TLに流れるマリコやブロークンと言った単語で思い出す漫画がある。
それは壊れてしまった特別なマリコをめぐる物語…
SKET DANCE 作:篠原健太
第91話「壊れてしまった特別な…」
篠原健太 on Twitter: "【クソゲーをやってみたら思いのほかハマった話~ビデオゲーム編~】… "
(文庫版6巻収録)
スケットダンスの「黄老師」が絡むエピソードはどれも面白いのでおススメだ。
ヒュペリオンの名前が未だに忘れられず残っている。ほんと凄いと思う。
しかし、今回紹介したいのそっちじゃない。
別の壊れてしまったマリコの漫画なんだよ。
スペシャル・マリコ・ブロークンの方の漫画スケット・ダンスはギャグだけでなく時に重めの話も扱い、「スイッチ・オン」とかは読んでいてかなり心に響いた。
しかし『重さ』でいうならこれから紹介する漫画も負けてはいない。
では、紹介しよう。
最初に僕がTLで見た「ブロークン」した「マリコ」の漫画がこちらだ!
マイ・ブロークン・マリコ
さて、マイ・ブロークン・マリコがどんな漫画かというと
かなりヘヴィな百合漫画という紹介になると思う。
ただ、これを百合漫画と呼んでいいかはちょっぴりの疑問が…
「はっ? 僕の中の百合回路はコレを百合判定しているんだが?」
ゴホン。
ええ、僕は百合だと思うけどもそうだとは思わない人もいるだろう。
ここでは中立的な立場で百合というフィルターを外して紹介するよう心掛けてみよう。
それでも漏れ出したらごめんなさい。
こちらのマイ・ブロークン・マリコは女主人公の親友マリコが死んだことから始まる。
起こった事実だけを書くなら、
マイ・ブロークン・マリコは「死んだ友人の遺灰」と逃避行する話だ。
マイ・ブロークン・マリコ 第1話「エスケープ」 作:平庫ワカ
あまりにもパワフルな話だ。
「なんでそんなことをするのか?」
「主人公と親友の関係は?」
そういった疑問を覚えたあなたに私は答えたりはしない。
それは漫画に描いてある。
気になったあなたが読むべきはこの記事の続きでなくリンク先だ。
どうだい?
読んでくれたかな。
読んでくれたなら既に、この記事は役割は果たしたことになる。
でもまだ君が読んでくれていないのなら、
読んでもらうために僕は「マイ・ブロークン・マリコ」の布教をしよう。
この物語は、まとめてしまえば
「死んだ友人の遺灰」と逃避行する話だと紹介した。
それは…狂人のすることだ。
普通はそんなことはしないし、それができる人はタガが外れている。
だけど。
だけどそんな狂人めいた主人公に共感してしまう。
感情移入を起こせてしまう。
なんでだろう?
思うに、「スピード感」と時折見せる「リアリティ」がその理由なんじゃないだろうか。
「遺骨を奪おう」と主人公が決意してから実行に移す流れのスピード感がすごく早くて
畳みかけるように話が進む。
そして主人公が時折見せる変なリアリティ。
「友人の遺骨を奪って逃避行する話」にはリアリティなんてない。
そんなのは想像しようもないファンタジーだ。
でも、マイ・ブロークン・マリコでは一見「あるあるネタ」のようなものが挟まれる。
タバコを吸う不良学生がヤニの匂いを誤魔化すためにトイレの消臭剤を使うとか
はじめてのバイト代で買って履き古した靴に感じる黴臭さとか、
高速バスで隣に座るゴツいおっちゃんにビビるとか、
そのおっちゃんが見た目に反してノーパソで移動中に仕事する人って言うギャップに驚いたり。
マイ・ブロークン・マリコ 第2話「レッツゴーハワイ」作:平庫ワカ
なんていうのかな…
地に足がついている描写が挟まれるんだ。
狂人の物語なのに読者が主人公に感情移入できてしまうような導線として、
そういう地に足のついた描写が挿入される。
想像もつかないような狂人の所業のはずなのに、
どこまでも「リアル」だ。
おかしいよね、漫画のに。
でも読んで高ぶるこの感情は「リアル」以外の何物でもないんだ。
友人の遺骨と逃避行する狂人に読者が目線を近づけてリアルな感情が浮かぶ。
そういう体験を僕はこの漫画で得られた。
この物語は荒唐無稽で突拍子もない「友人の遺骨を持って逃避行する話」だ。
それはとても非日常で破滅的で何もかもぶち壊すような衝撃にあふれていて…
それでもやっぱり人生は続く。
読みあえたあなたの人生も続く。
「派手なイベントでエンドマーク」がついたりせずに、人生は続くのだ。
これはそういう漫画だった。
*1/8追記*
単行本発売につき加筆修正。
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