」「MP回収の青」の3種。

 

4枚を組み合わせる時の「役」は…
「同色3枚を連続して並べる」「2色を2枚ずつ連続させるか」

たとえば…

赤赤赤→威力大アップ
赤赤青青→威力中アップ+MPチャージ


そして独特なシステムが「3スタンス」という「3色を並べる役」があるということ。
赤赤→ランダム?に効果発生

 

手札配分に「役ができない」パターンがありえないのだ。


狙いたい役かは別として常にプレイヤーは役を作れる。
もし配布された5枚が青3枚赤2枚だとする。
プレイヤーは青青青でゲージを大きく回収するか青青赤赤でゲージをためつつ威力を上げるかを選択できる。

 

役が作れないパターンがないのはこのタイプの「5枚から選ぶ」ゲームでは珍しいんじゃないだろうか?

 

あとゲームバランスの調整が良い感じにうまくて
回復主体で戦ってるときは「うわ…HPギリギリで勝った…これ回復ないと無理な奴じゃん…」と感じる敵がいるとする。


実は威力アップ主体で戦うとキルターンが1ターン早まって1回分被弾が抑えられるので回復なしでも同じくギリギリで勝てたり
ぶっちゃけどの戦闘スタイルでもそれなりに「戦ってる」という実感の得られるバランスなのが興味深かった。

 

まあ、でもこの辺はぶっちゃけ「ちょっとおもしろい」くらいで、
別にそんなに重要な要素ではない。

トライナリーの「ゲーム」としての本質はそこではないからだ。

 

「ゲーム」とは何か?

 

ゲームとは何か?
そこに明確な定義はなく、古今東西いろいろな人物がそれぞれの定義を示している。
ここでは幸福な市民のためのTRPG「パラノイア」の3人の製作チームのひとり、
Greg Costikyan氏の定義する「ゲーム」を引き合いに出そう。

曰く、ゲームとは…
「充分な情報の下に行われた意思決定をもって、プレイヤーが与えられた資源を管理しつつ自ら参加し、立ちはだかる障害物を乗り越えて目標達成を目指すもの」
であるという。

トライナリーはこの言い回しに置いてゲームだと言えるだろう。
というのもトライナリーの本質は「戦闘の間にあるストーリー」にこそあるからだ。

 

あー、はいはい。

「このソシャゲはストーリーが面白い」ってやつでしょ。

ストーリーが面白いソシャゲはたくさんあるよ。

そう思うわれるかもしれない。

 

でもトライナリーの場合、そういう「ストーリーが面白い」とはちょっと違う。

 

 

この「戦闘の間にあるストーリー」こそがトライナリーを真にゲーム足らしめている。

つまりトライナリーのストーリーはコスティキャンのゲーム定義における

「充分な情報の下に行われた意思決定をもって、プレイヤーが与えられた資源を管理しつつ自ら参加し、立ちはだかる障害物を乗り越えて目標達成を目指すもの」だったのだ。

 

ストーリーが?
ストーリーが、だ。

 

さて、あまり長くなりすぎると読んでもらえなくなるので今回はここまでで一旦〆て、
次回の記事でトライナリーのストーリーがゲームという話をしよう。

 

 

omamesensei2.hatenadiary.jp

 

【 #MTG 】哲子ディフェンダーとその亜種【哲子ブロント】

哲子ディフェンダーとその亜種

哲子ディフェンダーと言う響きがいいので、私は似たデッキを全部「哲子ディフェンダー系」と呼んでいる。
でも実際のところ哲子ディフェンダーには「結局哲子が抜けるタイプ」や「ディフェンダーが入らないタイプ」などもある。
まあ名前があると扱いやすいの「哲子ディフェンダー系」や「哲子ディフェンダーの亜種」として扱っちゃうんだけど。

今回はその辺を整理しつつ灯争大戦の新戦力に触れたい。

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青白。哲子○。防衛○。
元祖哲子ディフェンダー。哲子も、ディフェンダーも、あるんだよ!
2マナ0/5防衛とかの壁クリーチャーを厳戒態勢と哲子で「ブロックされない5/5」であるかのように扱うタイプ。

【哲子フレンズ】

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青白。哲子○。防衛○。
正直哲子ディフェンダーだと思っているけど、その後にできた亜種なので今名前を付けた。
元祖にプレインズウォーカ―であるテフェリーとドビンとカーンをぶち込む。
ゲートウォッチが結成したころのスタンダードでプレインズウォーカ―山盛りのデッキがフレンズって呼ばれてた時期があるのでそこから取った。
爆発力を切って総合力を上げた感じ。
元祖の問題点である「壁だけ並んで防衛解除がない」という盤面で引くプレインズウォーカーが鬼強い。

【哲子グッドスタッフ】

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青白。哲子△。防衛△。
ついに防衛も哲子も怪しくなる型。これ多分ブログに書いてないかも。
まず哲子ディフェンダーの致命的な欠点として厳戒態勢が引けないと防衛が解除できない。
じゃあ厳戒態勢は4枚入れたくなるけど、2枚引くと腐る。
哲子も伝説なので2枚あると腐る。
2枚引くと腐るカードへの依存度が高すぎるのだ。
そこでいっそのこと防衛を入れるのやめてもいいくらいの気持ちでデッキを組む。
1/3とか1/4をデッキに入れる。防衛がなくても殴れる。
哲子がいればブロックされないので膠着状態でやや有利。
厳戒態勢は引ければ一気に全体を強化するカードみたいに働く。
十字軍の変型版みたいな全体強化だと思うんだ。
このタイプは安定感が高い。
防衛に縛らず選べるので拘留代理人とか陽光浄化者とかの強力なCip持ちが使える。
*Cip 戦場に出た時の能力を指す言葉。Call Into Playの頭文字。

一見ただ強デッキだが、天界の神盾による突然の7点とかの爆発力がない。


【哲子アルカデス】

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青白緑。哲子△。防衛◎。
緑を足してディフェンダー色を強める型。
この色の目玉はアルカデス。厳戒態勢枠のカードを増やせるのが強い。
防衛が場に出るたびにドローできるのがウリ。
一方で厳戒態勢と違い防衛にしか効果を及ぼさないので哲子は1/3のまま。
でも防衛のほとんどはパワー0なので哲子を入れることで押し込みが強いから1,2枚入れる。
ぶっちゃけこの色の一番の強みはアルカデスではなく塔の防衛。
自軍すべてに+0/+5する2マナのインスタント。
厳戒態勢orアルカデスがいる時に撃つととんでもない暴力スペル。
完全に勝ったと思って先グッドゲームしてくる相手にグッドゲームを返してぶっぱすると快楽伝達物質がドバドバ出る。

問題点としてネタデッキの癖に土地だけでレア24枚食べるしアルカデスは神話レアだし、組むのには覚悟がいる。
哲子フレンズも結構な札束だけどあっちはガチデッキに神話レアが流用できるけどアルカデスの生き場所はこことブロールと統率者にしかない。

【哲子ブロントさん】

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青白緑。哲子△。防衛×。
アルカデスの劣化である好戦的なブロントドンとか言っている奴、絶対忍者だろ。
ブロントさんは防衛がなくても適用できるので哲子グッドスタッフのクリーチャーと組み合わせて破壊力ばつ牛んン。
哲子グッドスタッフと思想は同じ、タフネスが高いだけの壁とは違う。
特定のデッキにぶっ刺さるメタカードをメインから入れたらタフネスが自然に上がってしまうのがナイト。
ブロントさんの「さん」って言いたいだけで由来がないとかいうアンチの発言の浅はかさは愚かしい。
実際に組むとデッキには恐竜とかキンジャーリとかトカートリとかっていう固有名詞が頻出するのがわかる。
背景ストーリーで恐竜は太陽帝国の存在でキンジャーリもトカートリも現地語で太陽神を表している。
太陽=SUNなのでデッキ名にさんをつけるネーミングセンスは見事な仕事だと関心はするがどこもおかしいところはない。

ブロントさん】

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白緑。哲子×。防衛×。
そもそも哲子は忍者みたいで汚い。
デッキから抜くと青を入れなくていいのでまれによくある土地事故が減りいいことづくめ。
ブロントさんのコストは重たいが一旦場に出れば「きた!盾きた!」「メイン盾きた!」「これで勝つる!」と大歓迎状態。
総合的な戦力強化で2/4とかが入って効果をうまく行かせず哲子はあわれにも死んでいた。

エスパー哲子ディフェンダー

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青白黒。哲子○。防衛○。
あんこくのディミーアと手を組んだ哲子。
光と闇が合わさり最強に見える。
ディミーアのギルマスであるラザーヴを中心に諜報能力やドローソースの採用で厳戒態勢や哲子を引く確率を上昇させるタイプ。
黒が入ったので除去呪文とかが入り本能的に長寿タイプ。

【哲子エスパー】

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青白黒。哲子◎。防衛×。
皮装備のジョブのデッキ。
明らかにここに並べるべきでなく哲子ディフェンダーの亜種でもなんでもないが名前が紛らわしいので書いておく。
白黒によくある1マナ2/1とか2マナ3/1とかを哲子でブロック不可にする。
皮装備のジョブのデッキ。当然ナイトが使うような防衛は入らない。


それじゃあ亜種の説明が終わったので灯争大戦の「哲子ディフェンダーで使えそうなカード」がどのタイプになら入るのかを考えていこう。

《盾魔導士、テヨ》

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【哲子フレンズ】
【哲子アルカデス】

壁を2体も呼べるメイン盾。
2マナ0/5にたいして3マナ0/3×2はそれほどコスパがいいわけではないが、2マナ0/4あたりとはトントン。

意外と常在型能力が大事で、ディフェンダーの一斉攻撃に残骸の漂着使われてグッドゲームっていう流れを防げる人気者。
アルカデスではこれ1枚で2回カードが引けたり
3マナ、テヨ。→4マナアルカデス、テヨでトークン出してドロー。と綺麗につながる。
テヨ自身は伝説だがトークンは伝説でないため2枚目が腐らないので3枚でいい。
一方で防衛解除ギミックのない亜種では採用しづらい。
忍者には扱えないグラットンとでもいったところか。

《ボーラスの占い師》

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【哲子グッドスタッフ】
エスパー哲子ディフェンダー

インスタントやソーサリーが見つかれば手札の消費なく場に出せるのが強み。
問題は基本的にエンチャントやプレンズウォーカーが増える亜種では「当たり」を引けないことだろう。
厳戒態勢へのアクセスのためにドロースペルが多いデッキや除去や打消しの枠があるデッキに活路があるか?


《ルーンの壁》

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【哲子フレンズ】
【哲子アルカデス】
エスパー哲子ディフェンダー

コスパぶっ壊れ。
1マナのタフネス4にCip占術での安定化までついてるのはちょとsYレならんしょこれは…?
防衛を使うメイン盾のデッキでは4枚でいい。

《寛大なる者、アジャニ》

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【哲子アルカデス】

難点だった壁が攻撃した返しで自分が殴られる部分を克服できる。
能力を起動しなくても勝手に警戒してしまうのがナイト。
壁はパワー0なので一回マイナス能力を使っても哲子の恩恵は得られるし
カウンター1個で身動きが取れなくなっているテヨから追加の壁を張れる。

《ファートリの猛竜》

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【哲子アルカデス】
【哲子ブロントさん】
ブロントさん】

実質3/3でプレインズウォーカ―のカウンターを増やして…と非常に強力。
ブロントどんと同じ色だし確定的にナイト。

《太陽の義士、ファートリ》

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【哲子グッドスタッフ】
【哲子ブロントさん】
ブロントさん】

「もうついたのか!」「はやい!」
ブロントさんの能力を持ったプレインズウォーカ―。
驚くべきはそのコスト。
3マナと言う普通ではまだ付かない速さできょうきょ参戦する。
ネタデッキなどという忍者のディスを気にすることなく緑白系の哲子レス哲子グッドスタッフが組める優れもの。
問題あるとすれば彼女を入れるとブロントどんを入れる意味がほぼなくなることくらいか。
彼女の出身は太陽帝国なので実質ブロントSUN。不正はなかった。

混成マナコストのため緑が入らないデッキでも白の3マナカードとして使えるのが人気の秘訣。
グッドスタッフ系の追加の厳戒態勢として期待できる。
エンチャントでないため緑に除去されづらくなった。
その分火力に弱いかと言うと忠誠度が異常に高く、回復能力も火力を使うようなデッキに対して強い。
屈辱には強いがヴラスカの侮辱に弱くなった。

《崇高な工匠、サヒーリ》

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【哲子フレンズ】

プレインズウォカーを唱えるたびにそれを守る壁となる1/1トークンを生み出すからナイト。
憧れちゃうなー。
実質的には青のダブルシンボル3マナとして使うことになる。
これを採用する場合、色マナの安定化のために宝物トークンを生むカードの採用が積極的にできる。

《黒き剣のギデオン》

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【哲子フレンズ】
【哲子アルカデス】
【哲子アルカデス】
【哲子ブロントさん】
ブロントさん】

黒き剣と騎士の組み合わせ、もはやブロントさんそものも。
そもそもパワーが高くて防衛はないので「哲子と組み合わせる必要ある?」って感じだが
プラス能力が強力なのでそれ目的で採用してついでに4/4で殴れて
破壊不能の壁で守りながら育てれば大抵のカードは除去できる効果につなげる。
デッキに1枚お守りにできるし、プレインズウォーカ―シナジーがあるなら採用理由はさらに高まる。
問題があるとすればその白さ。
白のダブルシンボルは少し構築で意識しないと出せない。




…ハッ!
なんだか途中から意識を何かに乗っ取られていた気がする。
なんだか哲子の記事を書いた気がしないなあ…
まあ、いいや。
哲子ディフェンダーとその亜種。
それぞれのデッキの本質を理解して、新カードをうまく採用して楽しんでほしい!
それでは次回まであなたのデッキに謙虚なナイトの加護がありますように!


【TYPE/Zero番外編】TYPE/Zeroブロール

TYPE/Zeroぶろーる

灯争大戦発売記念特別編

*シリーズであるためTYPE/Zeroの名前をタイトルに冠していますが今回のフォーマットはタイプ0ではありません*
*今回はブロール/Brawlというフォーマットの紹介です*

 

プレインズウォーカ―。それは次元を渡るもの…。
マジック・ザ・ギャザリングの舞台は様々な異世界が広がる多元宇宙。
その多元宇宙を渡り別の次元(異世界)へ移動することをプレインズウォークと呼び…
それが行える者たちを「プレインズウォーカー」と呼ぶ。

つまり、パックを開いて物語の世界に飛び込み…別のパックを開けて別の世界知ることができる存在。
君たちプレイヤーがプレインズウォーカ―なのだ。

そしてマジックのストーリーには君たち同様プレインズウォーカ―のキャラクターたちがいる。
彼らと共に戦えるカード。

それがプレインズウォーカー・カードなのだ。

そして2019年、マッジクを揺るがすパックが発売する。
その名は「灯争大戦」
すべてのパックに必ずプレインズウォーカ―・カードが入るセットである…!

 

「ミドリちゃん! ついに…ついに発売日だー!」

 

「落ち着けよ、レイ。灯争大戦はプレリリースでもう楽しんだじゃん」

 

あれは今から一週間前…いや、君たちにとっては今週末(4/27.28)の出来事か…
世界各地の公認ショップで一足早く灯争大戦を遊べるイベントが行われたのだ!

 

「発売日を迎えたってことはね…、プレリリースで手に入れた先行入手カードを大会とかで使ってもいいってことなんだよ!」

 

「なるほどな。それでショップに向かうのがいつもより少し足早なんだな」

 

「そう! というわけで もう着いたよ!」
「私たちのホームショップ…!」

 

「大変だよ、レイちゃん!」

 

「どうしたの? 親友のアオイちゃん!」

 

「斜九寺くんがハイランダーデッキいじってる!!」

 

「それは…事件だな…」

 

説明しよう!
はじめてこのシリーズを読む読者は知らないだろうが斜九寺(なめくじ)とは
シリーズ第一話でレイちゃんと戦った敵キャラであり、今は一緒に遊ぶ友人のひとりである!

そんな彼が一番愛するデッキは「60枚すべて同じ名前のカード」という究極の単色デッキの使い手だったのだ!

 

ハイランダー構築と言えば『デッキに同名カードは1枚まで』というフォーマットじゃねーか…」

 

「彼のお気に入りとは対極のデッキ…いったい斜九寺くんに何が…!」

「とにかく行ってみよう!」

 

 


「待ってたぜ…」

「さっそくだが、俺はデュエルがしたくてたまらねーんだ!」
「いつかの負けのリベンジだ! 勝負しようぜ」

 

「勝ちが多すぎてどの負けかわからないけど、デュエルを挑まれて断る私じゃないよ」

 

「地味に傷つくから、やめてくれ…」

 

「斜九寺くん、強さとしてはティボルトみたいなもんだからね」


「そう、ティボルト。ティボルトだよ」

ティボルトとはマジックの物語に登場するプレインズウォーカ―の名前である!

弱い独特な効果や背景設定から変な人気があるキャラクターでもある

 

「俺はティボルトに妙な共感を覚えるんだよな…」
「だから組んだのさ、ティボルトと共に戦うために このBrawlのデッキをなあ!」
「こいつが俺の新たなる相棒、《無頼な扇動者、ティボルト》!!」

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「あれは今日発売の新パック、灯争大戦収録のカード!」

 

「4月27、28日に各地の公認店で遊べるプレリリースイベントを楽しんで手に入れていた、ということか…」

 

「一足早く最新のカードを手に入れられるだなんて…!」

 

「それだけじゃありませんわ…!」
「あの絵柄は黒葉.K先生書き下ろし特別イラスト…!」

「日本語版ブースターパックから2分の1の確率で出るという限定イラスト仕様ですの!」


「Brawlを遊ぶためには統率者に指定できるレアカードが必要となるが、最新弾である灯争大戦を買えばかならず統率者に指定できるカードが出るのさ!」

 

「しかしせっかく組んだBrawlの対戦相手がいねえ…」

 

「そんなフォーマットしらないよー」

 

「急に組めって言われても構築ルールもわからないし」

 

「…ってわけだ」
「使えないデッキに意味はねえ…このデッキは崩すしかないのさ」
「だけど1度も戦えないなんてティボルトがかわいそうだ…」


「レイ、お前ほどのデッキビルダーならすぐにでも構築できるだろう?」

「だからリベンジを口実に俺はBrawlでの対戦を申し込む!」


「デッキ作成の時間をやるよ、1時間後にここで…」

 

「いいえ、デッキ作成の時間はいらないわ」


「確かにあなたの言う通り、灯争大戦によってBrawlの構築のためのハードルは格段に下がっている!」
「でもそこに目を付けたのがあなただけだと思わないことね!」

 

「まさか、レイ!」

 

「既に構築は終わっている!」


「私も組んでいたのよ、Brawlのデッキをね!」
「それじゃあ、今すぐ。始めましょう!」

 

決闘!!

 

「ゲーム開始時! 俺は統率領域にティボルトを!固有色は赤!」

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「私は伝説のドラゴン、アルカデスを! 固有色は白と緑と青!」

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「お互いにカードを1枚デッキから取り出して公開しあっている…」
「一体あれは…?」

 

「あれこそがブロールの試合開始の合図アル!」

 

「知っているのか、ミンメイ!?」

 

「Brawlはマジックの公式フォーマットのひとつ。総合ルールに記載された最新のフォーマット…!」
「プレイヤーは60枚のスタンダードデッキを組むが、追加の縛りが2つあるアル」

 

「1つ、ハイランダーデッキであること。つまり同じ名前のカードは1枚しか使えない…」
「2つ、固有色を統一すること」

 

「固有色?」

 

「Brawlではデッキのカードから1枚、伝説のクリーチャーかプレインズウォーカ―をリーダーとして登録できるアル」
「このリーダーは『統率者』と呼ばれ、デッキに入れられるのは統率者と固有色が同じものだけになるアル」

 

「つまりリーダーと、同じ色のカードを1枚ずつで組むデッキってことか」

 


「ただMTGには白いクリーチャーだけど黒マナや緑マナを使う能力を持ったクリーチャーとかがいるネ」
「固有色はそれらのテキストに書いてある色マナも含めて決定される『広い意味での総合的な色』を表すアル」

 

 

「Brawlではリーダーに指定されたカードはデッキではなく策略などと同じ場所に置かれるアル」
「プレイヤーは手札にあるかのようにリーダーを使うことができるネ」

 

「じゃあ折角 相棒を選んだのに、リーダーが引けなくて事故ったりしないってことか…!」

 

「お気に入りのカードで遊ぶには絶好のフォーマットってことね!」

 

「先攻はダイスの出目の小さい方でいいか…?」

 

コロコロ…

 

「あれは…!ピンゾロ…!」

 

「サイコロの中で唯一赤い出目…赤単使いの斜九寺がティボルトと同調して強力な赤いものへの引力がはっせいしているっていうのか…」

 

(いや、別にたまたま出ただけなんだけど)
「その通り、俺の赤単の力を思い知ると言い!」


「行くぜ! 先攻だ!」
「ドロー! 山を場に出して赤マナから!」
「《ブリキ通りの身躱し》!!」

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「こいつは速攻能力がある、先攻1ターン目から攻撃させてもらうぜ!」
「ターンエンドだ…!」

「早い…! 赤単と言えばやはり速攻デッキか…!」


「くっ…、私のターン…!《曲がりくねる川》を場に出してエンドよ」

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「タップインデュアルランド…おそらくスタンダードで今一番弱い青白土地…」

 

「同名カードが1枚までってことは強い土地カードを複数積むこともできない…」

 

「普段は日の当たらないカードも入れる必要があるのか」

「その分、珍しいカードが見れるフォーマットなんだな」

 

「2ターン目をもらうぜ」
「ドロー! 俺は灯争大戦の新クリーチャー《戦慄衆の秘儀術師》を出すぜ」

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「さっきのターンに出したゴブリンで攻撃してエンド!」 

 

「ドロー…! 島を置いて…私が出すクリーチャーは《煌めく障壁》!」

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「ほう、身躱し相手でもブロックに回れるクリーチャーを出したか…」


「だがタフネス4では足りないぞ、俺のターンだ」
「ドロー、山を置いて…」

「まずは2マナで新カードの《燃え立つ予言者》、そして壁に対して《ショック》だ…!」

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「ショック? 壁を殺せない弱いダメージ呪文じゃ意味はないだろ?」

 

「まずは予言者の能力で占術。こいつは今引いても使えないな。下に送る」

(*占術 デッキの上のカードを確認しそのままにするか一番下に送るかを選ぶ)

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「戦闘フェイズ! 《身躱し》と《戦慄衆》で攻撃!」

 

「壁でブロック…はさせてくれないんだろうね?」

 

「ああ。攻撃時に《戦慄衆の秘儀術師》の能力を使う!」
「こいつは条件を満たせば攻撃時に墓地から呪文を使えるのさ!」
「さっきの《ショック》をもう一度使い、壁を撃破!」

 

「レイちゃんの壁クリーチャーがブロック前に焼かれちゃった…!」

 

「ターンエンドだ!」

 

「この壁は死亡する時に宝物トークンを残す…」

 

「劣勢だな…」

 

「やはり赤単は序盤の立ち上がりが強力ですね…」

 

「私のターン、ドロー!」
「焼かれて結構…煌めく障壁は焼かれるのが仕事だからね!」
「平地を場に出して、障壁が残した宝物トークンを使うよ!」

「白!緑!青!の3色で4マナ!」


「私の統率者、《策謀の龍、アルカデス》を召喚!」

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「ここからが…、反撃開始だよ!」


=TYPE/Zero=

CMを挟んでまだまだ続くよ!

CM↓

灯争大戦|製品情報|マジック:ザ・ギャザリング 日本公式ウェブサイト


=TYPE/Zero=


「《策謀の龍、アルカデス》を召喚!」

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「ここからが…、反撃開始だよ!」

 

「なるほど、統率者を呼び出したか」


「だが俺はすでにお前のデッキを見抜いているぜ!」

「そのデッキは防衛ビートダウン!」


「アルカデスの能力で本来はデメリット能力である防衛をメリットに変えるデッキ…!」


「0/4の壁クリーチャーでさえ4/4の巨大クリーチャーへと変わる…」


「だが核となるアルカデスさえ倒してしまえば、そのデッキは無力!」


「アルカデスのタフネス5は確かに火力呪文では倒すのが難しくなるサイズだ…」
「だが赤にはこんな呪文もある」
「《反逆の行動》!このターン、アルカデスは俺のものになる!」

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「一斉攻撃!!」

 

「レイちゃんが押されている!」

 

「くそう、切り札のアルカデスを奪われちまった!」

 

「さらにこいつも受けてみろ! 《ドスン》だ!」

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「あれは味方一人を犠牲に相手にダメージを与えるカード!」

 

「このターン、俺の味方になっているアルカデスを生贄にしてダメージ!」

 

「そんな…!」

 

「ターンエンド、おっと本来ならここでアルカデスを返してやらないといけないんだが…」


「もう死んじまってるから、返せないっていうコンボか…!」

 

「赤単はブロールではあまり強いデッキではないはず…」


「だが斜九寺ほどの赤単使いともなれば…このレベルの戦いができるのか…」

 

「それだけじゃねえ、奴は今の攻防の中で2回もソーサリー呪文を撃っている…」
「抜け目なく予言者で占術を行いドローの質を上げているんだ…!」

 

「まだ勝負はわからないよ…!」
「ドロー、《セレズニアのギルド門》をタップイン…」

「防御の魔法で命を救うプレインズウォーカー!《盾魔導士、テヨ》!

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「テヨの-2の能力で壁を張ってターンエンド…!」

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「プレインズウォーカ―・カードはプレイヤー同様にライフのような値を持っている」
「テヨはそれを消費して仲間を守る壁を張れるんだ!」

 

「めっさ固そうな壁ですねー」

 

(たしかにやっかいではあるが…)
「やはり防衛デッキ、アルカデスなしでは何もできまい」


「ドロー。今こそ逆におれが統率者を出す好機!」
「来い、ティボルト…!」

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「まずは《予言者》で占術。…いいカードだ。こいつはデッキの上へ残す」

 

「ついに占術で何か引き当てたか…!」

 

「ティボルトの効果を使い、しもべの小悪魔を呼び出す」

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「召喚酔いしている奴以外で一斉攻撃! プレイヤーのライフだけが狙いだ! テヨは無視していい!」

 

「1体だけは壁で止める…!」

 

「私のターン!」

「ドローして《神聖なる泉》をタップイン」
「テヨで壁トークンをもう1体…」
「更に《逃亡者、梅澤哲子》と《夜明けの司祭》」

 

「絆魂クリーチャーか!」
(*絆魂…ダメージを与えた時にライフを回復する能力)

 

「赤単は回復には弱い!」


「アルカデスがいなくとも壁が攻撃を防ぐ間にライフを増やせれば…」

 

「赤が回復に弱い?」
「そんなことは俺だって知っているさ」
「だからこそ! こいつを選んだのさ!」
「ティボルトの能力! こいつが場にいる限り対戦相手はライフを回復できない!」

 

「そんな…!」

 

「俺のターン、占術で固定したカードをドロー」


(こいつは《宇宙粒子波》、あいての壁を無視して攻撃を通せるようにする呪文)
(場にクリーチャーを並べてこいつを使えば一気にゲームを押し込むことができる…!)

 

「まずはティボルトでトークンを増やし、さらにクリーチャーを召喚して手ごまを揃える…」
(次のターン、土地さえ引ければ《宇宙粒子波》でブロックされない一斉攻撃を仕掛けてやる…!)

 

「私のターン、ドロー!」
「…よし、土地を場に出して6マナ!」


「布石は十分、再び防衛の指揮をとれ!《アルカデス》を召喚!」

 

「アルカデス…だとぉ!」

 

「どういうことだ!? 同名カードは1枚までのはず!」

 

「Brawlの統率者はデッキの魂であり、不滅のリーダー!」
「破壊されたときに墓地ではなく再びゲーム開始時にいた統率領域へ戻り!」
「2マナ多くコストを支払うことで再び呼び出すことができるアル!」

 

「これによりテヨが残した私の壁は戦闘力を持つ!」

 

「0/3の壁トークンが3/3…!」
「0/5の《霧の壁》が5/5に…!」

 

「だが、まだ俺のライフには1ポイントも傷がついてないんだぜ」


「まだまだ戦える!」


「ドロー…ちっ、山は引けないか…」
「さらなるクリーチャーを展開して…ターンエンド」

 

「ならこれで終わりだよ!」


「私のターン!アオイちゃんから交換して貰ったクリーチャー、《逃亡者、梅澤哲子》を召喚…」

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「そしてアルカデスにより防衛を解除された壁クリーチャーたちで一斉攻撃だ!」

 

「ティボルトのデビルども! 壁をブロックしろ!」
「こいつらは死亡した時にダメージを与える能力がある…!」
「ダメージを与えられていない焦りから早く動きすぎたようだな!」

 

「いいえ、ブロックはできないわ!」

 

「なんだと!?」

 

「《逃亡者、梅澤哲子》の能力!」
「パワーが1以下のクリーチャーはブロックされない!」

 

「アルカデスの能力により壁はタフネスで戦闘を行えるが、パワーの数字は実際は0のまま!」


「だから哲子の効果を受けるかどうかを見る時は0として扱うんだ!」

 

「だが、まだ俺にはライフが残って…」

 

「《塔の防衛》と《天界の神盾》を唱える!」

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「これらはクリーチャーのタフネスを大幅に上昇させることができる!」

「盾魔導士テヨが作ってくれた壁トークンにタフネス修正を加えてパワーアップ!」

 

レイ WIN!!

 

「くっ…負けちまったか…このショップでBrawlを遊ぶ奴は俺とお前以外にいない…」
「おとなしく崩してスタンダードのデッキにするか…」

 

「どうやらその必要はないみたいだよ」
「ほら、ギャラリーを見て!」


「すごーい!」

「これが『ブロール』っていうフォーマットなのかー」

 

「1枚のカードに過度に頼るデッキはそのカードが引けないとうまく動かなかったりするけど」

「もしそれが伝説のクリーチャ―やプレインズウォーカ―ならブロールでは安定してコンボができるんだ!」

 

「面白そうなフォーマットですわね、私も組んでみたいですね」

 

「黒単好きだったよね? それだったら、これがオススメだよ!」

 

「僕もブロールやりたーい!」

 

「てんちょー! 灯争大戦のパック1つくださーい!」

 

「私も買う―!」

 

「これから流行りそうだね、Brawl」
「そのティボルトデッキ、崩す?」

 

「いや、どうやら俺とティボルトにはまだチャンスがあるみたいだ」

 

こうしてBrawlはショップのカジュアルフォーマットとして定着し、

多く常連がBrawlを組んだ。

 

現在のスタンダードには数々の伝説クリーチャーを擁するセットがあり、

灯争大戦ではすべてのパックから必ずプレインズウォーカーが出る。

そして使用可能なカードも非常に多い時期なんだ!

 

気に入ったプレイヤーは是非Brawlを楽しんで欲しい!

【 #MTG 】永遠神ケフネトと副陽の接近【灯争大戦】

突然ですが問題です。
 
あなたは《副陽の接近》を既に一度唱えている。
《永遠神、ケフネト》の能力で《副陽の接近》をコピーした場合、
《副陽の接近》のコピーが無事に解決されれば、あなたはゲームに勝利することができるだろうか?

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ああ、もちろん《永遠神、ケフネト》はまだ未発売のカードだ。
リリースノートに詳細が書かれない限りジャッジにも「正解」は断定できない。
(極論、リリースノート公開に伴う既存のルールの変更の可能性は0ではないのだ)
 
だがマジックのテキストは非常に緻密に書かれている。
ケフネトのテキストを読み解くことで発売前のこのカードの挙動を探ってみよう!
 
というわけでTwitterに投げてみたところ様々な回答をいただいた。

 
今のところ「できる派」よりも「できない派」が多いようだ。
 
それじゃあ、なぜ「できない」のか理由を考えてみよう!
 
説1.コピーは唱えてないから
 
これは恐らくルールに少し興味を持っていプレイヤーの解答だろう。。
「呪文のコピーは唱えられない」ということを知っているあたり、ルールについて素人と言うわけではないようだ。
 
そう、「呪文のコピー」を「唱える」ことはルール上 不可能なはずだ。
それは正しい。
だが「《副陽の接近》のコピー」は唱えることができるのだ。
どういうことだろう?
 
 
呪文のコピーとカードのコピー
 
呪文のコピーとカードのコピー、それはどちらも同じことだろう…?
違うのだ…!!
この違いを知るためには「呪文」と「カード」の違いについて知る必要がある。
 
ざっくり言うと同じものでもスタックにあるなら呪文と呼ぶし、手札やデッキ・墓地ではカードと呼ぶ。
「唱える」という用語は非常に複雑なルール用語だが簡単に言えばどこか別の場所からスタックに移動させること」を「唱える」と呼んでいる。
「すでにスタックにある呪文」はスタックにあるので「別の場所」から「スタック」に「呪文」を置くことはできない。
(すでにスタックにあるのでスタックに動かすこと自体が不可能)
 
「呪文のコピー」はこの「すでにスタックにある呪文」をスタック領域にコピーする。
「呪文のコピーは唱えることができない」というのは
「呪文のコピーは(既にスタック領域にいるので)(別の場所からスタック領域に動かすことを意味する)唱える ができない」のである。
 
だがケフネトは違う。
ケフネトが作るものは「カードのコピー」だ。
カードはスタック領域にない時の呼び方なので、「カードは唱えられる」
(マナコストが存在しないカードとかを除く)
 
ケフネトにより「《副陽の接近》のコピー」がどこかに作られてそれを唱えることができるのだ。
 
それでは次のポイントに移ろう。
 
説2.手札から唱えていないから
 
さて、さっきの文章を改めて見よう
ケフネトにより「《副陽の接近》のコピー」がどこかに作られてそれを唱えることができるのだ。』
 
どこかってどこだよ…。
ここを特定する(最低でも手札か手札じゃないかを明らかにする)ことができないと、
ケフネト副陽問題の答えが見えてこない。
 
コピーはどこに作られるのか?
ルールを確認してみると「コピー元と同じ領域」に作られるらしい。
つまりケフネトで公開したカードと同じ場所と言うことだ。
はい、問題かいけ…
 
ケフネトの公開カードどこにあるんだ?
 
感覚的にはかなり手札だ。
「手札を引いたときに公開する」って言うならそれはもう手札に違いないだろう。
 
ケフネトは「手札を引くに際して公開する」のだ。
 
引くに際して…?
 
戦場に出るに際して
 
(領域の移動)に際して~という文章でもっともよく見かけるのは
「戦場に出るに際して」だろう。
 
戦場に出るに際して行うことは「戦場に出る直前」、つまり戦場に出ていないタイミングで行われる。
 
いわゆる置換効果という奴だ。

総合ルール614.1c

 「[このパーマネント]は〜状態で戦場に出る/[this permanent] enters the battlefield with ...」、

「[このパーマネント]が戦場に出るに際し〜/As [this permanent] enters the battlefield ...」、

「[このパーマネント]は〜として戦場に出る/[this permanent] enters the battlefield as ...」という効果は置換効果である。


戦場に 出るに 際し などは どうやら置換効果らしい。

総合ルール614.4 
置換効果はしかるべきイベントが発生するよりも前に存在しなくてはならず、「時間をさかのぼって」既に起きたことを変えることはできない。通常、これらの効果を作る呪文や能力は、そのイベントを作る何かに対応して 唱えられたり起動されたりするので、そのイベントが起こるよりも前に解決される。

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数を選ぶのは戦場に出る前。


えっ?
じゃあ「手札を引くに際して公開する」の場合はカードが公開される場所は手札じゃないってこと…?
 
ここがマジでわっかんねー!!!ってなってあーだこーだ言ってみた。
後半の書式が「再帰誘発型能力」の記述構文になってるとか
いや、なってないwhenじゃなくてwheneverって書いてあるとか
wheneverはwhenとルール上は同じ意味で該当イベントが何回起こるかによって書き分けられてるだけだとか

色々な話が出た中で僕が得た結論、「たぶん公開されたカードが手札にある間に誘発し、コピーは手札にできる」
 
ほんまか?
 
私にもわからない。
だいたい誘発場所が争点なのにそんな答えでいいのかと言う不安もある。
ジャッジの方とかで答えのわかる人がいたら教えてください。
 
というわけで僕のルール解釈、
例として挙げたのが「戦場に出るに際して」だったのがまずかった気がする。
「戦場に出るに際して」というのは「○○するに際して」の中でも督励もとい特例で個別のルールを持つのだ。

先ほどの総合ルール614.1cをよく読むと
「〜に際し」というものすべてでなく、
その中でも「戦場に出るに際し」の時に置換効果として認められるわけだ。

つまり「手札を引くに際し」は置換効果でない。
 
さっき、督励(とくれい)と言う誤字をしたのはなにも偶然ではない。
まさに督励がそうなのだ。
 
「攻撃するに際して督励してもよい」のほうが「戦場に出るに際して」よりも「カードを引くに際して公開してもよい」に近いのだ。
この督励は主に
「攻撃するに際して督励してもよい」という常在型能力と
それに関連した「督励するたびに○○する」という誘発型効果からなる。

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これはルール607.2gの「関連している常在型能力と誘発型能力」である。
 
総合ルール607.2g 
あるオブジェクトの単一の段落内で、常在型能力と誘発型能力が記載されている場合、それらの誘発型能力はそれぞれ常在型能力に関連している。誘発型能力は、その常在型能力の結果行なわれた処理だけを参照する。
 
で、このタイプの能力は○○するに際して、 の部分で○○は既にしているのだ。
 
例:攻撃するに際して督励
督励する時には攻撃している

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例2:ドラフトするに際して公開する
公開した時にはドラフトしている

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つまりケフネトによってカードを公開するときには「カードはすでに引いている」ので手札にある。
 
コピー元が手札にあるので、コピーは手札に作られる。
 
 
説3.手札から唱えているので特殊勝利できる。
 
というのが現状の結論である。
 
もしこれが当たっているなら「特殊勝利できない」と思た相手が打ち消さずにうっかりスルーした時に勝てるかもしれないね。
 
とはいえまだ未発売のカード。
 
【灯争大戦】の発売はプレリリースは4月27日
もうまもなくやってくるぞ。
 
プレリリースに際し、公開されるリリースノートを楽しみにしよう!
 

*4月20日追記
無事にリリースノートが公開されたので答え合わせといこう。

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完全勝利!
ケフネトの作るコピーを唱えた場合でも、
勝利できる!!
 記述のしっかりしたゲームはルールを読めば
発売前のカードの処理も予測できるのだ!
 
 

 

【 #MTG 】コンボ ノミコンで分身 ジェイス・無限 ボーラスについて考える【灯争大戦】

皆さんはコンボノミコンという書物をご存じだろうか?

コンボノミコン、それは読むだけでコンボデッキが生まれるとまで言われる怪しげな魔導書である。

 

 前回無限コンボだと言われていたコンボについて無限にならないよ…という話をした。

参照↓

omamesensei2.hatenadiary.jp

 

だが、コンボノミコンの力を借りれば無限コンボを完成させられるのではないか?

 

というわけでコンボノミコン第一章『わぁい、コンボだよー』に従おう。

 

第一章ではコンボとなるカードを見つけるために「今までしなかったことをするカード」を探すとある。

 

まあ、これについては前回終わっている。

龍神、二コル・ボーラス》の常在型能力だ。

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「他のプレインズウォーカーの忠誠度能力を使える」という今までにない能力を持っている。

特に「奥義」と呼ばれる大マイナス能力も使えるのが魅力的だ。

 

 

第二章

『「カギのかかったコンボ」をいかに解体するか』

 

この章ではコンボの相方を見つける。

コンボとは2枚以上のカードの組み合わせで生まれる。

前回はここで《狡猾な漂流者、ジェイス》という相棒を見つけた。

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奥義で分裂するのだ。

ボーラスがこの奥義を使えばジェイスでなくボーラスが増えるのは前回解説した通りだ。

 

 

第三章

『世界の中心で愛を叫んだコンボ』

この章にはコンボパーツの代替物を探したり必要な踏み倒し方法を探したりして、中核となるコンボ部分を強化することについて書かれている。

そして時にはここで、そのコンボに見合ったループを見つけたりするのだが…

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前回はここで《灯の分身》を使ったループを検討する中で、そもそもルール的に無理だという結論になった。

さて《灯の分身》ではコンボが成立しなかったが、《灯の分身》をどのように使おうとしたかを考えることで代替物を見つけることができる。

 

《灯の分身》「忠誠度を+1する」ことで初期忠誠度4のボーラスに「ジェイスの-5をいきなり使わせる」…という役目があった。

 

そこで「忠誠度+1」を実現する代替物を考える。

すると《寛大なる者、アジャニ》というぴったりのカードが次のパックで追加されることが分かった。

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無限コンボが完成した

 

手順はこうだ。

まず場にジェイス・ボーラス・アジャニを揃える。

 

1.アジャニが「アジャニの-2」を使う。

→ボーラスの忠誠度が5になり「ジェイスの奥義」をボーラスが起動可能になる。

2.ボーラスが「ジェイスの奥義」を起動する。

→ボーラスが分裂。以降トークンをボーラス1号、2号と呼ぶ。

3.ボーラス1号が「アジャニの-2」を起動する。

ボーラス2号の忠誠度が5になり「ジェイスの奥義」を2号が起動可能になる。

4.ボーラス2号が「ジェイスの奥義」を起動する。

→ボーラス3号と4号が場に出る。

5.ボーラス3号が「アジャニの-2」を起動する。

→ボーラス4号の忠誠度が5になり「ジェイスの奥義」を4号が起動可能になる。

……

………

 

(N=2nの時、ただしnはn≧2である任意の自然数)

N.ボーラス(N-2)号が「ジェイスの奥義」を起動する。

→ボーラス(N-1)号とボーラスN号が場に出る。

 

(N=2n+1の時、ただしnは任意の自然数)

N.ボーラス(N-2)号が「アジャニの-2」を起動する。

→ボーラス(N-1)号の忠誠度が5になり「ジェイスの奥義」を(N-1)号が起動可能になる。

 

以降これを繰り返すことでボーラスが増え続ける。

Nが奇数の時、

N回目には(N-1)体のボーラス・トークンがいて、

これを繰り返す間にアジャニが全体にカウンターをバラまき続ける。

ボーラス1号にはその間にも忠誠度カウンターが乗りつづけ、忠誠度は(N-2)になる。

 

これで任意の数だけボーラスを並べることができる。

わーい、コンボー!

 

後は次のターンに無限ボーラスの-3能力を起動して相手の伝説のクリーチャーとプレインズウォーカーを皆殺しにしてからボーラスの奥義で勝てるんだ。

 

 

 

第四章

『コンボはリソース管理の夢を見るか』

四章には、中核となるコンボに適したマナ加速や手札補充、コンボパーツサーチの手段などを見つけて、実際にコンボがデッキとなるための下地を作る方法が書かれている。

実際ここまでに結局すべての色のカードを使っているため、これらを場にそろえるためにはのべ12マナ5色が必要になる。

流石に悠長だし順番に出して生き残るのを期待するのはリスキーなのでショートカットを考える。

 

《上古族の栄華な再誕》がそのマスターピースになる。

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ここまでのコンボパーツはすべてが伝説のパーマネントなので、《上古族の栄華な再誕》さえ唱えることができたなら、コンボが完成する。

 

この伝説のソーサリーは7マナ2色だけで墓地からすべてのコンボパーツを場に揃えることができる。

(ただし伝説ソーサリーなので場に伝説のクリーチャーかPWが必要だ)

《最後の別れ》は再誕を探しつつ足りないコンボパーツを墓地に送れる。

これらの素敵なアイデアをくれた私の後輩たちに感謝して次の章へ進もう。

 

第五章

『純粋コンボ批判』

相手の妨害に耐えられるか、もしくは自分自身が妨害をするカードを入れる余裕があるか、を判断する方法が書かれている章だ。

さて、ではここまでのロマンコンボを組んだものの間に一度相手のターンを挟んでしまっている。

通常の環境なら無限ボーラスの時点でほぼ勝ちなのだが、

灯争大戦環境では、その1ターンで容易に崩される要素がたくさんある。

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これらに耐えられるようするか、妨害の余地なく決められるようにコンボを尖らせるしかない。

というわけで伝説のパーマネントを絡ませることでこのコンボを完成させよう。

最後に加えるのは《テフェリーの誓い》だ。

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このエンチャントは伝説なので再誕で場に出せる。

さらに自分のターンに「追加行動」ができるので相手ターンを待つ必要がない。

それどころかアジャニも必要なくなる。

 

再誕で場にテフェリーの誓いとボーラスとジェイスを並べたらコンボ開始だ。

 

1.ボーラスの+1能力を起動する。

→忠誠度が5になる。

2.誓いにより追加行動させ、ジェイスの奥義をボーラスに使わせる。

→ボーラスが分裂する。

3.増えたボーラスで同様に繰り返す。

(自分のデッキ枚数が足りずライブラリアウトしそうならボーラスにジェイスのプラスを使わせればいい)

 

ボーラスの+1は対象を取らないので相手が呪禁を持っていても呪禁パーマネントがあっても関係なく根こそぎにできる。

奥義も同様に対象を取らないので「このターン、プレイヤーが呪禁を得る」などのパーマネントに依らない呪禁も突破して相手を敗北させられる

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コンボノミコンの恐ろしさ伝わっただろうか?

キミもコンボノミコンの記述に従って「わーい、コンボー!」してみよー。

 

【 #MTG】《灯の分身》は無限ボーラスの夢を見るか?【灯争大戦】

Twitterこんな旨のツイートを見かけた。

「灯争大戦のボーラスと《灯の分身》と《狡猾なる漂流者、ジェイス》の3枚で無限にボーラスのコピーが作れるんじゃないの?」
「コピー可能な値がどうなのか知らんけど」

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どういうことだろうか?

 

想定される動きは恐らくこうだ。

 

場にジェイスとボーラスがいる。

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ここで《灯の分身》を唱え、その能力により「忠誠度カウンターが1つ多く載るボーラス」として場に出す。
これで忠誠度5のボーラスが出る。
(以降、このオブジェクトを【ボーラスの分身】と呼称する)

 

この【ボーラスの分身】はその能力により、ジェイスの奥義を即座に使える。
奥義を使うとまず【ボーラスの分身】からは忠誠度カウンターが5つ取り除かれる。
【ボーラスの分身】の忠誠度能力がスタックに乗り、
その直後の優先権のチェックに合わせて状況起因処理によって【ボーラスの分身】は死亡する。


【ボーラスの分身】の忠誠度能力を解決することで【ボーラスの分身】のコピートークンが2体、忠誠度5で戦場に出る。
これにより出たトークンを【トークンA】【トークンB】とする。
以降、奥義により出るトークンをトークンC,D,E,…とする。

 

トークンA】が奥義を使用し【トークンC】と【トークンD】を生成し、
トークンB】が適当にボーラスの+1能力を使い1枚ドローして相手にカードを追放させる。

 

トークンC】が奥義を使用し【トークンE】と【トークンF】を生成し、
トークンD】が適当にボーラスの+1能力を使い1枚ドローして相手にカードを追放させる。

 

…これを繰り返した後で今度はボーラスの+1の代わりにジェイスの-2を使うようにしていけば、
《残骸の漂着》などを撃つマナや手札を残さずに2/2の群れが相手を攻撃して勝てる…ということであろう。


さて、本当にそんな事が可能なのだろうか?

 

いくつかの「ルール上可能か?」というハードルを越える必要がありそうだ。
それらを検証していこう。

 

Q1.すでに忠誠度能力を使ったプレインズウォーカ―のコピーは忠誠度能力を使えるか?
A1.可能である。

 

忠誠度能力は1ターンに1度までだ。
果たして既に効果を使ってしまったプレインズウォーカーのコピーは能力を使えるか?
コピートークンは忠誠度能力を使えるか?

忠誠度能力は1ターンに1度までという制限はオブジェクト1つあたりにかかるので、
コピーはコピー元が使っているかを参照しない。
加えて言えばコピー元は能力を使っていない本物のボーラスなので、この質問自体がお門違いだ。

ちょっとばかり君たちがちゃんと読んでくれているか試したのである。

 

Q2.【ボーラスの分身】が出すトークンは「狡猾な漂流者、ジェイス」ではないのか?
A2.【ボーラスの分身】が出すトークンはボーラスである。

 

総合ルール 201.4b


そのオブジェクト自身をカード名で参照している能力をカード名の異なるオブジェクトが得た場合、
得られた能力に含まれる、前者のカードを参照するために用いられている前者のカード名はすべて後者のカード名であるとして扱われる。

 

というわけで今回のパターンにあてはめると…
「そのオブジェクト自身をカード名で参照している能力(ジェイスの奥義)」
「カード名の異なるオブジェクト(【ボーラスの分身】や【トークンA】)」が得た場合、
「得られた能力(ジェイスの奥義)」に含まれる、
「前者のカードを参照するために用いられている前者のカード名(狡猾な漂流者、ジェイス)」はすべて
「後者のカード名(Nicol Bolas,Dragon-God)」であるとして扱われる。

 

つまりボーラスの常在型能力によってジェイスの奥義を得た場合、
その能力は「‐5:それが伝説でないことを除きNicol Bolas,Dragon-Godのコピーであるトークンを2体生成する。」となる。

なので出てくるトークンはボーラスのコピーである。

というわけで問題はすべて解決したのでデッキの形にこのコンボを組み立てて…


待った!

我々は重要なところを見落としている。
果たして出てくるボーラス様の上の忠誠度は5つなのだろうか?

すべてのプレインズウォーカ―は「戦場に出るに際し、初期忠誠度に等しい数の忠誠度カウンターを乗せた状態で出る」という能力を持つ。
これを《灯の分身》が場に出るに際し~の能力で上書きした。

 

この「戦場の出るに際し~」の能力が【ボーラスの分身】のコピー可能な値として認められる場合、
忠誠度カウンターは5つ載る。
だが、これがコピー可能でないとしたら【トークンA】および【トークンB】の上には忠誠度カウンターが4つしか乗らないことになる。

 

はたして「それが戦場に出るに際し」という部分はコピー可能な値なのだろうか?

 

総合ルール 706.2

(略)

オブジェクトの「コピー可能な値」とは、オブジェクトに記載されている値(カード名、マナ・コスト、色指標、カード・タイプ、サブタイプ、特殊タイプ、ルール文章、パワー、タフネス、忠誠度)に、他のコピー 効果、裏向きの位相であること、パワーやタフネス(や、場合によってはその他の特性)を定める「戦場に出るに際し/as ... enters the battlefield」「オモテになるに際し/as ... is turned face up」の能力、そのオブジェクトを裏向きにする能力による影響を加味したものである。

(略)

 

なるほど。どうやらそれが戦場に出るに際しての能力はコピー可能な値らしい。

すなわち【トークンA】には5つのカウンターが乗るということか!

 

…と私は考えたのだが該当の文をよく読みなおすとどうも違う。

 

パワーやタフネス(や、場合によってはその他の特性)を定める「戦場に出るに際し/as ... enters the battlefield「オモテになるに際し/as ... is turned face up」の能力

 

その特性を定める…?

 

そうここだ!

 

灯の分身をよく読むと「追加の忠誠度カウンター」を得るようになっている。

これは初期忠誠度という特性を新たに定めるのではなく、

初期忠誠度に加えて1つのカウンターを乗せる。

 

故にコピー可能な値ではないのだ。

 

(仮に《灯の分身》が初期忠誠度という特性そのものを書き換えるものだったなら成立したのだろうか?)

 

というわけで今回の結論。

《灯の分身》《Nicol Bolas,Dragon-God》《狡猾な漂流者、ジェイス》の3枚での無限コンボは成立しない。

 

*注*

未発売カードなのでリリースノートが出るまでは確定でなく私がルールを読んで解釈した内容です。

高レベルのジャッジの方で違うよ!って思う方いたら訂正と謝罪の記事をあげますので連絡下さい

ツイッター(@MAME_NYA)

 

とはいえ、できないで終わるのも寂しいので

「できる方法」についても考えて…わーい、コンボ―!

 

omamesensei2.hatenadiary.jp