さて、あなたは完全体《魂剥ぎ》を知っているだろうか?
「探査」は墓地からカードを好きな数だけ追放し、その追放したカード1枚につきコストが1マナ安くなるキーワード能力だ。
そして《魂剥ぎ》は「探査」のために追放したカードが持つキーワード能力を引き継ぐことができる。
ただし、全てのキーワード能力を得るわけではない。例えば「威迫」はキーワード能力ではあるが《魂剥ぎ》は威迫を持つクリーチャーを探査で追放しても威迫を持たない。
なぜなら「威迫」というキーワード能力が登場したのは《魂剥ぎ》が作られた後から登場したキーワード能力だから、《魂剥ぎ》の文章欄に書かれていないのだ。
他にもブロック固有のキーワード能力なんかも文章欄には書かれていない。
さて。このカードを見た時におそらく誰もが考えるであろうことが「このカードに書かれている全ての能力を持った《魂剥ぎ》を作ってみたい!」という夢だろう。
実際にそんな完全体《魂剥ぎ》を目指そうとするデッキがモダンにはある!
以下のカードを追放して《魂剥ぎ》を唱えることで全ての能力を付与しようというロマン溢れるデッキだ。
厳密には全ての能力がつくわけではない。到達と先制攻撃は持たないのだが、それぞれ上位種の能力である飛行と二段攻撃を得ることができるためほとんど問題にならない。
カード知識豊かなプレイヤーは到達が無ければ《空想の元型》をブロックできない点などを指摘するかもしれないがそんなのは些細な違いにすぎない。
さて、6月11日に発売する新パック『モダンホライゾン2』にはこの完全体《魂剥ぎ》をもう一段階さきへと進化させる可能性を秘めた一枚が存在する。
紹介しよう。《大嵐の咆哮、スラスタ》だ!
この新カードは新たなるキーワード能力『プレインズウォーカー越えトランプル』を持っている。
これを追放して完全体魂剥ぎ越え《魂剥ぎ》いわば究極完全体《魂剥ぎ》を作れないだろうか?
…少し冷静になって検討してみよう。
《魂剥ぎ》は「威迫」を得ることができなかった。
それは「威迫」が《魂剥ぎ》よりも後に登場したからだ。
同様に「プレインズウォーカー越えトランプル」もまた《魂剥ぎ》より後に出てきた能力だ。
つまり《魂剥ぎ》がこの能力を持つことはできないんじゃないか?
ここで実は《魂剥ぎ》はその発売後に登場した新しいキーワード能力を持った事例が存在することを紹介しよう。
《悪意の騎士》のカードだ。
《悪意の騎士》の持つ「白からの呪禁」は《魂剥ぎ》よりも後に登場した能力だ。
しかし墓地の《悪意の騎士》を探査能力によって追放した場合に《魂剥ぎ》は「白からの呪禁」を持つことができるのだ。
なぜ「威迫」と違い「白からの呪禁」を得ることができるのだろう?
それは「白からの呪禁」の元ネタである「呪禁」能力を《魂剥ぎ》が持てるからだ。
「白からの呪禁」能力が搭乗した時点で、こんなカードが存在した。
先ほどカード知識豊かなプレイヤーなら《空想の元型》を知っているだろうと書いたけれど、当然それを知るプレイヤーはこちらも知っていることだろう。
《忍耐の元型》だ。
このカードは相手の「呪禁」能力を失わせることができる。
しかし、「白からの呪禁」が呪禁ではなかったとしたらどうだろう?
《忍耐の元型》ではこの新しい「呪禁」の亜種は消せないことになる。
それは少しばかり直感に反する。
そこでMTGを開発しているウィザース社はルールにこう書き加えた。
総合ルール702.11d
「[性質]からの呪禁/Hexproof from [quality]」は呪禁能力の変種である。パーマネントが持つ「[性質]からの呪禁」は、「このパーマネントは、対戦相手がコントロールしている[性質]呪文や対戦相手がコントロールしている[性質]発生源からの能力の対象にならない。」を意味する。「[性質]からの呪禁」能力は呪禁能力である。
総合ルール702.11e
オブジェクトに呪禁を失わせる効果は、そのオブジェクトからすべての「[性質]からの呪禁」能力を失わせる。プレイヤーに呪禁を持つクリーチャーを呪禁を持たないかのように 対象にしてよいとする効果は、プレイヤーに「[性質]からの呪禁」能力を持つクリーチャーを選んでもよくする。呪禁を持つカードを探す効果は「[性質]からの呪禁」能力を持つカードを探せる。
このルールにより白という性質からの呪禁は呪禁として扱われ、呪禁を失わせる《忍耐の元型》で「白からの呪禁」を失わせることが可能となり、《魂剥ぎ》は《悪意の騎士》を追放して「白からの呪禁」を得ることができるようになった。
さて、「プレインズウォーカー越えトランプル」はどうだろう?
ここでやはりカードに詳しいプレイヤーは「元型」カードを思い出すだろう。
出番だよ。《攻撃の元型》!
このカードはトランプルを失わせる。
さて、「プレインズウォーカ越えトランプル」がトランプルを失わせる能力でも消えることがないとしたらどうだろう?
それは少し奇妙なことのように感じないだろうか?
私はウィザーズ社はモダンホライゾン 2の発売による総合ルール更新でトランプルのルールに「呪禁」同様にルール追加を行うだろうと予想している。
その場合、《攻撃の元型》は《嵐の咆哮、スラスタ》が持つトランプルとプレインズウォーカー越えトランプルの両方を失わせることだろう。
そうなれば《魂剥ぎ》がスラスタを追放して「トランプル」「プレインズウォーカー越えトランプル」(そして速攻)を得られる可能性は高い。
完全体魂剥ぎ越え魂剥ぎ、つまるところ究極完全体魂剥ぎを作れるルールになるのか、
そうではなく《魂剥ぎ》は現状のまま頭打ちになるのか?
ルールがどうなるか楽しみに待とう!
最後に参考用デッキレシピを載せておこう。
このデッキは《群れの結集》を使い5枚のカードをめくる。
そして《魂剥ぎ》を手札に加えながら、残り4枚のカードを墓地に置き、それらを追放して3ターン目に究極完全体《魂剥ぎ》の作成を目指すデッキだ。
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2:《血の墓所/Blood Crypt》
4:《血染めのぬかるみ/Bloodstained Mire》
2:《花盛りの湿地/Blooming Marsh》
1:《魂の洞窟/Cavern of Souls》
1:《森/Forest》
1:《育成泥炭地/Nurturing Peatland》
2:《草むした墓/Overgrown Tomb》
2:《沼/Swamp》
4:《新緑の地下墓地/Verdant Catacombs》
土地19枚
3:《ボーマットの急使/Bomat Courier》
2:《ドラグスコルの肉裂き/Drogskol Reaver》
1:《バサーラ塔の弓兵/Bassara Tower Archer》
1:《夜鷲のあさり屋/Nighthawk Scavenger》
1:《嵐の咆哮、スラスタ/Thrasta,Tempest’s Roar》
4:《ロッテスのトロール/Lotleth Troll》
1:《探索する獣/Questing Beast》
3:《造反の代弁者、サムト/Samut, Voice of Dissent》
4:《魂剥ぎ/Soulflayer》
4:《森の女人像/Sylvan Caryatid》
3:《原初の夜明け、ゼタルパ/Zetalpa, Primal Dawn》
1:《歩行バリスタ/Walking Ballista》
クリーチャー27枚
1:《集団的蛮行/Collective Brutality》
4:《群れの結集/Gather the Pack》
4:《ウルヴェンワルド横断/Traverse the Ulvenwald》
4:《忌まわしい回収/Grisly Salvage》
1:《稲妻の斧/Lightning Axe》
その他14枚
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モダンホライゾン2発売後のモダンフォーマットは間違いなく大きく変わる。だからこの形が最良のものではないことは間違いない。
しかし最強の《魂剥ぎ》を目指すプレイヤーがいる限りモダンから《魂剥ぎ》デッキが消えることはないだろう。
それではまたルール考察記事であいましょう!
モダンホライゾン 2を楽しみに待ちながらね!
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