バーチャルVtuver豆猫さんの与太話

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Strong YuriとWeak Yuri、それからRadicalな それらについて

Strong YuriWeak Yuri、それからRadicalな それらについて

 

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百合の「強弱」の概念。

 

Strong Yuri(強い百合)Weak Yuri(弱い百合)って概念について

素人の説明より専門職の方の話を読むのが一番だと僕は思います。
ただやっぱり「レベルの高い会話」ってかみ砕かないとついていけないだろう…っていうのがあって。
「Yuriの強弱」という概念について知って欲しいので(あくまで簡易的な解説として)「Yuriの強弱」の概念について話していこうと思います。

 


はじめに

まず最初にこれだけは絶対に理解してほしいのが、
Strong Yuri(強い百合)」と「Weak Yuri(弱い百合)」は優劣の関係にはないということです。
ここ本当に大事。


「Strongの方が上質な百合」だと考えるのは「優性遺伝と劣性遺伝では優性遺伝のほうが上位種であり良いもの」みたいな考えと同じタイプの勘違いをしています。

Strong Yuri」と「Weak Yuri」のどちらが「良い」「上位の」百合であるとかそういうことは一切ないですし、百合に限らず作品レベルでもどちらが良いだの悪いだのはないんです。

強い百合」は良いものだけれど、それと反対のアプローチとしてネーミングされた「Weak Yuri」が「良くないもの・劣るもの」ということではありません。

 

 

百合の強弱

じゃあ百合の強弱が何を表しているかと言うと、「どこにフォーカスするか」という点が違います。
この辺は言葉の成り立ちからの弊害で分かりづらいかもしれません。
Strong」「Weak」というのが何か特定のものの強弱を指しているのでなく、スタンスの違いを表しているに過ぎないということを抑えましょう。


Strong Yuri「感情にフォーカスして描かれた百合」で、
Weak Yuri「状況にフォーカスして描かれた百合」である…と私は捉えています。

 

具体例を出して考えていきましょう。


*Sample Strong Yuri*

私は花子が好きだ。


*Sample Weak Yuri*

花子は「あんたなんか、大っ嫌い」と言った。


前者が目指したのがStrong Yuriで、後者が目指したのがWeak Yuriです。

(サンプルなので前者は百合が弱い。この「弱い」というのはWeakでなくStrong Yuriとしての存在級位の低さについて言及している)


Strong Yuriの立場では「そこに百合の感情が存在する」というスタンスが書き手の側にあります。
これに対してWeak Yuriでは読者が「仲が悪いって百合なんだよなあ」と勝手に百合を見出すわけです。
そこに感情があるかを問わず、百合を感じられるシチュエーションを提供するのがWeak Yuriであるという見方もできるでしょう。

 


そもそもどこから生まれた概念なの?

大本は「強い百合」という言葉です。この言葉自体の出典は不明。
この「強い百合」を、いわゆる「巨大不明感情」「女と女の関係性」とかと結びつけて宮澤先生が語ったのがStrong YuriとWeak Yuriの概念が生まれるきっかけになりました。

 

「感情」の動きをちゃんとやるとフィクションの「解像度」が高まるんです。解像度の上がった百合は「強い」。

引用:https://www.hayakawabooks.com/n/n0b70a085dfe0


「創作物の女性」は実在しなくても、「創作物の女性」と「創作物の女性」の間にある感情にフォーカスしてしっかりと描く=人間を描くことで「2人の関係性」はリアルになるということを宮澤先生が語っておられます。


この話を実際にその場で聞いた草野原々が後に提唱したのがStrong YuriWeak Yuriの概念です。
草野先生は作家…というよりは学者気質で「強い百合」に対しての意見を述べました。

 

「フィクションの感情がリアルになる」という強い百合の思想に対して、
「そもそも感情なんて実在するんだろうか?」という過激な立場を示したのが草野式のWeak Yuriの起点となっています。


「強い百合」は実在論の立場にある。それと反対の認識論の立場からも百合が作れるだろう、と。

この認識論の百合と言うのがWeak Yuri、つまり読者がシチュエーションから百合を見出す構図を指しています。


ここまでの話は理解できましたか?

ざっくりと整理すると…
強い百合→キャラクターをしっかり人間として描くことで、架空のキャラクターの感情のリアリティが上げるアプローチを取った百合作品。
Strong Yuri→上記からの派生で、架空のキャラクターの感情にフォーカスした百合作品
Weak Yuri →上記の逆のアプローチ。読者が状況からキャラの感情を類推する百合作品


で、ここからが本題。


Radical(過激な)の話。

草野原々先生は前述のようなYuriに対するアプローチの違いとしてStrong/Weakのスタイルについて言及し、それらの根本にあるのは実在論認識論にあるという『思想』を打ち出しました。

そして、よりRadical(根本的な)それらのYuriの発展形としてRadical Strong YuriRadical Weak Yuriを構想するに至ります。


Strong YuriWeak Yuriが単なる百合創作へのスタンスによる分類であるのと異なり、

Radical Strong YuriRadical Weak Yuriはもっと凶悪な概念を内包しています。

 

Yuriの概念を突き詰めることで「強い百合=リアリティのある百合」はリアルになり現実そのものとなるわけですが、一方でWeak Yuriを突き詰めるとどうなるのでしょう?


Weak Yuriの考え方は「この状況なら、きっとこういう感情を抱いている」「だから百合である」という読者の類推する感情が百合の起点になっていますすよね?

 

ここで「実際にそのキャラクターが抱いている感情はどのようなものかは関係ない」ということに注目してください。
Radical Weak Yuriはそれをさらに研ぎ澄ませたところにあるのです。
「どのような感情を抱いているかは関係ない」に留まらず、「そもそも感情などない」という考えに至るのがRadical Weak Yuriの立場なのです。


「百合のキャラに感情などない」のは彼女たちが虚構者(架空のキャラクター)だからでしょうか?
いいえ。そうではありません。

感情などと言うものがそもそも最初から実在していないからです。

草野原々がそういう風に論理の大鉈を振るったのがRadical Weak Yuri概念なんです。

 

あなたがこの記事を読んでいる近くに「楽しそうに談笑する人たち」はいますか?
彼ら彼女らに意識はあるのでしょうか?


単なる決まりきった「こう言われたならこのように反応する」というリアクションの集合が振る舞いを形作り、あなたがそこから「楽しそう」という感情を類推をしているだけにすぎない…とは考えられないでしょうか?

 

怒っている人の中にあるのは怒りの感情ではなく単なる生理的なフラストレーションと攻撃的衝動が引き起こす生体反応にすぎません。
しかし、それを見る自分たちが「怒っている」という感情をそこに見出すのです。
頭蓋と言う牢獄に捕らわれた脳髄の中で何を考えているのか、私たちは決して知ることができません。そこには絶対的な理解不能の断絶が横たわっています。


理解できない何かに対して、我々は理屈を求めて理由を付けようとします。
太古の人は天災に理由を求め、上昇気流や大気中の塵が生み出す静電気等でなく、
「神が怒っている」という説明を付けました。

 

怒っているように見える人の中に怒りの感情は実在するのでしょうか?
単にそれは科学的な脳内物質の作用だとかこれまでの人生を生きる中で学習してきた「一般的なふるまい」の集積に過ぎないのではありませんか?

 

虚構者(架空のキャラクター)の中に感情はない。
なぜでしょう? キャラクターは虚構だからでしょうか?
いいえ、そうではありませんよね?

 

現実であっても、感情などと言うものは実在しないからです。

現実と虚構に違いなどないのです。(すくなくとも感情の実在性と言う観点からは)

Radical Weak Yuriというものが表しているのはそういう過激な『思想』なのです。

 

これに関して反論をしようとする人がいますね。
彼はそんなのはナンセンスだとばかりに呆れているように見えます。
ですが、そのように見えるだけかもしれません。
本当に「呆れ」の感情はそこにあるのでしょうか?

それを推しはかることは決してできないのです。


この酷く冷たいセオリーが草野原々の最新作「大絶滅恐竜タイムウォーズ」が示すものであり、

我々の「感情的な反応」は単なる学習と生理科学の反応ルーティーンの中に「そういうものがある」と仮想しているに過ぎないことを分からせようとしてきます。

あなたが他人の感情を「類推する」ことで、感情と言う実在しないものが生まれてくるのです。

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大絶滅恐竜タイムウォーズ (ハヤカワ文庫JA)


それは真実なのか?
本当に感情と言うものは存在しないのか?
そこに横たわる冷たい真実の前に屈していいのか?

 

じゃあ、「この気持ち」はなんなんだ。


実在者の感情を虚構と推しはかるまでのロジックは一見完璧だ。
真っ白な壁、頭蓋骨に囲われた絶対不可侵の脳髄の中に感情があるのかどうか我々は知りえない!

他の実在者の感情の実在性について「解は得られない」ということを草野原々は示したかもしれない。
それでも、「この私」が感じるエモいという叫びは実在する!

エモさはリアルな感情であり実在する!

裏世界ピクニック4を読み、耐えられずに表紙を閉じて、帯に心を焼かれる、この熱は!
私が、まごう事なき「この私」が感じる熱さは実在する感情だ。

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裏世界ピクニック4 裏世界夜行 (ハヤカワ文庫JA)

 

 

感情は実在する!
虚構者と実在者が感情の実在性に於いて等価だとするならば、まさに関係性と感情は実在するという風にも言い換えられる。
他の実在者の相互理解の断絶の骨壁の向こうでは、脳髄の中に感情の熱があることを否定できない! 私に感情があるように!

 

故にまた、虚構者の感情も実在を否定されることはなく、あなたが熱を感じるということが虚構者の感情実在性をも示唆していく。証明はしない、示唆するだけだ。
しかし、それで十分だろう?
示唆されているのなら、あなたは類推することができる。


シミュレーションし、感情移入することができる。
意識は実在する。
キラキラとした素敵な物は実在する。

意識は模倣の中で生まれる。
コピー&ペーストの繰り返しの中で、『あなたでないもの』があなたを定義する。


感情は実在し、それは生まれる。
どこから? それは模倣の中で生まれる。
白く固い頭骨に阻まれた私たちが決して知りえない柔らかい内臓から?
そうじゃないだろう。
そこには絶対的な隔たりがある。


でも、僕たちは他人の感情を知ることができる。
読み取ることができる。
その模倣とコピーの大元になる根源的な紀は何だ?

 

虚構者(マロゾロンド)だ。

 

物理的な肉と骨の檻が、実在者同士の感情を観測不能にし、
「何か」の模倣であると類推し、相手の感情を推しはかる。
そのひな型こそ虚構者なんだ。

 

虚構者には感情があり、あなたには感情がある。
他の実在者が感情を持つかは類推することしかできず、実在する証拠も非実在の証拠もない。

それでも、私たちは虚構者の感情を知り、それをひな型として類推し、他の実在者の中にある感情を仮想する。

 

あなたは「作品」から感情を、意識を、ダウンロードする!
キラキラしたものを読み取って受け取る!

ならば、そのバトンを次につなげるべきだろう。


しかし、あなたはキラキラした感情を他人にシェアして広げることはできない。
越境不能な脳髄の間に物理的に立ちふさがる頭蓋がそれを遮るために。

 

そうであるならば、書くしかないだろう。
あなたの実在の感情を。
あなたが作った創作物に強い感情が込められたなら、その文章における感情のリアリズムが高まっていく。

それを読んだ・見た・聴いた誰か他の実在者が同じように感情を表現することで、次なる受容者がキラキラしたものを得る。

意識は伝播していくのだ!

 

その動力源はなんだ?

冷たいRadical Weak Yuriと熱を感じるRadical Strong Yuriだ。

 

外部との熱のやり取りがない系において低熱源と高熱源に接触したときにエントロピーが保たれるなら、その系は外部に対して仕事をする。

そうご存じカルノーサイクルだ。

 

だから、私たちも仕事をしよう。

自分の感情をしたためることでキラキラを広めるのだ。

新たな意識感情の獲得者を生み出すために!


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