バーチャルVtuver豆猫さんの与太話

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【#MTG初心者 向け】チュートリアルでは教えてくれない「プレインズウォーカー」

プレインズウォーカ― is 何?

 

例えば《稲妻の一撃》というありふれたカードがある。
この何の変哲もないカードに書かれたテキスト。

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「クリーチャー1体かプレインズウォーカ―1体かプレイヤー1人」

 

待って!
クリーチャーは場に出ているモンスターだ。
プレイヤーは私と相手だ。
プレインズウォーカ―って何?

 

それについて知るために、まずは背景世界の話をしよう。

MTGの世界観は複数の異世界が存在し、それらの異世界次元(プレイン)と呼ぶ。
この異世界を渡り歩ける魔法使いを次元渡り(プレインズウォーカー)と呼ぶ。

生命の危機などで人々の中に眠っているプレインズウォーカ―の灯に火が付いたとき…
覚醒したプレインズウォーカ―は世界を渡り歩けるようになる。

 

メタいことを言おう。
君がMTGを始めた時に君はプレインズウォーカ―になる
最近のマジックでは同じ世界をテーマにしたパックを2つくらい出すと次の世界に物語が移る。

別々の世界の呪文が記されたカードを束ねてデッキにし、
世界の魔力(マナ)を土地から引き出すことができる存在…つまりプレインズウォーカーになるんだ。

 

もっとざっくり言えば、他のゲームで言う「デュエリスト」を思い浮かべてくれ。

 

さて、つまりプレインズウォーカ―カードとは「デュエリストカード」だ
プレイヤーがプレインズウォーカ―に助力を求める呼び出し呪文を唱えた時、
プレインズウォーカ―が駆けつけてくれる。

 

彼らにもライフポイントのようなもの(忠誠度)がある。
多分プレイヤー同様ライフが20点だったり、あるいはライフ40点ありそうなタフな存在もいるけれど、彼ら彼女らはプレイヤーのために命までは賭ける気はないらしく、
ライフ数点分だけを持ってやってきて、それ以上の痛手を受けると撤退していく。
(ゲーム的には忠誠度カウンターが0になると、プレインズウォーカ―カードは墓地に置かれる)

 

実際にカードを見てみよう。

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基本的な構成のプレインズウォーカ―は
「プラス効果」「小マイナス効果」「大マイナス効果」を持つ
(もちろん例外がいくらでもいるのがカードゲームだ)

まずプレインズウォーカ―を呼び出す呪文を唱えると彼や彼女は場に駆けつける。
(ああ、前回呪文について話したね。これも呪文だ)

 

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場に出る時に右下の数字分の忠誠度カウンターを持って出る。
これがそのプレインズウォーカ―が君のためになら受けてもいいかなあ…と思うダメージだ。

そしてプレインズウォーカ―は自分の各ターンに1度だけメインフェイズで能力を使える。メインフェイズは1ターンに2回ある。どちらで使ってもいいが、どちらか1回でしか使えない。
(この能力は召喚酔いに影響されない! 場に出したターンからすぐに動けるぞ!)


これが彼らの唱える魔法だが、ゲーム的には一度場に出たプレインズウォーカ―が動くのは呪文ではなく起動型能力なので呪文を打ち消す効果では消せない。
《ラノワールのエルフ》でマナを生むのが呪文じゃないのと同じだ。


「プラス能力」は君と共に戦うことで絆を深めて「こいつ相手ならもう少しダメージ受けてもいいかな」とデレる。

 

「マイナス能力」は「この魔法は割と疲れるんだよなあ…これ使うなら早めに引き上げよう…」ってなる能力だ。
その分、マイナス効果の方がプラスより強力なものであることが多い。

 

この時、自身の忠誠度より絶対値が大きい数字のマイナス能力は使えない


初期忠誠度以上のカウンターを要求する大マイナスはプラスを何度か使うことで初めて使ってもらえるようになる。

通称「プレインズウォーカ―の奥義」だ。
その分だけ効果はド派手で「使ったら勝ち」レベルのものも存在する。

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奥義は「相手のライフを1にする」!!


さて、忠誠度はライフのようなものなのでダメージで減らすことができる。
プレインズウォーカ―にダメージを与える火力呪文は分かりやすい例だ。

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他には?
クリーチャーでの戦闘だ!


アリーナの戦闘画面で「すべて攻撃」ばかり選んでいないかい?
そうではなく個別にクリックして攻撃指定する場合、
相手がプレインズウォーカ―を呼び出していると攻撃先としてプレイヤーかプレインズウォーカーのどちらにするか聞かれる。
ここでプレインズウォーカ―を選べば彼らを攻撃できる。
紙のマジックなら各クリーチャーごとに「プレイヤーとプレインズウォーカーのどちらを攻撃するか」を宣言して攻撃しよう。

 

ただしプレイヤーを攻撃されたとき同様、戦闘時はクリーチャーでブロックできる。
もしブロックされなかったりトランプルがあればダメージを与え…
与えたダメージ分だけ忠誠度を減らせるんだ。

 

忠誠度がなくなったプレインズウォーカ―・カードは墓地に置かれる。
これは一時的な撤退で、そのプレインズウォーカーが死んだわけではないので、
もし同じカードが相手のデッキにるならもう一度出てくることはあるだろう。


そうそう、同じプレインズウォーカ―と言えば…プレインズウォーカ―は伝説のカードだ。
伝説のカードは同じ名前のカードがあなたのコントロールで場に2枚並ぶと、どちらか1枚を墓地に送る必要がある。
逆にいうと同じ人物でも名前の違うカードなら2枚並ぶことがありえる。
(昔は同じキャラなら名前が違ってもダメだったので少しだけマジックから離れてたって人は知らないかもしれない)

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基本的なプレインズウォーカ―の話はこれでおしまい。
ああ、そうだ。
最後に「紋章」について話しておこう。


一部のプレインズウォーカーは奥義「紋章」を生み出す。
この「紋章」というのはカードとしては扱われず戦場にも出ることはない。

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もし相手が紋章を出して来たらどうすればいいのだろう?
ああ、残念なことだが紋章への対処法は存在しない
紋章はそもそもカードではなく戦場に出ない=紋章はパーマネントではない」
その上、紋章を破壊する効果も存在しない

 

一度出された紋章そのものへの対処は不可能だ。
紋章を出されないように頑張るか、紋章の効果が表れないように頑張るかしかない。
(クリーチャーを強化する紋章ならクリーチャーを場に出させないように打ち消すとか)
(ダメージを与えられた時に誘発するならブロックするとか)

 

逆にいえば自分が使う側ならば「紋章を得る」のは1つの目標になる
紋章さえ得てしまえば残りのゲームはかなり楽になるはずだ。

時には次のターンに紋章が得られそうなら、犠牲を払ってでもプレインズウォーカーを守るべき時がある。

 

あるいは逆にどう守ってもプレインズウォーカ―が倒されるのを避けられないなら…
無理してブロックして自陣を崩すよりは「囮役」として十分働いたものとして無情にも見捨てる決断が必要な時もある。

 

プレインズウォーカ―と上手に付き合おう。

それではまた次回。
それまであなたが異世界の友人を仲間に迎えられますように!

 

他の初心者向け記事↓

 

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哲子ディフェンダーとプレイング

 

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やあ、バーチャルVtuberの豆猫さんだよ。

私のお気に入りデッキ哲子ディフェンダーがVoiceroid実況デビュー!

茜ちゃんに名前を呼んでもらえるとか嬉しくなるね。

 

さて、というわけで哲子ディフェンダーのプレイングに関して。

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ウメザワァ…テツコォ!

まず大前提。

哲子ディフェンダーのデッキタイプ。

デッキタイプの把握は大事だ。

哲子ディフェンダーが何をゴールにしているかを抑えないといけない。

 

哲子ディフェンダー「1ショットキルを狙うコンボデッキ」だ!!

 

ビートやコントロールでなくコンボデッキなのだ。

《厳戒態勢》なしでは勝ちムーブに入れない。

できる限り、一瞬でケリをつけに行きたい。

 

そうそう、このデッキで大切なのはドローのタイミングだ。

もし君がコントロールデッキに偽装して序盤を動いているのでない限り

ドローは積極的に自分のターンにするくらいでいい。

 

例外的にハンデスが多い相手にはキーパーツを抜かれないようにエンドにドローするほうがいい。

 

例えば動画では、相手の色は青黒なので難しい。

ハンデスがありえる色だがカウンターもある。

とはいえ既に場に厳戒態勢が出てるので警戒するべきはハンデスではない。

 

少しでも試合を早く終わらせるディフェンダー(と書いてアタッカーと読む)が必要な局面だ。

なのでドローは島が2枚並んでないカウンターの薄そうなタイミングで撃つ。

(結果論として否認があったわけだけど)

 

基本的にソーサリーのつもりでドロースペルは使っていく。

特にマナが余るような状況の《選択》などは積極的に使う。

 

コンボデッキなのでコンボパーツを場にそろえるのを優先するのだ。

 

ただし、コンボの核となる《厳戒態勢》は理想論を言えばギリギリまで隠したいところだ。

優先度としては壁を並べて召喚酔いを解いておくこと。

厳戒態勢は大きく削れる状況で張ること。

 

 

偽装プランについて

 

このデッキのインスタント・ドローは基本的に「インスタントだから」というより

再活や附則を占術を評価している。

 

場に2枚の厳戒態勢を並べる意味は薄いのだ。

 

とはいえ折角のインスタントなので相手ターンに撃つこともできる。

それを活かすのが偽装プランだ。

 

立ち上がりが

1T目 タップイン神聖なる泉

2T目 アズカンタ

さて、ではこの立ち上がりで相手はこちらのデッキがまさか胡乱なコンボデッキとは思うまい。

この場合は3ターン目に厳戒態勢を張るよりも3マナ構えてターンを回して選択を撃つことで青白系のコントロールを偽装できる。

このタイプのデッキはエンドにドローを撃つので偽装するならこちらもそれと同じように演じる。

 

このデッキは基本的にコンボなので「わからん殺し」的な一瞬で

「え? 負けるの?」という状況で相手を一撃しさせるのが理想的だ。

 

序盤に壁を引いてる場合は壁を並べて

並べ終えてから厳戒態勢+哲子や神盾を1ターンで行い

相手のフルタップしたターンなどに一気に持っていく。

 

序盤にドローやアズカンタを引いた場合はややコントロールに近い動きを装う。

 

では動画のように3ターン目の行動が厳戒態勢であれば…?

この場合は「アグロデッキ」の戦いをする。

 

3ターン目の厳戒態勢は気分的には熱情のリズムをし始めるのと同じだ。

攻めて攻めて攻めていく。

 

動画のプレイングに1点だけ気になるところを上げるなら

相手がフルタップしてカウンターの無いターンに哲子が攻撃するところだ。

2マナの司祭を出すためにマナを使っているが、

ここはカウンターの無いタイミングで「実質7点バーン」である神盾を使うところだ。

アグロルートに入った以上ガンガン攻めの姿勢を見せる必要があるのだ。

 

そういう意味では「新しい哲子」か「アンタップか」の部分は

アンタップで正解だと思う。

新しい哲子は召喚酔いするがアンタップなら召喚酔いはない。

 

さらに相手側の「水縛りしたはずの哲子」を除去しようという気持ちを誘いやすく

除去を引き出してから手札の哲子を出せるかもしれないので、温存してアンタップが正しいのだ。

 

このデッキは日々進化している。

哲子ツインドライブや哲子アルカデス、哲子ブロント

様々なバリエーションがあるがそれぞれコンセプトが違う。

 

あなたも哲子デッキを使う時、その哲子がどのタイプか

それを考えて使う必要がある。

ビートダウン系…コントロール系…コンボ系…

あなたはいったいどんな哲子を使う?

 

哲子との探求の道は続く…。

 

 

 

 

 

MTGデザイナー公募試験を解いてみる。その3

マジックのデザイナー公募試験の過去問に挑む記事シリーズも三本目だ。

第一回はこちら↓

 

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さて、以下のリンクはマジックのデザイナー公募試験についての公式の記事だ。

デザインを読む|読み物|マジック:ザ・ギャザリング 日本公式ウェブサイト

 

この記事の中でマローが青白コモンインスタントをデザインしている。

*マロ―…主席デザイナーMark Rosewaterのニックネーム。


興味深いので私も挑戦してみよう。

というわけでカードデザインの時間だ


条件は以下の通り。

それは青白2色呪文である。(混成ではない)
・シンプルな青の効果1つ白の効果1つの少なくとも2つの効果を持つ。
その2つの効果は関連していると感じさせるものがよい。

既存のセット固有のキーワード能力や能力語を利用してはならない
・新しいキーワードやメカニズムを作ってはならない

レアリティがコモンであるような効果にする必要がある。

 

マローがさらに追加の縛りをかけている。
既存の青白は「打消し・ドロー・バウンス」に偏っている。
これらは使わない

なるほど。ではさらに掘り下げよう。
マローがこれを受けてデザインしたのは
「クリーチャーを破壊し、そのパワー分相手のデッキを破壊する呪文」

 

では私はそれも縛ろう。


・既存の青白コモンインスタントに加えクリーチャー破壊ライブラリー破壊も禁ずる

 

さて、制限こそが想像の母だ。
この状況からカードをデザインしよう!

と言う記事を書こうとしたときには既に私の頭にはアイデアが思いついていた。
では紹介しよう。

 

《不屈の意思》

インスタント
タップされているクリーチャー1体を対象とし、それをアンタップする。
このターン、それは好きな数のクリーチャーをブロックできる。

 

クリーチャーが立ち上がり、仲間を守るために攻撃を引き受ける!

 

カードが出来たら、条件を満たしているか確認する必要がある。


だろうか?  問題なし。

複数のクリーチャーを引き受けてブロックするのは白だ。


だろうか? 問題なし。

クリーチャーをアンタップさせるのは青だ。


インスタントだろうか?  問題なし。

これは相手のターンに唱える必然性がある。


コモンだろうか?  うーん。
自分に厳しく判定するなら恐らく「違う」だろう。


多分これはアンコモンだ。
「クリーチャーを好きなだけブロックできる」のはアンコモンのカードに多い。

(ただしコモンにも追加ブロックは存在する)


コモンにするためにブロックできるのは「追加で1体」にしておこうか。

 

 《不屈の意思》

インスタント
タップされているクリーチャー1体を対象とし、それをアンタップする。
このターン、それは追加で1体のクリーチャーをブロックできる。

 

さて、これでこのカードはマローがチェックした条件をすべて満たした。
でもひとつだけ気になるのは「これは青白のカードか?」という点だ。

 

青のカード白のカードだったじゃないかって?
ああ、でももしかしてこのカードは白単色のカードなんじゃないか?

基本的にクリーチャーアンタップは白の得意とすることではないが、白にできないことではない。
探してみたところ実際に白単色のアンタップ&追加ブロックが存在した。

《英雄的行動》だ。

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しかもこっちの方が強いじゃん…

 

このカードが収録された『破滅の刻』というパックでは
自分のクリーチャーに「次のアンタップ・フェイズに起きない」というペナルティを与えることで大きな力を引き出す督励メカニズムがあった。

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督励は通常のアンタップを阻害するが、効果によるアンタップはできるので
《英雄的行動》は「2ターン連続で督励をできるようにする」という効果をそれとなく違う形に見せかけて差し込んでいる。

 

開発部はこういう「隠された効果」を持つカードを『レンズ状のデザイン』と呼んでいる。
レンズ状のデザインは、ぱっと見た時に初心者にもわかるシンプルな効果だが、
上級者は他の使い方を見出せるカードを指す。

 

初心者は「不意打ちでブロックする」カードだと思うので迷うことなくこれを使えるが
経験者はより効果的な「督励」とのプチコンボを楽しめるのだ。

 

というわけで僕のデザインも《英雄的行動》の下位互換にならないよう調整しつつ、レンズ上のデザインにしよう。

 

《さえぎる翼》

インスタント
タップされているクリーチャー1体を対象とし、それをアンタップする。
ターン終了時までそれは飛行を得て、このターン 追加で2体のクリーチャーをブロックできる。

 

自信作だ。 これは何か?
翼を大きく広げて敵の行く手を阻むのだ!

飛行を持つことは白でも可能だが飛行を与えるインスタントとなると青の分野だ。

これで青白らしくなった。

ブロック追加を左右の翼で2体止めるものにしたのでフレーバー面も充実し、

パワータフネスに修整のある《英雄的行動》に見劣りしなくなった。


そして、これはレンズ状のデザインのカードだ。
相手の飛行クリーチャーの群れを地上の大型生物で防ぐ以外にどう使えるだろうか?

 

 


答え
このカードは自分の攻撃指定ステップに使うことで以下のカードとほぼ同じ挙動を示すことに気付けただろうか?

 

《セラの恩恵》

インスタント
「対象のクリーチャー1体はターン終了時まで飛行と警戒を得る」
(警戒を持つクリーチャーは攻撃してもタップされない)

 

ふむ。
レンズ状のデザインっぽくてフレーバーもよい。
強いていうならアンタップ状態にしか使えない部分だ。
このテキストがこのカードを少し弱くしているが、同時に文章を長くし過ぎている気もする。

 

テキストはシンプルな方がよりいいだろう。

とりわけコモンではそうだ。
コストを重たくすることはシンプルさを損なわない調整のひとつだ。
タップ状態に限定するテキストを削除して1マナ重くしよう。

 

というわけで完成形を披露しよう…

 

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それではまた次回…

今度はそろそろ本選に挑むべきだろうか…?

 

 

前回へのリンク。

 

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【#MTG初心者 向け】打ち消しカードに書いてある『呪文』っていったい何?

豆猫さんと学ぶ

MTGの基礎用語

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第一回「パーマネント」編はこちら↓

 

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さて、MTG基礎用語講座の第二弾。
今回の言葉は…「呪文」だ!

 

おっと、ソーサリーとインスタントのことだろ?
そう考えたデュエルマスターズ遊戯王デュエリスト諸君。
実はその認識は間違っている。

 

例えば遊戯王カードの《デーモンの召喚》を知っているかい?

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デーモンの…召喚?

このカードの名前は明らかにおかしい。
「《デーモンの召喚》を召喚!」などのネタは誰もが一度は言ったことがあるだろう。
実はこれ、デーモンの召喚の元ネタがマジックにあるからなんだ。

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デーモンの召喚

カードの真ん中あたりを見てほしい。

ちゃんとデーモンの召喚とあるだろう?

 

このようにモンスターカード…もといクリーチャー・カードは、
過去には「○○の召喚」という表記がされていた。

デーモンを呼び出す召喚呪文という意味だ。


ただ、前回のパーマネントの話じゃないが「クリーチャーを破壊する」というカードを見た初心者が「ところでクリーチャーって何? 」ということになるので、
○○の召喚の代わりに「クリーチャー」と書かれることになったんだ。

 

 

さて、召喚呪文なので「クリーチャー・カード」を唱えている時、それもまた呪文だ。

同様にアーティファクト(魔道具)を取り寄せるのも、
エンチャント(結界)を張るのも、
プレインズウォーカ―(次元渡りの魔法使い)に救援を要請するのも、
すべて呪文によるものだ。
《取り消し》はそれらすべてを打ち消せるのだ。

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ではすべてのカードが呪文として唱えられるのか?

そういうわけではない。


プレイヤーは世界からマナを引き出して呪文を唱える。
世界を表す土地カードは基本的に呪文じゃない

 

さあ、ここから少し難しくなってくるぞ。

土地以外のカードはすべて呪文だとして…
《本質の散乱》で戦場のクリーチャーを墓地に置けるだろうか?

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クリーチャーを除去できる?

 

残念ながらそれはできない。
クリーチャーは呪文ではないからだ。

 

は?


さっきクリーチャーも呪文だって言ったじゃん!
そう思うのも無理はない。

 

まずはイメージから。
召喚呪文は呪文を取り消す呪文で妨害できる。
だが、すでに呼び出された熊は召喚呪文を打ち消そうとも、
既に世界に存在しているので残念ながら手遅れだ。
場に出た《灰色熊》はもはや生物であり、呪文ではないのだ。


じゃあルールではどうなっているか?
これを説明する伝統的な表現を紹介しよう。

呪文があるのは「場と手札の間の空中」のイメージだ。

 

例えばあなたがソーサリー呪文を唱える。
それに対応して相手があなたの手札を捨てさせるような呪文を使ってきたとしよう。

この時、唱えている最中の呪文を捨てることはできない。
それはもう手札にないからだ。

 

ではあなたが《駆り立てる僧侶》を唱えた時、あなたが唱えている最中のクリーチャー呪文を《分散》で手札に戻せるか?

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それもできない。
なぜならそのクリーチャーはまだ戦場には出ていないためだ。

 

一度場に出ないと僧侶はパーマネント(場のカード)にはならない
だから場のカードを手札に戻す呪文は場に出るまで待たないといけない。
(相手が場に出てすぐに《分散》しても場には出ちゃったのでライフは回復できる)

 

さて、このように「戦場」「手札」には「間の空間」があるらしい。
この「間の空間」のイメージをルールにしたものが「スタック領域」だ。

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このスタック領域についても話したいが今回の記事に収まりそうにない。
また別の機会にスタック領域の説明をしよう。

 

今はなんとなく「机と手札の間の空間」がルールに書かれていると思ってくれ。
「手札と机の間」と書いたけど墓地から唱えられるカードも同じ「手札と机の間」に持ちあげて唱えることになるぞ。


ルールによると呪文は「机と手札の間の空間にあるカード」を指す言葉だ
ただし、土地だけはこの空間を通らず手札から場に直接おくので呪文に含まれない。

 

土地以外のカードは「呪文の書き方が示された魔導書」だと思ってほしい。
(山札を表すライブラリーと言う用語は図書館…つまり魔導書が集まっている場所だ)
土地の魔力を引き出して魔導書の呪文を唱えることでその力を発揮させる。
唱えている間、その物理的なカードが表すものは呪文になるし、
場に出た後はそのカードは召喚呪文で呼んだクリーチャー(生き物)になるのだ!

 

今回のまとめ


土地唱えずに場に出せる
「すべてのカードは唱えると呪文になる
呪文になるのは手札と机の間にいるあいだだけで場に出ればもうそれは呪文じゃない」




さて、次回は「手札と机の間の空間」の話…と思ったけど複雑になるし先約がある。
スタック領域に関する話はちょっと待っていてもらおう。


代わりに「プレインズウォーカ―」について話す回にしようと思う。
それじゃあ、その日まであなたが上手に呪文を唱えられますように!

 

おまけ
カードの中には「呪文のコピー」を創るカードがあるよ。

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呪文のコピーを作る土地



言ってみればトークンと同じカードモドキの呪文版だね。
トークが「場に出ているカード」じゃないけどパーマネントなのと同様
呪文のコピーは「唱えられているカード」じゃないけど呪文
《取り消し》で打消すことができる。



呪文のコピー呪文である」

【#MTG初心者 向け】 パーマネントってなんだろう?

MTGアリーナから始める!

カードに書いてない用語の話。

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やあ。バーチャルVtuverの豆猫さんだよ!

 

MTGアリーナからMTGを始めた人たちが出てきた。
日本語化が実装されたことが大きいだろう。
アリーナはβテスト中なのでてっきり多言語版はβテストを終えてからだと思ってたので、今回の実装は嬉しい限りだ。

 

さて、今回は「カードに書いてない用語」の話だ。
紙のMTGなんかを経験者とやって覚えると教えてもらえることが電子版ではやりとりしづらい。

というわけでアリーナから始めた人のためにひっかかりそうな「カードに書いてない用語」について説明しよう。


「カードに書いてある用語」と「カードに書いてない用語」

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たとえばこのカード、クリーチャーを破壊すると書いてある。
なのでクリーチャーを墓地に置く。
うん、これはカードに書いてある通りだ。
破壊される側のクリーチャーもカードの中央行にクリーチャーと書かれている。

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分かりやすい。

ではこちらは?

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パーマネントを手札に戻すカードだ。
つまりパーマネントって言葉が中央行に書いてあるカードを手札に戻せる?


実はそうじゃない。
パーマネントっていうのは、「カードに書いてない用語」なんだ。

 

パーマネントであるカードに「このカードはパーマネントですよー」とは書いてないんだ。
パーマネントはカタカナでパーマネントとなっているので分かりづらい。
既に定着した用語なので変えられないけれども、
僕が翻訳するとしたらHandを手札と訳したようにPermanentは場札と訳すだろう。

 

パーマネント=場札

 

髪型のパーマってあるでしょ?
あれ、実はパーマネントの略だ。
髪にかけたウェーブが「長く残る」からパーマネント、「長持ちする」と言うんだ。
MTGのパーマネントも長持ちする。
言ってみれば「使い捨てじゃない」ものがパーマネントだ。

 

インスタント、それからソーサリー。

これらは使い捨てのカードだ。

使えるタイミングなどの違いこそあるが、これらはどちらも一度使って墓地に置く。

 

だがそれ以外のカードは使った後で場に残る。

条件を満たしたり何ターンか経つと墓地に行くとか、

戦闘で死んだら墓地に行くとか、

まあ墓地に行くことはあるだろうけれど、

使ってすぐに墓地に置くわけじゃない。

 

こういった場にとどまるカードがパーマネントだ。

 

そうそう「土地以外のパーマネント」っていう言い方から察することができるかもしれないが、土地もまたパーマネントだ。

 

土地

クリーチャー

アーティファクト(装備品・機体etc)

エンチャント(英雄譚・オーラetc)

プレインズウォーカー

 

これらの場に残るカードが、戦場に出ている間、パーマネントということになる。

 

そうそう、カード以外で場に置かれるものもたまにある。

その中でパーマネントなのは1つだけだ。

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トークはカードではないがパーマネントに含まれる

 

+1/+1カウンターなどのカウンターは場のカードの上に乗るものだが、パーマネントには数えない。

あくまで場に残るもののうちカードがパーマネント。

カードモドキであるトークンだけがその例外…というわけだ。

 

パーマネント・カードという言葉もある。

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これは「パーマネントになる」カードのことだ。

例えばクリーチャーは場ではパーマネントだが、

墓地のクリーチャーはパーマネントには数えない。

《分散》の「土地でないパーマネントを1つ手札に戻す」とは

「土地以外の場札から1つを選び手札に戻す」ということであり、

「墓地にあるクリーチャーを手札に戻す」ためには使えないのだ。

 

パーマネント・カードという言い方をした場合は違う。

パーマネント・カードは「パーマネントとして場に出せるカード」だ。

墓地にあるクリーチャーはパーマネントではない。

だが、パーマネントとして場に出せるからパーマネント・カードだ。

 

トークンを呼び出すソーサリーは、カード自体が場に残るわけではないので

パーマネント・カードではないことにだけ注意だ。

 

 

ああ、そうそう。

当然ながらプレイヤーもパーマネントではない。

 

では今回のまとめ。

パーマネントとは場に出ているカードトークのこと」

パーマネント・カードは場に出ていなくてもパーマネント・カード

 

それでは次回は「呪文」とは何かを話そう。

 

 次回リンク↓

omamesensei2.hatenadiary.jp

 

【MTG嘘紹介記事】 風車に突撃! 

*この記事はオリカの公式プレビュー記事風紹介という架空のものです*

 

風車に突撃!

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Virtual Vtuver / Mamenya

 

2019年2月16日

 

カードにはトップダウンボトムアップ、2つの作り方が存在する。

トップダウンとはまず先に物語があり、ボトムアップとはまずメカニズムがある。

 

例えばイニストラードやテーロスは典型的なトップダウンだ。

まず物語があり、それを表現するべくカードがデザインされる。

 

ゼンディカーはボトムアップの好例だ。

土地をテーマにするブロックというのが先で、大地が動いて襲い掛かってくるという世界設定はメカニズムの後にクリエイティブ・チームが味付けしてくれたものだ。

 

今回のプレビューカードの効果を見る前にカード名とイラストを見せよう。

君はそれがトップダウンボトムアップか分かるかな?

 

《巨人のごとき風車》

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Art:Free Material Don Quijote

 

さて、このカードはトップダウンだろうか?

それともボトムアップ…?

 

正解は…トップダウン

 

…ではなくボトムアップだと言ったら君は信じるだろうか?

…あるいは全く別のトップダウンのカードから生まれたと言ったら?

 

 

デザインの融合

一般的にトップダウンのカードはヴォ―ソスに、ボトムアップのカードはメルヴィンが好む。

ああ、ヴォ―ソスというのは「物語を好むプレイヤー」を表す美学的分析の用語だ。

メルヴィンは「カードのメカニズム」の方を美しいと感じる。

 

まずフレーバーが存在するトップダウンはヴォ―ソスに好まれやすく、

カニズム先行のものがメルヴィンに好まれるのはそういった理由だ。

 

だが時にメカニズムから生まれたカードがまるで最初からピタリと合うフレーバーを持っているように生まれることがある。

 

巨人のごとき風車》もそのひとつだ。

 

はじめ、このカードは別のカードとしてデザインされた。

たしかこんな感じだ。

 

《一方的ケツ闘》

(2)(黒)(緑)

インスタント

あなたがコントロールするクリーチャー1体とあなたがコントロールしていないクリーチャー1体を対象とする。

前者はそのタフネスに等しいダメージを後者に与える。

 

では開発チームがこのカードに残したコメントを見ていこう。

 

CNN:黒にもケツ闘をさせろよ

JIS:いいよね、ケツ格闘 略してケツ闘。理論上は一方的にもできる。

JIS:1マナ重くして一方的に

 

このカードは運命再編の《無残な競争》が元になっている。

 

しばらくの間、この一方的ケツ闘はボトムアップとして存在していたが、

最終的にファイルから取り除かれた。

しかし、今回の基本セットでこれは復活した。

 

《黒塗りへの追突》

(2)(黒)(緑)

ソーサリー

対戦相手がコントロールするクリーチャー1体とあなたがコントロールするクリーチャー1体を対象とし、前者に後者のタフネスに等しい点数のダメージを与える。

 

MMN:おい、ゴルァ!免許持ってんのか!

JIS:これは《一方的ケツ闘》の調整版?

MMN:ええ。ですが今はトップダウンの黒塗りの高級車です。

BNC:なぜ、黒塗りの高級車がタフネスのダメージを与えるのですか?

MMN:これは強大な敵にぶつかってしまい返り討ちになるカードだ。壁などのタフネスが大きい存在は自分からは手を出さないが、勢いよくぶつかってしまえば痛い目を見ることがある。

BNC:攻撃した者への制裁と壁というフレーバーなら白がふさわしいと思う。私はこれを白に移した方がいいと思う。フレーバーとしては黒が大事だが、どの道このフレーバーを印刷まで残すのは難しいと思うよ。

MMN:YJSNPIの顔は印刷できるのに?

 

 

YJSNPIという略称が与えられたスタッフは存在しない。

彼が何を言っているのか私にはわからないが、MMNは「ああ、それじゃあ記事に《叫び盾》の画像を貼っておくといい」とだけ言っていた。

あなたには果たして伝わるだろうか?

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こうして《黒塗りの高級車》は形を変えて白へ移動することになった。

このドン・キホーテの風車がまさか全然別の物語やボトムアップから来てるなんて想像もつかなかったよ。

 

それじゃあプレビュー・カードをご覧いただこう!

 

巨人のごとき風車》だ!

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こちらもドレイクにコメントが残っている。

(ドレイクは現在使用中のコメント機能だ。マルチバースにはもう追記されない)

 

MMN:疲れからか白塗りの高級車に追突してしまう。

BNC:アンコモンの瞬速クリーチャーのCipにしたらどうか?

MNN:それはきっと非常に危険なカードになる

MNN:デベロップから提案。神話にまで格上げし再利用可能にしろって

BNC:正気か? わかった。やってみるよ。

BNC:これでどう? 実質的にタフネスでの先制範囲攻撃だ

MMN:そのテンプレートだとブロックされていない奴もダメージを受ける

BNC:タフネスでの先制攻撃になるよう調整。

MMN:コストを変更。5Wから3WWへ。

MMN:2WWへ。多分後悔はしない。

 

壁のファンにとってこれは魅力的だろうか?

それともそんなに?

私はこのカードと防衛が攻撃する「ローリングストーン」能力を組み合わせたデッキに期待している。

策略の龍、アルカデス》の統率者デッキにこれを入れるとどうなるか?

 

攻撃力は変わらないが壁をちゃんと壁として使った場合…それは二段攻撃のように働く。

ああ、もちろん二段攻撃じゃないから二段攻撃を与えれば三段になるだろう!

壁デッキで今まで見向きもしなかった二段攻撃や警戒を与えるカードと一緒に君がプレイしてくれるのを期待しているよ!

 

このセットの発売日は8月10日だ。

それまでは疲れから黒塗りの高級車に追突しないよう気を付けて待っていてくれ!

 

 

 

 

 

スタンダードでデザインされるべきではなかったカード

さて、MTG開発チーム・インターン試験の過去問を解く記事第三弾だ。 

GDS2 論述問題5に挑戦してみよう!

 

5.現在スタンダードに存在するカードのうちで、デザインの観点から言って印刷すべきでなかったカードは何で、その理由は何か。

 

「現在スタンダードに存在するカード」については出題時のことではなく、解答時の2019/2/15のスタンダードについて考えよう。


あまりにもタイムリーなタイミングで禁止カードが出たね。

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MTGアリーナの1本勝負限定で《運命のきずな》が使用不可能になったよ!

というわけでこの設問に《運命のきずな》と答える人は少なくないだろう。

 

だが私はそうは思わない。

ああ、《運命のきずな》が禁止されるべきかどうかとはまた別の話なんだ。

 

まず前提としてこの過去問が出たころの「デザインの観点」という用語について。
「クリエイティブ・チーム」「デザイン・チーム」「デベロップ・チーム」
この3つが当時存在した。(1年くらい前に名前や組織構造が変わったので今は異なる)


「世界観構築」「カードのアイデア「バランスやルールの調整」
それぞれこんな感じの仕事をしている。
というわけで《運命のきずな》がスタンダードで暴れた件はデベロップの観点から見る問題だ。

 

デザインの観点では(たとえそれが禁止カードでも)良いデザインと言う物は存在するのだ。
ではデザイン上悪いものは何か?

 

その最たるものは「カラーパイの範囲を超えている」ものだろう。

MTGには「カラーパイ」「色の役割」といったどの色に何ができて何ができないかの決まりがある。

 

カラーパイを脅かし、他の色が行うことをしているカードがあれば…
それはデベロップでもクリエイティブでもなく…デザインの観点で間違っている

 

ああ、それから「染み出し」といってカードの役割がほんの少し違うことをすることが許容される場合もたしかにある。
ただしそれはやはり「染み出し」でなくてはならないのだ。
もし完全に越境しているならそれはよくないものだ。

 

《覆滅+複製》

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これが私が考える「デザインの観点で印刷すべきでなかったカード」である。
このカードは色々な使い方ができる呪文なので見落としがちだが、
実質的にこのようなカードとして使うことができる。

《自然の覆滅》

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さて、では《自然の覆滅》はデザインしても良いカードだろうか?

 

色の役割

 

呪文の打消しはのものであり、稀に他の色が持つ。


では起動型能力の打消しは?
一時期それはが持っていた。
これは「錆びる」ことを表すカードとして《Rust》が作られて、
アーティファクトの起動型能力を打ち消せる」ということにしたからだ。


だから《自然の覆滅》アーティファクトの起動型能力を打ち消せるのは…。
うん、十分に緑のやることだ。
ここから多少「染み出す」ことは認められるだろう。

 

さて、では《自然の覆滅》はそこから染み出したカードか?


アーティファクトの起動型能力を打ち消せる」ところから染み出している。

アーティファクトに限らずどんな起動型能力でも打ち消せる」
「起動型能力だけでなくアーティファクトの誘発型能力にも使える」

…まあこの辺りがぎりぎり「染み出し」として認められるだろう。

 

ああ、だが待ってくれ!
アーティファクトに限らずどんなものが使った誘発型能力でも止められるのは?

これは流石に染み出してるとは言わないんじゃないか?

 

言ってみればこれは「緑の単純な万能クリーチャー追放除去」くらい はみ出している。
(緑は飛行クリーチャーを破壊することができる。破壊の代わりに追放するのは染み出しだ。だがそれを飛行以外のクリーチャーにも使えるなら?)

そんなカードはデザインしていけないし、

それと同様に覆滅は刷られていいカードではない。

 

 

 

というわけで《覆滅》の代わりとなる半分を考えてみた。

 

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さきほど飛行以外の単純なクリーチャー破壊は緑にはできないと書いた。

あれはつまり単純でない複雑なものは許されることがある。

破壊した後に使い手にトークンをプレゼントする。

これが緑に許された複雑な地上クリーチャー破壊だ。

 

おっと。そういえばウィザーズは特別な場合を除いて同じ色とサイズで異なる名前のトークは同一セットに入れないんだった。
でもこのブロックには3/3のケンタウルストークがいるんだよな。

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うーん。でもシミックの変な生物に改造したら戻せなくなった(覆水盆に返らず)というフレーバーを大切にしたいし、
ケンタウルスにする呪文ではシミックっぽくない。

…ここまで考えて何か変なものを見つけてしまった。

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あれ? 本当にこのセットにいるじゃん! 3/3のカエル・トカゲ・トーク
え? マジで?


というわけで見つけてしまった。

《孵化+不和》

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そうきたかー。
ほぼ同じものが既に存在しているじゃないか…。
だが決定的な違いがある。
「本物」は多色カードで「オリカ」は混成カードだ。

ううむ。
なによりセット内に代替品を用意する目的としてはそもそも似たようなものが別のレアリティにあるのはマズい。

うーん。
これさあ、逆にしたほうがしっくりこない?

というわけで分割カード2つをまとめて代替品にしよう。
これで色の問題は解決だ!

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ここまでくるともはやオリカとかそういう話ではない。
なぜそうなっていないんだろう?

 

 

なぜウィザーズはそうしなかったか?

 

1.サイクルとして不適(デザイン
このサイクルは必ず左の方にコストの低いカードが入る。
色の揃っていない序盤でも扱いやすいように低コストの混成
終盤に土地が伸びたら重たい多色呪文として使えるようにするためだ。
左側のコストが重いのは問題があるように思える。

 

2.レアリティにふさわしくない。(デザイン
レア度に応じたパワーレベルがある。
これらの組み合わせはどちらかが必ずレアリティ不相応になってしまいそうだ。
両方ともアンコモンとレアそれぞれの5枚組サイクルの1枚なのでレアリティを変えることはできない。

 

3.セット全体のパワーバランス(デベロップ
ハイドロイド混成体対策。

だが色がハイドロイドと同じシミックでは結局誰もがシミックを使うようになる。

そこでハイドロイド対策として多色(シミック専用)でなく混成(緑か青さえ噛めばどちらでも)に誘発打消しを必要としていた?

あんがいそれが理由かもしれない。

 

というわけでウィザーズとしては《覆滅》が誘発型能力を消せるのはぎりぎりセーフなラインだったのだろう。
一応擁護のための理由も挙げておこう(理屈と軟膏はどこにでもつく)

 

「このセットで最もよく見かける誘発型能力は死後だ」
「死後は飛行クリーチャーを生成する能力であり緑にそれを打ち消せる手段があるのは染み出しの範囲だ」
「もしこれが他のセットのカードならカラーパイを侵していたのは間違いない」
「だがここはラヴニカであり、オルゾフは死後を持つ。シミックにはこれが必要だったのだ」


さて、ではまた次回!
それまでに君もスタンダードで刷るべきではなかったカードと
代わりにどんなものを作るべきだったか?
デザインの観点から考えてみてほしい。