久しぶりの作品布教記事です。
今回、ご紹介する漫画はこちら…!
『すいとーと』です!
「すいとーと」
福岡弁(博多弁ではないらしい)で「好きでいる」を意味する言葉らしいですね。
ざっくり漫画の内容を紹介すると、いわゆるグルメ漫画のジャンルになると思います。
料理バトル的な方ではなく、お店を食べ歩くタイプのグルメ漫画ですね。
この作品では東京出身の主人公『百瀬 もも』が福岡で美味しい博多グルメを満喫する大学生活を送る、という形で毎回読者に飯テロをぶつけてきます。
(夜に読むとお腹が減って辛いんだ、これが)
百瀬ももは大学ではキラキラとした女子力の高い女の子として振る舞っていますが、
実はニンニクとかそういう『女子ウケの悪そうなもの』が入ったガッツリ博多グルメが大好き。そういった食の趣味嗜好を友人たちには隠しています。
そんな彼女が一緒に博多グルメを楽しめる相手。
それが同じ大学の後輩、『清水 ゆず』。
基本的にこの2人の百合を中心に話が進みます。
第一話より。右側が『百瀬もも』左側が『清水ゆず』
「誰にも言えない趣味を唯一理解してくれる、自分よりもその道に詳しい後輩」
「孤独な食べ歩きで満たされない気持ちに悶々とする中で出会った『全力で美味しそうに食べる』先輩」
はい。百合ですね。
そういうわけでグルメを軸に2人の関係性や思い。
好きなものを隠すことの生きづらさと、好きでい続けることの難しさ。
好きと言う気持ちに向ける誠実さ。
そういう『好きでいる』ことに向き合った描写が心を打つ百合漫画です。
料理描写が上手く読んでいるとお腹が空いてきます。
というか、こうして記事を書きながら思い出すだけでリアルにお腹がなってしまったのですが!!!
百合漫画がオマケ要素として飯の話をするでなく、
グルメ飯漫画が単に百合営業を始めたのでなく、
『好きでいる』というテーマを繋ぐ料理要素と百合要素のバランスが素晴らしい。
そんな百合グルメ漫画になっています。
「美少女の皮を被ったオッサン」ではない
こう、「オッサンが好きそうな趣味のもの」を扱う女の子の漫画…って結構あるじゃないですか。
そういうジャンルへの偏見として、単にキャラクターが可愛い外見だと言うだけで、
実質的には「中身がほとんどオッサンのまま」みたいなのがあって、
そういうのって少しキャラクターに対して真摯ではないというか…
「それなら最初からオッサンでよくない? それだとウケない人気が出ないみたいなルッキズムに屈した風潮ってなんか嫌だなあ…」みたいなこじらせなのですが…。(オタク特有の早口)
『すいとーと』ではキャラクターを「女性らしく」描いています。
この「女性らしい」というのが1レイヤー深く掘り下げられているのがとても好きなんです。
単純に「女性らしい描写」もあれば、「女の子らしさと自身のギャップ」を周囲に見せるのか隠すのか? という葛藤まで含めた広い意味での女性らしさが描かれているんです。
「女子でも食べに行ける博多グルメ!」みたいな博多グルメの紹介記事を見かけました。
それは(『すいとーと』に描かれるように)女性だって博多グルメを楽しむんだぞ!というアピールであると共に、暗に「博多グルメって女子の趣味っぽくないよね?」という世間のぼんやりとした空気感が存在することを匂わせる見出しだと思ったのです。
そういう空気の中で生きる「女性らしさ」というのを説教臭くならないくらいの隠し味に加えて「好きなものを好きでいること」をテーマに料理・人間関係の両面で踏み込んでいく。
主人公『百瀬もも』の「女性らしさ」や「かっこよさ」に惹かれる後輩「春川さくら」の登場で2人の関係性が3人の関係性に発展していく中で繊細に描かれる。
いや、こういうのはそもそも読んで感じるべきものだろう。
長々と熱く語ってしまったけれど。
つまるところ単行本1巻収録のエピソード『第五食 餃子』が面白いから、是非「すいとーと」1巻を買って読んでね!とだけ言えばよかったのかもしれない。
私はこの漫画が、本当に好きです。
第1巻が先日発売したところなので是非、読んでください!
~2020/10/25追記~
ついに完結しました!
1話と対応する最終話、オタクの好きなやつなので、ぜひ1話を読んでは最終話の長浜ラーメン回を読んで最終話から1話に戻る反復横跳びをしてほしい…。
実は第一食で登場してる pic.twitter.com/dUmCCuYQwB
— 沖野ユイ (@okino_yui) 2020年10月24日
み゛っ゛!!!
連載終了は寂しいですが、
コロナ禍で取材も難しい中で、きれいに話をまとめて完結したことを喜びたいと思います。
漫画は最終話まで行かないと読まない派の人にもこれで気兼ねなく読んでいただけると思います。
ぜひ、少年ジャンプ+で、まずは無料で読んでみてください!
少年ジャンプ…?
そう、こちらの漫画はなんと驚くことに「あの少年ジャンプ」の流れを汲むWEB漫画サイト「少年ジャンプ+」で連載しているんです。
「少年の心は女性には分からない」みたいな話で火が付いたりしたイメージもある少年ジャンプですが、それはあくまで本誌の読者層を踏まえた上での話で合って、
本誌を少し離れたところでは多様性に満ちている、こんなにも素晴らしい漫画を読めるアプリがあるんです!
(一応、明言しておくと「多様性」というのはLGBT云々じゃなくて漫画ジャンルの扱いの幅の話です。ジャンプでグルメ漫画と言えば近年の「食戟のソーマ」に代表されるような料理バトル文脈の作品になりがちなイメージがあり「孤独のグルメ」などのような食べる側の話はないものだという偏見があったけれど「すいとーと」のように多様な作品を扱う土壌がジャンプにもあったんだなあ…の意)
1~3話が常設無料。
アプリからなら初読に限り全話無料!
ぜひ、読んでほしい。
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