やあ、お馴染み豆猫さんの初心者向けMTGルール講座シリーズだよ。
今回のテーマは「キッカー」だ。
キッカーはインベイジョン・ブロックで登場した古い能力で再録回数も多い。
今回、インベイジョンを回顧した『団結のドミナリア』にも当然再録される。
とはいえ、こう言った再録メカニズムを「もう知っているよ」で済ませられるのはそれなりのマジック歴があるプレイヤーだけであり、初心者にとっては再録メカニズムも新しいメカニズムと変わらない。
古参・復帰プレイヤーは復習を兼ねて、新規プレイヤーは発売前の予習として、
「キッカー」について勉強しよう!
キッカーって何?
キッカーは一部の呪文が持つ能力だ。
本来のコストに加えて追加でコストを支払うことで、追加の効果を得たり、効果を書きかえることができる。
追加コストを支払う場合、その呪文は「キッカーされた」ものとして扱い、
文章欄にある「キッカーされている場合」の処理を進める。
キッカーは必ず使う必要はないため、元のコストで追加効果なしで使うこともできる。
軽く小さな効果or重く大きな効果とを使い分けるのだ。
キッカーはインスタントやソーサリーだけでなくクリーチャーなどの戦場に出るカードが持つこともある。
その場合はパワータフネスを大きくする効果や、戦場に出た時にする効果のオマケがつくことが多い。
キッカーコストって?
呪文をキッカーするために支払うコスト。そのままだね。
本来の呪文コストに追加して支払うことになる。
よく似た表記の奇襲などが「書いてあるコストを代わりに支払う」ものであるのに対し
キッカーは「書いてあるコストを追加で支払う」ことに気を付けてほしい。
例えば変容を持つクリーチャー《騒乱の巡回者》は通常のコストが(1)(赤)の2マナで、奇襲コストも同じく(1)(赤)の2マナだ。
騒乱の巡回者を奇襲コストで唱えるなら、支払うのは(1)(赤)の2マナだ。
ではキッカーの場合を見ていこう。
キッカーを持つ呪文《勝利の炎》を唱える場合、通常のコストは(1)(赤)で
キッカーコストは(2)(青)と書いてある。
つまりキッカーする場合はコストとして(1)(赤)でなく青含みの3マナを支払うのか?
そうではない。
よく読むとキッカーコストの後に括弧つきの注釈分がある。
追加で支払ってもよい。つまり(1)(赤)を払ったうえで(2)(青)も払うことでキッカーは成立する。
具体的に言おう。
キッカーした《勝利の炎》のために支払う必要のあるマナは(4)(青)(赤)の6マナということになる。
キッカーする場合、基本のコスト支払いにキッカーコストを上乗せ。
覚えておこう。
キッカーするかしないかを決めるのはいつ?
もし《呪文貫き》のような打消し呪文を使うとしたら、ここは大いに気になる事だろう。
例えば対戦相手が土地を6枚並べている時に
「《勝利の炎》を唱えます」といった。
キッカーしない場合2マナだから《呪文貫き》を唱えても追加のマナを払われるだろう。
でもキッカーしていたら《呪文貫き》で打消す絶好の機会となる。
これって打消しを唱えるのを決められるのはいつなんだろう?
キッカーを相手が宣言する前? 宣言した後?
答えはキッカーを相手が宣言した後だ。
もう少し詳しく言うとキッカーを宣言するかどうかを決めて、
その後で対象に何を選ぶか相手が決める。
それを聞いた後で君は打消しを唱えるかを決めることができる。
逆に言えばキッカーを唱える時は、まず先に自分がキッカーをするのかどうかを対象を示す前に宣言しないといけない。
キッカーと点数で見たマナコスト
《軽蔑的な一撃》など一部の打消し呪文は、打ち消す呪文の「点数で見たマナコスト」を参照する。
キッカーして6マナを支払った《勝利の炎》の「点数で見たマナコスト」(マナ総量)は何点だろう?
もし基本のマナコストの通り2点なら《軽蔑的な一撃》では打ち消せない。
キッカーを含めた6点なら《軽蔑的な一撃》で打ち消せる。
一体どちらなんだろう?
正解は「《軽蔑的な一撃》は《勝利の炎》を対象に取れない」
キッカーによって増えた分は点数で見たマナコストには含まれないからだ。
キッカーとコピー
《双業火》をコピーモードで唱えてから《勝利の炎》をキッカーで唱えコピーした。
この時、コピーとして生まれた《勝利の炎》とキッカーの関係はどうなっているだろう?
1.あなたはそれをキッカーしていないので基本効果のまま。
2.キッカーしているのでキッカーされた状態。
3.あなたがキッカー・コストを支払えるなら追加でキッカーできる。
正解は
2.キッカーしているのでキッカーされた状態。
呪文のコピーは元の呪文がキッカーされていたかどうかも真似できる。
逆に言えば、キッカーされていない《勝利の炎》はキッカーされていないし、
あなたがキッカーされていない《勝利の炎》をキッカー・コストで強化することもできない。
キッカーされたクリーチャーとコピー
同様のパターンで今度は《シャライの侍者》について考えよう。
対戦相手はキッカーされて戦場に出た《シャライの侍者》をコントロールしている。
あなたが《クローン》を呼び出して、《ナーリッドの群棲》として戦場に出すことを決めた場合、どうなるだろうか?
1.載っているカウンターの数をコピーしキッカーもコピーする。カウンター4つ
2.載っているカウンターの数はコピーするがキッカーされない。カウンター2つ。
3.同上。ただし、あなたはキッカー・コストを払えば4つにできる。
4.キッカーされて出てくるが、載っている分はコピーしない。カウンター2つ。
5.キッカーされていない扱いで、載っている分もコピーしない。カウンター0。
さっきに比べて選択肢が多いね。
今回の正解は…
5.キッカーされていない扱いで、載っている分もコピーしない。カウンター0。
一旦、場に出たクリーチャーはそれがキッカーされたかどうかをコピーされることはない。
そしてクリーチャーのコピーは乗っているカウンターまではコピーしない。
キッカーと能力の打消し
最初にキッカーは能力だと説明したので最終問題はそこに焦点を当ててみよう。
対戦相手は《勝利の炎》をキッカーして唱えた。
あなたの手札には《物語の終わり》があるが、《勝利の炎》は伝説の呪文ではないから打ち消せない。
しかし、あなたはキッカーが呪文の持つ「能力」であることを知っている。
知らない? なら、今知った。
さて、では「キッカーを《物語の終わり》で打ち消せるのではないか?」
これが最終問題だ。
選択肢はこちら…
1.キッカーは誘発型能力であるため、打ち消せる。
2.キッカーは起動型能力であるため、打ち消せる。
3.キッカーは常在型能力であるため、打ち消せない。
現実は非常である。
正解は
3.キッカーは常在型能力であるため、打ち消せない。
常在型能力はあるカードが「どこか」にある限り常に自動で働く。
キッカーは呪文が「スタック領域(唱えている呪文が解決までの間にいる場所)」にいる間、
「この呪文を唱える際に追加コストを支払い、キッカーされた状態になることができる」という常在型能力である。
キッカー・コストを払う行動自体は能力を起動したことにならないし、キッカーしたことでキッカー能力が誘発するわけではない。
だから起動型、誘発型能力を打ち消せる《物語の終わり》をもってしてもキッカーする行為は打ち消すことはできない。
というわけで私がキッカーのルールについて教えられることは、これで全部だ。
お疲れ様。これで君は「キッカー能力」というものについて少し詳しくなったはずだ。
(あるいは復習することができた)
キッカーが再びやってくる日はすぐそこだ。
タッチカラーの土地を並べて多色コストで呪文を強化し、唱えよう!
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