そもそもマジックを知らない人へ
第一回
さて、前回は2体の攻撃クリーチャーがいて、防御側に1体のクリーチャーがいる状態を扱った。
今回は逆の状況を見てみることにしよう。
攻撃クリーチャーが1体で、防御側に2体のクリーチャーがいる時だ。
相手が《茨隠れの狼》(4/5)で攻撃している。
君の場には《砦の騎士》(3/2)と《先兵の精鋭》(2/1)がいるとする。
この時、選択肢は4つある。
1.ブロックしない
2.《砦の騎士》でブロックする。
3.《先兵の精鋭》でブロックする。
4.《砦の騎士》と《先兵の精鋭》の2人がかりで《茨隠れの狼》をブロックする。
4が少し分かりづらいかもしれない。
前回のブロックの説明では、
「1体のブロック・クリーチャーで2体の攻撃クリーチャーを止めることはできない」
「ブロック・クリーチャーは1体だけを止められる」…と説明したね。
防御側にブロック・クリーチャーが2体いる場合…
「同じ攻撃クリーチャーを指名して二重にブロックしてはいけない」というルールはないので、
2人がかりで1体を止めることもできるんだ!
「4.《砦の騎士》と《先兵の精鋭》の2人がかりで《茨隠れの狼》をブロックする」の場合、攻撃側はブロック・クリーチャーの並び順を決める。
そして《茨隠れの狼》の4点のパワーを、列の先頭から順番に割り振っていく。
例えば《茨隠れの狼》で攻撃したプレイヤーが《先兵の精鋭》が先だと決めたとしよう。
2/1の《先兵の精鋭》は1点のダメージで死ぬので、1点を《先兵の精鋭》に割り振った後は、残りの3点を《砦の騎士》に割り振れる。
(《砦の騎士》を殺すのも2点で足りるので、あと1点分余るけれども、それをプレイヤーに割り振ることはできない。どちらかのクリーチャーに多めに振っておこう)
複数でブロック(妨害)した側が与えるダメージは分割でなく足し算になる。
《砦の騎士》と《先兵の精鋭》のパワーの合計、
パワー3+パワー2=5点のダメージが4/5の《茨隠れの狼》に与えられる。
結果的に、3体のクリーチャー(生物)すべてが死亡して(墓地に置かれて)戦闘が終わる。
さて、ではこんな状況を考えよう。
相手の《地下墓地のクロコダイル》(3/7)が攻撃している。
キミは《ケンタウルスの狩猟者》(3/3)と《ルーン爪の熊》(2/2)の2体でブロック(妨害)した。
ここで対戦相手はダメージ割り振り順を「先に熊、次にケンタウルス」だと言った。
キミは《巨大化》を使ってケンタウルスを強化しよう!と考えた。
これで3/7のワニと2/2の熊と6/6の巨大ケンタウルスが戦うことになる。
ワニのパワーは3、相手はまず熊に2点与え、余った1点をケンタウルスに飛ばしてきた。
こちらはパワー2+パワー6=8点のダメージでタフネス(頑丈さ)7のクロコダイルを返り討ちにできる。
結果的にこちらの熊と相手のワニが死亡する。
でも待って、もっと上手いやり方はないだろうか?
《巨大化》を《ルーン爪の熊》に使ってみるのはどうだろう?
するとどうなるだろう?
3/7のワニと5/5の巨大熊と3/3のケンタウルスが戦うことになる。
じゃあ今度はワニとケンタウルスが死んじゃう?
どうせどちらかが死亡してしまうなら、元々ものパワーとタフネスが高い《ケンタウルスの狩猟者》の方を残した方がよくないか?
いや、そうじゃないんだ。
相手は「先に熊で、次にケンタウルス」だと言ったよね。
この順番に相手はダメージを割り振る必要がある。
ワニのパワー3はブロックの先頭に立つ巨大化した熊さんがすべて受け止めてくれる。
順番待ちの後ろの列までパワーが回ってこなくなるんだ。
熊を無視して「熊0点、ケンタウルス3点」と割り振ることはできない。
相手はケンタウルスを倒したかったのなら「先にケンタウルス、後に熊」だというべきだったね。
(その場合は、それを聞いてからケンタウルスを巨大化するわけだけど)
今回の例では防御側は2体だけだったが、望むなら好きな数のクリーチャーでブロックを行える。
10/10のギガントサウルスを1/1のリス10匹で袋叩きにすることもできるんだ。
複数ブロックをうまく使いこなそう!
今回のキーワードのコーナーでは、「威迫」と「トランプル」について教えよう。
「威迫」
前回までに登場した「飛行」「警戒」「到達」と違って単語自体の意味がよく分からない言葉だ。
「速攻」のような分かりやすさもない。
なぜそんな名前なのか?
その理由は元々「威嚇」という比較的イメージしやすい能力が合ったことから始まる…。
「威嚇」は挙動が分かりづらい能力だったのでクビになった。
その後「畏怖」という能力もあったが、これもクビ。
結果として「相手をビビらせる」イメージのちょうどいい日本語があんまりなくなってしまい、
普段あまり聞かない「威迫」という言葉を使うことになったんだ。
威迫は攻撃側にいる時に発揮される能力で、相手をビビらせることができる。
威迫を持つクリーチャーをブロックするのは大変 勇気がいることなので、クリーチャー1体ではブロックできない。
「お前行けよ」「いや、お前が行けよ」「じゃあせーので一緒に行こうぜ」というくだりを経ないといけないんだ。
威迫を持つクリーチャーをブロックするためには今回説明した「2人がかり以上での集団ブロック」が必要になる。
注意したいのは必ず2体でブロックする必要はないということ。
3体でブロックしてもいいし、無視してブロックしなくてもいい。
ただ「1体だけでブロックする」ということだけを禁止するんだ。
そうそう。一度ブロックが成立した後は頭数が減っても問題ない。
威迫を持つクリーチャーを2体でブロックした後で、そのうち1体が呪文によって殺されても、
ブロックは解除されないのでプレイヤーはダメージを受けないし、威迫持ちと1体のブロック・クリーチャーが戦う。
「威迫」と《殺害》などのインスタント除去の組み合わせは使う状況をよく考えよう。
例えば威迫を持つ《鱗剥ぎの捕食者》で《ケンタウルスの狩猟者》と《ルーン爪の熊》の2体を従える対戦相手を攻撃する時に、
あえて《鱗剥ぎの捕食者》が2体にブロックされるのを見てから《殺害》で《ケンタウルスの狩猟者》を死亡させれば、
6/5の《鱗剥ぎの捕食者》と2/2の《ルーン爪の熊》が戦い一方的に倒せるので、《殺害》1枚で2体のクリーチャーを死亡させることができるんだ!
でも、もし相手のライフ(生命点)が6点しかなければ…?
先に《殺害》で数を減らしておいてから攻撃すれば、相手は1体だけでは《鱗剥ぎの捕食者》をブロックができないので、君の勝ちだ!
「トランプル」
トランプル(踏みつける)は、緑の大型生物に多い能力だ。
トランプルはそれを持つクリーチャーの攻撃が、ブロックしても食い止めるのが難しい攻撃であることを意味する。
イメージとしては貫通攻撃だ。
10/10を1/1でブロックしても余りの9点をプレイヤーは受けないと説明したよね?
もし10/10がトランプルを持っているなら1/1を踏みつけても止まることはない。
そのまま前進して君に余りの9点分のダメージが通る。
この説明を前回でなく今回にしたのはイメージしやすくするためだ。
トランプルはいわば「ダメージを受ける順番待ちの列」の最後尾にプレイヤーを置く能力だ。
6/6トランプルを1/1と2/2の2体がブロックした時、
先頭の1/1に1点与えた後、2/2にダメージを振らずに5点をプレイヤーに飛ばすことはできない。
順番待ちのブロッカーすべてを倒せる分だけのダメージを与えたら、最後にプレイヤーにダメージが及ぶ。
さっきの例なら最終的にプレイヤーに余剰のダメージ1点が貫通してくることになる。
そうそう、それからトランプルが機能するのは攻撃側の時だけだ。
攻撃してきた《ルーン爪》の熊を、トランプルを持つ《巨大な戦慄大口》がブロックして返り討ちにしても、
攻撃したプレイヤーに4点のダメージが飛ぶことはない。
さて、今回は複数ブロックについて説明した。
複数でブロックするルールは他のゲームではあまり見かけないので最初は混乱するかもしれない。
でもここさえ乗り越えればマジックの戦闘システムの基本はばっちりだ!
とはいえまだまだ説明していない常盤木キーワードはたくさんある。
次回はそれらの話になるのできっと戦闘の話はもう終わり…だよね?
え? まだ俺の戦闘フェイズは終了していない?
次回、先制攻撃の説明でまた会いましょう。